上高地とは
国の特別名勝・特別天然記念物に指定されている上高地は、北アルプスのほぼ中央、標高1500mのところに位置しています。中部山岳国立公園の一部で日本を代表する山岳リゾートの一つとして有名ですが、その歴史は古く、芥川龍之介の作品にも登場します。
上高地は、1500mの高地でありながら、ほぼ平坦な道が続くため、ハイキング初心者でも安心して楽しむことができます。また、ウォーキングコースがしっかり整備されていることも魅力の一つでしょう。年間140万人以上の人が訪れる上高地の観光スポットと日帰りで楽しめるコースを紹介します。
上高地は自然保護のため、年間を通してマイカー規制がされています。観光バスもハイシーズンや週末は乗り入れができないため、全ての観光客は沢渡か平湯温泉からシャトルバスを利用することになるので注意しましょう。
上高地・日帰りで楽しむ観光スポット① 大正池
シャトルバスに乗って上高地に入ると、最初に止まる場所が「大正池」です。上高地での滞在時間が短いのであれば、大正池からスタートするルートがおすすめ。バスを降りて、梓川の河原に立つと目の前には北アルプス唯一の火山「焼岳」と「穂高連峰」が広がります。大正池には、焼岳の美しい姿が映りこんで、まさに絶景。また、所々に焼岳が噴火をした時に立ち枯れた木が生えていて独特な雰囲気を醸し出しています。
広大な大正池の中州まで歩いて行けます。また、ボート遊びもできるので、時間があればのんびりとした時間を過ごしても良いでしょう。
上高地・日帰りで楽しむ観光スポット② 田代池
大正池と河童橋を結ぶ上高地のメイン散策路が上高地自然研究路です。その途中にある田代池と田代湿原は、日本アルプスを世界に紹介したウォルター・ウェストン氏が最後の来日で訪問した場所として有名です。5月の新緑や初夏のニッコウキスゲ、秋の紅葉、晩秋の霧氷などいつでも素晴らしい景色を楽しめます。
特に田代池は全面氷結しないために、水温のほうが高い季節の早朝に訪れると鏡のような水面に霧氷に包まれた木々が映りこみ、幻想的な風景を見ることができます。
上高地・日帰りで楽しむ観光スポット③ 河童橋
河童橋は、上高地の中心にありシンボル的な存在と言えます。上高地のバスターミナルから徒歩5分程度のところにあるので、上高地を訪れる多くの人が河童橋を渡ります。河童橋の上から見る景色は、穂高連峰や焼岳、梓川の水面などで多くの観光客を魅了します。
日本を代表する作家の一人である芥川龍之介も小説「河童」に河童橋を登場させています。「河童」が上梓される数年前には、芥川龍之介自身がアルプスを登山して上高地を訪れています。芥川龍之介が見た当時の景色が忠実に描写されていると言われているので、この「河童」を読んでから河童橋を訪れるのも楽しいでしょう。
上高地・日帰りで楽しむ観光スポット④ 明神・明神池
上高地は古くから「神降地」「神合地」「神垣内」とも呼ばれて神々を祀る相応しい場所として崇められていました。河童橋から梓川沿いを上流に1時間ほど歩き、明神から梓川に架かる明神橋を渡ると明神池に到着します。明神池は、一之池と二之池からなるひょうたん型の池で穂高神社境内にあるため神域とされています。そのため、明神池はパワースポットとして知られています。
一之池は、女性的な静のパワーがあるとされて恋愛運アップ。二之池は動のパワーがあるとされ金運・仕事運がアップすると言われています。ハイシーズンは多くの人が訪れるので、静かにパワーをチャージしたいのであれば、人の少ない時期や早朝に訪れることをおすすめします。
上高地・日帰りで楽しむ観光スポット⑤ 古池
槍ヶ岳、穂高岳への入山ルートとして河童橋から横尾までの道沿いに古池があります。ガイドブックや地図には明記されていますが、看板や案内板がないためスルーしてしまう人が多くいます。古池は観光客があまり訪れない場所なので、静かで如何にも上高地と言う透明な水と神秘的な木々に囲まれています。上高地の原風景のような古池を訪れてみてはいかがでしょうか。
静謐な雰囲気のある古池は、上高地らしい写真が撮れる絶好の撮影ポイントでもあります。人が少ないので、素敵な写真が撮れるでしょう。
上高地・日帰りで楽しむ観光コース① 大正池コース
バスツアーなどで上高地に訪れた場合、滞在時間が短いこともあります。その時に効率よく廻れるハイキングコースを紹介します。
バス停(大正池)~大正池~(1km・約20分)田代湿原・田代池~(梓川コース1,1km・約20分・林間コース1km・約20分)田代橋・穂高橋~(0,5km・約7分)ウェスト碑~(1km・約15分)河童橋~(0,5km・約10分)上高地バスターミナル
見どころ
バス停を降りるとすぐに大正池が見えてきます。大正池の見どころは、北アルプス唯一の火山「焼岳」と穂高連峰です。大正池から河童橋に向かう道の周囲は田代湿原です。春はツツジ、秋は紅葉のスポットとしても有名です。日本アルプスを世界に知らせた功労者として建てられたウェストン碑も忘れずに。河童橋は、上高地でも特に人気のスポット。最後は上高地バスターミナルです。ここから帰りのバスに乗りましょう。このコースは、1時間10分程度の散策コースとなります。
上高地・日帰りで楽しむ観光コース② 明神池コース
もう少し上高地を楽しみたい人におすすめのハイキングコースです。フラットな道は、ハイカー初心者や年配の方でも安心して歩けます。また、野生の猿に会えることも。
上高地バスターミナル~(0,5km・約10分)河童橋~(0,7km・約15分)岳沢口湿原~(2,7km・約60分)穂高神社奥宮・明神池~(0,4km・約5分)明神館
見どころ
岳沢口湿原は、湿地帯に広がるエリアの木道から六百山を眺めながら散策します。上高地のパワースポットでもある明神池・穂高神社奥宮は、ぜひとも立ち寄りたいスポットです。冬でも凍結しない明神池の独特の雰囲気に圧倒されます。明神橋を渡ると明神館があります。ここで引き返すと3時間程度のハイキングコースになります。
上高地・日帰りで楽しむ観光コース③ 徳沢コース
上高地に来たからには、「徹底的に楽しみたい」と考えている体力と時間に余裕がある人におすすめのコースです。ハイキングと言うよりは、トレッキングになるのでちゃんとした靴、簡単な食糧、飲料水など装備を整えましょう。
上高地バスターミナル~(0,5km・約10分)河童橋~(0,7km・約15分)岳沢口湿原~(2,7km・約60分)穂高神社奥宮・明神池~(0,4km・約5分)明神館~(1,5km・約30分)古池~(1,5km・約35分)徳沢
見どころ
梓川からは日本百名山の一つ「常念岳」を望めます。きれいな川を眺めながら歩いていくと、ハルニエの林が広がる徳沢に着くので、ここでゆっくりすると良いでしょう。徳沢から明神岳と前穂高岳を見ることができます。帰りは梓川左岸道を通ると行きと違った景色を楽しむことができます。徳沢で引き返すと約4時間40分のトレッキングコースです。
上高地を楽しもう!
自然の中をハイキングしたいと考える初心者の人や本格的なトレッキングをしたい人まで、どんな人でも楽しめる上高地は、どの季節に行っても素晴らしい自然に触れることができる世界的にも有名な観光スポットです。山のマナーを守って国の特別名勝・特別天然記念物に指定されている上高地を楽しんでみてはいかがでしょうか。