世良真純は工藤新一や毛利蘭の通っている帝丹高校に転入してきた女子高生です。クラスメイトらにはアメリカからの帰国子女だと話していましたが、実際には3年前からイギリスに住んでおり母親のメアリーと共に帰国して以降はホテルを転々として生活を送っています。当初は毛利蘭と鈴木園子から「世良さん」と呼ばれていましたが、鈴木園子の提案により「世良ちゃん」と呼ばれ、江戸川コナンには「世良の姉ちゃん」と呼ばれています。

世良真純は高い推理力を持つ高校生探偵であり、同級生を介して依頼された事件を捜査する場面が度々登場しますが、江戸川コナン（工藤新一）には一歩劣る様子が描かれています。しかし赤井秀一の影響で嗜んでいる截拳道は、空手の達人である毛利蘭と互角の実力となっています。

癖のある黒髪のショートヘアと、笑顔の時に見える八重歯が特徴的でかわいい世良真純。初登場時に出会った江戸川コナンや毛利蘭、鈴木園子も世良真純のことを男性だと思い込んむほど、少年らしさのある人物でもあります。中性的な顔立ちと細見の身体のせいでかなりの確率で男性に間違われており、世良真純本人も男性トイレを使用するなど男性として見られることに抵抗を持っていないようですね。

『名探偵コナン』の作中の「怪盗キッドと赤面の人魚」では怪盗キッドが世良真純のことを男性と思い込んだまま、世良真純に変装するという珍事が起こったことも。少年ぽさがかわいい世良真純ですが、服部平次や少年探偵団から自身も気にしている貧乳のことを指摘されるたびに「母親は巨乳だからこれからボーンと出る予定」と言い張るなど、女の子らしい面もあります。そういうたまに見せる女の子らしさもかわいいところですね。

また、彼女が男性に間違われるのは主に服装やぺたんこな胸部が理由で、顔つきだけ見れば普通にかわいい女の子です。『名探偵コナン』の世界はだいたい目が大きいのでかわいい印象になりますが、世良真純はまつ毛も長いですし、特に顔が男らしいわけではありません。母親を「ママ」と呼ぶなど少女らしい部分もあり、そういったボーイッシュさのなかに、本来のかわいい要素があるのも、彼女の素敵なところですよね。

世良真純はスカートなどの女の子らしいかわいい洋服を所有しておらず、制服以外での服装は基本パンツスタイルです。そんなボーイッシュな外見に違わず口調も女性的というより少年的で、敬語や女性的な言葉は殆ど使いません。一人称は『ボク』であり、怒ったとき二人称が『てめえ』になることもしばしばあります。その上喧嘩早い性格であり、中森警部に頬を抓られたり、怪盗キッドにスタンガンで気絶させられた腹癒せに蹴り返したり、京極真とは初対面にもかかわらず激闘を繰り広げそうになりました。

そんなボーイッシュで喧嘩早い世良真純ですが、自分が書けた電話を途中で切った毛利蘭に対し掛け直した上で『ボクの事嫌いなのか！？』と怒鳴りながら涙してしまう傷つきやすい一面も持っています。事件について動いている服部平次たちに同行を断られてショックを受けたりと、寂しがりのようなかわいい一面も見られますね。

工藤新一に恋心を抱いているような描写もあり、そういった女の子らしさも彼女の魅力でかわいい部分になります。江戸川コナンに、幼少期会ったことを思い出させようとする場面も健気でかわいいですよね。もちろん、思い出して欲しい理由はいろいろあると思いますが、昔1度会っただけの男の子を健気に覚えていて、なおかつ自分を思い出してもらおうとする姿は、かわいいと思ってしまいますね。

世良真純は赤井務武とメアリー・世良の間に産まれた娘であり、出生名は赤井真純でした。そしてこの世良真純はあのFBI捜査官・赤井秀一を兄に持つ人物です。さらに赤井秀一だけでなく、羽田秀吉という名前の兄もいるため3兄妹ということになりますね。

父親である赤井務武は17年前、棋士の羽田浩司と資産家であるアマンダ・ヒューズがアメリカで殺害された事件に関与しており、死亡したとされています。世良真純曰く、赤井秀一、羽田秀吉、世良真純と兄妹3人の苗字が異なることは父・務武の死が関わっているそうです。

余談にはなりますが、作中のキャラクターのネーミングや声優のチョイスには、青山剛昌先生の洒落がきいていることがあります。赤井秀一の名前が、『機動戦士ガンダム』のシャア・アズナブルの異名・赤い彗星のシャアと、担当声優である池田秀一の秀一を組み合わせたものが由来というのは有名な話ですが、世良真純の名前も、シャアの妹・セイラ・マスはからきており、青山剛昌先生の遊び心を感じさせますね。

世良真純の実兄で、赤井家の長男でもある赤井秀一は、『名探偵コナン』に登場するFBIのエース捜査官の一人です。父・務武の死の真相を探るためFBIに入り、その後黒の組織と深く関わっていくことになります。

本人たちから直接正体を明かされたわけではないですが、阿笠博士やベルモットと同様に、江戸川コナンの正体が工藤新一であること、そして灰原哀の正体が宮野志保であることを知る数少ない人物のひとりでもあります。江戸川コナン自身もそれを感じており、一応正体は秘密にしているものの、赤井秀一の様子を見て「正体がバレてそうだな」と感じていました。

赤井秀一の顔つきは、どこか顔色が悪そうなことを除けば、世良真純とよく似ていますよね。ニット帽からはみ出ている黒い癖毛も共通点で、彼の特徴的な部分でもあります。昔は髪を伸ばしており非常に長かったですが、現在は切って短髪となっています。同じFBI捜査官の仲間であるジェイムズ・ブラックと日本で再会したとき、髪を切った理由について『恋人に振られっぱなしであることによるゲン直し』と語っています。

この恋人というのは、組織に殺された恋人・宮野明美そのものも指していますし、なかなか会うことのできないジンや、追われる羽目となった黒の組織なども表していると考えられます。

凄腕のスナイパーである赤井秀一は「諸星大」という偽名を使い宮野明美と交際。彼女宮野明美と交流を深めることで、組織とがっつり絡んでいた彼女の妹・宮野志保とも接触するようになり、そのコネを利用して黒の組織の潜入捜査を行っていました。

黒の組織に加入後は徐々に頭角を現し「ライ」というコードネームを与えられ、バーボン（安室透）やスコッチ（諸伏景光）と行動を共にすることが多く、3人で歩いていたところを偶然世良真純に目撃されています。赤井秀一は組織内でうまく立ち回り、ついにジンとの任務にまで漕ぎ着けました。

同じFBI捜査官の仲間であるアンドレ・キャメルのミスが原因となり組織に正体がバレてしまいます。その結果、潜入捜査は失敗に終わり、赤井秀一を組織を追われることになったのです。また、赤井秀一を組織に招き入れる原因となったとして、宮野明美は組織からきつく監視される身となり、最終的に殺されてしまいました。

黒の組織を抜けて逃亡した赤井秀一はFBIに戻り、今度は外から組織について捜査していくことになりました。そのなかで組織を追っている江戸川コナンと出会い、共同戦線を張ることになり、組織にわざと殺されるということを2人で計画、見事に組織を欺くことに成功します。

常に組織に狙われ続けてきた赤井秀一を死亡したと敵にも味方にも思わせておくことで、「沖矢昴」というまったく別の人物として自由に行動できるようになったのです。のちのち生きているとバレるまでFBIの仲間にも生きていることは黙っており、当然実の妹である世良真純も兄は死んだと思っています。

世良真純は沖矢昴にも会ったことがありますが、彼が兄だと気付かず、生きていることを知りません。おそらく、赤井が死んだということは、FBI関係者が母か誰かに伝えたのではないかと思われます。赤井秀一自身も、妹を巻き込みたくないと思っているようで、妹に危険が迫るようなことがなければ、組織に生きているとバレるまで隠し通すのではないでしょうか。

羽田秀吉は赤井秀一の弟であり、世良真純の兄にあたるプロ棋士です。イギリスに住んでいたことがありますが、より安全だという父親・務武の考えで日本に住み始めます。幼い頃から将棋に長けており、高校卒業時に羽田浩司の両親の養子となり、羽田秀吉となりました。

養子に出た理由は、羽田浩司殺害事件が関係しているのか、ただ単に将棋の棋士として尊敬していた羽田浩司の身内になりたかったのか、まったく別の理由があるのかわかりませんが、秀吉の苗字が「赤井」でも「世良」でもないのはこのためです。羽田秀吉は昔から自他共に認める驚異的な記憶力を持ち、江戸川コナンに匹敵するほどの推理力を発揮して事件解決のサポートをしたことがあります。

妹である世良真純曰く長兄よりも推理力に優れており、現に初登場回で江戸川コナンよりも先に事件の真相に辿り着いたことも。世良真純も常人以上の推理力を持ってはいますが、それは江戸川コナンや兄2人には劣るもので、自分の推理を羽田秀吉に相談するような場面もありましたね。

赤井家のなかで、羽田秀吉はもっとも一般人に近い人物とも言えますが、羽田家へ養子に入った理由がわかりませんし、なぜか赤井秀一が生きていることを知っているなどなかなかに謎の多い人物でもあります。彼がどれほど組織について理解しているのか、これから明かされることがあるのか、気になるところですね。

メアリー・世良は赤井務武の妻であり、赤井秀一、羽田秀吉、世良真純の3人の母親です。メアリー・世良という名前はテレビアニメ版『名探偵コナン』第849話『婚姻届のパスワード（前編）』で初登場しました。羽田秀吉の婚姻届の母親の欄に記載されていたのがメアリー・世良でした。養子にいっているため、養父母の名前を書いてもらうと思うきや、婚姻届には赤井夫妻の名前が記載されていましたね。これもまた不思議なところです。

「世良」という苗字は、母方の旧姓で、世良真純は母方の旧姓を名乗って生活していることになりますね。これは、父と兄が組織に追われる立場ということが理由だと思われます。メアリー・世良と赤井務武の婚姻関係がどうなっているのかはわかりませんが、母方の旧姓を名乗る程度なら、『名探偵コナン』の世界では大した問題でもないでしょう。

世良真純は、日本来てからホテル暮らしをしているのですが、ひとりで暮らしているというわけではなく、同居人がいます。それが自らを「領域外の妹」と言った少女。コナンは彼女を中学生くらいの少女だと感じていましたね。世良は自身を3人兄妹だと断言しているため、本来妹はいるはずもなく、まさに「領域外の妹」と言える人物です。

目の形は世良真純によく似ており、瞳の色や顔色の悪さなどは赤井秀一を思い出させますね。彼女について、世良真純は咄嗟に「ママ」と呼びかけており、その「領域外の妹」と名乗る少女の正体がメアリー・世良であると考えられます。世良真純がはっきり「ママ」といったのを聞いていたものの、江戸川コナンはその少女の正体が世良真純の母親であるとはすぐに考えたなかったようですね。

自分たちみたいに子どもの姿にされた人がいるとはそうそう考えつかないことですが、「ママ」と呼んだことを誤魔化した世良真純の様子などから、それらをすぐ考えついていもおかしくはないですよね。

世良真純の数々の行動により、江戸川コナンは10年前海で出会った赤井一家のことを思い出し、あの少女の正体が世良真純たちの母親であるメアリー・世良であると確信します。世良真純が赤井秀一の妹だと気付き、彼女の「ママ」発言を留意すれば、メアリー・世良は自分たちと同じく若返ったのだとすぐに推察できますよね。

この「領域外の妹」という言葉は、本来いるはずのない妹、という意味も含まれているとは思いますが、江戸川コナンがこれが別の意味も指すことに気付きます。「妹」というのは英語で「sister」と書き、「領域」は英語で「territory」と書きます。この「territory」という言葉は「ter」と略されることもあり、この領域を表す「ter」を「sister」から外すと、「sis」となりますよね。

「SIS」というのは、「MI6」とも言われるイギリスの秘密諜報部「Secret Intelligence Service」の通称で、江戸川コナンは世良真純の母親が「SIS」の構成員だと思い至ったのです。世良母娘はイギリスに住んでいたため、おそらく間違いないでしょう。

綺麗な容姿とは裏腹に、男性的な口調で会話をしており、作中では良くせき込んでいるのが印象的なメアリー・世良。その口調や性格から「ママ」と呼ばれているのも少々不思議ですが、以前は女性的な話し方をする人物でした。彼女が男性的な口調になったのは、自分が母親役も父親役も兼ねると決めたためであり、もともとそれほど厳しい口調の人物ではありません。

非常に慎重な性格の持ち主でり、世良真純が江戸川コナンと会わせようとした際には「一人で来るように」指示を出して自分の存在を出来る限る外部に見せないようにしています。現在も江戸川コナンとの直接的な面識はありませんが、彼の頭脳を高く評価した上で「信用するには程遠い」とし、宿泊していたホテルを変えるほどの慎重ぶりを見せています。

こう考えると、こんな人物が「ママ」と呼ばれているのが少々不思議になりますが、もともと外国暮らしであったことを考えれば納得ですよね。赤井秀一や羽田秀吉が「ママ」と呼んでいる姿は想像しにくく、実際に呼んではいませんが、「ママ」は他の国でも使われることがある言葉なため、そう呼んでいてもおかしいことはないですね。作中で母親を「ママ」と呼ぶキャラがほとんどいないため、「ママ」呼びにどこか新鮮さを感じます。

また、「探偵団はヤブの中」で化粧が落ち切らず目元にマスカラが付いた灰原哀を見た江戸川コナンはその灰原哀の顔がメアリー・世良と瓜二つであることに気が付きます。実は、メアリー・世良と灰原哀の母親・宮野エリーナは姉妹関係にあり、宮野姉妹と赤井兄妹はいとこ同士になるのです。

髪型も相まってか、灰原哀とメアリー・世良はまさに血縁ということがわかるほど似ていますよね。灰原哀に直接会った世良真純は、特に母親に似ているとは思わなかったようですが、メアリー・世良が灰原哀に会ったら、もしかしたら何か気づくかもしれませんね。

名探偵コナンの世良真純やその家族についてご紹介させていただきました。世良真純が登場したことにより、工藤新一と繋がりがあった人物の繋がりや謎がより深まっていきそうですね。物語が終盤に差し掛かってきた時期に登場した赤井秀一の妹・世良真純は、間違いなく重要人物のひとりです。2020年公開の映画では赤井家が主役となるので、世良真純のさらなる活躍に期待が持てますね。