【三半規管が原因?めまいの予防と対処法】三半規管って?
そもそも三半規管ってなんでしょうか? 耳の奥にあって、平衡感覚を司る器官。それくらいは知っていても、詳しいことを知ってる人はあまりいないのではないでしょうか?
三半規管はかなり耳の奥にある器官で、「前半規管」「後半規管」「外半規管」の三つの半規管からなっています。三つあるから三半規管というんですね。それぞれの中はリンパ液で満たされており、体が動くとそのリンパ液の流れが起こり、その流れを有毛細胞というセンサーが感じ取ることで体の傾きや動きを知ることができます。
ちなみに半規管が3つあるのは、それぞれX軸、Y軸、Z軸の動きを3次元的に捉えるためです。
引用: https://upload.wikimedia.org/wikipedia/ja/e/e7/Gray921_ja.png
【三半規管が原因?めまいの予防と対処法】めまいの種類①回転性めまい
基本的にめまいを感じたときは専門医にご相談いただきたいのですが、ここでは一応めまいの種類を3つご紹介していきます。どのお医者さんに行ったらいいのか参考にしてください。
まず回転性めまいです。くるくる回ったわけでもないのに、自分や周囲がグルグル回ってるかのように感じてしまうのがこのめまいです。回転性めまいの原因の多くは耳だと言われていますので、とりあえず耳鼻科にご相談されるのがいいでしょう(脳など耳以外が原因のこともあります)。
また、耳鳴りや難聴を伴う場合のめまいは、メニエール病や突発性難聴の可能性もあります。絶対に放置せず、すぐに病院にかかってください。
メニエール病は長時間(30分以上)のめまいが続くことがあります。また、一度おさまっても、またいつ発作が起きるかわかりません。仮に症状が消えたとしても油断せず、必ず病院に行って受診してください。
耳鳴りや難聴を伴わない場合は、良性発作性頭位めまい症という病気が疑われます。この病気は頭の位置を変えたときなどにだけ短時間(30秒~1分程度)のめまいが起きることが特徴です。三半規管にある耳石という器官が剥がれ落ちて神経を刺激していることが疑われます。
【三半規管が原因?めまいの予防と対処法】めまいの種類②浮動性めまい
浮動性めまいは宙に浮いてるようなフワフワした感覚を伴うめまいです。主に姿勢をまっすぐに保てない、まっすぐ歩けないといった症状がでることがあります。
原因はさまざまで、ストレスによるもの(心因性)、薬の作用によるもの(薬剤性)、自律神経の乱れなどによるもの(全身性)、脳の障害によるもの(中枢性)などに分類されます。基本的に自己判断をせずに、すぐに病院に行って診察を受けてください。
特に激しい頭痛や嘔吐、手足のしびれや脱力感を伴う場合は中枢性(脳の障害によるめまい)の疑いがあります。絶対に放置せず、すぐに病院へ行ってください。
【三半規管が原因?めまいの予防と対処法】めまいの種類③立ちくらみ
長時間立っていたとき、お風呂から上がったとき、座った状態から立ち上がったときにクラクラとめまいがすることがあります。いわゆるた立ちくらみのめまいです。
これは脳に送られる血液が一瞬足りなくなることで起きます。低血圧などの体質もありますが、自律神経が乱れて血液を一定に保てなくなっている可能性があります。
その場合の原因はさまざまですが、ストレス、寝不足、疲労などが主に考えられる原因です。思い当たる方は生活習慣を見直してください。また、頻繁に起きる方は放置せず、病院で診察を受けることをおすすめします。
【三半規管が原因?めまいの予防と対処法】めまいが起きたときの対処法①緊急を要する場合
たかがめまいですが、されどめまいです。めまいを甘く見ていると取り返しがつかなくなることがあります。
もしめまいのほかに以下の症状が出た場合は様子を見たりせず、すぐに救急車を呼んでください。
・手足や顔にしびれがある。
・舌がもつれる(ろれつが回らない)
・ものが二重に見える
・激しい頭痛を伴っている
これらの症状があるときは脳の障害が疑われます。一刻も早く病院へ行ってください。
【三半規管が原因?めまいの予防と対処法】めまいが起きたときの対処法②安静にすべき場合
上記の症状を伴わない場合は、とりあえず安静にして様子を見てもいいでしょう。運転中ならば車を路肩に寄せて休む、立ってる場合は座る(可能な限り横になる)、などなどです。無理に動くと転んだり事故をおこしたりする危険性があります。
また、休んでいる間はできるだけ刺激を減らしてください。目を閉じるとか、音楽を止めるなどしてください。室内にいる場合は明かりを消す、カーテンを閉めるなどするといいでしょう。
なお、安静にしていたら治ったとしても、こういうめまいが頻繁に起きるようならば、病院へいかれることをおすすめします。安静にしていてもめまいがおさまらない場合も同様です。
【三半規管が原因?めまいの予防と対処法】日常のなかのめまい予防
普段に生活の中で、できるだけめまいが起きないようにするにはどうしたらいいのでしょうか? 予防する方法はあるのでしょうか?
もちろん絶対にめまいにならない方法というものは存在しませんが、めまいが起きるリスクを小さくすることは可能です。メニエール病は突発性難聴であっても、根本原因はストレスや自律神経の乱れ、疲れなどがあるからです。
まず、できるだけストレスを溜めこまないようにしましょう。精神的にストレスを感じたら、その場その場でゆっくり深呼吸をするなどして、解消するようにしてください。溜めておいてあとでまとめて解消するという方法はあまりおすすめしません。
もちろん疲労をため込まないことや睡眠時間の確保も大切です。もし、ベッドに入っても眠れないということがあっても、むやみに起きてテレビを見たりせず、お布団のなかで目を閉じてじっとしておきましょう。眠れなくても、ある程度の疲労はとれます。早寝早起きを心がけることも大切です。
食事も大切です。暴飲暴食は避け、できるだけバランスの良い食事を心がけてください。特にアルコールをとりすぎると平衡感覚が鈍ることがありますので、適量を心がけてください。
ウォーキングやサイクリングといった適度な運動を習慣にすることも大事ですね。基本的に、健康にいいと言われていることを実践していると、めまいになるリスクもそれだけ減らせます。
【三半規管が原因?めまいの予防と対処法】おすすめ平衡感覚トレーニング①眼球運動
体質により三半規管が強い人、弱い人がいるようです。そういう方のために三半規管を鍛え平衡感覚を養う方法がいいくつかあります。これによって慢性のめまいが改善することもあるので、専門医の指導の下、やってみてください。
まずは眼球運動です。これは良性発作性の回転性めまいに効果があり、また乗り物酔いも改善します。体の揺れは目の動きで補正できるからです。
まず、腕をまっすぐに伸ばし、指を一本立てます。そしてそのまま腕を左右に大きく振ります。このとき首は動かさず、眼球の動きだけで指を動きを追ってください。これを10往復(20回)です。
次に腕を上下に動かします。首は固定したまま。眼球だけでその動きを追います。これも10往復です。
最後に腕をX字型に動かします。同じく眼球で追いかけます。Xを5回書いてください。これで眼球を縦、横、ななめと動かすことができました。これを朝、昼、晩と1日3回行ってください。
上での動きはゆっくりでけっこうです。早く動かすと眼球が疲れてしまいます。また、うまく眼球が動かせないという人は、手を固定しておいて首を動かしてもいいです。
【三半規管が原因?めまいの予防と対処法】おすすめ平衡感覚トレーニング②後ろ歩き
平衡感覚を養うのに後ろ歩きも有効です。
できるだけ大股でまっすぐ後ろに歩いてみてください。ゆっくりでけっこうです。危ないので屋内でするほうがいいのですが、家は狭いので外でやりたいという方は、車や障害物に十分注意をしてくださいね。
そんなに何百メートルも歩く必要はありません。せいぜい20~30mも歩けば十分でしょう。なお、後ろ向き歩きは普段使わない筋肉の刺激にもなりますので、腰痛予防にもなります。
【三半規管が原因?めまいの予防と対処法】おすすめ平衡感覚トレーニング③片足立ち
バランス感覚を鍛えるのにおすすめなのが片足立ちです。
目を閉じ、腰に手を当て、片足で何秒立ってられるか試してみてください。できれば誰かに時間を計ってもらったほうがいいです。
足がついたり、手が腰から離れたり、極端に姿勢が崩れたら終了です。1日一回はチャレンジしていただき、毎日自己最高記録を更新さえせることを目標にやってみてください。
なお、片足でバランスをとって立つことはかなり良い脳トレになり、老化を防いでくれます。めまいがしなくても毎日やる価値はありますよ。
【三半規管が原因?めまいの予防と対処法】おすすめ平衡感覚トレーニング④平均台
片足立ちと同様、バランス感覚を鍛え老化を防いでくれるのが平均台歩きです。といっても本物の平均台を歩く必要はありません。
床に紐を置き、そのうえでまっすぐ歩くだけでも効果はあります。畳のヘリを歩くのもいいでしょう(行儀が悪いですが)。また、道の縁石などを歩くのもOK(周りに注意をしてくださいね)。
片足立ちが難しくて何秒も経ってられない、という方はこの平均台歩きから始められるのがおすすめです。
【三半規管が原因?めまいの予防と対処法】おすすめ平衡感覚トレーニング⑤横向き寝体操
次は良性発作性頭位めまい症の対処法です。頭の位置を変えるたびにめまいがする症状です。
まず、ベッドに仰向けになり、この状態から右向きに寝ます(いきなり右向きにならず、いったん仰向け寝てから右を向いてください。)首が痛い方は、肘枕をしてけっこうです。この右向き状態で10秒寝ます。
次に仰向けに戻ります。この状態で10秒キープ。そうしたら今度は左向きに寝ます(首が痛い人は肘枕をしてください)。これでまた10秒です。最後にもう一回仰向けに戻って10秒です。
以上を1セットとします。これを1日、朝昼晩、各5セットをやってみてください。
良性発作性頭位めまい症の方は姿勢を変えるたびにめまいがすると思いますが、頑張ってやってみてください。ただしあまりにめまいがひどい場合は病院に行ってください。上にも書きましたが、しびれや舌のもつれ、激しい頭痛などを伴うめまいの場合は、すぐに受診してくださいね。
【三半規管が原因?めまいの予防と対処法】おすすめ平衡感覚トレーニング⑥浮動性めまい体操
次はふわふわするめまい、浮動性めまいの対処法です。
背もたれのあるイスに座ってください。そうしたら両手で後頭部を抑え、頭を軽く固定します。その状態で、眼を上下に2往復、左右に2往復、右回り(時計回り)に2回転、左回りに2回転させます。これを1セットとします。
これができたら、あとは毎日、朝昼晩に5セットずつやってみてください。最低でも2週間は続けてみてくださいね。
【三半規管が原因?めまいの予防と対処法】おすすめ平衡感覚トレーニング⑦エプリー法
最後は良性めまい症の対処法として有名なエプリー法です。三半規管にある耳石を治す運動ですね。ちょっと運動中にめまいがすると思いますが、極端にひどくない場合は頑張ってやってみてください。
まず、座った状態で体を右に倒す、左に倒す、両方をやってみて、どちらに傾いたときにめまいがするか確かめてください。ここでは仮に右に傾いたときにめまいがするとします。
まず、枕を用意し、右斜め45度を見てる状態のまま寝ます。寝たまま右斜めを見た姿勢を30秒、またはめまいがおさまるまでキープします。
今度は反対、左斜め45度を向いて30秒またはめまいがおさまるまでキープ。次に首の角度を変えないまま体を左横に向けて寝ます。30秒またはめまいがおさまるまでキープです。
これが終わったら起き上がり、首をやや下に向け30秒キープ。これで終わりです。めまいでお困りの方は、折に触れこのエプリー法をやってみてください。
【三半規管が原因?めまいの予防と対処法】まとめ
いかがでしたか? たかがめまいと侮るなかれ。めまいには重篤な病気が隠れていることもありますし、少なくとも健康に黄信号が灯ってるような状態ではあります。めまいがしたら放置せず、十分に体のケアに努めてください。専門医に相談されるのもお忘れなく。