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秒速5センチメートルは新海誠さんが監督を努めたアニメ映画となります。2007年に公開され大変人気を集めました。
速さをテーマとして男女の恋愛や時間による変化などを描いた映画となっています。
秒速5センチメートル(1) (アフタヌーンKC)
価格
¥ 607
秒速5センチメートルは新海誠さんが監督のアニメ映画ですが、アニメを原作として漫画にもなっています。漫画は全2巻となります。
漫画も原作であるアニメと大体のストーリーは同じとなっていますが、多少違っているところもあります。今回はそんな漫画の気になる所や追加されているシーンなどについて考察していきます。
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漫画版はアニメや小説ではあまり詳細に描かれてこなかったタカキとリサの2人の関係だったり、カナエのその後の話も描かれていたりと、新しいシーンも見ることが出来ます。
そのためアニメや小説は見たという人でも漫画版を見る価値は十分にあり、アニメなどでは気づくことが出来なかった場面もあったりと、いろんな視点から楽しめるようになっています。
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2巻にて収録されている6話においてはカナエがタカキに対して告白をしようとした際に、商店の後ろでカナエがタカキの服を掴んでいる場面があります。
この場面ではなぜカナエは告白することが出来なかったのか?アニメではその理由が分かりませんでしたが、漫画を見てみるとタカキの目が何も言わないでくれという風に語っていたので告白することが出来なかったということが分かります。
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カナエはそのためにそのあとも告白することが出来ずにいました。
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漫画には新しいシーンも追加されていました。特に2巻では新しい部分が多くなっています。
ここではタカキとリサの2人がどうして付き合うことになったのかどうして別れたのかなどが描かれていました。なぜリサと別れることになったのか?大体の理由は予想がついてしまうでしょうが、実際にその経緯を知っていくことで他の視点が大きくなり良い作品へとなっています。
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最終回においてはカナエの10年後が描かれていることになっています。カナエの視点も入っていて、ここも漫画版の見所の部分となっています。更にタカキが今まで接してきた女の子たちから言われた台詞などを思い出すシーンなども描かれており、そこにカナエも存在しています。
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秒速5センチメートルにはタカキがリサを岩舟へと置いてきてしまう場面があります。
タカキは今まで努めてきていた仕事をやめようと決心して、リサから親に会って貰いたいとお願いされても今の俺は将来なんか考えられないと言い、それのせいでリサとの3年間築いてきた関係もぎくしゃくしてきてしまうこととなってしまいます。
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そしてタカキはリサに会えないと彼女と会うことを拒否し続けてきていましたが、ある日会社から出たらリサがいました。そして彼女はタカキに対して私に一番見せたくないと思う物を見せてと言ってきます。
タカキはそれを見せるために電車に乗って岩舟へと行くことになりました。そしてアカリとのことを彼女に話していきます。
岩舟に着いてリサが電車から降ります。そしてリサからタカキくんと呼ばれて、それのせいでタカキはアカリのことがフラッシュバックしてしまいました。そして彼は電車から降りず、リサを置いていったまま行ってしまいました。
この場面においてもやはりタカキは過去に囚われていて、今自分の目の前にいた人のことを大切にできていませんでした。
カナエは種子島へとやってきていた男性から恋心を抱かれてアプローチをされることになります。しかし彼女はタカキのことを忘れられずにいて前に進むことが出来ずにいました。
彼女は自分はどうすればいいのか悩んで、自身の姉に頼ることにしました。姉からは東京に行ってみたらと言われ、そのとおりにしてみることにしました。
タカキのいる場所は三鷹だということが分かり、そこに向かいました。そこで新たな事に気づき、最後にタカキっぽい男性の姿が見えて、そこで物語は終わりとなっています。
この場面では2人は本当に再会することに成功していたのか、もしくはカナエの想いによって見えた幻覚だったのかもしれません。しかし彼の姿が見えた事によって彼女が前に進めるようになったことは確実でしょう。
第3話では時系列はどのようになっているのか?少しわかりにくくなっています。タカキとアカリの2人が踏切においてすれ違う場面で始まって、またすれ違う場面で終わっています。
同じ場面で始まり同じ場面で終わっているので、その間の物語は回想になっていることは容易に分かるようになっているのですが、入り組んでいてなかなか1回でどうなっているのか把握するのは難しくなっています。
最初の踏切の場面に続いて、アカリが岩舟の駅において親を別れるところがあります。そして「昨夜に昔の夢をみた。昨日見た手紙のせいだ」といった台詞があります。
そしてタカキが仕事をやめて降ってきた雪を見たときにも「昨日は昔の夢を見た」と言っています。2人が同じときに同じ夢を見たことが分かるような演出となっています。
秒速5センチメートルという作品を理解するには時系列がどうなっているのか?しっかりと把握することが大切です。そこで時系列が分かるいくつかの場面をあげてみました。
1、踏切で2人がすれ違うことになった場面は桜が咲いている4月。2、アカリが親と駅で別れた場面は去年の12月になります。3、アカリはその次の月の1月に結婚をしました。4、アカリが夢を見たときは親と駅で別れる日の前の日の夜となります。
5、タカキが夢を見たときはアカリと同じとき。6、タカキが仕事をやめたのはその夢を見た日の前の12月です。7、タカキがリサから別れのメールを貰ったのは仕事をやめたときあたりです。8、仕事をやめたけれど、タカキの部屋には2月や3月の仕事の予定が書かれています。
踏切の場面から去年の12月に、タカキは仕事によって精神も身体も参ってしまい、仕事をやめることを決めました。その頃の彼はリサと電話することが出来ませんでした。そして別れのメールを貰いました。このときに「あれほど真剣で切実だった思いがなくなっていることに気がついて限界だと分かり仕事をやめた」といった台詞を呟いたと考えられます。
秒速5センチメートルでは電車や原付などの乗り物が登場し、それが物語の表現として重要なものになっています。
1話ではタカキとアカリを繋ぐ乗り物として電車が描かれていました。視点は車内となっていて、電車が2人を空間的に繋いでいるものとして存在していました。3話においては視点は車外になって、電車はタカキとアカリを空間的に遮るものとなっていました。
2話においてはタカキとカナエを繋ぐ乗り物として原付がありました。カナエがタカキと一緒に帰りたいから原付のところで待っていたり、原付が壊れてしまったことによってタカキと歩くことになったりという描写がありました。
季節が変わっている様も原付に衣類が被さっているところを描き表現していました。
秒速5センチメートル(2) <完> (アフタヌーンKC)
価格
¥ 607
また、1話ではタカキとアカリが手紙を使っていたのに対して2話ではメールになっています。ですが2話のタカキはメールをなかなか送ることが出来ないでいました。
手紙よりも圧倒的に送るのが簡単なメールですが、タカキはそのメールを送ることが出来ないといった描写でタカキの内面を見事に表現していました。
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秒速5センチメートルという作品は別れを描いており、結末もとても悲しいものですが、漫画版ではアニメなどと比べて後味がよくなった終わり方になっていると感じます。また、様々な表現にも目を見張るものがありとても楽しめる作品となっています。
原作である映画を見るだけではなく漫画や小説などを見て秒速5センチメートルへの理解をもっと深めてみてはいかがでしょうか?以上、秒速5センチメートルの考察まとめでした!