おばあちゃんとは、のび太の父親であるのび助の母親のことをさします。当然のび太の母親である玉子にも親はいるのですが、ドラえもんで「おばあちゃん」といえば、のび助の母親のことですね。
優しそうな笑顔が特徴的で、昔のおばあちゃんらしく1つにまとめた白い髪の毛と着物姿、小さい身長が特徴的な人物です。ドラえもんファンの多くはおばあちゃんのことが大好きで、おばあちゃんが主役の映画「おばあちゃんの思い出」のファンも多いそう。
ドラえもん映画のなかでも大好きという声が多く、おばあちゃんの姿を見ただけで号泣してしまう人もいる「おばあちゃんの思い出」。そんな「おばあちゃんの思い出」について、注目したいところや号泣必至の場面について、ストーリーを交えながら紹介していきます。
のび太は野球の帰り道、ゴミ捨て場に捨てられているくまのぬいぐるみを発見します。そのぬいぐるみはのび太が子どものころから大事にしていたもので、大好きなおばあちゃんとの思い出がたくさん詰まったものでもありました。自宅に持って帰ったのび太は、ドラえもんにおばあちゃんとのこと話しているうちに、大好きだったおばあちゃんに会いたくなってしまい、ドラえもんに頼んで、まだおばあちゃんが生きていた時代へと向かったのです。
まず注目したいのはのび太が持って帰って来たくまのぬいぐるみ。ドラえもんは最初、ぬいぐるみを「くまちゃん」と呼んでいたのび太を笑いますが、のび太が大事にしていることを知ると、道具で綺麗な状態に戻すか聞きます。しかし、のび太は大好きなおばあちゃんが直してくれたものだから、とそれを拒否。
くまの左耳の部分、明らかに違う布でつぎはぎしているのがわかりますが、これはおばちゃんが自分の着物をわざわざ切って、あてがってくれたものなのです。いらなくなった布などではなく、まだタンスに入っている着物を取り出して切ります。
この行動だけで、おばあちゃんがどれだけのび太を大切にしていたのかがわかり、涙を誘います。おばあちゃん子の人はこの場面で号泣してしまいますよね。
のび太がおばあちゃんの姿を確認してすぐ、おばあちゃんと当時3歳だったのび太が出会うのですが、3歳ののび太は、好きなお団子がなく代わりにおはぎを買って来たというおばあちゃんに対し、やだやだと駄々をこね、「嫌い! いなくなれ!」という言葉を口にするのです。
その言葉に対しおばあちゃんは穏やか表情のまま「はいはい」と家の中に入っていきます。それを見た11歳ののび太は3歳の自分に対し、大好きなおばあちゃんにあまりわがままを言うなと怒りをあらわにするのですが、このシーンは誰にでも経験のあるようなことだと思います。
おばあちゃんやおじいちゃん、お父さんやお母さんが好きなのに、わがままばかり迷惑ばかりかけていた、ということは幼少期には誰にもあることでしょう。それを理不尽なこと、として怒れるのはのび太の成長ですし、子どもだからと割り切ることができないのが子どもらしいところでもありますね。
3歳のび太がおばあちゃんにあっち行けと行ったあと、そんなことなかったように、2人は街へと出かけていきます。さっき、のび太のわがままでおばあちゃんを買い物に行かせたのに、また2人で出かけておばあちゃんを連れまわすのです。
のび太がおばあちゃんと一緒に出かけたのは欲しいものがあったからなのですが、その欲しいものが見つからず謝るおばあちゃんに、3歳のび太は再び「あっちいけ」とおばあちゃんに言います。のび太の欲しいものはその時期なかなか手に入るものではなく、ない方が当たり前。そんなこと理解できない子どものび太はまた泣いてしまいます。
1回目、のび太に「あっちいけ」と言われたときは普段と変わらない顔をしていたおばあちゃんですが、この2回目のときは、少し眉を下げどこか困ったような表情をするのです。この表情から、代わりになるものはないか、明日また探して見つかるか、悩むおばあちゃんの優しさを感じることができます。
のび太のくまのぬいぐるみが野犬に取られてしまう場面が映画のなかであります。11歳ののび太は奪われたぬいぐるみを取り返しに野犬を追いかけますが、そこには他に4頭の野犬が。一瞬逃げようとするのび太ですが、諦めず襲いかかる野犬を振り切り、ぬいぐるみを取り返すのです。
以前ののび太であったら間違いなく逃げていましたし、ドラえもんに頼り泣いていたでしょう。しかし、のび太は大好きなおばあちゃんと自分の思い出を守るため、果敢にも立ち向かっていくのです。映画でいつも勇敢な姿を見せるのび太ですが、今回はドラえもんの力も借りず自身の力と機転のみで勝利を勝ち取りました。
大切なもののためには捨て身にもなれるというのび太の姿も号泣ものですね。
「おばあちゃんの思い出」の最大の見せ場、号泣必至の場面となる、11歳ののび太とおばあちゃんが出会う場面。のび太が小学校に上がってランドセルを背負った姿を一目見たいというおばあちゃんの願いを叶えるため、のび太はランドセルを背負って、自分の正体を明かして大好きなおばあちゃんとの再会を果たします。
まず一つ目の号泣ポイントは、ドラえもんがのび太のランドセルを庭に置いておくところ。最初はおばあちゃんに会いにいくのも接触するのも避けさせていたドラえもんが、のび太の気持ちを察し、そっとランドセルを置いていったのです。このシーンから、ドラえもんとのび太の絆や友情を知ることができますね。
二つ目の号泣ポイントは、のび太がわざわざランドセルを背負った意味です。おばあちゃんが小学校入学まで生きていれば、わざわざ11歳ののび太がランドセルを背負うことはありません。つまり、のび太が小学校にあがるころには、大好きだったおばあちゃんは亡くなってしまっているということなのです。
映画終盤ともなると号泣を誘うポイントやセリフが多く、泣かずにはいられません。最後のおばあちゃんの言葉は、おばあちゃんの人間性とのび太への愛が多く詰まっています。これだけ優しいおばあちゃんがそばにいたのなら、のび太が心優しい少年になったのも頷けますね。
映画では野球の帰りのゴミ捨て場でぬいぐるみを発見しますが、アニメではママに物置のいらないものをまとめた袋をゴミ捨て場に捨ててくるよう言われて、袋の中のぬいぐるみを発見します。
その後ランドセルを背負う場面でも、映画はドラえもんが置いていきますが、アニメはのび太が自分で取りに行き、しんみりとした感動の余韻を残す映画の終わりと異なり、アニメは笑えるコメディチックな終わりとなっています。
アニメもアニメで感動しますが、やはり終始しんみりとした雰囲気があるのは映画のほうなので、まずは映画から見るほうがいいかもしれません。
「おばあちゃんの思い出」はおばあちゃんとのび太が主役の話なので、おばあちゃんの行動に注目していれば間違い無いのですが、ぜひ小さいころのジャイアンとスネ夫にも注目してみてください。
変わらないスネ夫と可愛い顔のジャイアン。この2人はこのときから変わらずのび太をいじめていたようで、映画のはじめの方でも、のび太が舐めていた飴を奪ってしまいます。
そんなジャイアンとスネ夫が、11歳ののび太がくまちゃんのぬいぐるみを持っているのをみて、「3歳のび太のものだ、取り返そう」とする場面があるのです。
3歳からしたら11歳はだいぶ大きいお兄さんですよね。そのお兄さんに向かって、果敢に突進していく姿は、ジャイアンとスネ夫の本来持つ友だち想いなところが前面に出ていて、ぜひ注目したい場面になります。
ゴミ捨て場にあったぬいぐるみを持って帰ってきたのび太に、なぜ捨てるのかと責められたママ。のび太が過去に行ってから部屋に戻ったママは、机の上に置き去りにされたぬいぐるみを見て、「出しっぱなしじゃない」と持って行ってしまうのです。
一度はゴミ捨て場にぬいぐるみを捨てたママ。また捨てるのではと危惧されますが、のび太とドラえもんが戻ってくると、ぬいぐるみはそのまま机の上にありました。ぬいぐるみを持っていたママがした行動は、ママの優しさとおばあちゃんと同じ愛情が感じられる号泣ポイントとなっています。ラスト、ママが何を手に持っているのか、注目したいですね。
のび太と、のび太が大好きだったおばあちゃんの話を描いた「おばあちゃんの思い出」。変わらない家族の愛、受け継がれる優しさ、のび太に対するみんなの愛が見て取れる本作は、名作といっても過言ではないと思います。何回観ても泣ける作品というのはいいものですよね。
くまのぬいぐるみ関しては、その後も登場しているので、ゴミ捨て場から帰ってきてから大事にされている様子がわかりますよ。