ペットボトルの蓋が分別される理由①:リサイクル
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「なぜペットボトルの蓋を分別してゴミに出すのか」と質問されたら、大半の人は「リサイクルするためだ」と答えるでしょう。確かに、この答えは正しいです。ペットボトルのラベルには「資源有効利用促進法」により、リサイクルの識別表示マークが刻印されることが義務となっていて、適切に分別をすることが求められています。
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でも、ストローなどの他のプラスティック製品は分別しないのに、なんでペットボトルだけこんなに細かく分別しなければならないのか疑問に思ったことがある人もいるでしょう。これは一言でいうと、ペットボトルのプラスチックは高品質だからです。
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ペットボトルの蓋が分別される理由②:高品質
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もちろん、食品用のタッパーやプラスティックの弁当箱などは高品質ではありますが、おもちゃや消耗品に使われるプラスティックの品質はバラバラです。世の中に出回っているプラスティック製品の内、唯一品質が保証されているのがペットボトルのプラスティックなのです。
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そして、リサイクルする上で問題となるのが、ペットボトルの蓋とボトル部分のプラスティックの材質の違いです。これについては後ほど詳しく説明するとして、ペットボトルのリサイクルのためには分別は必須なのです。
ペットボトルの蓋が分別される理由③:未来への投資
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一部の人によると、ペットボトルをリサイクルするために化石燃料を燃やして地球を温暖化させているとか、リサイクルする資金があるなら別のところにお金を回した方が良いなどの意見があります。
しかし一般的には、ゴミを減らし、資源を有効に使うというリサイクルの考え方に異議を唱える人は少ないでしょう。もし、現在が「割に合わない」状況であったとしても、技術が進歩すればその状況は逆転するかもしれません。
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また、ペットボトルの分別を通して、消費型の社会に対する意識の変化を期待するという人もいます。一昔前の漫画である「釣りキチ三平」では、灰皿や空き缶を川のほとりの土に埋めることが「川を大切にする気持ちが分かる尊い行動」と称賛される場面がありましたが、今の子供には「ゴミを持ち帰れ」と怒られますよね。知らない内に、リサイクルの意識は確実に高くなっています。
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ペットボトルの蓋の分別を通じて循環型社会への意識が高まっているという意見は否定できません。アメリカではストローを使うケースが多いので、ストローは要らないと断るムーブメントが起きているそうです。
どうやってペットボトルの蓋が分別されるのか①:材料
ここからは具体的に、なぜペットボトルの蓋を分別しなければならないか、どうやって分別するのかを見ていきましょう。
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ペットボトルの蓋に使われているプラスティックの材質はポリプロピレン(PP)とポリエチレン(PE)です。一方、ボトルに使われているのはポリエチレンテレフタレート(PET)となります。つまり、ペットボトルのPETは蓋の材質からは作れませんし、逆にPETからはPPとPEは作れません。そして、これらの材質が多く混じるほど「低品質」となってしまいます。
どうやってペットボトルの蓋が分別されるのか②:工場
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ペットボトルの蓋は分別してゴミに出すことが求められていますが、全てのペットボトルの蓋がはずされているわけではありませんよね。ペットボトルのリサイクルのための工場、厳密に言えばリサイクルのための前処理を行う工場ではどのような工程で蓋を除去しているのでしょうか?
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集められたペットボトルのゴミは、まずプレスと呼ばれる工程に掛けられます。運送や工場で運びやすいように圧縮されて巨大なブロック状にされるのです。次に金属などの異物を取り除かれます。そしてバラバラに粉砕されて洗浄に掛けられます。この過程で「比重分離」という方法でペットボトルの蓋とボトル部分が分離されます。
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ボトルの材質となっているポリエチレンテレフタレート(PET)は水に沈みますが、蓋の材料のポリプロピレン(PP)とポリエチレン(PE)は水に浮かびます。この重さの違いによって分別をすることができます。ここまで読んで「分別できるのなら、なぜ分別してゴミに捨てなければならないのか?」と思った人もいるでしょう。
ペットボトルの蓋が分別される裏事情①:機械が故障する
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「工場で分別できるなら、そのまま捨ててもいいではないか?」という意見はもっともですが、分別を求められるには理由があります。一つ目は、材質の違うプラスティックが混じっていると機械が故障しやすいということがあります。蓋が閉まったままで、圧縮しようとすると破裂して危険という理由もあるといいます。
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また、蓋を分別しなくても良いということになると飲みかけで捨てる人の割合が大幅に増えてしまいます。そうなると、大量の液体がプレス機や、ペットボトルをバラバラにするための粉砕機に流れ込むため、これも故障の原因となるといいます。
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そのため、分別されずに捨てられたり、他の商品のストローやごみなどが捨てられやすいコンビニのゴミは、耐久性と分離性能が高い工場に送られることが多いです。このあたりはペットボトルに限らず、ストローやフォーク・スプーンなどのプラスチックのゴミが多いコンビニの今後の課題となるかもしれません。
ペットボトルの蓋が分別される裏事情②:衛生面での問題
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蓋を分別しないと飲みかけのペットボトルが捨てられやすいということを説明しましたが、機械の故障以外にも衛生面で問題が出ることがあります。再びペットボトルとして飲み物の容器となることを考えると、雑菌や虫、ねずみなどの繫殖の温床となるような状況は避けなければなりません。
ペットボトルの蓋が分別される裏事情③:自治体が負担するコスト
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蓋を分別しないと機械が故障したり、今以上に衛生面に考慮する必要がでてくるので、必然的にゴミの収取にかかるコストが上がるということは間違いありません。最終的にはそこに住む住人が費用を負担するという形になることを考えると、分別するのも仕方がないと思えますよね。
ペットボトルの蓋が分別される裏事情④:金儲け?
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「エコキャップ詐欺」と言われた事件を覚えている人もいるでしょう。リサイクルのためにペットボトルの蓋を集めて届けると、世界の恵まれない子供たちにワクチンが贈られるというキャンペーンを行ったNPO団体が実際にはワクチンを送っていなかったという事件です。
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自治体だけでなく学校なども参加して、大規模な運動となっていたため「詐欺」として非難を受けました。現在もエコキャップ運動は続いているようですが、団体職員の人件費などに多くのお金が使われていることや、事業の不透明さがあり、チャリティの団体として問題があるのではないかと言われ続けています。
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まとめ
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資源ごみの分別であるペットボトルの蓋の分別について解説しましたが、いかがでしたか。なぜ、コンビニ弁当やストローなどは分別しないのに、ペットボトルの蓋だけ厳しく分別されるのか理由が分かったのではないでしょうか。一言でプラスティックといっても、蓋とボトルでは材質が違います。
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工場で分別することもできますが、機械が故障したり、衛生面で問題があったりで、最終的にコストがかかってしまうという事情も解説しました。今のところ、リサイクルそして循環型社会への理想とは乖離がありますが、ペットボトルの蓋の分別という小さなことからコツコツ行っていきましょう。