汗の黄ばみ
夏は白いブラウスがまぶしい季節ですね。でも、汗の黄ばみも気になる季節です。ちゃんと洗濯しているのに何度も着ているうちになぜか少しずつ濃くなっていく黄ばみ。その原因と、重曹を使った黄ばみの汚れ落としのやり方を詳しくご紹介いたします。
汗の黄ばみができる理由
汗の黄ばみ汚れはなぜできるのでしょうか。その理由は主に6つ。汗の出口の一種であるアポクリン腺からの発汗、もう一種類のエクリン腺からの発汗、そこから発展する皮脂の酸化、洗剤などの洗い残し、柔軟剤による汚れの閉じ込め、制汗剤の薬成分と汗などとの兼ね合い、などの6つの理由です。
汗の黄ばみの原因その1【アポクリン腺からの発汗】
汗が出る汗腺には2種類あります。エクリン腺とアポクリン腺です。汗の黄ばみ汚れができる理由の筆頭に上がるのは、アポクリン腺。このアポクリン腺は脇や乳首、性器周辺にあり、ここから出る匂いを別名フェロモンと言ったりもします。このアポクリン腺の働きが通常よりも活発な時に、臭いがきつくなってわきがが発生したり汗染みが出来て悩まされる事になります。ここから出る汗に含まれる水分は約70%。残りの成分はタンパク質、脂質、アンモニア、糖質、鉄分などで栄養豊富です。粘り気があり、にごった色をしています。栄養分が豊富でアルカリ性なので細菌が繁殖しやすく、臭いを発生しやすい性質があります。これがわきが臭がきつくなる理由です。また、水分以外の成分に含まれるリポフスキンという成分の色素が黄ばみの原因になります。
汗の黄ばみの原因その2【エクリン腺からの発汗】
エクリン腺は全身にある汗腺です。正常な状態では約99%が水分で無味無臭です。しかし、熱い時期でもあまり汗をかかない生活をしていたり運動不足だったりすると休眠状態になる汗腺が出てきます。この休眠状態の汗腺が増えてくると、いざ汗をかく時には少なくなった汗腺から大量の汗が一気に出て行こうとするので通常よりもミネラル分や鉄分その他諸々が多く排出され、黄ばみの原因になります。体臭もきつくなり、わきがも悪化します。
汗の黄ばみの原因その3【皮脂の酸化】
汗で排出された皮脂の脂が酸素に触れたり太陽光にあたる事で酸化し、黄ばみの原因になります。
汗の黄ばみの原因その4【洗濯用洗剤などの洗い残し】
洗濯用洗剤などの洗い残しなども黄ばみの原因になります。
汗の黄ばみの原因その5【柔軟剤による汚れの閉じ込め】
シリコンを使って衣類をコーティングする面もある柔軟剤は細かい皮脂汚れなども表面に閉じ込めてしまうので、これも黄ばみの原因になっています。
汗の黄ばみの原因その6【制汗剤の薬成分】
わきがを抑える頼もしい味方の制汗剤。しかし制汗剤の成分が黄ばみの原因と考えられてもいます。個人差はありますが、汗の成分や皮膚表面の状態、常在菌の状態などと制汗剤の成分との兼ね合いで黄ばみを発生させる事もあります。制汗剤を他の商品に変えると黄ばみの改善になるケースもあります。また、制汗剤が衣服につく事が黄ばみの原因にもなるのでスプレータイプの制汗剤を使う時には服を脱いだ状態で使いましょう。
汗の黄ばみ落としには重曹が効く
重曹はアルカリ性です。重曹のアルカリ性が脂肪の酸を中和して乳化させ浮き上がらせて汚れを落ちやすくします。わきが臭などの臭い成分を中和して消臭効果も高めてくれます。また、重曹に水を混ぜてそのペーストを汚れにつけ、もみ洗いしたり歯ブラシなどでこすり洗いする事で研磨作用がよく働いて汚れを落としてくれます。重曹入りのお湯に衣類をつけておくだけでも汚れ落ちの効果があります。
重曹とお酢を混ぜると更に汗の黄ばみ落としに効く
重曹とお酢を混ぜる事で更に汚れ落とし効果が増します。手順を説明します。
1、汚れている部分をお湯につける
まず、汗の黄ばみで汚れている部分を40~50度のお湯でぬらします。汗の汚れは皮脂の脂分なので、水では脂分が固まってしまって落ちません。お湯でふやかしましょう。また、お湯が熱過ぎても衣類を傷めてしまいます。お湯の温度にも注意しましょう。40~50度のお湯は、沸騰したお湯に同量の水を混ぜると簡単にできます。
2、重曹とお酢を混ぜる
重曹とお酢を混ぜます。重曹が3の割合に対してお酢が2くらいの量で混ぜましょう。
3、ペーストを汚れ部分につけて洗う
重曹とお酢の混合ペーストができたら、衣類の汗の黄ばみ汚れの部分につけてもみ洗いしましょう。歯ブラシなどでよくこすり洗いをしてもとても効果があります。繊維の奥まで届くようによくこすりましょう。手荒れをふせぐためにビニール手袋をして洗いましょう。
4、浸け込む
こすり洗いをした後は10分ほど浸け込みましょう。漂白成分がよくしみ込みます。
重曹と酸素系漂白剤を混ぜると更に更に汗の黄ばみ落としに効く
重曹とお酢でも落ちない汚れには、重曹と酸素系漂白剤の混合液もよく効きます。酸素系漂白剤の殺菌成分がわきが臭の防止にもなります。
1、汚れている部分をお湯につける
汗の黄ばみ汚れの部分をお湯につけてぬらします。
2、重曹と酸素系漂白剤を混ぜる
重曹と酸素系漂白剤を混ぜて混合ペーストを作ります。重曹が1の割合につき酸素系漂白剤が2くらいの量で混ぜましょう。
3、ペーストを汚れ部分につけて洗う
重曹と酸素系漂白剤の混合ペーストを汚れ部分にぬり、歯ブラシなどでこすり洗いをしましょう。手荒れをふせぐためにビニール手袋をして洗いましょう。
4、ドライヤーの熱で洗浄部分の温度を上げる
洗浄部分の温度を高めると更に漂白の効果が上がります。ドライヤーやアイロンのスチームなどをあてて汗の汚れを落としましょう。アイロンを使う際には布地につかないように注意してください。
混合ペーストでなくても効果はある
重曹でもみ込み洗いをしたあとで酸素系漂白剤を入れたお湯に浸け込んでも効果が得られます。酸素系漂白剤は効果が高い一方で衣類の繊維にかかる負担もとても大きいです。そのことを踏まえて、どうしても落ちない時などに試してみてください。
汗の黄ばみを落とす洗濯の手順
汗の黄ばみを落とす洗濯の手順を整理しましょう。
油汚れを落とす
油汚れに強い台所用洗剤などで皮脂の汚れを浮かせて落としましょう。界面活性剤が脂分を落とす要なので、界面活性剤が強い中性洗剤を選びましょう。台所用洗剤の他、洗濯用洗剤や固形石鹸なども効果があります。
お湯ですすぐ
洗剤を使った部分をお湯でよくすすぎます。40~50度のお湯ですすぎましょう。その理由は、脂成分は水を使うと落ちにくくなってしまうからです。また、お湯が熱すぎると衣類の繊維を傷めてしまうので注意しましょう。40~50度のお湯は、沸騰したお湯に同量の水を混ぜる事でも簡単に作れます。
漂白する
重曹、重曹とお酢、重曹と酸素系漂白剤などで汗の黄ばみができやすいところを漂白しましょう。ただ、衣類の繊維の種類によっては重曹やアルカリ性の溶剤を使えないものもあるので注意しましょう。シルクや色付きの麻などの衣類は特にアルカリ性の洗剤に弱いので、重曹での漂白はしないようにしましょう。
洗濯する
重曹がついたまま普段の洗濯と同じように洗濯しましょう。ただ、洗濯機によっては重曹を入れてはいけないものもあるのでその場合はよくすすいでから洗濯しましょう。洗ったあとは太陽光にあててよく乾かすと太陽の消毒作用も加わって汗や細菌、わきが臭の消臭効果も高まります。
重曹を使えないシルクや色付きの麻の衣類には酸性の漂白剤を使う
シルクや色付きの麻の布製品には重曹は使えません。その理由をご説明しましょう。
シルクや色付きの麻にはアルカリ性の漂白剤は使えない
重曹はアルカリ性です。シルクの衣類はアルカリ性の漂白剤に弱く、強いアルカリ性の漂白剤を使うと繊維が溶けてしまい穴が空いてしまう事さえあります。また、色のついた麻の衣類などもアルカリ性には弱く、重曹を使うと色落ちしてしまう事もあります。
酸性の漂白剤を使う
では、アルカリ性の溶剤を使えないシルクや色付きの麻などの汗の黄ばみはどうすればよいのでしょうか。基本はクリーニングが理想なのですが、洗濯表示で水洗いできると書いてあるものは酸性の漂白剤を使ってみるのもいいかもしれません。酸素系漂白剤の、さらに酸性のものを選びましょう。酸素系漂白剤にはアルカリ性のものと酸性のものがあります。この場合はアルカリ性のものは使えないので、酸性のものを選びます。
シルクや色付きの麻の汚れ落としは慎重に
シルクや色付きの麻のようなデリケートな衣類の汚れ落としをする際には、衣類の目立たない部分でまずテストをしてみて、大丈夫なようでしたら本格的に汚れを落としましょう。その際も浸け込む時間は30分以内に留めましょう。
洗った後の汗の黄ばみ予防
浸け込み洗いで汗の黄ばみを落とし洗濯して乾かしたあとは、更なる黄ばみを寄せ付けないように対策を取りましょう。汗の黄ばみができやすい部分にベビーパウダーをはたく方法と防水スプレーを吹き付ける方法があります。
ベビーパウダーをはたく
汗の黄ばみができやすい部分にパウダーをはたき、スポンジで薄く伸ばします。油分や水分を吸い取って汚れをつきにくくしてくれます。パウダーをつけすぎてもかえって汚れの原因になってしまうので気をつけましょう。
防水スプレーを吹き付ける
汗の黄ばみができやすい部分に防水スプレーを吹き付けます。油分や水分をはじいて汚れをつきにくくしてくれます。防水スプレーにはシリコン系とフッ素系があります。シリコン系を選んでしまうと、空気を通さないので汗の蒸発を妨げてしまいます。フッ素系の防水スプレーを選びましょう。また、革製用やゴム製用を選んでしまうとオイルが使われているので油染みになってしまいます。衣類用や繊維用を選びましょう。衣類用でフッ素系の防水スプレーの場合でも吹き付けすぎると空気の通りを遮ってしまって汗が蒸発しなくなってしまうので、軽く吹き付ける程度にしましょう。軽くふきつけるだけでも汚れを防いでくれます。
まとめ
汗の黄ばみは汗腺の機能の低下などの内的要因や洗剤などの外的要因があります。体質の改善をして汗の成分を正常な状態に戻すと汗の黄ばみやわきがなどの改善にもなります。通常の洗濯では落ちない汗の黄ばみ汚れはアルカリ性の重曹を上手に使って漂白しましょう。漂白する前やすすぎの時には水ではなくお湯を使いましょう。手肌を保護するために手袋をするのをお忘れなく。漂白したあとには黄ばみ予防にベビーパウダーや防水スプレーを使って黄ばみやすい部分をカバーしましょう。