テンパリングを簡単に理解しよう!
テンパリングとは
もともとテンパリングとは英語で「tempering=焼き戻し、調節する」という意味で、お菓子作りにおいてはざっくりと「チョコレートを溶かしてまぜて光沢良くする」といった意味合いで使われています。ですが、実際のテンパリングはもう少し多くの工程が科学的に行われています。
引用: https://i.pinimg.com/564x/60/24/32/602432ae21dfa0534aa131c7c8676f52.jpg
自宅で簡単にテンパリングを成功させるには、「大まかに仕組みを理解すること」「ときには調理器具に頼ること」が大切です。今回は「大まかな仕組み」と「使うべき調理器具」「失敗しやすいポイント」を説明してから具体的なテンパリングの流れを書いていきますので、参考にして美味しいチョコレート作りに挑戦してくださいね。
結晶化
引用: https://i.pinimg.com/564x/8c/c1/8e/8cc18ee2026e8e838725131462ffa9d0.jpg
テンパリングすることを、フランスでは「クリスタリザシヨン=結晶化」と呼びます。温度調整=テンパリングはあくまでも手段であって、溶かしたり冷やしたりすることで適切な「結晶化」を行うことが大切なことなのです。
引用: https://images.unsplash.com/photo-1511381939415-e44015466834?ixlib=rb-0.3.5&ixid=eyJhcHBfaWQiOjEyMDd9&s=232a6121d81f4dea55a84ea373af4559&auto=format&fit=crop&w=500&q=60
チョコレートの主成分であるカカオバターは、食感や味を左右する大事な成分。このカカオバターが結晶化することでチョコレートが固まり、温度によって構造が違う結晶化が起こって食感に違いが生まれることが知られています。テンパリング=温度調整をすることでカカオバターを一番良い結晶化の状態に整えることが、美味しいチョコレート作りの秘訣です。
引用: https://images.unsplash.com/photo-1507576164121-220762647800?ixlib=rb-0.3.5&ixid=eyJhcHBfaWQiOjEyMDd9&s=5d3f7abb41d55cbf9397e8ee876d8bea&auto=format&fit=crop&w=750&q=80
結晶化には6種類あり「Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・Ⅳ型:融点約17~27℃で密度が低く溶けやすい」「Ⅴ型:融点33℃で密度が高くなめらか、おいしい!」「Ⅵ型:融点約36℃で溶けにくいがざらざらで美味しくない」といった具合に分類されます。一番美味しい「Ⅴ型」の結晶化にするのがお菓子作りのテンパリングです。
テンパリングの流れ
①チョコレートをボウルに入れ、45~50℃まで温度を上げて溶かす。②今度はチョコレートに水や空気が入らないようゆっくり混ぜながら25~27℃ぐらいまで徐々に温度を下げる。③再びゆっくり混ぜながら温度を上げて30~32℃にする。というのが大まかなテンパリングの流れです。これを簡単に行うコツやポイントをこれからご紹介して、最後に具体的な流れをおさらいしましょう。
【チョコを簡単にテンパリングするコツ】電子レンジでコツコツ温める
引用: https://i.pinimg.com/564x/43/98/bf/4398bfff8b54a32dcd61dd71796f840d.jpg
チョコを温める際にポピュラーな方法は、60℃ぐらいのお湯で湯煎すること。でも、60℃のお湯をつくるだけでも時間がかかりますよね。そこで簡単なのは電子レンジを300~500Wに設定し、5~30秒ずつ温めていく方法。チョコレートは急激な温度変化に弱いので、少しずつ温めてかき混ぜることを繰り返してくださいね。
引用: https://d1f5hsy4d47upe.cloudfront.net/87/87b38be7b858bfc7bef8584420e1ae21_t.jpeg
また湯煎はチョコの入ったボウルにお湯を当てながら作業を行う為、水分がチョコレートに入りやすい弊害があります。水が入るとチョコレートが分離してやり直しになるので、湯煎でやる場合は気をつけましょう。同時に湯煎は温まりやすく細かい温度管理が必要なので気を付けてくださいね。少しずつ加温できる電子レンジの方法がおすすめです。
【チョコを簡単にテンパリングするコツ】非接触式の温度計が2000円で買える
Blusmart 赤外線放射温度計 非接触デジタルレーザーIR赤外線温度計 範囲-50℃〜550℃ ガンタイプ
価格
電子レンジで簡単に温度を上げることができても、簡単に温度を計れなければ意味がありません。もっとも簡単に温度を測れるのが、レーザー・赤外線でチョコレートに触れることなく検温できる非接触式の温度計です。一般的な温度計は検温用の針がついたタイプで、毎回針を当てなければなりません。チョコがついた針の置き場所など、余計な手間がかかっていまいます。
引用: https://images-na.ssl-images-amazon.com/images/I/7164LiVzNIL._SL1200_.jpg
その点、レーザーや赤外線の温度計であればチョコに向けてボタンを押すだけで温度が数字で表示されます。Amazonなどでも1,500~3,000円程度から手に入りますので、本当におすすめです。チョコレート以外にも天ぷらや揚げ物、ワインや日本酒、赤ちゃん用のミルクなどに使えますので、今後の料理でも非常に楽に温度を計ることができます。ものによっては車のエンジンやタイヤ、お風呂、水槽、室温など転用が効いて便利です。
関連記事
【チョコを簡単にテンパリングするコツ】部屋の温度は18~22℃、湿度45~55%程度
失敗するポイントのひとつが部屋の温度の管理です。寒くてはチョコレートが急激に冷えてしまいますし、暑くては冷やしたいときに冷やしにくい状態になります。また湿度もチョコレートに水滴がついたり結晶化の妨げになりますので気を付けてください。
バレンタインデーなど冬の時期は暖房と加湿器をうまくつかって調節することをおすすめします。夏場は冷房を25~29℃に設定しているご家庭が多いと思いますので、少し寒いですが設定を見直してみてください。
【チョコを簡単にテンパリングするコツ】冷蔵庫で冷やさない
引用: https://www.instagram.com/p/BgLl1HBg7-a/?tagged=%E5%86%B7%E8%94%B5%E5%BA%AB%E6%95%B4%E7%90%86
チョコレートは急激に冷やすことで結晶化に支障が出てしまいます。基本的には室温で管理してください。どうしても場所的な問題を含めて冷蔵庫に入れる場合は、ラップや新聞紙に包んでジップロックに入れてから”野菜室”に入れることをおすすめします。
引用: https://i.pinimg.com/564x/65/5b/6a/655b6a856aa2fb6d0cbf8632268ac563.jpg
ラップなどにくるむことで急激な温度変化を避け、10℃前後と比較的温度の高い野菜室がベターな選択です。またチョコレートは匂いが移りやすい食べ物なので、ジップロックなど密封できるものを使うことをおすすめします。
【チョコを簡単にテンパリングするコツ】失敗しやすいのは、最後の温め作業
引用: https://i.pinimg.com/564x/bf/6b/5b/bf6b5b7957c2c97b3f6915784d5e015d.jpg
テンパリングでもっとも失敗しやすいのは、25~27℃から30~32℃に加温するときです。こまかくゆっくりと温度上げる必要があるので、電子レンジの場合は300~500Wで10秒ずつなど、もっともゆっくりな方法で加温してください。
【チョコのテンパリング実践①】ざっくりとブロック状に
引用: https://www.instagram.com/p/Bf8Oj3bhxX7/?tagged=%E3%83%86%E3%83%B3%E3%83%91%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%82%B0
上記のコツを押さえて具体的にテンパリングの方法をおさらいします。200gのチョコレートを例にとって進めていきます。
チョコレートは市販の板チョコでOK
引用: https://d1f5hsy4d47upe.cloudfront.net/7f/7f2e3dd69d13bcc3cff5ab5959210a1e_t.jpeg
まず始めにテンパリングするチョコレートを200g用意してください。製菓屋さんのチョコレートがベストですが、市販の板チョコでも美味しくつくれますのでOKです。板チョコの場合は特に、カカオバターのかわりに植物油脂を使ったチョコもありますが、なるべくカカオバターだけの商品をおすすめします。もし迷うようでしたら、明治製菓の「明治ミルクチョコレート」はカカオバターだけなので試してみてください。
引用: https://i.pinimg.com/564x/6e/5c/84/6e5c8491d2ee15046703e70a09de2d0c.jpg
150gはざっくりとブロック状にしてボウルへ、50gは細かく3mm程度に砕いて別途保管してください。150gのチョコレートはレンジで300~500Wを30秒ずつ、温度が40℃を超えたら、50℃まで5
~10秒ずつ慎重に加温して溶かしてください。
【チョコのテンパリング実践②】加温
引用: https://i.pinimg.com/564x/d2/92/ab/d292abc22b739e32a3029b80b8d41a7c.jpg
50℃まで加温して溶かしたら、今度は砕いたチョコを加えながら少しずつ冷ましていきます。室温のままでも良いですし、15℃ぐらいの水に平面を当てながらでも構いません。数分をかけてかき混ぜながらゆっくりと温度を下げていきます。まぜるときは空気を含まないように、ボウルにこびりつきそうなチョコレートをヘラでこすり取りながらまぜてください。
引用: https://belcolade.jp/knowledge/src/img/knowledge_02/cont08_img02.jpg
【チョコのテンパリング実践③】型入れ
25~27℃まで下がったら、今度はゆっくりと30~32℃まで電子レンジで加温していきます。300~500Wを5~10秒ずつ、ゆっくりとかき混ぜながら加温すればテンパリング終了です!テンパリングが終わったら、固まる前に型へ入れたり、チョココーティングに使ったりしてくださいね。作業後は、室温18~22℃で保管し、結晶化して固まるまで待ちましょう!完成後、冷蔵庫はなるべく避けて保管するようにしましょう。夏など暖かい時期で保管場所がない場合は、ラップ&新聞紙&ジップロックで野菜室にて保管することをおすすめします。
【まとめ】最低限の調理器具を使って美味しいチョコを作ろう!
引用: https://i.pinimg.com/236x/85/32/56/8532561dcab5f8e40b1e544f2c2267a7.jpg
テンパリングの作業は、温度管理がもっとも大切なポイントです。プロやお菓子作りが趣味な方は慣れによる感覚でできる作業ですが、バレンタインデーなど特別なときにする人は失敗しやすいものです。初心者の方はとくに、電子レンジや非接触式の温度計を使って楽しく手作りチョコレートに挑戦しましょう。