台湾では暦の7月は“鬼月”と呼ばれ、あの世の霊魂たちがこの世に戻ってくると信じられています。旧暦の7月1日は“開鬼門”と呼ばれ、“鬼門”が開き、旧暦7月30日は“関鬼門”で鬼門が閉まります。この間に無縁仏の霊魂たちはこの世を徘徊し、美味しいものを探します。特に、旧暦7月15日の『中元節』(2019年8月19日)は、鬼門が大きく開かれる日とされており、先祖や無縁仏たちの霊魂を癒すために“五牲”(豚、鶏、アヒル、魚、卵など)の供え物を用意するそうですよ。

日本の番組でも紹介されたことがあるこのお祭りは、供養で使用されたお供え物を奪い合う行事として知られていますよ。今年は8月28日に開催されました。

台湾の十二大祭の1つに挙げられているお祭りです。鬼門が開いて“鬼月”が始まる1日から開龕門の儀式を皮切りに主普壇の点灯や宗親を象徴する山車のパレード、鬼の門から解放された死者たちの供養などを1ヶ月にわたり行われます。

台湾では、満月の丸さは団圓(家族団らん)を象徴するものとされているため、旧暦の8月15日(2019年9月13日)は日ごろ家族と離れて暮らしている人が里帰りする日でもあります。月餅を贈り合い、月を鑑賞しながら秋の訪れを楽しみます。近年では夕方からバーベキューをすることが恒例の行事となっているそうです。

伝統的な月餅は、満月を表した丸型で中身は小豆+アヒルの卵の黄身の塩漬けです。近年では、スイーツ月餅と称しバリエーション豊富な月餅が販売されているそうです。

文旦は、台湾では“柚子”と呼ばれています。この“柚子”の発音が、“佑子”（神のご加護があらんことを）という単語の発音と同じで、さらに文旦の時季が中秋節の時期と同じために文旦を食べる習慣があるそうです。

台湾での独自の文化である“中秋節にバーベキュー”をする理由は、昔に台湾の焼き肉のタレ製造企業が「中秋節には焼き肉！」と宣伝したからだそうです。この日の夕方は、家の前やお庭、公園など様々な場所でバーベキューが行われていますよ。

いかがでしたか？中元節も中秋節も日本の文化と似て異なるものですよね。この時期に台湾へ行くと日本では見られない慣習が見られるので面白いですよね。どちらも旧暦なので、毎年日にちが変わります。このイベントを目当てに旅行へ行く際には、その年の日にちを確認してから旅程を決めてくださいね。楽しい旅になりますように。