ジャズ、かっこいいなぁ。どんな歴史があるのだろう。
最近ジャズにハマっているんだ、というそこのあなた。きっかけは何ですか? ふらりと立ち寄ったジャズバー? それとも最近有名なマンガの『BLUE GIANT』? あなたにジャズ好きの歴史があるように、ジャズにも深い歴史があることをご存知ですか? いや、知ってはいたけど詳しくはない。それともこれから知るところなんだ! というあなたまで、この記事を読めばジャズ通になれること間違いなしですよ。ぜひ、お気に入りのジャズを聞きながら読んでみてください!
関連記事
ジャズ初心者からジャズマニアまで知っておきたいジャズの歴史! 有名プレイヤーは? その1.ジャズ発祥の地
まずご紹介するジャズの歴史はジャズ発祥の地、ニューオリンズです! ニューオリンズってどんな街? 最近だと2005年にハリケーンカトリーナの被害にあったことで有名でしょうか。アメリカ合衆国ルイジアナ州南部にある同州最大の都市です。音楽と食の街と称されるだけあって独特の文化が発展した街です! そんなニューオリンズはゆったりした時間が流れるとてもいい街です。ジャズ好きが高じてしまったというそこのあなた。一度ジャズの聖地、ニューオリンズを訪れてみてはいかがでしょうか?
さて、そんなニューオリンズに関連したおすすめの一曲を紹介しようと思います。こちら、『boom boom』はニューオリンズが舞台になっているドラマ『NCIS:neworleans』のテーマソングに起用されている曲です。低くて渋い男性の「boom boom boom boom」という歌いだしが特徴的な一曲。歌手のJohn Lee Hookerは有名な人なので知っている人もいるかもしれませんね。これから始まるジャズの旅の始まりに持って来いの曲。一度聞いてみてはいかがでしょうか?
ジャズ初心者からジャズマニアまで知っておきたいジャズの歴史! 有名プレイヤーは? その2.もともとは寄せ集めの楽器で始まった
さて、そんなニューオリンズでなぜジャズが生まれたのかと言いますと、南北戦争というアメリカの歴史を語る必要があります。奴隷の解放をめぐって国が真っ二つに割れた戦争の事なのですが、1863年アメリカの黒人奴隷たちは自由を得ることになりました。自由になった奴隷たちは自分の力で生きて行かなければなりません。しかし彼らには仕事の伝手も、手に職もありませんでした。そんな中、唯一の食い扶持が音楽を演奏すること、だったのです。
当然、奴隷はあまりお金を持っていないので立派な楽器を用意することができません。当時ニューオリンズには軍隊の楽隊で使い古された楽器が二束三文の値段で売られていました。奴隷たちはこれらの楽器を手にして酒場やダンスホールでBGMを演奏することでお金を稼ぎました。これがジャズの発祥だと言われています。
さて、ジャズと言えばアドリブパートの遊びっぷりが好き、という方もいらっしゃるでしょうが、何故ジャズにはアドリブが認められる文化が育ったのでしょうか? 実は、ジャズの担い手であった奴隷たちは教育を受けた人間が少なかったため、楽譜を読める人間が少なかったのです。しかし彼らの生業は音楽。どうしたのかと言いますと耳コピをしたのです。しかし耳コピでは不完全な部分がどうしても出てしまいます。そうした不完全さを補うために、アドリブパートが生まれ、悪く言ってしまえばアドリブで誤魔化すことでジャズという文化が発展していったのです。
さて、そんなジャズの名曲を一つ紹介します。マイルス・デイヴィスというジャズプレイヤーの『ラウンド・アバウト・ミッドナイト』という曲です。マイルス・デイヴィスの特徴は研ぎ澄まされた音色でシンプルに演奏すること。アドリブも二つ以上はぶつけないというこだわりを持っているほどです。シンプルな曲を奇をてらわずにシンプルに演奏して聞く人の心を捉える。彼が「ジャズの帝王」と称される理由も分かる気がします。一度聞いてみてはいかがでしょうか?
ジャズ初心者からジャズマニアまで知っておきたいジャズの歴史! 有名プレイヤーは? その3.次第にエンターテイメントに
1910年ごろ、それまでは生きるために音楽をやっていた奴隷たちが次第にその実力を認められるようになり、音楽をもっと楽しめるようになります。しかし音楽だけで食べていくにはやはり演奏に工夫をする必要があり、コミカルな演奏をしたり聞く人を引き付けるような演奏をする奏者が多かったそうです。ここでもアドリブは大事な文化としてジャズに根を下ろします。奏者が自分の工夫を凝らすことができるアドリブはジャズにとってなくてはならない文化となっていったのです。
さて、そんなアドリブが素敵な曲を一曲紹介しましょう。ディズニー映画『白雪姫』の主題歌としても有名なこの曲。ジャズ初心者もジャズマニアも一度は聞いておくべき名曲でしょう。静かにアドリブのイントロから始まり、そっと曲に入って行く。テーマを演奏する時はシンプルですが、アドリブに入ると途端に激しくなるこのコントラストがたまりません。一度聞いてみてはいかがでしょうか?
ジャズ初心者からジャズマニアまで知っておきたいジャズの歴史! 有名プレイヤーは? その4.ジャズ、ニューヨークへ行く
1920年ごろ、第一次世界大戦が始まったタイミングで、ジャズはミシシッピ川を北上し、シカゴからニューヨークへと流れ込みました。おりしも禁酒法時代。マフィアが持つ違法酒場でジャズは不可欠な存在となり、ジャズ文化がさらに盛んなものへと進化していきました。
さて、ここでおすすめの曲をもう一曲。ジョン・コルトレーンというプレイヤーが演奏する『My favorite things』という曲です。映画『サウンド・オブ・ミュージック』で有名な曲です。プレイヤーのジョン・コルトレーンは「シーツ・オブ・サウンド(敷き詰めた音)」という通り名を持っているくらい音をたくさん出すことで有名なジャズプレイヤーです。こちらの一曲も、初心者からマニアまで、おすすめの一曲となっています。一度聞いてみてはいかがでしょうか?
ジャズ初心者からジャズマニアまで知っておきたいジャズの歴史! 有名プレイヤーは? その5.ビッグバンドの時代へ
1930年ごろ、世界は大変な混乱の時期にありました。1929年に起きた世界大恐慌のせいでどこもかしこも景気が悪くなってしまったのです。暗い時世に対抗するように、音楽界では明るい曲調が好まれるようになりました。ジャズ界もその例外ではありません。ビックバンド(サックス、トランペット、トロンボーン、ピアノ、ベース、ドラムス、の大編成のバンド)全盛期時代へ突入します。華やかなスウィングジャズの全盛期です。
そんなビッグバンドジャズおすすめの一曲を紹介します。ナット・キング・コールの『ROUTE 66』という曲です。コロンビア・レコードからリリースされたバージョンが大ヒットしたことで広く知られることになりました。さまざまなサウンドスタイルで、多くのジャズプレイヤーによってカバーされている名曲です。一度聞いてみてはいかがでしょうか?
ジャズ初心者からジャズマニアまで知っておきたいジャズの歴史! 有名プレイヤーは? その6.ジャムセッション
1940年ごろ、ダンスと一体化したジャズに飽き始めたジャズプレイヤーたちが夜な夜なジャズクラブに集まって「ジャムセッション」と呼ばれる集会を開くようになりました。ジャムセッション、とは、ジャズプレイヤーたちがくつろいで自由に行う即興演奏のことで、ここでもアドリブ文化は重要視されることになります。メロディやハーモニーを主体とする、アドリブ中心の文化が栄え、徐々にジャズの主流へと変わっていきました。
ここでもまたおすすめの曲を一曲紹介しようと思います。ベニー・グッドマンの『Sing Sing Sing』です。映画『スウィング・ガールズ』でも演奏されているので知っている方も多いのではないでしょうか。初心者にもマニアにもおすすめのスウィングジャズの一曲です。
ジャズ初心者からジャズマニアまで知っておきたいジャズの歴史! 有名プレイヤーは? その7.時代の最先端へ
1950年ごろ、ジャズは時代の最先端へと咲き始めます。プレイヤーが演奏したものを聴衆も聞き入れるようになり、この頃から1960年代までがジャズの全盛期といっても過言ではないそうです。
さて、そんなジャズ最盛期の曲を一曲紹介します。チェット・ベイカーというプレイヤーの『My Funny Valentine』という曲です。メロディアスなトランペットと中性的な声が特徴のチェット・ベイカー。ウェストコートジャズの代表的な奏者の一人です。こちらも初心者からマニアまでおすすめの一曲。一度聞いてみてはいかがでしょうか?
ジャズ初心者からジャズマニアまで知っておきたいジャズの歴史! 有名プレイヤーは? その8.アメリカを代表する音楽に
かくしてニューオリンズでその産声を上げたジャズはおよそ50年ほどの時間をかけてアメリカを代表する音楽へと成長していきました。酒場で演奏したり、その後ジャムセッションで演奏しあったりしている内に音楽はどんどん発展を遂げて、進化していったようです。
映画『カサブランカ』で有名なこの曲を紹介して最後にしましょう。切ないメロディのこの曲にデクスター・ゴードンのテナーはぴったりです。こちらも、初心者からマニアまでおすすめの一曲。一度聞いてみてはいかがでしょうか?
関連記事
ジャズ初心者からジャズマニアまで知っておきたいジャズの歴史! 有名プレイヤーは? 時の流れゆくままに
以上、歴史と共に振り返るジャズでした。ニューオリンズで生まれ、ニューヨークで発展していった音楽、ジャズ。その真骨頂は、肩の力を抜いてリラックスして楽しむことにあるのではないでしょうか。ジャズが好きになったばかりだという人も、ジャズが大好きで仕方がないという人も、楽しむことができたら筆者としてこれ以上の喜びはありません。皆さんもぜひ、ジャズを聞いてみてはいかがでしょうか?