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となりの山田くん

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「となりの山田くん」考察!名作?失敗作?気になる公開当時の評判は?

2019.11.05

ジブリ作品でありながら、その知名度が低い「となりの山田くん」。失敗作という声も名作と考察する声もある本作ですが、一体なぜそう言われているのでしょうか。巨額の制作費がかかった「となりの山田くん」について、作品の評判を紹介するとともに、その評価について考察します。

  1. 『ホーホケキョ となりの山田くん』とは
  2. 【となりの山田くん】名作と思う理由①:滑らかな動き【考察】
  3. 【となりの山田くん】名作と思う理由②:「日常系」という時代の先駆け【考察】
  4. 【となりの山田くん】失敗作と思う理由①:ストーリーがない【考察】
  5. 【となりの山田くん】失敗作と思う理由②:背景が白い【考察】
  6. 【となりの山田くん】受け手の感じ方次第?【考察】
  7. 【となりの山田くん】公開当時の評判【考察】
  8. 【となりの山田くん】令和時代に公開されたらどうだったか【考察】
  9. 【となりの山田くん】本作の経験が『かぐや姫の物語』に繋がった?【考察】
  10. 『ホーホケキョ となりの山田くん』の考察についてまとめ
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『ホーホケキョ となりの山田くん』とは、いしいひさいち原作の漫画を、スタジオジブリと高畑勲監督がアニメ映画化した作品になります。今までのジブリ作品とはまるきり違う作風で、薄い水彩の絵に、マスコットキャラクターのようにデフォルメされた人間が特徴的ですね。ジブリ史上最高額とも言われる制作費を使って作られた作品で、高畑監督のジブリ4作目となります。

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原作が四コマ漫画だからか、作品全体通してのストーリーというものがなく、主人公家族となる山田一家のなんてことない日常、家族の風景をただただ描いた作品となりました。そのせいか、制作費に対して興行収入はいまいちふるわず、ジブリ作品のなかでも知名度の低い作品となってしまいました。

名作とも失敗作とも言われる「となりの山田くん」について、その理由などを考察していきます。

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まず、「となりの山田くん」が名作だと言われている理由のひとつに、滑らかすぎる動きがあります。アニメというのは、パラパラ漫画のように、イラストを少しずつ動かして動きをつけていますが、その動きの変動を描いた枚数が多いほど、キャラクターたちは滑らかに動くことができます。「となりの山田くん」は、現代で言えば「ぬるぬる作画」と言われるほど非常に綺麗な動きを見せるのです。

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これは、普通キャラクターを動かすことに必要な枚数より何倍も多くの枚数を描いているためで、簡単にできるものではありません。アニメがまだ今ほど当たり前にあったもわけでもない1999年に、滑らかで、しかも動きの多いアニメを作ったのは本当にすごいことです。現在では、キャラクターの動きの滑らかさが評価につながることもあり、名作と言われるのもわかりますね。

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ジブリはこれまで、普段の生活とはかけ離れたファンタジー要素の強い作品を多く輩出していました。また、日本アニメの基盤を作る一端を担った手塚治虫作品も、現実離れした作品が多く、日常を描いたアニメというのはほとんどありませんでした。しかし、アニメというものが根付き、ジャパニメーションという言葉が生まれた現代において、登場人物の日常を描いた「日常系」はひとつのジャンルとして確立したのです。

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現実味のない設定やカラーリングがあったとしても、キャラクターの普段の何気ない生活を描いているという部分で「となりの山田くん」との相違点はありません。あの時代に、とある一家のただの日常を長編アニメにしようとした高畑監督の着眼点は素晴らしいものではないでしょうか。『ナウシカ』や『もののけ姫』など、心躍る設定や目を見張る展開は観ていて楽しいものですが、ほっと一息つけるアニメも必要ですよね。

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「となりの山田くん」が5分アニメとして作られたのであれば、失敗作などと言われることもなかったでしょう。山田家の出来事を、起承転結もなく延々観させられるということを考えると、つまらないと言われてしまうことも致し方なかったのではないかと考察されます。しかし、人間の、家族のありのままを作ろうと思ったら、通常はヤマもオチもない話になるのです。

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せっかく映画館で観るなら、やはり日常的ではない姿を観たいと思うもの。映画公開時の興行収入がいまいちでも、DVDなどが売れている理由は、おそらく自宅のテレビくらいの大きさで、のんびり観るのに適しているからだと考えられます。長編アニメ映画としては失敗かもしれませんが、普通にアニメとして考えれば、決して悪くない作品ですよね。

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「となりの山田くん」は、「適当だ」と言われてしまうことがあるのですが、これはおそらく背景の線が緩く、色のない部分が多いことが理由だと考察されます。水彩調で描いている以上、白さが目立つのは当たり前かとも思いますが、それが適当な作画に見えてしまったようでした。その手抜きのようにも見える描写が失敗作と言われる理由にもなっているようですね。

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ジブリ作品は、背景の書き込みや風景描写の美しさも売りのひとつだったため、あまりに気の抜けた白背景が強い印象となったのではないでしょうか。水彩風という絵、手書きらしい線というものに拘って作成されたことを考えると、背景に白さが目立っても、それも作品の味のように感じますが、やはりがっつりアニメーションを想像していた人にとっては、なんとも味気なくつまらない印象を与えたのでしょう。

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「となりの山田くん」に関しては、完全に視聴者側の好みによって、評価が変わる作品と言えます。魔法や架空の生物が出てくるような作品が好きな人は、おそらく面白味のない話だと評価するでしょうし、逆にドラマのような家族の姿や日常風景が好きな人は、名作と感じることでしょう。本作は、万人ウケはしないものの、どの時代も一定数のファンが存在するような作品と言えるのではないでしょうか。

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また、子どものころや、若い時代はつまらないと感じても、歳を重ねるにつれて、作品の味わい深さに気付くのではないかと考察されます。もちろん、背景などが細かく描かれていたほうが好きな方や、水彩タッチが好みでない方は、ストーリー以前に手に取ることもないかもしれませんが、高畑監督が脚本・監督を担当している以上、駄作ではないので是非一度は試聴してみたいですね。

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興行収入はいまいちという評価の「となりの山田くん」ですが、実はその金額は他のジブリ作品とあまり大差がありません。そのことを考えると、評判が特別悪かったわけではないのです。ただ、当時ジブリ作品に対する期待が非常に高く、今までのような胸躍る作品を望んでいた人が多かったため、「適当」で「つまらない」と言われてしまうまでに。

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その後、高畑監督がジブリで作品を作るまで10年以上期間が空いたことを考えると、社内での評価も散々だったのでしょう。鈴木敏夫さんは、「となりの山田くん」の失敗は会社として必要なことだったと発言していますが、今改めて観ると、決して「失敗作」ではないことがわかります。

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平成の初期に公開された「となりの山田くん」。当時は非常に低い評価を受けてしまいましたが、今この時代に公開されたらどうだったでしょうか。おそらく、失敗作などと言われることはなく、「どこにでもある日常であり、どこか心温まる作品だ」という評価を得たと考察されます。

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現在でも、ファンタジー要素の強い作品は人気で、超人気作となるのは現実味のない、派手で華やかな作品が多いですが、一方で、田舎暮らしを描いた作品や、動物たちとの日常を描いた作品など、生活に寄り添った作品も人気を集めています。時代の先を行きすぎたものは、だいたい批判を受けますが、「となりの山田くん」もそのひとつだったのではないでしょうか。

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高畑勲監督の名前をより広く、世界に知らしめたのが、最新作であり遺作となった『かぐや姫の物語』です。こちらも、「となりの山田くん」同様水彩タッチで描かれ、どこか柔らかく、日本絵巻でも観ているような感覚になる作品となりました。ファンタジー作品ではありますが、物語の大半は、かぐや姫と家族の日常を描いており、ドキドキハラハラするというよりは、静かに見守ってしまうような物語です。

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「となりの山田くん」から14年ぶりの監督作品となった『かぐや姫の物語』は、「となりの山田くん」を超える作画枚数で描かれ、躍動感のある作品となりました。キャラクターのデフォルメ感や、家族の姿を丁寧に描いた物語は、どこか「となりの山田くん」に通ずるものを感じます。「となりの山田くん」という作品を作ったからこそ、『かぐや姫の物語』は生まれたのではないでしょうか。

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「となりの山田くん」は、地上波での放送も1度しかなく、失敗作という低評価だけが広がってしまった作品です。しかし、一方で名作という声が出るなど、趣深い作品でもあります。昭和チックな日本の家族の様子を覗き見たいと思ったときには、非常に参考になりますよ。

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サムネイル画像は下記より引用しました。
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