『名探偵コナン』とは、1994年から「週刊少年サンデー」にて連載されている大人気探偵漫画です。長期連載作品ながら人気が衰えることはなく、むしろ近年はさらにファンを増やし、多数のスピンオフ作品の登場や、名作『ルパン三世』とのコラボなど、その人気の根強さがより強く感じられるようになりました。

高校生探偵・工藤新一は、ある日黒ずくめの男たちの取引を目撃したことで毒薬を飲まされ、そのせいで10歳ほど若返ってしまいました。組織が危ない存在だと察知した新一は、江戸川コナンという仮の姿で生活することを余儀なくされ、元の姿に戻るため、黒の組織について調べ始めることに。調べるうちに、コナンは多くの仲間と出会い、赤井秀一もそのひとりになります。

赤井秀一とは、「諸星大」という名前で黒の組織に潜入し、信用を集め「ライ」というコードネームまでもらっていたFBI捜査官です。同じFBI捜査官であるキャメルのミスにより組織を出ることとなり、それ以降組織に狙われる身となりました。しかし、コナンの提案により赤井は組織の目の前で殺されたように偽装され、生きていることを隠すため大学生の「沖矢昴」に変装し、コナンの実家でもある工藤邸に住むように。

赤井の生存を知っているのは、死亡偽装を提案したコナン、日本に滞在するFBI捜査官と、コナンの両親である工藤夫妻、変装の手伝いをした阿笠博士、実弟である羽田秀吉、そして同胞を見殺しにした恨みを持つ公安の降谷零こと安室達です。

物語の重要人物としてずっと描かれている赤井秀一。その家族が登場したのはここ数年と、長い歴史のある本作のなかでは最近になりますね。

17年前に行方不明となった赤井務武。17年前の時点で亡くなっていると思われていましたが、3年前日本から海外に戻った赤井メアリーが、務武に会いに行くと行って出かけていることから、亡くなっているかどうかその真偽は不明です。「パパに会いに行った」というのは、世良真純の回想なため、赤井メアリーが娘に嘘を言った可能性もあり、生きているとも、亡くなっているとも言い難いですね。

世良真純が母親の旧姓である「世良」を名乗っていることから、彼女の現在の苗字は「赤井メアリー」ではなく「世良」である可能性が高いですね。自らを「領域外の妹」と表し、その言葉通り世良より幼い少女の姿となっています。ただコナンはこの「領域外の妹」という言葉から、イギリスの秘密情報部（MI6）を連想しており、赤井メアリーはその構成員だと思われます。また、赤井の「父親はFBIではない」という発言から、務武もMI6ではないかと想像されますね。

「太閤名人」という愛称で多くのファンから親しまれている将棋の棋士です。警視庁に勤めている婦警の宮本由美と恋仲で、他の兄弟や親に比べるとわりと一般人な人物ですね。「赤井」でも「世良」でもないのは、実父である赤井務武が行方不明になったきっかけであり、赤井秀一がFBI入りを決めた事件でもある、棋士・羽田浩司殺人事件の被害者、羽田浩司の家へ養子へ行ったから。羽田浩司は羽田秀吉の義兄になりますね。

赤井家の末っ子となる世良真純。工藤新一などと同い年で、少女となった母・赤井メアリーとともに暮らし、彼女を匿っている存在です。赤井メアリーの少女化を解く鍵として江戸川コナンにあたりをつけ、日本へと戻ってきました。兄や工藤新一に憧れており、彼女が探偵になったのも彼らの影響かもしれませんね。コナンが新一だと考えており、その正体を探ろうと動き回っています。

先述の通り、赤井家の兄弟は全員苗字が違います。これは作中で世良が言及しており、それぞれ苗字が違うことに関しては受け入れているようですね。養子に行った秀吉は別として、秀一と真純は同じ苗字でもいいような気がしますが、秀一が首を突っ込んでいる組織の危険性や、メアリーの状況などから世良性を名乗っているのだと考えられます。

メアリーは、羽田浩司の事件から組織の毒牙が自分たちに向けられるのを恐れており、おそらく羽田家と関係があるであろう赤井家の性を使いたくなかったのではないでしょうか。メアリーと真純は秀一が死んだと思っているため、彼が生きていると知ったときに、また赤井性に戻るかもしれませんね。羽田秀吉は養子に出ているので、おそらく「羽田」のままでしょう。

まだ単行本未収録の内容ですが、コナンは赤井メアリーをMI6の人間であると考えました。そして、彼女は自分と同じく薬で子どもの姿にされたのではないかとまで推測します。これはおそらくコナンの推理通りであり、もともとイギリス人であったメアリーは、イギリスの秘密情報部であるMI6で働いていたのでしょう。

3年前、イギリスに戻った際、本当に務武に会っていたのかはわかりませんが、彼に会いに行って少女化していることから、出かけた先に黒の組織の人間がおり、務武に巻き込まれたか、彼女自身黒の組織を追っていたかはわかりませんが、組織にとって邪魔だと判断され、殺害が企てられたと思われます。

ただ、17年〜18年前に36歳だとすると、現在の彼女の実年齢は53歳〜54歳となり、コナンが彼女を中学生くらいと言っていることから40歳ほど若返っているということに。もしかしたら例外があるのかもしれませんが、コナンと灰原哀の姿から、アポトキシン1錠で約10歳若返ると想定されます。

10年前の回想に登場したメアリーは決して病弱そうではなかったため、現在の彼女がずっと咳をしているのは、アポトキシンの過剰摂取が原因ではないでしょうか。そもそも黒の組織はアポトキシンを毒薬として使っており、摂取量を誤れば若返ることなく死亡する可能性も十分にありますよね。アポトキシンを使用して亡くなった人間と、そうでない人間の差がそこにある可能性も考えられるのではないでしょうか。

また、他の可能性として、メアリーが少女化したのが3年前〜今年（新一がコナンになった年）のいつなのかわかりませんが、アポトキシンの若返りが、新一が薬を飲んだ年に実用成功となったのなら、それ以前に薬を飲まされたメアリーが大幅若返りと病弱さを獲得しているのも納得です。

赤井家の紹介部分でも記しましたが、務武に関しては、その生死が本当に謎です。彼がメアリーに送ったメールは「自分をいないものと思ってくれ」というものであり、どちらかといえば生きて隠れ住んでいる可能性のほうが高い内容ですよね。秀一は「父の死体は見つかっていない」と考え、ことの真相を探ろうとしますが、メアリーとしては彼の仕事の邪魔をしないというつもりで「死んだ」と思うことにしたのではないでしょうか。でなければ、「務武に会いに行く」と言って出かけませんよね。

秀一が「父はFBIではないが」と言っていることから、他の組織に属していた可能性があり、それはおそらく、メアリーと同じイギリスの秘密情報部であるMI6。秀一が「死体は見つかっていない」と発言していることから、コナンや秀一同様本性を隠して暮らしている可能性は高く、また、メアリーと同じタイミングでアポトキシンを飲まされているのなら、彼女同様、現在は中学生くらいの姿になっていることも予想されますね。

赤井家は一家総出で黒の組織に近い部分を生きています。おそらく組織から一番遠いのは真純でしょう。彼女が組織について本当に理解しているなら、コナンの正体が新一であると探るのをもっと慎重に行うはずです。秀一は当然無理に聞き出しはしませんし、記憶力がずば抜けている秀吉が、コナンに新一のことを何も聞いていません。

立場的には、棋士の秀吉がもっとも組織から遠そうですが、赤井家がバラバラになるきっかけとなった羽田浩司の家に養子に行くなど、一歩間違えれば秀一の身内だとバレて始末されてもおかしくない立ち位置にいます。組織に父と長男が組織に狙われながら、父以外は生存が確定していることを考えると、赤井家の情報隠蔽力は相当なものですよね。

おそらく赤井家は、組織にとってももっとも排除すべき存在と言えるのではないでしょうか。

そもそも赤井家全体が黒の組織に近いのは、羽田浩司の事件がきっかけとなっています。そもそもなぜ羽田浩司は組織の人間に殺されたのか自体謎です。新一のようにうっかり取引現場を目撃してしまった可能性はありますが、それだと羽田浩司の事件に務武が直接関与しているという部分に矛盾が生じます。務武が組織に潜入調査に入っており、羽田浩司にアポトキシンを飲ませたのが務武だというなら、直接関与ということにも納得できますね。

ただ、羽田浩司が組織にとって不都合な存在であり、それを殺害したなら務武が追われるようなことはありません。彼は黒の組織を敵にまわしたようなことを言っており、むしろ務武は羽田浩司を殺さなかったのではないかと予想されます。灰原哀が、新一の名前の2つ下に羽田浩司の名前があったと言っていましたが、もしあの並び順がアポトキシンで殺した順番なら、新一の名前の下に羽田浩司の名前があるのは不自然です。

もちろん、あのリストがどういう順番で作られているのか明らかにされていないため、別の規則性があるのかもしれませんが、殺された順番だと考えた場合、当時の羽田浩司は仮死状態であり、まだ死亡しておらず、若返って人知れず生きていた可能性があります。羽田浩司の事件について、ジンが「ラムがしくじった仕事」と言っていることから、この可能性は十分にありますよね。

羽田浩司の事件が17年前なので、密かに生き残っていた彼が17年後死亡当時と同じくらいの年齢になって見つかった、という可能性も考えられます。もし、彼がそこまでして生き延びており、組織にとってそれほど厄介な人物なら、羽田家自体にも何かしらあると考えられます。

黒の組織の黒幕は、富豪という名がふさわしい人物であり、名家である羽田家と交流があっても不思議ではありません。烏丸と羽田がかねてよりの知り合いであり、羽田浩司はうっかり烏丸の秘密を知ってしまったため殺害され、秀吉は兄や母たちのため羽田家の養子になったという考察もできますね。

赤井家、というより、赤井秀一との関係で欠かせないのが宮野明美と灰原哀です。宮野明美は、秀一が組織に潜入する足がかりとして恋人関係となった人物で、灰原哀こと宮野志保は、彼が潜入するため組織との仲介役になってもらった宮野明美の妹ですね。もともと偽装だった恋人関係ですが、宮野志保は秀一が裏切り者だと知りつつ本当に恋をしており、組織を抜けて本当の恋人関係になることを望んでいました。

残念ながら、宮野明美はジンに殺されてしまい、その悲願は叶いませんでしたが、秀一は残された妹を見守ることを決めます。最初は、灰原哀が宮野志保であるとは思っていなかったようですが、次第に彼女が愛した女性・宮野明美の妹だと確信を持つようになり、沖矢昴となってからは、より間近で灰原哀を見守るように。

実は、宮野明美と灰原哀の母親と、秀一の母親であるメアリーは姉妹であり、宮野姉妹と秀一はいとこ同士になります。あまり家族と一緒に過ごしていなかった秀一がその事実を知っているかはわかりませんが、そういう意味でも、灰原哀は守りたい人間かもしれませんね。

本誌でも赤井家の話で盛り上がりを見せるなか、今年2020年に公開される映画はなんとその赤井家総動員の内容となりました。タイトルは「緋色の弾丸」で、まさに赤井家の話らしいですよね。今のところ明かされていることを見る限り、「緋色の弾丸」では秀一の生存が母に知られることが予想されます。また、赤井秀一として姿を現していることから、FBI関連の何か国際的な問題が発生するのでしょう。

なぜメアリーが外出しているのか、秀吉は何をするのかわかりませんが、それぞれ外に出なければ行けない何かがあったのでしょう。秀吉が着物姿だったことから、イベントにゲストとして呼ばれた可能性もありますね。「緋色の弾丸」の時間軸なら秀吉はすでにテレビ出演などして忙しい時期ですし、現在将棋の注目度も上がっているので、その可能性は十分あるでしょう。

真純は当然ながら事件があったら首を突っ込みますよね。ただ、メアリーの外出だけは本当に予想がつかず、一体なぜ外に出ているのかその真相が今から楽しみです。「緋色の弾丸」では真純以外とも会うのか、灰原哀の姿を見るのかなどの展開も期待されますね。

また、「緋色の弾丸」は赤井家がメインであることから、何かしらの形で宮野明美が登場することを期待する声もあります。話が赤井家に終始するのであれば、出ない可能性のほうが高いですが、物語序盤で消えてしまった宮野明美の登場があるかも期待したいですね。

2020年の劇場版「緋色の弾丸」で総動員されることからより注目を集めている赤井家。黒幕もわかり物語が大きく進んでいるので、黒の組織の近くを生きている赤井家はこれからもちょくちょく出番があるのではないでしょうか。