【名探偵コナン】「あの方」の初登場を紹介
20年以上にわたって人気を博している名探偵コナン』も、佳境に差し掛かってきました。ミステリ漫画である『名探偵コナン』は、高校生探偵・工藤新一が謎の黒ずくめの男たちに謎の薬を飲まされ、小学生の姿になってしまったことから始まります。
工藤新一は「江戸川コナン」と名乗って小学生として生活する傍ら、多くの事件を名推理で解決しながら自分に薬を飲ませた「黒の組織」を追っていきます。
その『名探偵コナン』において最も関心を集める謎のひとつが、コナンが追いかける「黒の組織」のボスの正体です。組織のメンバーたちが「あの方」と呼ぶボスの正体に迫る伏線の数々については「阿笠博士」「円谷光彦」などの多くの考察がなされてきましたが、ここにきて「あの方」の正体が「烏丸蓮耶」という人物であることが明かされたのです。
ここでは『名探偵コナン』の長いストーリーの中から、「あの方=烏丸蓮耶」という謎の解明に至るまでの伏線とその回収の経緯を原作漫画の最新刊の情報にもとづいてネタバレ考察していきます。
【名探偵コナン】最大の謎「あの方」とは?
『名探偵コナン』における最大の謎というべき黒幕の正体が明かされたことで、多くの注目を集めた一方で「あの方=烏丸蓮耶」と聞いてもピンとこなかった読者も多かったようです。なぜなら、もうすぐ100巻にも達する『名探偵コナン』で、「あの方」が初登場したのはかなり初期のエピソードだったからです。
そこで、まずは黒幕の正体である「あの方」の初登場回と、あらすじをまとめて紹介します。ネタバレもありますので未読の方はご注意ください。
【名探偵コナン】「あの方」初登場回
『名探偵コナン』の漫画原作では30巻に収録されており、アニメでは2時間スペシャルとして放送された第219話にあたる「集められた名探偵! 工藤新一vs怪盗キッド」で「あの方」は初登場しています。
物語は「黄昏の館」と呼ばれる大豪邸に、日本中からコナン&毛利小五郎をはじめとする名探偵が集められたことで始まります。謎の人物によって館に閉じ込められた名探偵たちが次々に殺害されていくスリリングな展開と一癖も二癖もある名探偵たちの推理合戦が面白く、『名探偵コナン』の数ある事件の中でも人気のあるエピソードでした。
注目すべきは事件の冒頭で犯人がスピーカー越しにコナンたちに伝えた、この館で起こった40年前の事件です。それよにると40年前に烏丸蓮耶が生前に集めた美術コレクションをめぐるオークションが館で行われた際、謎の訪問客2組の差し金によって8名の死者を出す殺し合いが行われたとされます。
しかしこれは館に集めた名探偵たちに暗号を解かせ、館に残された財宝を独り占めするための犯人の作り話であったことがコナンの推理によって明らかにされます。
【名探偵コナン】「あの方」の正体が烏丸蓮耶
次にコナンたちが黒の組織のボスの正体にたどり着いた軌跡を、追ってみましょう。コナンたちが黒の組織の黒幕である「あの方」の名前にたどり着くシーンは『名探偵コナン』原作漫画では95巻File.5のエピソードになります。
このエピソードの事件自体は、行方不明になったクラスメイトの女の子をコナンと少年探偵団が探すという穏やかな内容になっています。しかし事件解決後にコナンの前に現れた父親・工藤優作によって「あの方」と呼ばれる黒ずくめの組織のボスの名が「烏丸蓮耶」であるとネタバレされるのです。
「あの方」が烏丸連邦であると分かった理由
「あの方」と呼ばれる黒幕の正体を推理する手掛かりとなったのは、17年前にアメリカで起こった「羽田浩司殺害事件」です。この事件では天才棋士と呼ばれた羽田浩司がアメリカのホテルで殺害され、同じホテルに滞在していた資産家アマンダのボディガード「浅香」が姿を消しています。
そして被害者・羽田浩司は黒ずくめの組織の記録によると、コナンが飲まされたのこと同じ「謎の薬=アポトキシン4869」によって殺されたことになっています。(原作漫画89巻)
この事件の現場に残されたダイイングメッセージが「ASACA RAM(あさか・らむ)」というものでした。当初コナンたちはこのダイイングメッセージを「あの方」につながる手掛かりとは考えず、失踪した「浅香」が黒ずくめの組織のナンバー2として黒幕の側近である「ラム」であると考察していました。(原作漫画90巻)
しかし工藤優作は自宅にかくまう沖矢昴(=赤井秀一)とともに推理し、ダイイングメッセージの文字を並び替えて「CARASUMA(からすま)」という名前を導き出し、コナンに伝えたのです。
黒ずくめの組織のボスである「あの方」の正体が「烏丸蓮耶」であったことは、コナンはもとより読者にとっても意外なネタバレでした。そのうえ、これまで作品内で示されてきたボスの正体に関する伏線と照らし合わせると見事に一致していたことで、二重に読者を驚かせたのです。
作中に出ていた伏線①「あの方」の年齢について
まず「あの方」の正体に迫る伏線として、高齢者であることが考察されてきました。「あの方に長年使えてきた…」と語る黒ずくめの一員であるピスコの容姿がかなりの高齢者であることから「あの方」も同じくらいの高齢者であるはずだと考えられていました。
「烏丸蓮耶」も、初登場のエピソードの時点で「40年前にすでに100歳を超えていた」ことが語られています。したがって現在まで「烏丸蓮耶」が生きているとすると140歳を超えていることが考察されており、この伏線とネタバレが一致することになります。
作中に出ていた伏線②「あの方」と「カラス」の深い関係
また「あの方」の正体が「カラス」に関わる人物であるとの考察がなされていました。これは黒ずくめの一員であるベルモットがボスへの連絡をする際に、コナンが聞いたメロディが伏線となっています。コナンはこのメロディが童謡「七つの子」であることに気づき「あの方」につながる重要なヒントであると推理するのです。
当然「烏丸蓮耶」が黒幕の正体だというネタバレは、名前に「烏(カラス)」が使われていることから伏線と一致しています。またシルエット姿には特徴的な大きな鼻がまるでカラスを思わせることも、この伏線との一致を示しています。
【名探偵コナン】「あの方」こと烏丸蓮耶の人物像とは
「あの方=烏丸蓮耶」については、現在『名探偵コナン』の作中で判明していることは多くはありません。初登場回のエピソード内において、大きなくちばしを持つカラスをあしらった紋章を使った大富豪で、40年前に100歳を超えていたことが明らかにされている程度です。また「烏丸蓮耶」の名前を聞いた時のコナンや毛利小五郎の反応から、それなりの著名人であることも分かります。
初登場回の事件の犯人がコナンに語った話によると「烏丸蓮耶」は母親から莫大な財産の隠された館(黄昏の館)を受け継いだことが分かっています。「烏丸蓮耶」はその財宝を探すために考古学者などを大勢集めて財宝探しをさせ、見つからないと見せしめに学者たちを次々と殺していったとされています。
このエピソードからは「烏丸蓮耶」の冷酷で残忍な性格が読み取れます。また黒ずくめの仲間のひとりであるベルモットは「あの方」の性格として「慎重居士」「石橋を叩き過ぎて壊しちゃうタイプ」と表現しています。コナンの父親・工藤優作も「日本で最も強大な人物」と表現しており、手ごわい相手であることが示されています。
【名探偵コナン】「あの方」の真の目的とは?
「あの方=烏丸蓮耶」が黒ずくめの犯罪者集団を組織して国際的に暗躍している理由は、まだ明らかにはなっていません。しかしこれまでにコナンが関わった「黒の組織」に連なる事件で提示された伏線を考察していくと、「不老不死」の研究を進めているのではないかという推測が成り立ちます。
黒の組織の真の目的が、半世紀前から進めていた謎のプロジェクトであることは灰原哀がコナンに語った内容などから明らかになっています。黒の組織は世界中から優秀な研究者や技術者を集めて「謎の薬」の開発などの研究をさせているのです。
実際に黒の組織の科学者として「謎の薬」の研究に関わっていた灰原哀は、自身の研究を「死者を蘇らせる秘薬(の研究)」と表現しています。烏丸蓮耶の「140歳以上」という実年齢も考慮すると、真の目的が「不老不死」とかかわっていることは十分にありえる考察といえます。
【名探偵コナン】「あの方」である烏丸蓮耶の正体
これまでに何度か指摘したとおり、大富豪・烏丸蓮耶が今も生存しているとするとその年齢は140歳を超えることになります。そのため「コナンや灰原哀が飲まされたのと同じ『謎の薬=アポトキシン4869』を自ら飲んで、若返って別人に成りすましているのでは」という考察がなされています。
そのため「あの方=烏丸蓮耶」が明らかにされた後も、今度は「あの方」である烏丸蓮耶が現在成りすましているのは誰なのか、という謎が残されていることになります。その候補として「大黒連太郎」「円谷光彦」の2名が挙げられています。
【名探偵コナン】大黒連太郎が烏丸蓮耶説
大黒連太郎は『名探偵コナン』原作漫画の28巻に、名前のみ登場する人物です。アニメでは第222話「そして人魚はいなくなった」として放送されています。食べると不老不死を得られるという人魚の伝説が伝わる島で起こる殺人事件に、コナンと服部平次が挑む人気のエピソードです。
殺人事件を捜査するコナンや服部平次たちは、その最中にこの島を訪れた名簿を見つけます。平次が「みんな長生きしたかったんやなぁ」とつぶやいているように、この名簿に載っている人物は「長生き」「不老不死」に関心があった人物であると考察できます。
コナンたちが見つけたこの名簿には、黒の組織に所属していた宮野志保(=灰原哀)の名前が書かれています。また彼女の名前の隣にある「魚塚三郎」はウォッカ、「黒澤陣」はジンの偽名(または本名)であると考察されています。
このことから黒の組織が、この島に注目していたことが明らかになっており同じように名簿に出てきてなおかつ「黒」に関係する名前として出てくる「大黒連太郎」が、「あの方」の名前であると考察されているのです。
また『名探偵コナン』の原作漫画12巻(テレビアニメ第54話)に収録されている「ゲーム会社殺人事件」においては、黒の組織に関わっていた人物が「彼らと会う店はいつも同じだった」「米花町の大黒ビルの最上階にある『カクテル』というバー」と証言しており、大黒連太郎と黒の組織との関係が推測できます。
【名探偵コナン】円谷光彦が烏丸蓮耶説
もう一人の「あの方」の候補である「円谷光彦」はコナンが通う小学校の同級生で、少年探偵団のひとりとして最初期からコナンたちと行動を共にしている少年です。しかし、少年探偵団のほかのメンバーが小学1年生にふさわしい幼い言動をするのに対して、大人びた言動の多い光彦こそが「あの方=烏丸蓮耶」が成りすましている人物であるという説があります。
根拠としては、コナンたちに隠れて蛍を探しに出かけた光彦が間違えて鉄道駅で大人の切符を買ってしまったというものです。『名探偵コナン』原作漫画の35巻に収録されているエピソード(テレビアニメ第289~290話)で、「幼児化した大人がいつも買う大人用の切符を買ってしまった」のだと理解することができるとされています。
またこのエピソードには沼淵己一郎という元黒の組織のメンバーが登場し、光彦に「お前はワシと一緒や…」と語るシーンがあります。これも深読みすれば「お前は俺と一緒(で黒の組織の一員)や」と読めるということで、伏線とされています。
もともと『名探偵コナン』のファンの間では、コナンや灰原哀と違い普通の小学1年生であるはずの「円谷光彦」の大人びた言動がツッコミの対象となっていました。そして冗談半分ではあるものの、「光彦=あの方」という考察がなされてきたという経緯があります。そのため伏線というには根拠が弱いものの、いまだにこの説には根強い支持者がいます。
【名探偵コナン】「あの方」の真実まではあともう一歩
以上のように「あの方」と呼ばれていた組織のボスの正体が「烏丸蓮耶」であると明らかになったことで、これまで『名探偵コナン』のストーリーで語られてきた伏線の数々が回収されました。また、コナンに協力する赤井秀一や安室透の目的や人間関係も徐々に明らかになりつつあります。
『名探偵コナン』最大の謎である「あの方」の正体についてはまだ残された伏線もあるものの、『名探偵コナン』の物語が佳境に差し掛かっていることは間違いありません。記念すべき100巻を目前にクライマックスに向けて盛り上がりを見せる国民的ミステリ漫画『名探偵コナン』をこの機会に読んでみてはいかがでしょうか。