五大ビールメーカー売上シェアランキング【はじめに】
五大ビールメーカーと聞いて、まずどのメーカーを思い浮かべますか?また、そのランキングはどのような順位になっているかご存知でしょうか。
最近ではクラフトビールや地ビールなど、小規模生産のビールメーカーも数多くありますが、五大ビールメーカーの売り上げシェアランキングから、各メーカーの動向をご紹介します。業界の規制や消費者の需要の変化に合わせて発売される新商品から、各メーカーの動向を伺ってみましょう!
五大ビールメーカー売上シェアランキング【ビール業界の現状】
ランキングの前に、まずはビール業界の近年の動向を見てみましょう。
123業界中、74位とのことで、嗜好品としてはまずまずの規模を占めている印象です。
しかしながら、規模は縮小傾向が続いているようです。
平成28年のビール出荷量は4億1,476万ケース(前年比-2.4%)。12年連続で過去最低を記録。国内のビール系飲料の出荷量は平成6年をピークに減少が続いています。さらに、近年は消費者の節約志向を背景にビールの買い控えも進んでいます。数年前に人気を呈してきた『ノンアルコールビール』も近年では伸びが鈍化しており、期待されてきた第3のビールも伸び悩んでいます。
安売り規制の強化で価格が上昇したこともあり、ビール系飲料から缶チューハイやハイボールへ消費者が流れる動きは加速している。
一方で、海外市場に注目したビール大手メーカーの業績は悪くはないようです。
国内のビール市場は縮小傾向にありますが、ビール大手メーカーの業績は好調です。理由は海外事業です。サントリーHDは米国で前期比1ケタ台後半の伸びを記録、スペイン、インド、ロシア、東南アジアで前期比2ケタ増の大幅な増加を記録しています。
近年のビール業界は、国内事業が苦戦する一方、海外事業が躍進するという明暗の分かれる状況が続いています。特に、東南アジアの需要の伸びが著しく、今後も人口や所得の増加に伴い、さらなる伸びが期待されます。
輸出だけでなく、海外ビールの国内ライセンス販売を進めるメーカーもあり、海外事業も視野に入れた業界の動きが気になりますね。
五大ビールメーカー売上シェアランキング【ビール業界の動向】
国内ビール市場が低迷する中、ビール各社は新商品の開発に注力しています。近年では、プレミアムビール、クラフトビール、糖質オフなどが注目され、各社で次々と新商品が発表されています。
プレミアムビールで先行するのがサッポロの『ヱビスビール』とサントリーの『ザ・プレミアム・モルツ』。この2強に追随すべく、キリンは『グランド キリン』を、アサヒビールは『ドライ プレミアム』を発売。いずれも製法や味にこだわりをみせたプレミアムビールです。
また、近年ではクラフトビールが人気を集めています。クラフトビールとは、小規模な醸造所で職人が丁寧に作り上げたビールのことで、日本では長野県にあるヤッホーブルーイングが火付け役とされています。
近年の消費者の健康志向の高まりを受け、ビール各社はカロリーオフや糖質オフ、プリン体オフなど『太りにくい』ビールを相次いで開発。ビールは太りやすいという概念を変える動きを見せています。
引き続き、プレミアム、クラフトビール、ヘルシーなどが今後の新商品のテーマになっていきそうです。
今年4月から、ビールの定義が変更され、使用できる副原料の範囲が広がる。クラフトビール大手のヤッホーブルーイング(長野県軽井沢町)が出している「水曜日のネコ」。売り場では他のクラフトビールと並んで売られているものの、副原料にオレンジピールやコリアンダーシードを使っているため、ビールと同じ酒税がかかっているにもかかわらず、発泡酒と表記している商品だ。4月からのビールの定義変更によって、こうした商品も「ビール」と表記することができるようになる。
大手を含めて、ユニークな新商品が予想され、「市場が厳しい中で活性化の一助になる」(サントリービールの山田賢治社長)、「大きなチャンス、プラスととらえている」(アサヒビールの平野伸一社長)と期待する声は多い。
各社の新たな戦略に注目しながら、新しい味わいに期待が膨らみますね。
続いて、五大ビールメーカー売上シェアランキングをご紹介します!
五大ビールメーカー売上シェアランキング【5位:オリオン】
オリオンビール株式会社(Orion Breweries, Ltd.)は、沖縄県に本拠を置く、日本の大手ビールメーカー。沖縄の気候に合った爽やかな味わいのオリオンドラフトビールが最主力製品です。
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「オリオン」という名前は、昭和33年に、一般公募で決められ、「大衆に親しみやすく呼びやすい名称をと求む」と新聞に掲載したところ、約2,500通もの応募が寄せられ、その中から「オリオン」が選ばれたそうです。
三ツ星とORIONロゴを堂々と、 ビールならではの上質感と清涼感をあわせもつシャンパンゴールドをベースに。モチーフは沖縄の「太陽の赤」「空の青」「海の紺」そしてビールの「ゴールド」を採用したデザインです。
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オリオンビールと呼ばれているこのビールの正式名称は、「オリオンドラフトビール」だそうです。
五大ビールメーカー売上シェアランキング【5位:オリオン - 今後の動向】
沖縄の特産物であるシークァーサー果汁を使用した発泡酒が数量限定で発売されています。オリオンビール名護工場で醸造したビール類の爽快なのどごし、シークァーサー果汁の爽やかな味と香りが調和した、トロピカルコレクションは沖縄らしいシリーズです。
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ホップと麦芽にこだわったプレミアム志向の新ジャンル「贅沢気分」も好調のようです。
引用: https://www.instagram.com/p/B4McXxMjJbA/
磨きぬかれた「爽快さ」キーワードはMild,Smooth,Fresh bitter。三大陸(カナダ、オーストラリア、ヨーロッパ)麦芽使用による、コクと豊かな香り、新ろ過工程による麦汁の雑味成分低減と発酵温度最適化による心地よい香気、ホップ配合比率の見直しによるホップ本来のさわやかな苦味を特徴としているそうです。
引用: https://www.instagram.com/p/B5KXsN-jVRv/
五大ビールメーカー売上シェアランキング【4位:サッポロ】
サッポロ黒ラベルを代表製品とするサッポロは、ランキング4位。
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黒ラベルは生誕40周年。「完璧なビール」をキャッチコピーにファンの支持を集めています。
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プレミアムビールの先駆けとなった「エビスビール」も実はサッポロ。
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プレミアム志向ビールで、様々なテイストのエビス缶ビールをシリーズ展開しています。
引用: https://www.instagram.com/p/B5VIB1jlqM0/
引用: https://www.instagram.com/p/B5U7-YYAqUY/
引用: https://www.instagram.com/p/B5VoMdfAezW/
五大ビールメーカー売上シェアランキング【4位:サッポロ - 今後の動向】
サッポロビールは、発売10年目となる「麦とホップ」の缶を1000万ケースの販売を狙って3月にリニューアル。
本日おかげさまで #麦とホップ は発売10周年!
— サッポロビール SapporoBeer (@SapporoBeer) June 4, 2018
公式サイトでは、麦とホップのつくり手たちのこだわりと想いを取材した特別企画を公開!
麦とホップからの感謝をお伝えする二宮さんと篠原さん。麦と、ホップだけでつくったブーケにも注目です! #だけがいい #サッポロビール https://t.co/4CnrPFxaMm pic.twitter.com/PTct8v28ps
さまざまなキャンペーンも行っています。
#麦とホップ が6月で発売10周年!
— サッポロビール SapporoBeer (@SapporoBeer) June 5, 2018
麦とホップ350ml缶1ケースが当たるキャンペーンの第3弾です!
①@SapporoBeer をフォロー
②この投稿を引用リツイート
③麦とホップに寄せるメッセージを投稿
で応募完了!
詳細→#サッポロビール #だけがいい https://t.co/kqtdV7m4Ui pic.twitter.com/5DBeqoGOpG
また、数量限定のプレミアム志向の缶ビール「サッポロ生ビール黒ラベル エクストラブリュー」も発売。
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サッポロビール独自の貴重な原料を使用した数量限定でしか製造できない黒ラベルです。 黒ラベルの美味しさの決め手の一つ、サッポロ独自の”旨さ長持ち麦芽”を100%使用。 さらに今年は、泡が進化しました!クリーミーさ、泡持ちの良さ。違いは、ひと口目から現れます。 この泡で、生ビールはさらにうまくなる。「サッポロ生ビール黒ラベル エクストラブリュー」
五大ビールメーカー売上シェアランキング【3位:サントリー】
「天然水仕込み」にこだわるランキング3位のサントリー。主力製品は新ジャンル缶の「金麦」です。
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同じく新ジャンル缶「金麦 糖質75%オフ」も、健康志向層からの指示で順調に売り上げを伸ばしています。
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また、プレミアム志向ビールの牽引役となった「ザ・プレミアムモルツ」も3位ランクインに寄与しています。
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五大ビールメーカー売上シェアランキング【3位:サントリー - 今後の動向】
サントリーは主力の新ジャンル缶「金麦」と併せて、第3のビールで4年ぶりに投入した高アルコールの新ジャンル缶「頂」で売り上げ伸長を図ります。
引用: https://www.suntory.co.jp/beer/itadaki/images/product_method_product.png?0205
8%の高アルコール度数と高炭酸の刺激を売りに、市場開拓を狙っています。
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「頂」シリーズから、アルコール度数7%で糖質ゼロの新ジャンル缶「頂極上ZERO」も新発売し、高アルコールとヘルシーさを遡及した商品で愛飲家のファン獲得に注力しているようですね。
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五大ビールメーカー売上シェアランキング【2位:キリン】
「キリン一番搾り 生ビール」が主力製品のキリンは、惜しくも2位にランクイン。
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麦芽100%使用した一番搾り麦汁にこだわった一番搾りは、「KIRIN ICHIBAN」の名称で、世界40か国以上で販売され、日本だけでなく世界中でファンを獲得しているようです。
引用: http://www.kirin.co.jp/products/beer/ichiban/quality/global/images/global_map.png
発泡酒缶「淡麗グリーンラベル」もリニューアルの度に好評価を得ており、売り上げに貢献しています。
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五大ビールメーカー売上シェアランキング【2位:キリン - 今後の動向】
キリンは、大手ビールとては先行しているクラフトビール「GRAND KIRIN」のシリーズで、新しい副原料使用などに対応した商品を出す予定とのことです。
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限定醸造で次々と発売しており、現在はオレンジピールとコリアンダーシードを使ったビール「雨のち太陽、ベルジャンの白」が発売中です。キャッチーなネーミングで、女性や若年層をターゲットにしたブランドイメージ作りにも注力していますね。
コリアンダーシードの複雑な奥行きと、オレンジピールの爽やかな味わい、華やかな余韻が楽しめる、Belgian White(ベルジャンホワイト)タイプのビールです。 ※オレンジピール、コリアンダーシード使用
引用: http://www.kirin.co.jp/products/beer/grandkirin/img/ourbeers_belgianwhite_img.png
最高品質を目指した新ジャンル缶「本麒麟」で新たなキリンファンの獲得も狙っているようです。
引用: http://www.kirin.co.jp/products/beer/honkirin/common/images/statement_beer_pc.png
五大ビールメーカー売上シェアランキング【1位:アサヒ】
シェアランキング1位は「アサヒスーパードライ」が躍進するアサヒ。
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シャープなのどごしと辛口を売りに、「ビール=ドライ」という概念を築いたスーパードライは、男性層を中心に人気を誇ります。
1987年3月に発売され、後にビール各社を巻き込んだ「ドライ戦争」を展開するなど空前のブームを巻き起こした銘品である。2016年現在で、発売開始から累計36億箱(1箱:ビール大瓶20本換算)以上を販売。
引用: https://www.asahibeer.co.jp/superdry/worldbeercup2014/imgs/champion_main_pic.jpg
新ジャンル缶「クリアアサヒ」は家飲み向けのビールとしてCMを展開しており、シェア1位の売り上げに貢献しています。
引用: https://www.asahibeer.co.jp/clear/images/img_intro_main_visual.png
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五大ビールメーカー売上シェアランキング【1位:アサヒ - 今後の動向】
アサヒは、レモングラスを副原料に使い、需要が広がっている高アルコールのビール缶「グランマイルド」を発表しました。
引用: https://www.asahibeer.co.jp/products/beer/granmild/image/template/head_img_wide.jpg
やわらかなコクが続き、ゆっくり楽しめるこだわりのビール。麦やアルコール7%の豊かな味わいがありながらも、余分な雑味や甘みを抑えることで、上品でやわらかな余韻を実現しました。余分な雑味・甘みが無いので、時間が経ってもおいしさが続きます。自分のペースでじっくり楽しめるスロービールの新提案です。
規制緩和を受けて、副原料を使用しながらビールの表記が出来るようになっています。また、ごくごく飲むタイプのビールと対比した、ゆっくりじっくり飲む高アルコールビール商品も次々と発売されているようですね。
五大ビールメーカー売上シェアランキング【まとめ】
ビール大手5社が発表した2017年のビール系飲料(ビール、発泡酒、第三のビールの合計)の課税済み出荷量のシェア状況を円グラフにしたものです。
引用: https://www.nikkei.com/content/pic/20180116/96958A9F889DE0E7E5E5E1EAEAE2E3E4E2E3E0E2E3EA8698E0E2E2E2-DSXMZO2577490016012018TJ2001-PN1-2.jpg
大手4社の商品が出そろった2005年以降、新ジャンルではキリンが年間シェアトップを守ってきたが、2017年はアサヒがキリンを逆転した。アサヒは「贅沢ゼロ」など「クリアアサヒ」ブランドが伸長したのに対し、キリンは、1月から先陣を切って導入した新ガイドラインにより、店頭価格が他社に比べて高くなり、値頃感が売りの新ジャンルの販売を直撃した。
業界の規制やユーザーのニーズによって変化する市場に合わせて発売される各メーカーの新商品から動向を伺い、今後のシェアの移行を観察してみるのも面白いですね。
五大ビールメーカー売上シェアランキング【最後に】
五大ビールメーカー売上シェアランキングはいかがでしたか?予想通りでしたでしょうか。
飲食店や小売店などで各メーカーの新商品を見かけたら、ぜひ開発の背景や各メーカーの戦略などを思い出してみてくださいね。この記事が新しい味わいを試すきっかけのひとつになれば嬉しいです。