はじめに
引用: http://h-cs.co.jp/wp-content/uploads/2013/12/1d9049842f4856977a7edc7a88eb95861.jpg
火を使わない調理器具として年々、家庭への普及率が高まっているihクッキングヒーター。特に子供や高齢者のいる家庭では、火を使わない事から、火力を必要とするガスコンロからihクッキングヒーターに変更する方が多くなっています。
引用: http://www.tocobook.com/wp-content/uploads/2016/07/ihpotbrandmain.jpg
しかし、火事の心配がいらないと言われているihクッキングヒーターですが、使い方を一歩間違えばガスコンロと同様の危険を引き起こしてしまいます。
ihクッキングヒーターはあくまでも機械ですので、ひょんなことから安全装置が作動しなくなってしまう故障なども起こりうるのです。また、鍋をかけたまま電源を消し忘れたことによって起こる出火なども発生しています。ihを使用したとしても、完全に安全とは言い切れないのです。
ihクッキングヒーターの安全性:ihは火事にならない?
ihは火事にならない?
ihクッキングヒーターの売り文句と言えば、「火を使わない調理機」です。この文句の通り、確かにihクッキングヒーターは火を一切使用せずに焼き料理・炒め料理・揚げ料理と、様々な料理を作り上げることが出来ます。しかし、ihクッキングヒーターは本当に火事の原因とならないのでしょうか?
火事にならないはずのihクッキングヒーターによる火事の報告が、経済産業省より発表されています。この報告によれば、火事の原因はihクッキングヒーターそのものにあるというよりも、調理中の不注意による場合が多いです。
引用: http://livedoor.blogimg.jp/matometemitatta/imgs/c/0/c00e7fce.png
これはつまり、たとえ火を使わず安全装置が備え付けられているihクッキングヒーターだとしても、調理中に目を離したり電源を消し忘れたりすると火事になるという事なのです。
ihクッキングヒーターと火事1:ihの構造①
ihの構造①
引用: http://www.buyo-gas.co.jp/confront/images/ih01-01.jpg
使い方を間違えれば火事の原因にもなってしまうihクッキングヒーターですが、そもそも、どういった原理でihクッキングヒーターは物を加熱するのでしょうか?ここでは、ihクッキングヒーターの構造をかいつまんで説明したいと思います。
引用: http://www.kuro-yanagi.net/media/1/sDSC_7643.jpg
Ihクッキングヒーターの内部には、渦巻状のコイルが内蔵されています。これが発熱の触媒となります。このコイルに電流が流れると磁力線が発生し、それがihクッキングヒーターのトッププレートから放射され、ih対応調理機(例えば鍋)の内部を駆け巡って加熱するのです。
ihクッキングヒーターと火事2:ihの構造②
ihの構造②
引用: http://www.suzuki-kogyo.net/ih/images/tecinfo/image01-1.jpg
Ihクッキングヒーターで調理をするには、それに対応した調理器具を使用する必要があります。このih対応調理器具には、クッキングヒーターのトッププレート部と接する底面に特別な金属加工が施されています。
引用: https://thumbnail.image.rakuten.co.jp/@0_mall/cries/cabinet/zee/lila28_3.jpg?_ex=250x250&s=2&r=1
ihの発熱原理は、金属の電気抵抗を利用したものです。ih調理器具の底面にある金属は磁性体としての働きを持ち、この金属部が加熱されて調理器具全体を温めるのです。
引用: http://sumai.panasonic.jp/ihcook/guide/ihnoshikumi/images/shikumi_mainimg.jpg
しかし、ihクッキングヒーターのトッププレートは磁性体ではない(金属ではない)ため、調理器具を加熱することは出来ても、ihクッキングヒーターのトッププレートは加熱されません。こういった構造によることから、ihクッキングヒーターは火事が起こらないとされているのです。
火事だけじゃない!ihクッキングヒーターの事故例1:ヤケド
ヤケド
安全装置が組み込まれているihクッキングヒーターと言えども、完全に安全とは言えません。経済産業省が報告しているihクッキングヒーターによる事故の例の中には、火事以外にもさまざまなバリエーションの事故例が報告されています。
ihクッキングヒーターは火を使わずに調理器具を加熱させることが出来る装置です。調理直後は電源を落とした後でもかなりトッププレート部が熱くなっています。この面を誤って触れてしまい、ヤケドをしてしまう人が多くいます。
引用: https://shufu-arekore.com/wp-content/uploads/2015/10/image30-300x225.jpg
また電源を落とした後なら熱は冷めて行く一方なのでまだ良いのですが、万が一電源を消し忘れていたままの状態で鍋などが置かれていた場合、その鍋はかなり加熱されているのでそれに触れてもヤケドを負ってしまいます。
火事だけじゃない!ihクッキングヒーターの事故例2:落下
落下
引用: http://www.grandeco.jp/img/ih_sekourei1_06.jpg
電気抵抗を利用した加熱装置のihクッキングヒーターですが、その事故例は熱によるもの以外も報告されています。ihクッキングヒーターとその対応調理器具を置く面(トッププレート)は完全な平面で水平です。そのため、調理中の鍋に手がぶつかってしまったり、予期せぬ地震などが発生した場合などに鍋が落下するという恐れがあります。
電気抵抗を利用した加熱装置のihクッキングヒーターですが、その事故例は熱によるもの以外も報告されています。ihクッキングヒーターとその対応調理器具を置く面(トッププレート)は完全な平面で水平です。そのため、調理中の鍋に手がぶつかってしまったり、予期せぬ地震などが発生した場合などに鍋が落下するという恐れがあります。
火事だけじゃない!ihクッキングヒーターの事故例3:発火①
発火①
引用: https://kaden.watch.impress.co.jp/img/kdw/docs/588/798/ms003_s.jpg
火を使わない事から、火の消し忘れによる事故が発生しないという事で人気のihクッキングヒーターなのですが、報告されている事故の中には発火による事故もいくつか含まれています。火を使わない調理機なのにどういった原因で火が発生してしまうのでしょうか?
引用: https://ecollabo-jp.com/attached_files/product_image/image/20199/53_13604_1.jpg
Ihクッキングヒーターによる発火事故のほとんどは、調理中の調理器具からによる発火が主な原因となっています。特に揚げ物を調理中に発生する発火事故は非常に多く、天ぷら鍋をihクッキングヒーターで加熱し過ぎた事が原因で高温の油ハネが起き、キッチン周りの可燃物(布きん等)が発火するという事故が多発しています。
火事だけじゃない!ihクッキングヒーターの事故例4:発火②
発火②
引用: http://www.city.kushima.lg.jp/main/firefighting/upload/8464b4ef275f8a4ddae5bf3571aa2f0b9e7af27f.jpg
揚げ物調理中の消し忘れにより発生する発火以外にも、ihクッキングヒーターによる発火事故はあります。火を使うガスコンロの場合、ガスコンロ周りに可燃物を置く人はほとんどいないと思いますが、火を使わないihクッキングヒーターの場合、油断して周囲にいろいろな物を置きっぱなしにしてしまう人が多いです。
引用: http://www.city.nara.lg.jp/www/contents/1213339374920/simple/131129165208_1.jpg
炒め物や焼き物などの少量の油を使用する料理にも油ハネの危険はあります。ihクッキングヒーターの安全装置が働き、調理器具の加熱は治まったとしても、調理中の食材はそんな急激に冷えることはありません。パチパチ跳ね続ける高温の油が周囲の可燃物に飛び移り、発火事故を引き起こしてしまうのです。
火事だけじゃない!ihクッキングヒーターの事故例5:電化製品を置きっぱなしにする
電化製品を置きっぱなしにする
安全装置が働こうが、電源の消し忘れが無かろうが、それでも発生してしまう事故がihクッキングヒーターにはあります。それが、電化製品をihクッキングヒーターの上に置きっぱなしにすることで発生する誤作動です。
大変なことやらかした 画像で察してくれ……… pic.twitter.com/lI9BEHF1nG
— FALKEN (@FCnH2n) July 12, 2016
ihクッキングヒーターのトッププレートは、電流が流れることで熱を発生させる構造となっています。そのため、ihクッキングヒーターの電源を入れなくても、トッププレートに電化製品を置き、それの電源を入れることで誤ってトッププレートが発熱を開始してしまう事があるのです。
引用: https://pbs.twimg.com/media/CnKcGOlVUAAsfKf.jpg
そうなった場合、当然、そのihクッキングヒーターに置きっぱなしになっている電化製品は加熱されて燃え出してしまいます。
ihクッキングヒーターを使って火事になる原因1:汚れ
汚れ
引用: http://joho-pepopa.com/wp-content/uploads/2015/04/20150425_191755.jpg
火を使わない調理器具であるihクッキングヒーターで火事が発生してしまう原因の1つが、汚れです。この汚れは、ihクッキングヒーターのトッププレートが汚れている事だけじゃなく、使用する調理器具が汚れている場合でも同様に火事の原因となります。
引用: http://haruchan-ih.com/blog/wp-content/uploads/2016/05/P1090581-300x225.jpg
ihクッキングヒーターと調理器具との間に汚れがはさまれていた場合、安全装置が正常に働かず、どこまでも加熱して高温化をまねく原因となります。安全装置が誤認識してしまうほどの汚れが付着したまま、ihクッキングヒーターの電源を消し忘れた時などは最悪です。
引用: http://haruchan-ih.com/blog/wp-content/uploads/2016/05/P1090612-300x225.jpg
ih調理機を使用する際は、こまめに掃除して汚れを確実にキレイに落とすことが火事の原因を遠ざけることになるのです
ihクッキングヒーターを使って火事になる原因2:場を離れた
場を離れた
引用: https://d3imh5q5dnm5ub.cloudfront.net/press_images/000/117/781/4aaa9dffbcc782e1b99c00b8ac2d4e6fd8ce50a6.jpg?1497350905
調理中に電源を消し忘れてその場を離れることは、ガスコンロに限らず、ihクッキングヒーターを使って調理する場合でも危険である事に変わりありません。いくら安全装置が備わっているとはいえ、ihクッキングヒーターは物を高温に発熱させる装置ですので、目を離したスキに周辺の物にまで影響をあたえてしまう恐れがあるのです。
引用: http://mainichi-coreal.com/pic-labo/2610312000201_d.jpg
経済産業省が報告しているih機器による事故例でも、調理中にその場から離れた時に出火が発生している事故が数多く報告されています。火を使わず安全なはずのihクッキングヒーターが火事の原因となってしまうのは、「安全装置が働くから大丈夫!」という考えで安心しきってしまう事で起こる油断なのです。
ihクッキングヒーターを使って火事になる原因3:モード設定を間違えた
モード設定を間違えた
ihクッキングヒーターは火を使わない代わりに、モード設定によって加熱の量を調整します。保温・弱火・中火・揚げ物用といった風に、各ihクッキングヒーターにはさまざまな加熱モードが設定されています。この加熱モードの選択を間違えた場合も、出火の原因となってしまいます。
引用: http://www.tech-spree.com/images/dispic/di-108_04.jpg
ihクッキングヒーターには安全装置が備わっていますが、間違ったモード設定をしてしまった場合、この安全装置も認識を誤り、加熱を制御しなくなってしまう恐れがあります。
引用: http://www.city.higashiosaka.lg.jp/cmsfiles/contents/0000012/12540/180-2.jpg
特に揚げ物を調理する時に「揚げ物」モードにしなかった場合、安全装置が機能せずどこまでも加熱が続き、油が煮えたぎってしまう事もあります。電源の消し忘れと正しいモード設定は表裏一体なのです。
ihクッキングヒーターを使って火事になる原因4:ih対応調理機を使っていなかった
ih対応調理機を使っていなかった
ihクッキングヒーターを使用する際の絶対条件。それは、ih対応の調理器具を使って調理することです。
引用: https://image.rakuten.co.jp/tayu-tafu/cabinet/601/601-0216-4.jpg
もしihに対応していない調理器具を使った場合、加熱装置も安全装置も正常にはたらかず、事故の原因となってしまいます。特にihに対応していない調理器具を使い、おまけに電源の消し忘れなんかをした時は最悪です。目を離したスキに、間違いなく火事になってしまいます。
引用: https://tguchi.s3.amazonaws.com/uploads/topic_item/image/66698/retina_%E3%82%B9%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%B3%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%83%E3%83%88_2017-01-31_13.42.40.png
ihクッキングヒーターは対応調理器具の底面にある金属に反応して温度調節をしますので、対応していない調理器具を使用した時は熱を高め過ぎたり、または全く加熱しなかったりします。正しく安全に使用するためには、ih対応調理器具を揃えるしかないのです。
ihクッキングヒーターを使って火事になる原因5:油の量が少なかった
油の量が少なかった
天ぷらなどの揚げ物をihクッキングヒーターで調理する時は、使用する油の分量に注意が必要です。ihクッキングヒーターの揚げ物モードの温度設定は、適正の油の分量の時にのみ正常に機能するように作られています。もし、天ぷら鍋に入っている油の分量が規定の量よりも少なかった場合、必要以上に油が過熱されてしまい火事の原因となります。
引用: http://www.city.kobe.lg.jp/safety/fire/information/img/IH003.jpg
正しくない油の分量のまま加熱し、電源を消し忘れて放置したりすれば、ihクッキングヒーターの安全装置もはたらかず加速度的に温度を上昇させて行くので本当に危険です。揚げ物の際の油の分量と電源の消し忘れは、最も注意しなければいけないポイントです。
まとめ
いかがだったでしょうか?正しく丁寧に使うと安全に使用する事が出来るihクッキングヒーターですが、使い方を誤れば火事を引き起こしてしまう事がお分かり頂けたことと思います。
引用: http://roi-et-reine.up.n.seesaa.net/roi-et-reine/image/BGNHZ_1801.jpg?d=a0
ihクッキングヒーターは火を使わずに加熱調理することが出来るのが最大のメリットです。そのメリットを生かすも殺すも、利用者の心がけ次第なのです。
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