『テラフォーマーズ』とは
『テラフォーマーズ』とは、原作貴家悠、作画橘賢一によるSFバトル漫画です。火星で生活できるようにするため、その準備としてゴキブリを放った人類は、500年後放ったゴキブリを駆除するための部隊を火星へ向かわせます。火星にたどり着いた乗組員は、地球上に存在するゴキブリとは程遠い、人型にまで進化したゴキブリを目撃することになりました。
なぜか生理的に嫌われやすいゴキブリを、ゴリゴリマッチョの人型にし、人間と戦わせるという設定が人気を博した本作。アニメ化や実写映画化など、メディアミックスもされてきました。ゴキブリという、現実でも人間の敵となっている存在を、現実のように一方的にやられる弱い存在としてではなく、人の命も奪えるような存在として描いた本作は、現実での力関係についても考えさせられそうですね。
【テラフォーマーズ】テラフォーマーについて【考察】
『テラフォーマーズ』最強最悪の敵にして、謎の存在であるテラフォーマー。昔の人は何を思ってゴキブリを火星に放ったのでしょうか。黒い体を持つ生き物ならまだ他にも存在します。それを敢えてなぜゴキブリにしたのかと考えると、やはり適応能力の高さゆえではないかと考察されます。ゴキブリの繁殖力と生命力は凄まじいもので、他の生物なら死んでしまうような悪条件でも生きられることが選考の基準でしょう。
ではなぜ、人間のような体まで進化した「テラフォーマー」となったのでしょうか。作中では、失われた惑星・ラハブによる力ではないかと言われています。ラハブというのは彗星の衝突により失われた惑星で、高度な文明があったとされる星です。このラハブの神々が建築したとされるピラミッドが火星にはあり、そこに残留する膨大なエネルギーの影響で、ゴキブリは500年という短い間にこれほどの進化を遂げたと考えられています。
【テラフォーマーズ】人の形を取る意味【考察】
ラハブという謎の惑星の影響でテラフォーマーが生まれたと考えた場合、疑問なのがなぜ「人型」なのかということです。しかも完全な人型ではなく、虫時代の特徴を残し、到底人間とは思えない力を持っているというのも不思議な部分ですよね。能力については、生態系の頂点に立つ者として備わった特性と考えられ、人型もそこに行くために必要な要素だったのではないかと考えられます。
そもそもラハブというのは、遠い昔地球にも何かしら関わっていたとされ、この人型の姿はラハブの神々の姿なのでは、と作中で考えられています。この作中の言葉から考察すると、地球上に住まう人間も、遥か昔ラハブの力の一端に触れ、ラハブの神々のような「知能」「効率的な体」を得たのでしょう。つまり、人の形というのは、その惑星を支配する生態系の頂点として最も適した形なのだと考えられます。
【テラフォーマーズ】テラフォーマーと人類の関係【考察】
ラハブの力に触れたことで、現在の人類が誕生し、ゴキブリも人型となってテラフォーマーになったと考えると、テラフォーマーと人間は素体が違うだけで同様の存在とも言えます。原作で「ゴキブリと人間は同じ郷里」と言われていますが、これはおそらくどちらもラハブの影響を体に受けた存在という意味で間違い無いでしょう。
また、人間とテラフォーマーの共通点として、他の虫、あるいは生物を身に宿し、その能力を使うことができるというのも挙げられます。もちろん、これは手術を受けた人間、先天的に他の生き物の能力を持っている人間のみに言えることですが、人型だけではなく+αの要素によって強靭な体、能力を得られる、またその素質があるというのは、テラフォーマーと人類が兄弟のような同等の存在であることの証明とも言えますよね。
【テラフォーマーズ】テラフォーマーの鳴き声【考察】
テラフォーマーたちの特徴として印象的なのは、まず第一にその見た目ですが、鳴き声もそのひとつではないでしょうか。この人の名前のような鳴き声は、『テラフォーマーズ』本編前半の22年前に、火星に降り立った「ジョージ・マイルズ」という人物の名前から来ています。彼が周りの人間にそう呼ばれているのを見て、それが鳴き声のように感じたのでしょう。
ただ、なぜこの言葉だけが残ったのか不思議ですよね。基となったジョージは、ラハブの正体を知る人物がいるニュートン一族の血を引いており、それが関係しているのではないかと予想されます。おそらくニュートン一族とラハブには深い関係があり、その血族にはラハブの気配というものが纏わりつき、ラハブの力によって進化したテラフォーマーは、その気配を持つ人物を指す言葉に特殊なものを感じ、結果的にそれが彼らのコミュニケーション手段となったのではないでしょうか。
【テラフォーマーズ】A・Eウイルスについて【考察】
『テラフォーマーズ』の物語は、すぐに第2部へと進みます。その第2部で登場するのが、致死率100%のウイルス「A・Eウイルス」です。これは火星から運ばれてきたウイルスと考えられており、現に火星の地下には多くのウイルスが仕込まれていました。作中では、ウイルスはラハブが対人間ように仕込んだものと推察されており、おそらくそれは間違い無いのではないかと考えられます。
ラハブは、すでに地球にその力を分け与え、人類史の成長に大きな助力をしました。その人間たちが、いずれ自分たちのように惑星間を移動する手段を獲得すると考え、そうなったときのために人間が住める可能性のある星に罠を仕掛けたのではないかと考えられます。かつてすべての生物の頂点にいたであろうラハブの神々にとって、自分たちと同等、もしくはそれを超えるような存在は目障りだと考えていた可能性が考えられますよね。
【テラフォーマーズ】膝丸燈の存在【考察】
第2部以降の主人公となる膝丸燈。彼はデザイナーベビーと呼ばれる、遺伝子操作をして生まれた存在です。虫の能力を人体で使えるようにする手術を行った者たちの遺伝子を使い生み出された人物で、生まれながらにその能力が使える稀有な存在でもあります。国籍は日本、風貌も日本やアジア系ではありますが、実際に彼を生んだ人物、遺伝子提供者はいまいちはっきりとしていません。
彼が使える能力を以前持っていた人物は、おそらく全員遺伝子を利用されているでしょう。成功率の低い手術を行うくらいなら、遺伝子を弄って最初から能力使えるようにしたほうがいいのは当然のこと。生まれながらに能力を持っている彼は、第二世代としてテラフォーマーの脅威になり得る人物と言えるのではないでしょうか。
【テラフォーマーズ】「バグズ手術の次の可能性を示す4人」について【考察】
人間に昆虫の遺伝子を組み込む「バグズ手術」について、従来考えられていたより十二分にその能力や適応力を見せる人物たちが「バグズ手術の次の可能性を示す」4人と言われています。
膝丸燈
まず、デザイナーベビーとして生まれた膝丸燈。彼は、同一の個体だけでなく、複数の虫の能力を宿しています。それだけその身に刻まれた虫のDNAが多いということで、体内にそれだけの遺伝子配合を受けながら通常生活を送れるというのは、確かに「次の可能性」と言えますね。
蛭間一郎
このあと1時からBS11で4話「TRIPLE COMBAT~三つ巴~」放送です。混迷を深める火星の旅、そして地球でも水面下で攻防が… https://t.co/2nsbo0zJ5A #_terraformars (うどん) pic.twitter.com/CYZKXiqDEU
— アニメ『テラフォーマーズ リベンジ』公式 (@_terraformars) April 28, 2016
当初は仲間を裏切ろうとし、のちのち総理大臣の地位まで上り詰めた蛭間一郎。彼は、戦いの前線とはまた違う場所に立つことになった人物ではありますが、DNAに組み込まれた虫の能力から次の可能性の1人として考えられています。とても生き物が生きられないような状態でも、仮死状態になって生き延びられるというのは、失われた惑星・ラハブのことを考えると重要そうですよね。
ミッシェル・K・デイヴス
父親が手術を受け、遺伝でその能力を受け継ぐこととなったミッシェル。虫のDNAを組み込んだ人物が親にいるからといって、それを遺伝で受け継ぎ自然と誕生するというのは非常に稀有なこと。もしこれが平常のこととなれば、まず間違いなく人間はテラフォーマーより上位の個体になれるでしょう。
エヴァ・フロスト
体を切られても再生する、かなり原始的な生物のDNAを持つエヴァ。能力および、そのベース生物が完全に人体と馴染んでいるあたりは蛭間と同じような人物ですね。彼女自身、条件が揃えば再生が可能で、ほぼ不死とも言えるその力は、手術の次の可能性というのはもちろん、人類にとっても次なる可能性を持った存在です。
【テラフォーマーズ】ラハブとは何か【考察】
ラハブとは、火星と木星の間に存在したとされる、太陽系の惑星のことであり、そこには高度な文明があったとされています。火星にあったピラミッドはもちろん、地球上にあるピラミッドもラハブの神々が建造したものだと考えられ、その文明の高さはおそらく作中の地球より上で、神と呼ばれるに相応しい現代科学では証明できない技術を有していたと考えられますね。
「バグズ手術の次の可能性を示す4人」の中で、虫の能力が神経レベルで体に馴染んでいる蛭間やエヴァは、現代の技術ではその仕組みを解明できないとされており、驚異の再生能力、驚異の適応能力を持っていることから、人類の中では最もラハブの文明に近しい存在と言えるでしょう。もしかしたら、彗星の衝突によって住んでいた惑星を失ったラハブの神々にとっても、彼らは「次の可能性」なのかもしれません。
ラハブに生きていた存在、超常的な技術は、現在も存在しており、彼らは次に自分たちが住む惑星として地球や火星を選んでいたのではないかと推察されます。
テラフォーマーズの考察についてまとめ
ゴキブリvs人間という、一瞬出オチのようにも感じる設定ながら、国同士の駆け引きや、第三勢力を思わせる展開など、バトルSF漫画として非常に楽しい『テラフォーマーズ』。それぞれのネーミングの由来や、現状でている情報だけで多くの考察ができるので、完結を迎える前に多くの可能性を考えても楽しそうですね。