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【この世界の片隅に】考察・ネタバレ!主人公・スズのリンや水原との関係を徹底考察!

2021.07.23

【ネタバレ】この世界の片隅には戦争をテーマに描いた漫画で、2016年にはアニメ映画化され注目を浴びた作品です。しかし原作と映画とでは主軸が異なりそれぞれ楽しみ考察することができます。そこで今回はこの世界の片隅にの原作を中心に主人公と周りの人物、リンや水原との関係を考察していきます。

  1. 【“この世界の片隅に”の考察】基本情報
  2. 【“この世界の片隅に”の考察】原作と映画の相違点
  3. 【“この世界の片隅に”の考察】メイン登場人物紹介<主人公と北条家>
  4. 【“この世界の片隅に”の考察】メイン登場人物紹介<江波と草津の人たち>
  5. 【“この世界の片隅に”の考察】メイン登場人物紹介<呉の人たち>
  6. 【“この世界の片隅に”の考察】すずと周作の関係とは
  7. 【“この世界の片隅に”の考察】すずとリンの関係とは
  8. 【“この世界の片隅に”の考察】すずと水原の関係とは
  9. 【“この世界の片隅に”の考察】ネット上の声
  10. 【“この世界の片隅に”の考察】まとめ

概要

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“この世界の片隅に”はこうの史代さんによる漫画作品です。双葉社の「漫画アクション」にて2007年1月23号から2009年1月20号まで連載され、単行本は同じく双葉社から2009年には上中下形式、2011年には前後編形式の通算7本発売されています。単行本の累計発行部数は130万部を突破しています。
ちなみに“この世界が片隅に”は、2006年から2007年にかけて同じ人物が主人公となっている戦前の広島を描いた3編の読み切り短編作「冬の記憶」「大潮の頃」「波のうさぎ」に続いて、「漫画アクション」にて連載が決まり単行本が刊行されました。
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さらには翻訳され英語版・フランス語版・スペイン語版・ドイツ語版・韓国語版・台湾版・ベトナム語版も刊行されています。
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2011年8月には日本テレビ系でテレビドラマ化され、2016年11月には同名の劇場アニメーション映画が全国放映されました。また2018年にはTBS系「日曜劇場」の枠で再びテレビドラマ化されました。
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“この世界の片隅に”はこうの史代さんの出世作である「夕凪の街 桜の国」に続いて、“戦争”と“広島”がテーマとなっており、激しい空襲を受けた広島の呉を舞台に原爆だけでなく戦争全体が描かれています。

あらすじ

“この世界の片隅に”は主人公のすずが周作と出会い翌年の2月に祝言を上げるところから始まります。しかしコミックス化した際は同じくすずが主人公で本作より前の話が描かれている3編の短編作がプロローグとして上巻に時系列順に収録されています。
<冬の記憶>
昭和9年1月。広島市江波で暮らす情学生のすずは、海苔を届けるお使いのため中島本町に行く途中、“ばけもの”に攫われてしまいます。そしてそのばけものが背負う大きな籠の中で、少年周作と出会います。ばけものが人さらいだと聞いたすずは機転を利かせて周作と逃げ出したのです。その出来事は2人にとって現実なのか夢なのかも不思議なできごとでした。
<大潮の頃>
昭和10年8月。すずの一家は草津にいる祖母を訪ねます。そこで昼寝をしていたすずは天井裏から見知らぬ少女が降りてきてすいかの皮を手に取る姿を見て、新しいすいかを取りに行きました。しかしすでにその場に少女の姿はなく、兄に座敷童を見たのではないかと言われるのでした。
<波のうさぎ>
昭和13年2月。すずは同じ組で鉛筆を取り上げられ床に落とされた乱暴者の哲が海辺に座り込んでいるところを見かけます。そして哲が海難事故で兄を亡くし荒れてしまった家に帰りたくないという理由で課題の絵を描かずにいることを知り、代わりに絵を描いてあげることにしたのです。
<この世界の片隅に>
昭和18年12月。18歳になり草津の祖母の家で海苔好きの手伝いをするすずの元に突然縁談の話がやってきました。急いで家に帰りのぞき見したすずは、相手が呉からきた周作という青年だということがわかります。その翌年2月にすずは周作と結婚してささやかな結婚式を挙げ、新しい生活を始めたのです。すずは周作をどこかで見たことがあるような気がしていました。
そんなすずはぼんやりし危なっかしいという理由で嫁いだ家で失敗ばかりを繰り返し、小姑黒村径子に小言を言われる毎日を過ごします。しかしその娘晴美には懐かれ、物もなく配給も乏しい中、持ち前の生活の知恵と機転で食料の少ない毎日を乗り切り、次第に皆に受け入れられるようになったのです。
一方で子どもがなかなかできないことに悩んでいたすずは、ある日闇市からの帰り道で白木リンという遊女と出会い、リンとの知り合いのような友達のような関係が始まったのです。
“この世界の片隅に”はドラマ化もしていますが、特に劇場アニメーションとして全国放映された時にその名が広く知れ渡りました。
しかし原作とこの劇場版アニメは相違点が多いのです。
たとえば映画ではすずが攫われた時期が昭和8年12月には早められています。また物語の主軸も大きく違い、映画は径子とすず、小姑と嫁の対比が中心であるため、原作の重要人物であるリンはほぼ登場せず、関連のストーリーも出てきません。
また原作は女性目線から描かれていますが、映画は男性的目線からの描写も追加されています。敗戦に対してのすずの反応も異なり、日本が暴力に屈することへのすずの解釈が原作では他国を暴力で屈していたからであるに対し、映画では自分が海の向こうからきた米や大豆でできているからに変更されています。
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浦野(北条)すず

本作主人公。江波出身でのちに呉の北条家に嫁いだ。絵を描くことが得意で知恵と明るさで困難を乗り越える。

北条周作

すずの4つ上の夫で呉の鎮守府軍事会議事を勤める男性。生真面目で周囲から暗いと言われている。

北条サン

周作の母。足が悪いため自宅で安静にしているものの、できる限りの家事をこなす優しくて慈愛に満ちた女性。

北条円太郎

周作の父で化学専門の広海軍工廠の技師。真面目で冷静。温厚でほぼ怒ることがない。

黒村径子

周作の姉。手際が良くズバッと言うタイプだが細かいことは苦手。夫が病死し娘と共に北条家に戻ってきた。

黒村晴美

径子の娘。初等科への入学を控えている。軍艦に詳しくすずに懐いている。

黒村久夫

離縁した径子が黒村家に跡取りとして預けている息子。軍艦に詳しい。

浦野十郎

すずの父。元海苔養殖従事者で現工場勤務。妻を探して広島市に入った際に二次被爆し亡くなった。

浦野キセノ

すずの母。祭りの準備で広島市街に出かけたっきり消息が途絶えた。

浦野要一

すずの兄。短気で喧嘩っ早い。陸軍軍人で戦死したがその報告と共に浦野家に届いたのは石ころだけだった。

浦野すみ

すずの妹。美人でしっかり者。すずを慕っている。原爆症で寝込み祖母の家で看病されながら生活している。

水原哲

すずの幼馴染のガキ大将。海難事故で4つ上の兄を亡くしている。小学校卒業後海軍に入隊。

森田イト

すずの祖母。優しいが口調が厳しい。戦後は海苔の仕事をしながらすみを看病している。

白木リン

朝日遊郭の遊女。子守りとして売られたが逃げ出して遊女となった。片仮名しか読めない。

テル

リンと同じ遊郭にいる遊女。療養中にすずと出会い絵を描いてもらって喜ぶが、その後重度の肺炎に罹り亡くなる。
“この世界の片隅に”のすずと周作は夫婦です。周作がかつてばけものに攫われた時に一度だけ会ったすずに結婚を申し込んで夫婦となったのです。しかし一方ですずは周作と子どもの頃に出会ったことを覚えていませんでした。
そんな関係からのスタートしたこの夫婦ですが、恐らくお互いに幼いながら惹かれる部分がありその気持ちを胸に秘めて結婚に進んだのでしょう。
とは言ってもほぼ赤の他人でお互いのことをよく知らないため、しばらくはすずと周作がまだお互いに家族として打ち解け切れていない様子が描写されています。
しかしすずは嫁いでから偶然出会い顔を合わせるようになったリンが周作の元恋人であることを知り、複雑な気持ちになりながらリンと接するようになります。そしてそのことで頭を抱えるようになり、自分がリンの代用品なのではという疑念に苦しむようになるのです。
そんなすずの元に幼馴染の水原が現れたことで周作の気持ちにも変化が現れます。いつも笑顔で自分の感情を表に出さないすずが素の言動を出している所を目の当たりにした周作は、いつもの大人びた様子からは信じられないような行動を取ります。
水原を家には入れず納屋に泊め、すずを水原ところへ向かわせて家に入れないよう鍵を閉めてしまうのです。そしてそんな周作の行動にすずはさらに周作への疑念を強めるのです。
すずの葛藤も周作の行動も嫉妬心に駆られている証拠です。
その後、すずと周作が電車で夫婦喧嘩をするシーンが出てきます。すずと周作が人目も気にせずに言い合う姿からは、お互いに猫を被らず素の自分で向き合えるようになったことが伝わってきます。それはお互いに相手に対する愛情を自覚し始めたということなのでしょう。また2人のキスシーンの色っぽさからも思いが伝わってきます。
“この世界の片隅に”のすずは闇市に砂糖を買いにいった帰り道に迷ってしまったところで偶然リンと出会い、打ち解けて度々会うようになります。しかし何度か会って話すうちにすずはリンが周作の元恋人であることに気付いてしまいました。
それでもすずは周作のこともリンのことも嫌いになれず悶々とする中、遊郭までリンに会いに行きます。その時はリンに会えませんでしたが病に罹っている遊女テルに出会い励まします。その後リンと再会してテルが亡くなったことを聞き、秘密を他人に知られることなく死ぬのも一つの贅沢であるという考えを教わるのです。
さらにその後、すずは時限爆弾の被害を受けて一緒にいた晴美と自分の右手を失ってしまいます。そのことですずは径子に責められますが、胸にはかつての「誰でも何かが足らんぐらいでこの世界に居場所はそうそう無うなりゃせんよ」というリンの言葉が残っており、自分の気持ちを表現していた右手を亡くしたことで、自分の想いを口にするようになったのです。
そのため径子だけでなく、リンとのことで周作との関係もギクシャクするようになり、北条家に居場所がないと一度広島に戻ることを決断します。しかし結果的には径子と和解し北条家に残ることになったため、すずは広島の原爆被害を免れることができたのです。
その後終戦を迎え周作の案内ですずは呉の市街地に出かけます。そこでかつてリンのいた遊郭が跡形もなく消え去っているのを見て周作とリンの関係や過去に想像を巡らせ、リンとのことを秘密ではなくしてしまったことを謝るのです。しかしそれは確かにリンがいたということを、自分しかない記憶を持って自分の足で生きていくことで示そうとするすずの決意によるものだったのでしょう。
一方でリンにとってもすずは大切な存在でした。なぜならかつてすずが祖母の家で出会った座敷童はリンであり、その時にリンはすずに優しく手を差し伸べてもらったからです。だからこそすずが結婚するまでの間柄になった周作の嫁であっても態度を変えることがなかったのです。
“この世界の片隅に”すずは周作と結婚する前から水原への淡い恋心を捨てきれずにいました。しかし周作と結婚してからもリンとのことで気持ちが揺さぶられ、水原が北条家に訪ねにきた時にはすでに自分の気持ちが周作に向いていることに気付くのです。
一方で水原もすずに恋心を抱きつつも素直になれずにいました。北条家に嫁いだすずに会った時も周作に想いを寄せているすずが水原を幼馴染として見ているのにも関わらず、周作がああも嫉妬心を丸出しにしたのは、少なくとも水原にはすずへの想いが残っていたからなのです。
水原は2人きりになってすずに触れ想いを露わにしますが、はっきりすずに断られ安心します。好きだからこそすずに正しくいてほしかったのでしょう。
“この世界の片隅に”は原作も劇場アニメもドラマもそれぞれ相違点があり、また違ったメッセージ性を持っています。さらには映像や実写を見てから再度原作を読み直すとさらに深く理解することができる作品なのです。
また私たちが日頃忘れてしまっていることを思い出させてくれる心にグッとくるお話です。
そして何より戦争のことを考えさせられる作品です。戦争を体験した世代が少なくなっていく中、同じ過ちを繰り返さないために私たちは後世に伝え続けることが大切で、“この世界の片隅に”もまた戦争についてを語り継いでいくことにおいて非常に価値のある作品だと言えるでしょう。
“この世界の片隅に”は色々なメッセージが込められている作品です。戦争や食について、そして生きることについてを主人公のすずとその人間関係を描くことで考えさせてくれます。すずと周平、すずとリン、すずと水原それぞれの関係を経てすずが気付いたことや知ったことは、すずが前を向いていく上で必要なことでした。
ただの四角関係という言葉で片付けられる関係ではなかったのです。戦争で食べ物が十分に手に入らない中、それでも色んな人との関わることで前を向いて歩こうとするすずの姿に心を打たれた読者・視聴者も多いことでしょう。“この世界の片隅に”は心が乏しくなった時に心を支えてくれる、そして何度読んでも魅力を感じる作品なのです。
サムネイル画像は下記より引用しました。
出典: https://images-na.ssl-images-amazon.com/images/I/51JMODLMqnL._SX350_BO1,204,203,200_.jpg