長い歴史のある古都「奈良」。歴史と伝統を感じさせる名物が多いのが特徴。平安遷都から1300年以上が経った今、ご先祖さまたちと同じものを食べる楽しみに浸りながら舌鼓を打つのもいいですね。庶民の味のラーメン店から、ミシュランで三ツ星を獲得した日本料理店まで、いろいろとご紹介します。
「柿の葉すし」は、奈良県南西部に位置する五條市の「うまいもの」。奈良を代表する「ご当地グルメ」です。物流網も冷蔵庫もない時代の「生活の知恵」として考えられたのが、貴重なタンパク源である魚を塩でしめて保存性を高め、乾燥を防ぐために柿の葉で包み、重石で余分な空気を抜き発酵を促した「柿の葉すし」。200年以上もの長い間、五條の郷土料理として愛され続けてきました。
「柿の葉すし」の、種類は、さば、さけ、たい。柿の葉は抗菌・抗酸化作用に優れ、すし飯を乾燥から防ぐ以外に保存性を高める効果があるといわれています。また、鯖(さば)にはコレステロールを減らし、動脈硬化を防ぐ成分が含まれ、お酢もヘルシーな調味料として知られています。たなかの「柿の葉すし」の消費期限は製造日を含む3日目の20時まで。旅行のお土産にできるお寿司は、柿の葉すしの他にはなかなかありません。
柿の葉すし本舗 たなか
柿の葉すし本舗たなかの柿の葉すしは、さば・米・柿の葉が織りなす三位一体の味。大和・五條から「献上」の誇りを胸に、心をこめて「美味しい」をお届けします。
「三輪そうめん」は、奈良県桜井市を中心とした三輪地方で生産されている「うまいもの」。三輪地方はそうめん発祥の地といわれ、三輪そうめんは、この地域一帯の「ご当地グルメ」です。奈良時代、遣唐使によって、小麦栽培・製粉技術、製麺方法が伝えられたとされ、当時からすでに夏の保存食だったとのこと。三輪そうめんの歴史を知ると、奈良の長い歴史を感じることができますね。
三輪そうめんのおすすめのお店は「三輪山本」。天然色素を使用した、安全・安心で彩り鮮やかな五色素麺や、10gあたりの線状が約130本と細い素麺「白龍」、10gあたりの線状が約300本の超極細品の「白髪」など、ユニークなラインナップが揃います。「奈良県桜井市箸中880」にお食事処もあります。営業日等は公式サイトをご確認ください。
「志津香」は、奈良公園のすぐそば(近鉄奈良駅から東へ15分)にある釜めし専門店。営業日にはいつも長蛇の列ができています。創業50年。ここ奈良で「うまい釜めし」を提供し続ける、まさに元祖ご当地グルメ店です。作り置きをせず、注文が入ってからひとつひとつ丁寧に炊き上げるそうなので、出来立ての美味しさが楽しめると評判のお店です。
メニューは、ヘルシーランチセット(好みの釜めしとサラダ、フルーツ)1500円から2500円ほど、釜めしの単品が1000円から2200円ほどとなります。公園店のほかにも大宮店があり、大宮店のみ予約が可能。釜めしは、お持ち帰りもできます。
「茶がゆ」とは、米を茶で炊いた粥。「奈良茶粥」は、聖武天皇の時代の書物にも「大和の国は農家にても一日に四、五度の茶粥を食する」と記されており、三輪そうめんと並ぶ、元祖ご当地うまいもの。古くから「おかいさん」との愛称で親しまれてきました。1200年も前から愛され続けてきた「おかいさん」。奈良を訪れたからには、一度は食べてみたいですよね。
おすすめは「町家カフェ環奈(かんな)」。情緒たっぷりの「ならまち」の町家のなかで、ゆったりと流れる時間をお過ごしください。店内にはアップリケやビーズをほどこしたハンドメイドの雑貨も販売されています。大和の茶がゆ1000円(税込)、鯛だし茶漬け1100円(税込)など。良心的なお値段のお店です。
「奈良漬」といえば、言わずと知れた奈良の「ご当地うまいもの」の代表選手ですが、「燻製奈良漬」は、ほかのお店ではなかなか手に入りません。無添加の伝統的な瓜の奈良漬を、桜のチップでじっくり燻製にしたもの。パリッとした歯ごたえとスモーキーな香りが特徴です。
今西清兵衛商店は、奈良市福智院町24-1。基本的に年中無休で9時から17時までの営業。このお店では、5種類のお酒(春鹿ブランド)の「きき酒」が大好評。試飲後、オリジナルグラスが持ち帰れます。おつまみには「燻製奈良漬」を試せますよ。
松坂牛や但馬牛ほど有名ではありませんが、奈良には「大和牛」というブランドがあります。橿原市の大和八木駅北口すぐのところにある「焼肉ホルモン将福」は、こだわりの大和牛を使用。
「大和牛」規格要件・・・1.最長飼養地が奈良県内である黒毛和種であり、雌牛については未経産であること、去勢牛については県内生まれであること。2.出荷月齢は未経産雌牛については30ヶ月以上、去勢牛については28ヶ月以上とする。3.奈良県食肉センターへ出荷されたもの。
将福定食セット(ランチタイム・11:30~14:30)は、ハラミ定食980円、大和牛将福定食1,480円ととてもリーズナブル。夜のメニューは4,980円、5,980円、6,980円と単品になります。「大和牛」は、隠れた奈良のご当地うまいものですね。
飛鳥鍋(あすかなべ)とは奈良地方の郷土料理。鶏ガラの出汁とともに、牛乳を加え、まろやかさとコクを加えるもの。具は普通の鍋料理と同じ。好みでネギやショウガを加えたり、片栗粉を水で溶かして加えて、汁に少しとろみを加えて食べることもある。飛鳥時代に唐から来た僧侶が、寒さをしのぐためにヤギの乳で鍋料理を作ったのが始まりとされる。
「めんどや」は元祖飛鳥鍋のお店。起源は飛鳥時代に唐から来た僧侶が作った鍋料理だということなので、こちらも元祖うまいもの。奈良に伝わる伝統的な「ご当地グルメ」です。明日香村は奈良県屈指の観光地。石舞台や猿石などの観光の後の休憩におすすめのお店。
「めんどや」は、飛鳥駅から2,405m。営業時間は10:00~売切れ次第終了。不定休となっています。飛鳥鍋は夜のみですので、(0744-54-2055)までお問い合わせください。予約が可能です。
「あすかルビー」は「アスカウェイブ」と「女峰」を交配して奈良県農業試験場で育成されたいちご。粒は大きめで、ツヤのある果肉に高めの糖度とほどよい酸味が特徴。新品種「古都華(ことか)」も奈良のご当地うまいものフルーツとして人気です。
「あすかいちご狩りパーク」は、明日香村内15ヶ所での開園。ビニールハウスなので、雨の日でも安心。毎年1月から5月末まで開催します。平成30年は5月27日(日)までとなっています。風薫る5月に飛鳥のうまいものを食べに出かけましょう!完全予約制なので「0744-54-1115」までお申し込みください。詳細は、公式サイトをご確認ください。
「彩華ラーメン」は、奈良のラーメンの代名詞。奈良を代表する「ご当地グルメ」ですね。彩華ラーメンは、昭和43年、天理市の屋台から創業。通称「天理ラーメン」とも呼びます。かなりニンニクのきいた病みつきになる味のラーメン。唐辛子の本場中国四川省より直輸入した「辣醤(ラージャン)」で辛みをつけています。
奈良県内では、屋台、天理の本店、橿原、奈良、田原本、大和小泉、桜井にお店があります。ラーメンのほかにも、チャーハンや天津飯も人気。ほとんどのお店が深夜まで営業しています。旅先で夜中に小腹が空いたときにもおすすめ。
吉野の「うまいもの」といえば、本葛。「天極堂」は1870年創業の葛専門店です。四季折々の景観と共に天極堂ならではの葛料理や葛菓子を楽しめる東大寺の西大門跡地に位置する奈良本店のほか、桜井市の飛鳥彩瑠璃の丘、橿原店、JR奈良駅構内、近鉄奈良店で喫茶スペースがあります。
伝統的な葛菓子だけではなく、吉野本葛100%で焼き上げたグルテンフリーのロールケーキや、吉野本葛と大豆粉、「希少糖(レアシュガー)」を使って焼き上げたパウンドケーキなど、新登場の「吉野のご当地うまいもの」もおすすめ。奈良本店は、近鉄奈良駅より徒歩10分。火曜日(祝日の場合翌日)が定休日となっています。詳細は公式サイトをご確認ください。
インスタ映えするご当地うまいものといえば「空気ケーキ」。なんともいえない不思議でかわいい形ですよね。店名自体が「空気ケーキ」なのですから、このお店の「空気ケーキ」は自他ともに認める自信作。味は、プレーン、抹茶、オレンジ、ブルーベリーチーズ、古都華、マロン、ショコラ。ショコラや抹茶などの定番の味から、奈良の名産、古都華(ことか)味まで7種類が揃っています。
「空気ケーキ」という店名ですが、空気ケーキだけを販売しているわけではありません。「空気プリン」もこのお店の人気商品。名前を聞くだけで、ふんわり滑らかなくちどけが想像できます。クッキーやロールケーキなどスイーツの定番品から、奈良らしいイラスト付きのマスキングテープ、てぬぐいなどの雑貨も販売しています。交通アクセスは、奈良市内循環バスに乗って破石町下車。東へ徒歩すぐ。定休日は水曜日(祝日は営業)。
空気ケーキ
古都奈良春日山のふもと。自然豊かな空気をたっぷり含んだふわふわ菓子とカフェのお店です。
「玄」は、ミシュラン1つ星に輝く蕎麦屋さん。お昼のメニューは、せいろ蕎麦1,080円、田舎蕎麦1,080円、そばがき1,260円など。遠方からもお客さんがくる人気店なので予約(お蕎麦の取り置き)が必要。夜は限定コース料理「蕎麦遊膳」10500円。(サービス料別)完全予約制となります。
見た感じは細かく縮れた麺なのですが、細切りながらも力強いコシと弾力のある食感。香り豊かな鰹の出汁も大好評です。日本酒が揃っています。近鉄奈良駅より徒歩15分、バス「福智院町」下車徒歩3分。定休日は、月曜、日曜。(但し土曜日は昼のみの営業)。
「和やまむら」は、奈良県で唯一ミシュラン三つ星を獲得している日本料理店。近鉄奈良線新大宮駅徒歩2分の場所にあります。昼のメニューは、ミニ懐石料理6000円、本懐石8000円~、夜のメニューは懐石料理6500円~、季節の特別懐石15500円~(※別途、サービス料5%と消費税)
味はもちろん、見た目の美しさも圧巻。営業時間は12:00~15:30、17:30~22:00。定休日は月曜日・毎月最終日曜日となります。全面禁煙のお店。
奈良吉野のうまいもの「柿」をお菓子やジャムにして販売する専門店。「柿の専門店」は日本でここだけ。地元産の柿を使った「ご当地グルメ」ショップ。解凍具合でいろいろな食感が楽しめる柿と葛の和スイーツ「柿こーり」、小豆のあんの代わりに柿が入った柿もなか、柿ようかんなど、ここでしか手に入らない柿の和菓子が揃います。
お菓子だけではなく、トーストに塗りたい柿バター、柿酢、純柿酢を使ったしば漬け、柿の葉茶など、甘いものの好きな人にも苦手な人にもおすすめの「うまいもの店」。近鉄奈良駅より徒歩4分の三条通店とJR奈良駅ビエラ奈良2Fに直営店があります。基本的に年中無休。
「プリンの森カフェ」は、「奈良市奈良阪町1073」。「高の原ゴルフセンター」のバス停下車すぐ。フォトジェニックな建物のおしゃれなカフェ。ほかにも、JR奈良駅もも太朗店、近鉄奈良駅店など数店舗があります。公式サイトをご確認ください。
「まほろば大仏プリン」は、奈良のご当地スイーツとして確固たる地位を築いていますが、フランス産マロンクリームを使った「白い鹿のプリン」、吉野の桜の花びらやさくらんぼをトッピングした「さくらプリン」、古代米を使った「四神獣古代米プリン」などの、バリエーションが続々と増えています。クッキーやプリンジャム、プリンアイスも大好評。
天平庵の「朝焼きみかさ=大和三山」は、北海道産小豆・国産小麦・ヨード卵など選びぬいた素材を使用。毎朝早朝から焼き上げたみかさだけを販売しています。常に焼き立てが食べられると人気です。こちらの天平庵はみかさだけではなく、うまいもの揃い。飛鳥時代にシルクロードを渡り、日本へ伝来したといわれる古代のチーズ「蘇」を現代風にアレンジし、チーズケーキにした「蘇蘇(そそ)」、十勝産小豆の粒をつぶさないように艶やかに、ふっくら炊き上げ、寒天の入った蜜で固めて表面を乾燥させた「明日香川」などの銘菓が揃います。
ミッキーマウスのシルエットに見えると人気の「朝焼きみかさ」。和菓子も鮮度が命です。奈良県桜井市の三輪本店のほか、北葛城郡河合町、天理店、東大寺店などで販売中。
「だんご庄」は明治11年春、初代庄五郎によって旧高野長谷街道の茶店として誕生。シンプルな竹ぐしにさしたきな粉だんごのみを販売する頑固なお店。製法は130年以上変わっていません。今も昔も奈良の「ご当地グルメ」なのですね。
きな粉だんごは、1本70円。もちろん防腐剤無添加。ヘルシーで素朴な風味が魅力。イートインスペースもあります。近鉄坊城駅前と近鉄八木駅前の二店舗。定休日は火曜日・第一水曜日。売り切れ次第クローズとなりますので、購入はお早めに。
世界一のビール大国、ドイツ直伝の技術から生まれたご当地ビール、「曽爾高原ビール」。曽爾村は見渡す限りの「すすき」の名所として有名。大阪から車で1時間50分なので、気軽に行ける高原としても人気です。国の天然記念物・兜岳の麓に誕生したサン・ビレッジ曽爾では、バーベキューやアスレチック、テニスを楽しむことができます。宿泊も可能ですので、公式サイトをご確認ください。
曽爾高原まで行かなくても、曽爾高原ビールは、以下のリンク先のお店から購入可能。オリジナルラベルも作ってくれるので、プレゼントにもおすすめです。アルト、ケルシュ、ピルスナーの定番のほか、期間限定ビールもあり。おしゃれなラベルが特徴です。
飛鳥でとれた「ヒノヒカリ」を練り込んだ生地に、注文を受けてから1本づつ自家製練乳カスタードを絞る「飛鳥米コルネ」を販売するのは、「ラスティックベーカリー(Rustic Bakery)」。近鉄吉野線岡寺駅から東へ徒歩5分の場所にあるパン屋さんです。営業時間はAM8:00~PM6:00。基本的に定休日は月曜日と火曜日になります。
「飛鳥米コルネ」のほかにも、地元のパン職人が鹿をイメージし、奈良県産の小麦粉・卵などの食材を使い唐草模様に焼き上げた「バンビのリング」、いよかんビールが入ったパン「いよかんシュクレ」、ライ麦60%のライ麦パンにひまわりのたねがたっぷり入った「ひまわりブロード」など、ユニークなパンが揃っています。
「砂糖傳増尾商店本店」は、安政元年の創業から「ならまち」で営業を続ける老舗の砂糖店。創業者は、増尾傳次郎氏。和三盆、黒糖などこだわりの品ぞろえです。交通アクセスは、市内循環バス、北京終町または田中町で下車し徒歩2分。年中無休のお店です。「砂糖傳」の店名の由来は「砂糖屋の傳次郎」。
パッケージが奈良らしい「こんふぇいと(こんぺいとう・金平糖)」。みなさんご存じの「こんぺいとう」の名の由来はスペイン語の「Confeito」(コンフェイト)からきています。一日1ミリずつしか大きくならないこんぺいとうは、15ミリの粒を作るのになんと!約2週間。大変貴重なお菓子なのです。こんふぇいとのほかにも、米を麦芽で糖化した古来より伝承されている健康食品の御門米飴もおすすめ。はちみつは和三盆も販売しています。
世界的な観光地である「奈良」は名所旧跡だけではなく、グルメも堪能できる街です。頑固一徹に伝統を守り続ける老舗和菓子店から、新感覚のスイーツを次々に発表していくカフェが軒を連ねる、古くて新しく、レトロでモダンな街、奈良。奈良は、観光旅行もいいですが、食べ歩きのグルメツアーもおすすめです。※掲載の情報は2018年4月現在のものとなります。最新情報は公式サイトをご確認ください。
鎌倉末期にはすでに「国牛十図」として、「大和牛」の名とともに良牛の出産地十国のひとつにあげられていたそうです。