呪力=超能力に目覚めた人間たちの世界が舞台『新世界より』
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『新世界より』は貴志祐介さん作のSF小説です。この世界の人間は呪力という超能力に目覚め、誰しもが当たり前のように超能力を使うことができます。時代的には、人類が呪力を獲得してから1000年後の世界です。
注連縄に囲まれている自然豊かな町「神栖66町」では、人々はバケネズミという呼ばれる生物を使役しながら生活をしていました。主人公はその町で生まれ育った渡辺早季という少女です。早季は呪力に目覚め、コントロールできるようになるために「全人学級」というところに通っていました。
早季たちが町の外へと出かけた時に、先史文明の残した自立型図書館「ミノシロモドキ」と出会います。ミノシロモドキは図書館のアーカイブで、1000年前の文明が滅んだ経緯と現在の世界に至るまで秘密を知ってしまったのです。それから呪力という強大な力を得た人間の闇や、心に湧き上がる狂気を身をもって知ることになります。
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【新世界より】漫画版の評判
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漫画版の評判ですが、原作の重苦しい感覚やシリアスな雰囲気を楽しみたい方にとってはあまり高い評価を得られていません。というのも『新世界より』の魅力は呪力という強大な力を持ってしまった人間の闇や業が描かれている点です。それに反して漫画版の絵はとても可愛らしく描かれています。
萌え要素を取り入れて読者を釣ろうとしたのか意図は分かりませんが、スキンシップを取るシーン(特に女性同士)が多すぎるという点が気になっているという評価が多かった印象です。早季もアニメではここまで露出していませんし、スタイルももっとスレンダーに描かれています。
そういった点では評価が高くありませんが、グロテスクなシーンは圧巻の一言です。特に呪力に目覚めた人間たちが引き起こした凄惨な景色や、スクィーラ主導による反乱シーンなどは同じ作品とは思えないほどに殺伐とした描写が特徴的です。序盤は評価が低いものの、後半になると作品の本来の魅力を取り戻しているのか評価が高くなっています。
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【新世界より】アニメ版の評価
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原作は文量も多いうえに難解な世界観でしたので、アニメで描写しきれいていないところや作画安定していないといった評価をされることが多いです。しかし、曲やBGMに関しては評価が高くアニメを支えている要素の一つとなっています。
たしかに作画は安定していなかったのですが、文章からしか読み取ることしかできなかった表情やセリフなど、各キャラクターを担当する声優の演技によって光っている部分もあります。特に最後の裁判のシーンでは、スクィーラの人間に対する怒り、人間たちの残虐性、何が正しいのかと揺れている早季の葛藤が、声優の名演によって色濃く表れていました。
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【新世界より】原作の評価
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力がある人間の内にある狂気や恐怖を描いているということもあって、終始シリアスかつ重厚な世界が広がっていきます。前半は物語の展開が遅いため、途中で飽きたり投げ出しそうになったという読者も多いのですが、中盤から一気に面白くなってくるという評価を多く目にしました。
アニメやコミックよりも描写は直接的で、スキンシップのシーンも残酷なシーンも読者にとって非常にインパクトが強いものとなっていました。後半から畳みかけるように展開されていく物語には、とにかく圧倒されます。
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【新世界より】海外での評価はどうなのか?
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最後に海外からの評価です。主にアニメになりますが、呪力に目覚めた早季たちが知ってはいけない世界の秘密を知ってハラハラするシーンや、世界観に不気味さを感じながらも伝統的な日本の姿と未来像が融合して面白さを感じるといった評価がありました。作画が安定しないと言われているアニメですが、背景の描写や楽曲の美しさが『新世界より』の神秘的な部分を強調しており、海外からの評価は良い方だと思われます。
【新世界より】評価のまとめ
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意外に感じたのが海外からの評価の高さでした。日本では作画が安定しない、描写が足りないといった評価が目立っていたのですが、海外の反応は不気味さや神秘さや、力の弱い存在が消されていく残酷さ、悲しさなどが作品に味をつけていると評価が多かったように感じました。
調べてみて気づいたのですが、この作品が共通して評価されている部分は人間の残虐な部分や力のない者たちに降りかかる悲しい現実の描写です。呪力を持った人間の身勝手さは顔をしかめてしまうほどの残酷さを感じましたし、バケネズミたちの悲しい現実には呆然としてしまうこともありました。実際に現実世界でもあり得る話ですから、他人事ではないと感じた方もいるでしょう。それゆえに、物語終盤は評価がかなり高くなっていると思います。
『新世界より』の各メディア、海外の評価についてはこれで終わりになります。ここまで読んでいただきありがとうございました。