カナダの恐竜博物館完全攻略①ロイヤル・ティレル博物館
ロイヤル・ティレル博物館(The Royal Tyrrell Museum of Palaeontology)は、ドラムヘラーの町から西へ約7キロのミッドランド州立公園内にあり、恐竜とバージェス動物群の化石を展示していることで有名な博物館です。カルガリーからの行き方は車で1時間40分ほど、バンフからの行き方は車で3時間ほどです。車でしか行き方がないため、レンタカーかツアーバス旅行に参加することになりますが、必ずや充実した日帰り旅行になるはずです。
アルバータ州のバッドランド(Badlands)は、氷河の浸食により茶色い荒れた大地が広がる場所ですが、古代生物や恐竜の化石が豊富に発掘される地として有名です。その中心地がドラムヘラーの町です。ロイヤル・ティレル博物館はバッドランドで発掘された化石群を11万点も所有していて、福井県立恐竜博物館(日本)、自貢恐竜博物館(中国)と並ぶ「世界三大恐竜博物館」のひとつとなっています。
カナダの恐竜博物館完全攻略②恐竜のミイラとは
2017年に世界的話題となったのが、新種の鎧竜の化石が発見されたというものです。通常は骨しか残らないため「化石」といいますが、この新種の鎧竜は本来なら約1億1千万年前という長い年月の間に消滅してしまうはずの、皮膚を覆うケラチンや色素細胞のメラノソームが残っており、この恐竜が息絶えたあと偶然としかいいようがない好条件で保存されたため、化石ではなくまるで「恐竜のミイラ」といえる状況で今日に至ったそうです。
この新種の鎧竜は5年半をかけて技術職人であるプレパレーターが化石に貼りついた余分な石を丁寧に取り除き、完全に近い状態へ復元しました。そのミイラ化した新種の鎧竜が、ロイヤル・ティレル古生物学博物館に展示されています。この恐竜のミイラはアルバータ州で発掘された最古の恐竜であり、保存状態は世界でもトップクラスのものだそうです。確かに今にも動き回りそうなほどリアルな姿かたちをしていて驚かされます。
カナダの恐竜博物館完全攻略③ボレアロペルタについて
ロイヤル・ティレル古生物学博物館で展示されている、完全に近い状態の「恐竜のミイラ」新種の鎧竜はノドサウルス科の曲竜類で、ボレアロペルタ(Borealopelta)と名付けられています。特にこの個体には1人で復元したプレパレーターに敬意を表してその名を取り「ボレアロペルタ・マークミッチェリ」と名付けられています。通常の化石は骨だけが残り色素細胞のメラノソームは消滅するため、恐竜がどんな色だったのか分からないそうです。
しかし、このボレアロペルタはメラノソームが残っているため、恐竜が何色をしていたのかの手がかりになるそうです。赤褐色だったようですが、カウンターシェーディングパターン(擬態のために明るい色になったり暗い色になったり変色する現象)を持っていたことが分かっているようです。これによりボレアロペルタはカモフラージュすることで、捕食者(他の恐竜)から身を守っていたようです。
カナダの恐竜博物館完全攻略④州立恐竜公園
州立恐竜公園(Dinosaur Provincial Park)は、バッドランドのレッドディア川渓谷にあり、世界遺産にも登録されています。カルガリーからの行き方は車で2時間ほどの旅行です。世界最大級の恐竜化石層があることで有名で、39種の恐竜と500個以上の標本が発見され、世界中の博物館に移送され、展示されているといわれます。
川辺に生息する植物と大草原地帯の生態系を維持・保護するために、一帯は自然保護区になっています。古代の地層が表面に出ているため化石が見つけやすいのが特徴で、化石発掘の体験プロジェクトが実施されていたり、入場禁止区域へ入ることができるプログラムがあるなど、旅行者には行く価値のある大人気の公園となっています。
まとめ
いかがでしたか? 今回はカナダの恐竜博物館完全攻略についてご紹介しました。カナダのアルバータ州は恐竜の化石が発掘されることで世界的にも有名な場所ですが、ロッキー山脈の観光エリアとは逆方向のため、恐竜を見るためだけに1日使わなければなりません。しかしその価値がある、充実した貴重な旅行になることでしょう。