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【新世界より】考察まとめ!真理亜・バケネズミ・最終話について考えてみた

2021.07.25

大人気SF小説『新世界より』。それをアニメ化したアニメ新世界よりは、たくさんの考察する余地があり、ひとつのアニメ作品としても多くの人気を集めました。そんな本作アニメについて、その最終話から真理亜やバケネズミについて、その所在や正体を考察していきます。

  1. 【新世界より】新世界よりとは
  2. 【新世界より】悪鬼が倒せた理由【最終話考察まとめ】
  3. 【新世界より】真理亜や守は死んでいるのか【最終話考察まとめ】
  4. 【新世界より】スクィーラの言葉の意味【最終話考察まとめ】
  5. 【新世界より】早季は「バケネズミ」をどう捉えたのか【最終話考察まとめ】
  6. 【新世界より】覚は「バケネズミ」をどう捉えたのか【最終話考察まとめ】
  7. 【新世界より】人間とバケネズミの関係は変わることができるのか【最終話考察まとめ】
  8. 【新世界より】「想像力こそが、すべてを変える。」とは【最終話考察まとめ】
  9. 【新世界より】「新世界より」の終わり方について【最終話考察まとめ】
  10. 【新世界より】考察についてまとめ
新世界より(上) (講談社文庫)
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『新世界より』は、第29回日本SF大賞受賞を受賞した、貴志祐介原作の小説です。独特の世界観と、作者の考えた空想上の生き物が多数登場し、想像を非常にかき立てられる作品になります。小説だからこそできたと言えるような生物描写でしたが、2012年ついに漫画化とアニメ化がされました。
アニメも漫画も、多少の変更はあったものの、ストーリーとしては小説をそのまま描き、想像だけでは補いきれなかった風景や周りの人間たち、バケネズミなどオリジナル生物をより、想定しやすくなりましたね。小説には小説にしか出せない味や雰囲気というものがありますが、漫画やアニメにもそれは存在します。
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ここでは、小説ではなく、アニメの「新世界より」最終話について、そこから考えられる世界観の考察をしていきます。登場キャラクターの設定が小説とアニメでは違っていたりしますが、ここではアニメのキャラクター設定を基本に考えていきます。
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最終話で、悪鬼ことメシアが倒れるのですが、それは自分が攻撃した相手がバケネズミだと理解したから。なぜ、攻撃した相手がバケネズミだと理解して倒れたのかというと、それは遺伝子に組み込まれている愧死機構が発動したから。愧死機構は呪力を持つ人間同士が争わないようにという目的で、人間に組み込まれたものになります。
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なので、本来は人間を攻撃したと判断したら発動するのが正しいですが、メシアはバケネズミたちに育てられたことで、その愧死機構がバケネズミに対して働いたと考えられます。つまり、愧死機構は「人間を攻撃できない」わけではなく、「同種を攻撃できない」ものであるということ。そして、これは当人が相手を同種と考えるか否かで簡単に覆るといところに注目したいですね。
町の大人たちがマインドコントロールとも言える徹底的な教えをしたこと、子どもたちをふるいにかけていたことを考えると、こういった「認識違い」を起こさせないためだったのではと考えられます。
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また、メシアが倒れたことで注目したいのは、真理亜や守が死んでいるのか否か。メシアが真理亜と守の子どもであることは間違いないですが、仮に、真理亜や守が生きていたら、その子を町に向かわせたりするとは思えませんし、メシアがバケネズミを同種と判断することはなかったと考えられます。
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まだ物心もつく前に「人間」から離されたことで、早季たちを同種だと考えられなかったのでしょう。バケネズミは、バケネズミ同士で争ったとき、負けたコロニーの幼児だけは生かしたまま連れ去り、自分たちコロニーの労力として働かせるため育てる風習があります。このことからも、真理亜と守はすでに殺され、メシアだけ生かされたことが想像できますね。
早季にとっては、かつての恋人である真理亜の面影がある子を殺さねばならないのですから、辛いものですよね。また、すでに亡くなっていることが容易に想像される真理亜たちのことを考えても胸が痛みます。真理亜の面影を感じながら、相手が人間だと感じながら、それでも愧死機構を抑え込む早季はすごいですね。
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スクィーラは、裁判中に「私たちは人間だ!」と叫びます。この言葉を受けバケネズミたちのことを調べた覚たちは、彼らの遺伝子が人間と同じであることを知りました。スクィーラは早季たち同様、なんらかのかたちで歴史を知ったのではないかと考えられます。スクィーラの言葉は、「私たちは対等な生き物だ」という意味ではなく、そのまま、バケネズミが元は呪力を持たない人間であることを指したのです。
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そもそも、この世は呪力を持つ人間と持たない人間がいたわけで、現在持つ人間ばかりというのがおかしい状況でした。いくらなんでも呪力を持たない人間全員を一気に消すことなど不可能。消せないなら人間ではない姿にしてしまえ、ということだったのでしょう。なぜ人間ではない姿にしたのかというと、それは呪力を持たない人間たちには愧死機構を組み込めないことに理由していると思われます。
呪力を持てない人間たちは、呪力を持つ人間たちを攻撃することができるのに、自分たちは相手を人間と認識している以上攻撃することができない、ということから、人間と認識できない姿に遺伝子操作したと考えられますね。
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早季は、バケネズミが元は同じ人間だということを知り、多くの同胞殺しをしたと考えます。「バケネズミ=元人間」と知った早季ですが、最終的に早季はバケネズミを同胞と考えたのか……。これに関して、同胞とは考えきれなかったのでないかと思われます。
早季は、この後スクィーラを楽にしようと死を迎えさせるのですが、メシアが死んだとき、早季は胸を押さえ動機に堪えるようなそぶりを見せました。これは愧死機構が働いたためで、決して早季が直接手を下したわけではありません。それでも、目の前で自分の案でメシアが死んだことを受け、愧死機構が発動しかけたのです。
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スクィーラを同胞だと認識すれば、スクィーラの死ぬ姿を見届けている間に、愧死機構が発動するはずなのです。それがないことを考えると、バケネズミは元々同胞だと思っても、そうだという認識をしきれず、また早季はそれを受け入れたのではないかと考えられます。そして、同胞を殺した罪を受け入れながら徐々に変わっていることを決めたのではないでしょうか。
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覚は早季に、バケネズミを「同胞と思えるか」と問いかけますが、それは早季を落ち着かせるための言葉だったのではないかと思われます。メシアのとき、覚の言葉で早季の意識が「メシアの死」から離れ、愧死機構が落ち着いたことを考えると、今回のこのセリフも、早季をフォローするため出た言葉ではないでしょうか。
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もちろん、覚の本心ということもあるかと思いますが、最終話終盤で36歳になった覚と早季の会話を考えると、バケネズミが迫害されない世界を望んでいることがうかがえます。今後の世界が「変わる」と思っているのであれば、これはバケネズミを「同胞だ」と考えている証ではないでしょうか。
覚は良くも悪くもまっすぐな性格をしているので、そのとき大事なことを口にしたのではないかと思われます。そもそも、バケネズミの遺伝子を調べたのは覚ですし、それはスクィーラの言葉に何か感じることがあったから出た行動だと言えるでしょう。
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人間とバケネズミの関係は今後変わっていくのか、この作品の終わりに伴って、読者に想像の余地を残す最大の部分だと思われます。バケネズミと人間の関係を変えるには、まず人間を変えなければいけません。人間たちは、バケネズミを下に見すぎていて、同じ命あるものと見ているのかさえ、怪しい状況です。
新世界より(6) (講談社コミックス)
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物語は、1000年後早季の手記を読む者に、その時代に生きる人間のみが知っていることだろうという風に終わるのですが、おそらく1000年かけてやっと何か変わるのではと考えられます。この物語時代、現代から1000年後を描いているので、1000年という周期で何かしらの変化があるのではないでしょうか。
早季もそれを踏まえて、1000年としているのではないかと考えられます。つまり、1000年後には、バケネズミの遺伝子は元の人間に戻っている可能性が考えられるのです。それまでの間にバケネズミと人間の関係が対等に変われるのかはわかりませんが、呪力を持つ者が、そうでない者に寄り添う日はくるのではないかと想像されます。
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物語の最後は、掛け軸に書かれた「想像力こそが、すべてを変える。」という言葉で終わるのですが、これは捉え方、考え方によって物の見方がすべてを変えるということではないかと考えられます。早季が、メシアの死を受けて愧死機構が発動しかけたときに「私は殺してない」と繰り返すのですが、これも「想像力」ですよね。
新世界より(7)<完> (講談社コミックス)
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メシアを自分が殺したと認識しそうになったところを、そうでないと想像することで乗り切ろうとしたのです。そしてこれは、バケネズミと人間を対等だと考えるためには欠かせない言葉ではないでしょうか。覚が「同胞と思えるか」と早季に訊いたように、「そう思えるかどうか」が大事だと考えられます。
つまり、今後早季たちの行動によって、人間たちがバケネズミに対する認識を改め、またバケネズミたちの認識を変えることで、自分たちが信じてきた世界すべてを変えることになる、という未来に起こるであろう変化を想像させる言葉だったのではないでしょうか。
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最終話から、「新世界より」の世界は、力を持つ人間と持たざる人間の認識の違いと、長年にわたる迫害を描いていたことがわかります。そして、私たち読者は持たざる側の人間、バケネズミ側であるのではないかと、その終わり方から考えられるのです。
TVアニメ「新世界より」ED主題歌「割れたリンゴ」「雪に咲く花」 Single, Maxi
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物語は、早季の手記を読んでいる、というていで進んでいるので、最後の「1000年後のあなた=視聴者」だとすると、視聴者は世界が変われたかどうかの答えを知ることができる者=元バケネズミだと推察できます。仮に呪力を持った人間だとすれば、この手記を読んでも人間たちが変われたかどうか、その問いの意味自体わからないでしょうし、おそらく手記を読むこともできないでしょう。
ただ、これは遠い未来に生きる、早季の後継者にあてた手記ということも考えられます。最終的にどういう未来を迎えるのかはそれぞれの想像に委ねるということだと思いますが、手記を読んでいるのが視聴者だとすると、作品としての怪しさや怖さが一気に増しますし、SFとしても楽しい終わり方ですよね。
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文字で描かれた想像上の生き物を映像化するというのは、なかなか難しいものですが、このアニメ新世界よりは、小説を読んで想像できる姿を、恐ろしく、美しく見事描いたと言えるのではないでしょうか。小説だけでは想像が及ばないことがアニメなどで映像化されることでより考察がしやすくなったと言えますね。
「想像力こそが、すべを変える。」という言葉通りに、この作品は受け取る側の想像力によって、物語の感じ方が変わる話だと思うので、自分なりの考察をするのも楽しいかもしれません。
新世界より(下) (講談社文庫)
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サムネイル画像は下記より引用しました。
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