コーヒー豆の一種、ゲイシャ
初めて聞いた方からすれば、ゲイシャとは何か全く想像もつきませんよね。私も最初にゲイシャと聞いた時は着物を着て踊る芸者さんを思い浮かべました。今回説明するゲイシャとは、コーヒーの豆の栽培品種のことです。イチゴで例えると、イチゴの中には「あまおう」や「とちおとめ」などの種類がありますよね。それと同じく、コーヒーの一種であるアラビカ種の中にあるゲイシャ種になります。
コーヒー豆ゲイシャの由来
ワインはシャルドネなど、収穫したブドウの地域名をよく名前につけたりしますね。それと同じく、ゲイシャもエチオピア南部にある「ゲシャ」という地域に生えていたため、「ゲシャ」が訛ってゲイシャと呼ばれるようになったのが由来だそうです。
コーヒー豆ゲイシャの原産地
東アフリカに位置するエチオピア。一年を通して気温は暑く、27度から50度と幅広い地域で降水量もとても多いです。このエチオピアでゲイシャは野生種として発見されました。エチオピアはゲイシャだけでなく、コーヒー自体の原産地とも言われており、「コーヒーセレモニー」という複数の人でコーヒーを楽しむ特徴的なイベントも発達しています。
コーヒー豆ゲイシャは希少種?
エチオピアの中でも高地にしか生息しないゲイシャ。しかも、栽培するのがとても難しい特徴のある種類だったのです。丹精込めて一生懸命育てたゲイシャは、更に収穫量も少なく栽培効率が悪いため、農家泣かせだったといいます。なのでゲイシャはとても珍しい希少種と言われています。
最初は人気が無かったコーヒー豆ゲイシャ
エチオピアではその難しさから敬遠されてきたゲイシャでしたが、パナマコーヒーで有名な「ドンパチ農園」というところがゲイシャ種を持ち帰り、その後パナマ政権がゲイシャを広めるために各農家にゲイシャの種を無料配布をしました。
さあ、パナマの農家の反応はどうだったのでしょうか?結果はやはり、収穫率の悪さからまたもや敬遠されてしまいました。パナマでは他にもカトゥーラやカトゥアイという品種があり、これらはとても収穫量が多かったため、効率を考えるとどうしてもゲイシャを栽培する、という道は無くなってしまいました。
消えるコーヒー豆ゲイシャ
ゲイシャが発見され広まりかけた当時は、「さび病」という植物の病気が流行りました。さび病は降水量が多い地域に多く発生し、葉が捻じ曲がったり枯れてしまったりと成長に大きく悪影響を及ぼす病気です。以上のことも含め、育てるのが難しく病気にかかりやすい特徴のあるゲイシャはどんどん世界から消えていってしまいました。
いきなりコーヒーとして有名に!ゲイシャショックとは?
それから数十年程、ゲイシャはコーヒーとしても多くの人から忘れ去られていましたが、2004年にある革命的なことが起こります。それはパナマで開かれたコーヒーの国際品評会でのことでした。エスメラルダ農園が収穫率の悪さや病気にもめげずにゲイシャを栽培しており、品評会に出品したところ、なんと史上最高価格で落札がされました。
パナマコーヒーは高品質でしたが、個性があまりなく平凡だと言われており、なかなか評価に繋がりませんでした。その中で一度口にすると忘れられないゲイシャの特徴的な味は審査員だけでなく、世界中の人を虜にしました。この品評会によりゲイシャの名は瞬く間に世界に広まり、愛されるようになりました。
そもそもゲイシャのコーヒーは美味しいの?
ゲイシャは鼻に抜けるフローラルフレーバーが特徴の一つとしてあります。これはジャスミンに例えられることもあり、他にもベルガモットやレモンティーのような爽やかな味わいを感じることができます。初めてゲイシャのコーヒーを飲んだ時は「これがコーヒー!?」と驚かれる方も多いでしょう。
コーヒーの苦味やコクなどを表すテイスティングデータによると、酸味はかなり強いとのことですが、実際に飲んでみると酸味はほぼ感じず、豆の甘さが際立つテイストになっています。甘味はありますがコーヒー独特のコクもきちんとあり、一度飲んでしまうとあまりの美味しさの虜になってしまい、缶コーヒーなどには戻れなくなってしまうでしょう。
ですが「ゲイシャなら何でも美味しいの?」と聞かれると一概には頷くことはできません。エスメラルダ農園やドンパチ農園のように、ゲイシャを知り尽くし丁寧に育てている産地は文句なしの味が楽しめます。ゲイシャにも適した季節や気候があり栽培がとても難しいので、いくらスーパーなどでゲイシャのコーヒーを見つけ、安いからと飛びついても、それが本当に美味しいゲイシャなのかは注意深く見定めることが必要です。
最高級のゲイシャ、その値段は?
さあ、ここまでくると「希少種」「品評会で最高評価」「味は特徴的でピカイチ」など飲むにあたってマイナスなことは無いと言っても過言ではないゲイシャですが、そのお値段はどうなっているのでしょうか?少し怖い気もしますが見てみましょう。
オークションに出品されるゲイシャ
2004年のパナマ国際品評会から4年連続で優勝を飾っているゲイシャ。オークションで手に入れる際には生豆のままだと、1キロ3万円以上に跳ね上がっているそうです。これはよく聞くコーヒーの一種、ブルーマウンテンの約4倍の値段となっています。これに外国からの郵送費などが上乗せされるので、更に値段は上がってしまいます。
このことから、エスメラルダ農園のゲイシャはとても人気で、連続優勝をしてしまうためオークションでも別枠を取られており、オークションにかけられていないゲイシャ豆の倍以上の値段がついています。
オークションに出品されず一般的に手に入るゲイシャ
オークションに出品されず手に入るゲイシャ豆は出品された豆に比べて安いですが、それでも200gで3000円程するので一般で売られているコーヒー豆以上の値段になっています。味はさほど変わらないという方もいれば、オークションで出品されている最高級の豆に比べ、香りやコクが薄かったという方もいます。
オススメはオークションに出品されたゲイシャ
もちろん人それぞれ感じ方は変わると思いますが、産地や味など安心して飲みたい方はやはりオークションで売られているゲイシャをおすすめします。ただ注意したいことは、もう世界的に有名で人気なゲイシャは出品され次第、数時間で全部売り切れてしまいます。いくら飲みたいと思っても完売してしまっては元も子もないので、常にアンテナを張っていることが大事ですね。
コーヒー好きなら是非一度はゲイシャのコーヒーを
あるお店では1杯2000円ほどするゲイシャのコーヒー。なかなか気軽に手は出ないですよね。かの有名なコーヒーショップ・スターバックスでもオークションで出品されたものではないですが、実はゲイシャのコーヒーは販売されているんですよ。
スターバックスコーヒーのゲイシャ
引用: https://www.starbucks.co.jp/press_release/pr2014-982.php
パナマで栽培されたゲイシャ種のコーヒー、『パナマ アウロマール ゲイシャ』は1パックに250g入っており、定価で1万円程です。2014年に発売されたものであり、パナマの品評会でベストオブパナマという賞を受賞したラ・アウロラ農園が栽培したゲイシュとなっています。
あまり味の違いに自信のない方でも、こちらを飲んだ方は香りがよく確かに美味しいと評判だったそうです。例えコーヒーが苦手な人でもゲイシャのフルーティーなフレーバーは平気な方は多く、缶コーヒーやドリップコーヒーとの差は歴然とのことでした。
amazonでも購入可能
他にはamazonでもパナマ産のゲイシャを頼むことができます。200g9000円程でもちろん安くはないのですが、ゲイシャの中では比較的簡単に手に入ります。コーヒー豆のままのもあれば、焙煎したものもあるのでまずは一杯いかがでしょうか?きっとまだ味わったことのない感覚に驚くこと間違い無しですよ。