引用: https://www.facebook.com/konosekai.movie/photos/a.1112298632166287.1073741828.857199287676224/1282114495184699/?type=3&theater
テレビでも取り上げられることが多くなった【この世界の片隅に】。一体どのような作品なのでしょうか?
【この世界の片隅に】は、こうの史代著作の漫画作品。広島の呉市で暮らす北條すずを主人公に、彼女の目から見た戦時下の日本とその日常が描かれています。どちらかと言えば明るくコミカルな作風ですが、むしろその分、物語後半の残酷な戦争の描写が際立つ秀作です。
知る人ぞ知る名作【この世界の片隅に】でしたが、2016年公開のアニメ映画が大ヒットし、一躍有名になりました。2018年には実写ドラマ化も予定され、ますます目が離せない作品です。
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ヒロイン「北條すず」。物語の中心にいる彼女は、どのような女性なのでしょうか?ざっくりとご紹介します。
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北條すずは、広島市江波の海苔梳きの家で生まれ育った女の子。モデルのように美人の妹に少し嫉妬しつつも、明るくおっとりと暮らす普通の子でした。作中序盤で、北條家の周作に乞われる形で嫁ぎ、今は主婦として悪戦苦闘しています。
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北條すずを語るうえで外せないのが、絵が得意ということ。右手で描いた絵は、幼馴染の水原哲をはじめ、娼婦の白木リンなど多くの人と親しくなるきっかけになりました。
周作と結婚後は北條家の面々と親しい関係を築くことに成功しますが、一方で不妊に悩むことになります。これは当時の厳しい食糧事情も影響しているようです。不妊の原因はすずだけにあるわけではないのですが、当時の社会事情から不妊に頭を悩ませています。
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周作はすずより4歳年上の生真面目で温厚な男性。すずのことを心から愛しています。軍法会議録事官と言う軍職についており、職業柄文筆家でもあるようです。
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すずと周作には、縁談が上がるまで面識はありませんでした。しかも年も離れており、最終的には承諾したとはいえ、当初のすずには戸惑いがみられました。
闇市への買い物の帰り道、道に迷ったすずが出会った娼婦の白木リン。絵を通して仲良くなる2人ですが、原作では彼女がかつての周作の想い人であることが示唆されています。周作は結婚まで考えていたようですが、家族の反対で断念し、代わりにすずと結婚したようです。この事実が、のちのちまですずを苦しめることになります。
すずは絵を通して多くの人と親しくなりました。その詳細をご紹介します。
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水原哲はすずの小学校時代の幼馴染。すずにもちょっかいをかける乱暴者でしたが、兄を海難事故で失い家庭が荒んでしまったと言う事情がありました。ある日、水原の代わりに絵を描いてあげたことで、2人の仲は急接近します。ただし、それ以上の関係に発展することはありませんでした。
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白木リンとは、すずが闇市へ買い物に行った帰り道、道に迷ったときに出会います。映画ではそれっきりですが、原作では彼女の好物であるスイカやアイスクリームモデルの絵を描いて届け、交流をもつことに。不妊などの悩みを相談できる友人のような関係になります。
映画版では省略された部分もありますが、漫画版では2つの三角関係がピックアップされています。
現夫婦のすずと周作、周作の元想い人リンの織りなす三角関係。不妊などで心が弱っているときにかつての周作とリンの関係が発覚し、すずは「自分がリンの代わりなのではないか」と悩むことになります。
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すず・周作の夫婦と、すずの初恋の相手水原の織りなす三角関係。すずと格別に親しい水原に、周作は嫉妬心を露にします。しかし、すずの心はすでに周作に傾いており、水原とすずの間に特別な関係は芽生えませんでした。
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物語も佳境に入ると日本の敗戦が濃厚になり、軍港のある呉も激しい空襲に晒されることに。その最中、すずは多くのかけがえのないものを失っていきます。
軍港呉は、6月22日に米軍の大規模な空襲にあうことになります。世に言う「呉軍港空襲」です。この空襲によってすずは目の前で姪を失い、右手も失ってしまいます。
義姉には姪を守れなかったことをなじられ、右手を失くしたことで大好きな絵を描くこともできなくなってしまったすず。右手ではなく、左手で描いた絵は歪んで見え、それはすずの目を通して見る世界のようでした。そんなすずに追い打ちをかけるように、8月15日に玉音放送。正義と信じた戦争が、ただの暴力でしかなかったことを悟ったすずは、激しく慟哭します。
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戦争で多くを失ったすず。しかし、平和となった広島で新しい大切なものを見つけていきます。
不妊やリンとの三角関係などで、一時は自分の居場所を失っていたすず。それでも、一途に自分を愛してくれる周作の存在のおかげで、新たな自分の居場所を見つけ出します。
戦後のある日、公園でおにぎりを食べていると、「ヨーコ」と言う戦災孤児が寄ってきます。おにぎりを分け与えると、そのまま後をついてくるように。不妊で子どものいない北條夫婦は、彼女を北條家の一員として迎え入れます。
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右手を失い、家族を失い、それでも正義と信じてきた戦争が、実は暴力でしかなかったことを悟ったセリフ。手首から先が無くなった右手を振り回しながら激しく慟哭するすずからは無念さが痛々しいまでに伝わってきます。
右手や家族などかけがえのないものを失いながらも、自分の居場所を見つけてくれた周作に告げた感謝の言葉。タイトルと繋がる名言です。
映画【この世界の片隅に】で「北條すず」を演じたのは、声優初挑戦となる「のん」さん。芸能人の声優起用は賛否両論を巻き起こすことが多いですが、彼女の場合は否を吹き飛ばすほどの秀逸な演技を見せています。
ファッションモデルの新垣結衣に憧れ、2006年にファッション雑誌の専属モデルとしてデビュー。その後はモデル業の傍ら女優業にも手を広げ、NHK連続テレビ小説『あまちゃん』のヒロイン・天野アキ役で大ブレイクを果たしました。2016年に現在の芸名に改名し、今もモデル業から女優業まで精力的な活動をしています。
引用: https://images-na.ssl-images-amazon.com/images/I/51-L7U0nl7L.jpg
「北川景子」さんは、2003年にモデルとして芸能界入り。同年ドラマデビューを果たすと、数々のドラマに出演し評価を上げ、2011年にはNTV終戦ドラマスペシャル【この世界の片隅に】の主演に抜擢されます。その後も様々なドラマ・映画で活躍し人気を集めています。
2018年に放送が予定されているTBS日曜劇場【この世界の片隅に】では、若手女優「松本穂香」さんが北條すずを演じます。とびぬけた実績があるわけではない彼女ですが、3000人にも及ぶオーディションを勝ち抜いての抜擢なので、その演技には注目が集まっています。
広島にいるごく普通の少女だったすず。戦争と言う残酷な現実の中ですずは多くのものを失いつつも、しかしそれを乗り越えようと懸命にもがき苦しみます。その姿は、生まれた時代の違う我々にも何か感じさせるものがあるはずです。未見の人は【この世界の片隅に】から、その何かを感じ取ってみてはいかがでしょうか?