MSM8937とは?
「MSM8937」とはスマートフォンに搭載されるチップセットであり、別名「Snapdragon 430」と呼ばれています。主に低価格スマートフォン向けに作られているため、iPhoneなどハイスペックなスマートフォンに搭載されることはありませんが、低価格Androidでは結構使われている種類のチップセットです。
それなりに種類が多いSnapdragonシリーズですが、今回はその中の「Snapdragon 430(MSM8937)」について紹介していきます。
MSM8937の性能
MSM8937に搭載されているチップは大きく分けて、CPUが「8x ARM Cortex A53」、GPUが「Qualcomm® Adreno™ 505 GPU」、カメラが「Qualcomm® Hexagon™ 536」、Wi-Fiが「Integrated 11ac Wi-Fi + WCN3680B companion chip」、Bluetoothが「WCN3680B」となっています。
これらのチップ、特にCPUとGPUは特別高性能なチップではないため、ハイエンドスマートフォンには搭載されません。次は、MSM8937の性能をベンチマークテストした結果を見ていきましょう。
MSM8937のベンチマーク結果①:Antutu
引用: https://iphone-mania.jp/news-166694/
最初は「Antutu」です。Antutuはスマートフォンで使えるベンチマークテストアプリで、CPUの負荷テストや3Dグラフィック処理、RAMのパフォーマンスを評価してくれます。スコアが高いほど、そのスマートフォンに搭載されているチップセットの性能が良いといえます。
引用: https://play.google.com/store/apps/details?id=com.antutu.ABenchMark&hl=ja
MSM8937では、Antutuのテスト結果が44000点程度でしたが、参考程度にGoogle提供のnexus5Xを比較すると、Nexus5Xではスコアが36000点、思った以上にMSM8937は高性能で、Nexus5Xの性能は低いという結果になりましたね。ちなみに3Dに絞った話ですと、MSM8937が9100点、Nexus5Xが7500点という結果になり、3DゲームをするのもMSM8937の方が軽いという結果になりました。
MSM8937のベンチマーク結果②:3DMark Ice Storm Unlimited
引用: http://www.3dmark.com/
3DMark Ice Storm Unlimitedは主にスマホで3Dゲームをする際の目安になるベンチマークアプリです。先ほどのベンチマークと比較してスマホの3Dゲームをすることが目的の人はこのベンチマークの結果を見てどれが快適にゲームを遊べるスマホか選んでいる方も多いです。
気になるスコアの方は9000点。スマホで快適にバリバリ3Dのゲームを遊ぶには最低でも2万点必要であり、その事を考えるとMSM8937は3Dゲーム向けではないといえます。とても軽量な3Dゲームであったり、オプションで不可を下げれるゲームなら快適に遊べるかもしれません。
MSM8937のベンチマーク結果③:GeekBench
引用: https://twitter.com/geekbench/status/909538045019467777
Geekbenchはとりあえずベンチマークを取ろうとなった時に必ず出てくるくらい有名なベンチマークアプリです。計測できるデータは最初に紹介したAntutuと比較しても大差ないですが、こちらはシングルコアの場合とマルチコアの場合の2パターンをテストして結果を比較することができます。
気になるMSM8937でのスコアは、シングルコアでは620点。マルチコアでは1800点となり、シングルコアの場合と比較してかなりの差が開いていることがお分かりかと思います。MSM8937に搭載されているCPUは8コア搭載のマルチコア利用前提のCPUですので、このような差が出たのでしょう。
MSM8937搭載機種①:京セラ DIGNO V
引用: http://www.uqwimax.jp/products/mobile/sp/digno_v/images/index_digno_v_01.jpg
MSM8937が搭載されているAndroidのひとつは、京セラが提供している「DIGNO V」です。画面サイズは5インチでチップセットを含めたパーツは全て国内で製造されています。色はネイビーとホワイトの二種類のみであるため、カラフルなスマホが欲しいという方は難しいです。
引用: http://www.uqwimax.jp/products/mobile/sp/digno_v/images/index_digno_v_white_01.jpg
その他の性能として、スマートソニックレシーなーという京セラ独自の機能を搭載しており、重要な着信を気づきやすくしたり誤操作を防ぐように設計されています。防水・防塵加工もされており、なおかつ衝撃にも強く、温度にも強い(変形しにくい)スマホとなっています。
MSM8937搭載機種②:ソフトバンク DIGNO G
引用: https://cdn.softbank.jp/mobile/set/data/products/smartphone/digno-g/img/p/fig_aquos-ea.png
MSM8937が搭載されているAndroidのひとつはソフトバンクが提供する「DIGNO G」です。先ほどの「DIGNO V」と名前は似ていますが、提供元が異なります。こちらは「DIGNO V」と比較してかなり格安となっており、チップセットが同じであることを考えるとこちらのほうがお得感があります。
引用: https://www.softbank.jp//mobile/set/common/rf2017/shared/img/products/device_image/digno-g/wht1_pos1_000.png
その代わりとして、バッテリーの最大容量が2割小さかったり、おサイフケータイ機能がないというチップセット外での欠点がありますが、そのことを気にしないのであれば「DIGNO V」よりおすすめできます。
MSM8937搭載機種③:ASUS Zenfone 4 Max
引用: http://kakuyasu-sim.jp/wp-content/uploads/2017/12/zenfone-4-max-pic.jpg
MSM8937が搭載されているAndroidのひとつは、ASUSが提供する「Zenfone 3 Max」です。チップセットは同じなのでチップセットの話は省略しますが、こちらは上記二種と比較してバッテリー容量が非常に多く、「DIGNO V」と比較して約1.5倍、「DIGNO G」基準だと約2倍近くも差があります。
引用: https://win-tab.net/wp-content/uploads/2017/08/asus_zenfone_4_max-0.jpg
そのバッテリー量の多さを活かしてモバイルバッテリーとしても使うことができ、「Zenfone」を通じてほかのスマホを充電することもできます。画面サイズはDIGNOシリーズよりも少し大きく5.2インチとなっています。
MSM8937搭載機種④:ASUS Zenfone 3 Laser
引用: https://ph-live-01.slatic.net/p/2/asus-zenfone-3-laser-4gb-ram-32gb-rom-with-fingerprint-sensorgold-1507175713-80390553-333942b9b4e923372d964716d05793d3.jpg
MSM8937が搭載されているAndroidのひとつは、ASUSが提供する「Zenfone 3 Laser」です。ナンバリングだけ見ると「Zenfone 4 Max」の下位バージョンですが、搭載しているチップセットは同じMSM8937であり、同等の性能を持っています。
引用: https://static.toiimg.com/thumb/msid-55050580,width-640,resizemode-4/55050580.jpg
ただし、バッテリー容量は3000mAhであり「Zenfone 4 Max」と比較すると大きく劣ります(4Maxは4100mAh)。劣る要素ばかりなのかというと、実はそういうわけでもなく、カメラの解像度は「Zenfone 4 Max」の4倍もの解像度を誇っています。「Zenfone 4 Max」は広角レンズという独自機能を持っているため、解像度が落ちていますが、普通に写真を撮るだけであれば圧倒的に「Zenfone 3 Laser」の方が綺麗に撮ることができます。
まとめ:低価格Androidが欲しい人向けのCPU
MSM8937が搭載されているスマートフォンは主に2万~3万円大で売られていることが多いです。少しこの記事内で出てきたNexus5Xは定価5万~6万で売られているにも関わらず、MSM8937搭載スマートフォンの方が安い事を考えると、かなりお買い得であると言えるでしょう。
3Dゲームを快適に遊べない可能性が高いというゲーマーにとって大きなデメリットこそあるものの、低価格スマートフォンが欲しい人は一度検討してもいいかもしれません。