【冷風vs温風・ドライヤーの仕組みと使い方】ドライヤーの仕組み
まず、ドライヤーってそもそもどんな構造になってるんでしょうか? ドライヤーの構造は比較的単純です。風を送り出すモーターと、熱を作りだすヒーターのふたつのパーツから出来上がってるのがドライヤーです。
引用: http://jpn.faq.panasonic.com/euf/assets/images/panasonic/answer_images/hair/10680_13.png
もちろんそれだけは危険なので、温度が上がりすぎないように制御する安全装置が付いています。何らかの理由で温度が上がりすぎると、自動的にヒーターのスイッチが切れ、ただの送風になります。
こういう構造なので、ドライヤーは「冷風機能をわざわざ取り付けた」ということではなく、「温風機能をわざわざ取り付けてある」というほうが正しいでしょう。
なお、モーターとヒーター、二つのパーツをひとつの電源で動かしますので、ヒーターを切ってモーターだけ(冷風)にすると、通常は強い風になります。
【冷風vs温風・ドライヤーの仕組みと使い方】髪の毛の仕組み
引用: https://panasonic.jp/hair/dryer/products/EH-NA29/EH-NA29_products_2-2.jpg
では今度は乾かされる方の髪の毛はどういう構造になっているんでしょうか?
人の髪の毛は三層になっています。真の部分にメデュラ、その外側にコルテックス、一番外側にキューティクルという、ちょうど手巻き寿司のような構造です。一番外側のキューティクルは海苔のように薄く、髪の内部を守る働きをしています。
このキューティクルが傷つけられたり強い刺激を受けたりすると、髪がパサついたりツヤがなくなったりします。きれいな髪を守るとは、キューティクルを守ることなんですね。
【冷風vs温風・ドライヤーの仕組みと使い方】冷風の効果①キューティクルを守る
温風のみで髪を乾かすと、キューティクルが開いてしまいます。キューティクルはうろこ状になって髪の表面に張り付いているのですが、強い温風を当てるとそれが開いてしまいます。開いたキューティクルはすべての髪の傷みの原因になります。また、濡れた髪は膨張しているので、髪同士で摩擦が生じやすくなっています。キューティクルが開いた状態でか冊が生じると、ますます髪は傷みます。
したがって髪はできるだけ冷風で乾かしたほうがいいのですが、時間がかかって面倒だという場合も、最後だけは冷風を髪に当ててください。そうすることで開いたキューティクルが閉じ、髪の傷みが防げます。
【冷風vs温風・ドライヤーの仕組みと使い方】冷風の効果②髪の乾燥を防ぐ
開いたキューティクルを放っておくと、中から水分が蒸発し、やがて髪は乾燥してしまいます。乾燥してしまうとパサパサでまとまりのない髪になってしまいますので、キューティクルは閉じておく必要があります。
ドライヤーの冷風を使ってキューティクルをケアしてあげると、髪の乾燥がしにくくなるのです。美しい髪にはある程度の水分が必要なのです。
通常ドライヤーは冷風にすると強い風がでますので、ちゃんと髪は乾きますよ。
【冷風vs温風・ドライヤーの仕組みと使い方】冷風の効果③髪のツヤを出す
ドライヤーの強い温風を髪に当てると、前述の通りキューティクルが開いてしまいます。そうすると髪の方面がザラザラしてしまいます。ここに光が当たると乱反射してツヤがあるように見えません。ツヤのある美しい髪はキューティクルが閉じた髪のことなんです。
そこで温風で乾かした後はしっかり冷風をまんべんなく髪に当てて、開いたキューティクルを閉じるようにしましょう。各メーカーが冷風機能を残している意味は、冷風が髪にいいからです。
【冷風vs温風・ドライヤーの仕組みと使い方】冷風の効果④ヘアスタイルのキープ
冷風を使う意味はまだまだありますよ。
髪は温風を当てると、好きな形にセットしやすくなります。そのまま冷風で冷やしてあげれば、そのままキープされやすくなります。冷風は形状記憶のような効果があるんですね。
温風で好きなヘアスタイルにセットしたら、最後に冷風でしっかり締めてあげる。これで崩れにくい髪になります。
【冷風vs温風・ドライヤーの仕組みと使い方】冷風の効果⑤髪が絡まりにくくなる
繰り返しますが、ドライヤーの強い温風を当てるとキューティクルが開きます。そうすると前述した通り、髪の表面がザラついてしまいます。ザラザラしていると摩擦が大きくなりますから、髪の毛同士が絡まりやすくなります。当然、ブラシや手櫛のとおりも悪くなります。
温風のあとに冷風を当ててあげると、キューティクルが閉じるので、表面がツルツルします。そうすることで髪は絡みにくくなりますし、ブラシや手櫛のとおりも断然良くなります。
引っかかりのない髪とは、美しい髪という意味です。冷風の機能を使って、キューティクルを閉じましょう。
【冷風vs温風・ドライヤーの仕組みと使い方】冷風の効果⑥寝ぐせになりにくい
前述した通り、冷風で髪を締めてあげると、セットした髪が崩れにくくなります。温風は髪を柔らかくしてセットするためのものですが、冷風はその状態を固定する意味があります。したがって寝る前やお風呂上りにドライヤーをかけるなら、ぜひ最後に冷風で髪をブローしてください。
寝ぐせが付きにくくなると嬉しいことがいっぱいありますよね。朝の忙しい時間が有効に使えますし、その分ゆっくり起きられるとか、お化粧に時間がさける、朝食を優雅に楽しめるなどなどメリットばっかりです。しかも髪はツヤツヤ、絡みにくいさらさらヘアになってくれるんだから、これは冷風機能を使わない理由がありませんよね。
【冷風vs温風・ドライヤーの仕組みと使い方】冷風の使い方
では最後にドライヤーの冷風の正しい使い方を解説します。
髪のことを考えると最初から終わりまで冷風を使うといいのですが、そうするとセットしにくかったり、時間がかかりすぎたりするので、もちろん温風も使って構いません。ただ、ドライヤーの強い温風に当たった髪のキューティクルは開いていますから、最後には冷風を当ててそれを締める必要があります。これが冷風の使い方の基本です。
まず、お風呂から上がったら、よく乾いたタオルで拭いてください。このとき、あまり強い力でゴシゴシこすらないこと。全体の水分を吸い取るように、やさしく拭いてください。
次に温風を使って全体的に80~90%くらいざっと乾かします。最初に髪の根元に風を当てると、全体的に早く乾くでしょう。温風は一か所に長く当てないようにしてくださいね。小刻みに動かしながら、バランスよく当ててください。そうしてだいだいたい乾いたら、最後は冷風を全体的に当てていきます。
なお、キューティクルは傘のように下向きに広がります。なので、ドライヤーを当てるときは温風でも冷風でも上から下に風を吹くつけるようにするということを意識してください。下から風を当てると、強風で傘が逆開きになってしまうように、キューティクルも開いて傷んでしまいます。
【冷風vs温風・ドライヤーの仕組みと使い方】まとめ
いかがでしたか? ドライヤーに冷風がついている意味がお分かりいただけましたか?
ブローの最後に冷風を当てるというテクニックはプロの美容師さんにとっては当たり前の技なんですが、毎日家でブローするときは面倒に感じつかもしれません。しかし、キューティクルが開きっぱなしになってしまったのでは、せっかくどんなにいいシャンプーを使ってもコンディショナーを使っても無意味になります。
ほんのひと手間、温風のあとに冷風でブローする。それだけでいいので、毎日のドライヤーの使い方を変えてみてください。驚くほど髪が健康できれいになりますよ!