『鬼滅の刃』とは
『鬼滅の刃』とは、大正時代を舞台に、人喰い鬼と、鬼を滅殺するための組織・鬼殺隊との戦い、鬼殺隊員の友情や絆を描いた物語になります。主人公は、家族を鬼に殺され、唯一生き残った妹を人喰い鬼にされてしまった少年・竈門炭治郎。早くに父を亡くし、母や幼い弟妹を支えてきた心優しく、時に頑固な人物です。炭治郎は妹を人間に戻すため、仇を討つため鬼殺隊に入り、鬼の親玉である鬼舞辻無惨を倒すことを目標に仲間と切磋琢磨していくのです。
『鬼滅の刃』はアニメが放送されてから一気に注目を浴びるようになり、平成最後の、そして令和最初のヒット作と言ってもいいほどの人気ぶりとなりました。ジャンプ作品という非常にメジャーな作品ながら、単行本に購入制限がついたり、売り切れが出るほど。今までジャンプは多くの人気作を生み出してきましたが、その中でもかなり上位に食い込むほどの人気作と言えるのではないでしょうか。
【鬼滅の刃】黒死牟とは
名前:黒死牟(こくしぼう)
種類:鬼
ランク:十二鬼月 上弦の壱
黒死牟とは、本作にて主人公たちと敵対する鬼の中でも特に強い幹部・十二鬼月にあたるキャラクターで、十二鬼月の中では最も強い上弦の壱という位にいる鬼になります。鬼の親玉でる無惨より下だとしても、それ以外の現存する鬼の中では最強にあたりますね。苛烈で自分勝手な鬼が多い中で、序列などに非常に厳しく、自分より立場が上の童磨を容赦無くボコボコにする猗窩座に苦言を呈することも。
基本的に鬼は無惨に対する畏怖を抱えていますが、童磨や猗窩座など力の強い鬼ほどそれらはあまり感じていないよう。そして黒死牟もまた、無惨に対し敬意は評しているものの、畏怖は感じていないようでした。それはおそらく、長いときを一緒に過ごしていることや、強さを求めて無惨に力をもらったことが理由だと思われます。無惨からも「ビジネスパートナー」と思われているようなので、鬼の中では珍しくWin-Winの関係だと言えるのではないでしょうか。
【鬼滅の刃】黒死牟の初登場は?
黒死牟が初めて登場したのは12巻です。11巻で、上弦の陸であった妓夫太郎が破れ、それに腹を立てていた無惨が上弦の鬼全員を呼び寄せたときに初めて登場しました。直後の炭治郎の記憶の遺伝による回想や、刀鍛冶の里でのそっくりなカラクリの登場で、もしかしたら彼が始まりの剣士である「日の呼吸の使い手」ではないか、という予想がたちました。
上弦の参の猗窩座が、上の立場の上弦の弐・童磨を容赦無く拳で破壊し、行いに怒りを向けるのを見て、「序列が乱れ、従属関係にヒビが入る」と嘆き、その行動を注意する姿は、始まりの剣士たちがいた戦国時代の人間らしい価値観ですよね。戦国時代は家族であっても、年長者や実力が上の者に対する上下関係が非常に厳しいものでしたし、刀を佩ている姿なども、その予測を加速させるものでした。
【鬼滅の刃】黒死牟の正体
「日の呼吸の使い手」なら炭治郎やカラクリと同じ耳飾りをしているのではないか、炭治郎の祖先に耳飾りを譲った場合はしていないのが正しいのではないか、など多くの肯定的な予想、否定的な予想が出ましたが、19巻でついにその正体が明らかになりました。
黒死牟は確かに、継国巌勝という名の始まりの呼吸の剣士でしたが、「日の呼吸の使い手」ではなく「月の呼吸の使い手」でした。炭治郎の回想や、刀鍛冶の里で見たカラクリと非常に似ていますが、それも当然で、黒死牟は日の呼吸の使い手の双子の兄にあたる人物だったのです。そして、始まりの呼吸と言えば、その子孫にあたる霞柱の時透無一郎がいますが、黒死牟は無一郎の先祖にあたるキャラクターでもありました。
【鬼滅の刃】黒死牟の正体が明らかになった経緯
黒死牟の正体が明らかになったのは、最終局面となる無限城編で、無一郎が黒死牟のいる部屋に飛ばされたのが発端です。無限城編では、各々が上弦の鬼たちと対峙しており、猗窩座や童磨との死闘も各所で繰り広げられていました。猗窩座がやられ、童磨もやられ、残るは新たに上弦の肆となった無限城を操る鳴女と、黒死牟、そしてラスボスの無惨のみとなった状況で、鳴女の能力により、無一郎が黒死牟の部屋へと押し出されました。
やってきた無一郎をみるや否や、「気配が懐かしい」と言い、改めて無一郎の肉体を見て「自分の子孫だ」と打ち明けたのです。黒死牟はもともと武家の長男として生まれ、妻を娶り、子どもにも恵まれ、鬼殺隊に入るまでは普通の武士として生活をしていました。自分の家名が無くなってしまったことを特に気にしていないようでしたが、無一郎という才能が残ったのことには喜んでいるようでしたね。
【鬼滅の刃】黒死牟の能力
黒死牟は、自分の肉から生み出した刀と、人間時代に体得した月の呼吸、そして血鬼術を組み合わせながら通常の鬼、通常の鬼殺隊員以上の力を見せ、現柱最強と言われている岩柱や、黒死牟に食らいつく風柱との力比べを楽しむかのように刀をふるっていきます。頸を斬られなければ死なず、体も再生するというだけで厄介なのに、肉体を極限まで高める呼吸まで使うのですから、相当な強敵であることは間違いないですよね。
呼吸の使い手なので、様々な型の技が存在しますが、基本的にはひとつの斬撃の周りに細かく変異的な斬撃がくっつき、予測不可能な攻撃や、かわしても当たる斬撃などになります。剣筋が見えていても、その剣筋の周りにさらに刃がつくことで、思わぬ傷を受けることになるのです。
【鬼滅の刃】黒死牟が鬼になった理由
黒死牟が鬼になったのは、日の呼吸の使い手であり、双子の弟である縁壱と偶然再会し、離れていた間に小さくなっていた縁壱への嫉妬が再び強くなり、また痣の発現者は25歳まで生きられないと言われたことに対する失意からでした。黒死牟は自分より優れた縁壱を超えるため、さらなる強さを欲し、その心の隙間を無惨に見つけられたのです。
「無限の刻を生きられる」という無惨の甘言に心惹かれた黒死牟は、鬼となることを決意しました。黒死牟は縁壱のようにもっともっと強く、洗練された技を使えるようになりたかったのです。すべては縁壱に対する劣等感からでした。戦国時代に弟のほうが優れていると知った兄の胸痛を思うと、確かに悲しいものはありますが、だからと言って鬼となり人を殺めていい理由にはなりませんよね。
【鬼滅の刃】黒死牟の最期
無惨にたどり着くための中ボス的立ち位置だった黒死牟。最初にたどり着いた無一郎と、次に到着し胴体を二分された主人公と同期の不死川玄弥、そんな玄弥のピンチに駆けつけた兄の風柱・不死川実弥、実弥のピンチにやってきた岩柱の悲鳴嶼行冥の4人で黒死牟を追い詰めていきます。
無一郎と玄弥はすでに手負いなため、まともな戦闘は実弥と行冥の2人が担うこととなりますが、柱が2人もいても黒死牟との戦いはギリギリなものでした。やっと頸を斬ったと思っても、猗窩座のように自分を変異させ、頸を再生するまでに至ったのです。黒死牟が倒されたのは、化物のように姿が変貌してしまった自分の姿を見てしまったことが一番の原因だと思われます。
化物のようになった自分を見て、黒死牟は自分が本当になりたかったものを自問自答するのです。当然、そこで思い出されるのは縁壱の姿でした。鬼になった理由が縁壱なら、鬼として最期を迎える理由も縁壱でしたね。
【鬼滅の刃】黒死牟の魅力は?
黒死牟の魅力は、弟への劣等感や強さを追求する探究心ではないでしょうか。黒死牟は双子の弟という近すぎるほどの身近に天才がいたため、自分の実力を評価することができませんでしたが、それらはすべて彼自身の上昇志向も理由だと考えられます。みんながみんな呼吸をマスターできるわけではないですし、派生とはいえ新たな呼吸を作り出すのは、やはり黒死牟自身にも才能があったからです。
しかし、彼が生まれ持ったプライドと上昇志向により、黒死牟は自分の現状をよしとせず、さらに上を目指そうとするのです。鬼になったこと、縁壱に囚われすぎていることは彼の欠点かもしれませんが、そういった常に上を目指す姿勢は、彼の生真面目さを感じられるともて良い点と言えるのではないでしょうか。
『鬼滅の刃』の黒死牟についてまとめ
黒死牟はすでに亡くなっており、本編で活躍する姿を見ることはもうできませんが、これから発売される単行本には黒死牟戦はもとより、彼に関する裏話なども掲載されると思いますので、ぜひそこで黒死牟の戦いぶりや過去を再び目に焼き付けていきたいですね。