「心が叫びたがってるんだ。」は「ここさけ」という略称で浸透しているアニメーション映画作品です。

2015年9月19日に公開されました。

非常に高い評価を受けていた「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」のメインスタッフによって製作されたということもあって、公開前から注目を集めていた作品です。

コミカライズ・小説化されているほか、実写映画化もされ、どの媒体でも高い評価を受けています。

一体「ここさけ」の何が多くの人の心を掴んでいるのでしょうか。

主人公の成瀬順は幼い頃「山の上にあるお城」に憧れを抱いていました。

ある日、そこから自分の父親が、女性と共に車で出てくる姿を目撃し、母親にそれを話しました。

実はこの「お城」は「ラブホテル」だったため、成瀬順の純粋な言葉がきっかけに不倫関係が明らかになってしまったのです。

家を去ることになった父親から「全部お前のせい」と言われ泣いていると、順の前に玉子の妖精が表れ「喋るとお腹が痛くなる」という呪いをかけられてしまいました。

その後、お喋りだった順は喋れなくなり、人とあまり接さなくなりました。

そんな順がある日、担任の独断で「地域ふれあい交流会」実行委員のメンバーに選出されてしまうところから物語が始まります。

「心が叫びたがってるんだ。」は、高校が舞台。

キーワードの1つとして「青春群像劇」とある通り、主人公と呼べるキャラクターは複数存在しています。

それが「地域ふれあい交流会」として共に活動する、

・成瀬順

・坂上拓実

・仁藤菜月

・田崎大樹

この4人なのです。

4人それぞれの葛藤や背景を、約2時間の映画の中で見事に描き切っています。

誰か1人が主人公となり突っ走るようなストーリーではなく、全員の思惑や感情、秘めた気持ちが絡み合い、1つの物語として成り立っているのです。

4人全員にフォーカスを当てつつ、誰1人ボリューム不足に感じさせない…。

見事なバランスで描かれている青春群像劇です。

地域ふれあい交流会において実行委員となった4人。

最初はやる気も出ず「適当」な様子やグダグダしている雰囲気、面倒臭がっている姿が多く見られます。

しかし、少しずつ、少しずつ。

バラバラだった4人、そしてクラス全員が1つとなって「ミュージカルを成功させる」という道筋は、非常に美しいもの。

全員が協力して頑張る姿は、まさに「学生」ならではといった姿です。

そして、4人とも物語が進むにつれて少しずつ、でも確実に「成長」をしていきます。

漠然と成長するのではなく、1人1人何かきっかけがあって、それを乗り越えたり、心に影響を及ぼして「成長する」という姿が活き活きと表現されています。

この作品を見て、学生・青春当時の自分たちやクラスの姿に重ねて懐かしく感じる人も多いかもしれません。

「心が叫びたがってるんだ。」の主要キャラは、先ほど紹介した4人。

今度はこの4人を演じられた声優情報を簡単に紹介いたします。

主人公である成瀬順の声優を担当されているのは、水瀬いのり。

彼女は非常にレベルの高い演技で、成瀬順にまさに「命を吹き込んで」くれました。

詳しくは後ほどチェックします。

水瀬いのりさんの出演作品の一部はこちらの通り。

・グリモア 〜私立グリモワール魔法学園〜 / ジェンニ・コッコ

・ご注文はうさぎですか? / チノ

・五等分の花嫁 / 中野五月

坂上拓実を演じられているのは内山昂輝。

基本的には物静かでアーティスティックな面もあるキャラを演じ切られました。

出演作品の一部はこちらの通りです。

・ソウルイーター / ソウル＝イーター

・ニセコイ / 一条楽

・ヴァイオレット・エヴァーガーデン / べネディクト・ブルー

仁藤菜月を演じられたのは雨宮天。

クラスの中心人物であり快活な「美少女」を活き活きと演じられました。

出演作品の一部はこちらの通りです。

・一週間フレンズ。 / 藤宮香織

・この素晴らしい世界に祝福を! / アクア

・ダンベル何キロ持てる? / 奏流院朱美

田崎大樹を演じられたのは細谷佳正です。

野球部の元エースで、どこまでも真っ直ぐとした性格でありながらも素直になれない一面を持っている彼を、ストレートに演じられました。

出演作品の一部はこちらの通りです。

・進撃の巨人 / ライナー・ブラウン

・灰と幻想のグリムガル / ハルヒロ

・寄宿学校のジュリエット / 土佐健斗

主人公の成瀬順は、喋れないという大きな設定が存在しています。

となると、アニメであるにも関わらず「声を出せない」という、声優としては非常に難しい演技が強いられます。

しかし、先ほど紹介した成瀬順を担当した声優・水瀬いのりは

「声を出せない人が声を出そうとするけど出ない」

というような、もどかしさを見事に表現しています。

映画を見ている人たちも心のどこかで「がんばれ…！」という気持ちにさせられてしまうような、そんな姿を見事に演じ切っているのです。

そして成瀬順は、物語が進むにつれて少しずつ言葉を発せるようになったり、喋れたり…感情を爆発させたりする姿も見られます。

そのどれもが「頑張る姿の美しさ」や「成長過程」を「声」によっても表現されており、全体を通して非常にレベルの高い演技を披露しています。

もちろん水瀬いのりのみならず、声優陣が「心が叫びたがってるんだ。」という物語の魅力を数段引き上げているのは疑う余地がありません。

恋愛も1つのテーマとして描かれている「ここさけ」。

劇中でもそういった描写は度々ありますが、エンディングはちょっと特別な演出で物語を締め括っています。

ネタバレとなるので詳しくは紹介しませんが、良い意味でも悪い意味でも「含みを持たせる」終わり方をしています。

しかし「気になって仕方がない、ちゃんと見せろ」という終わり方ではありません。

「ああ、こういう終わり方、綺麗だな」

「幸せになってほしいな」

と思わせてくれるような、美しいラストで物語は幕を閉じるのです。

まさに「青春」のほろ苦さや甘酸っぱさが表現されているラストシーンであると言えるエンディングです。

「心が叫びたがってるんだ。」はアニメーション映画作品ですが、コミカライズ・ノベライズおよび実写映画化済み作品です。

どの媒体でもそれぞれの特徴を活かして様々な描写がされています。

特に漫画版では、坂上と仁藤の過去についてなど映画版では語り切れていない部分まで描かれています。

より「深いところ」までここさけの世界・物語を楽しむことができるので、映画を見て気に入った人は、ぜひ漫画版も併せてチェックしてみてください。

新たな発見や気づきがあるかもしれません。

「心が叫びたがってるんだ。」のテーマソングを担当しているのはアイドルグループである乃木坂46。

今でこそ国民的アイドルグループと言っても過言ではないほどの規模にまで成長しましたが、当時はまだそこまで影響力の大きいグループではありませんでした。

そんな乃木坂46が担当した主題歌は「今、話したい誰かがいる」。

乃木坂46にとって13枚目のシングルにあたり、乃木坂46史上初となるWセンターという形式が採用されたシングルでした。

白石麻衣と西野七瀬がWセンターを務め「ここさけ盤」も発売された本作。

歌詞も「ここさけ」と通ずるワードが散りばめられています。

曲も併せてチェックしてみると、より作品を楽しめるでしょう。

今回の記事では「ここさけ」こと「心が叫びたがってるんだ。」の魅力について、様々な観点から注目してきました。

まさに「青春群像劇」と呼ぶに相応しいこちらの作品は、自分が学生時代だった頃のことをつい思い出して懐かしんでしまうという方も多いでしょう。

アニメとしてはもちろん、1つのストーリーとしても非常に魅力的な作品です。

興味のある方は是非チェックしてみてください。