ジャイアンは本名を剛田武というのび太の同級生の男の子です。幼少のころから接点があるのを見ると、幼馴染と言えるかもしれません。
誕生日は6月12日で、趣味は歌。ジャイアンが出てくる話では、目が大きく眉がキリッと太い通称「きれいなジャイアン」が出てくる「きこりの泉」が有名ではないでしょうか。ドラえもんの道具でまるっきり変わってしまったジャイアンは見ものですよ。
ジャイアンという名前の由来はそのまま「ジャイアント」。巨人や巨大なものという意味の英語ですね。いつものメンバーのなかでは最も体の大きいジャイアンですが、のび太・ジャイアン・スネ夫のなかでは、実は1番誕生日が早いのです。
のび太の誕生日が8月、スネ夫の誕生日が2月なので、この3人に関しては、誕生日の違いによる体格差がよく出ているのではないでしょうか。誕生日が1番遅いスネ夫は体が小さいですし、誕生日が2人の間ののび太は平均的で、ジャイアンが1番でかい。子どものころは誕生日の早い遅いで体格差が出やすいので、そういったところも踏まえて見てみても楽しいですね。
よく自分勝手な人間を「ジャイアニズム」と揶揄することがありますが、このジャイアニズムという言葉は、ジャイアンから来ているスラングのようなもの。
ジャイアンのように、気に入らないと暴力で解決しようとしたり、人のものを奪っていったりするようなことに対して「ジャイアニズム」という言葉は使われます。ある意味ドラえもんより存在が根付いていると言えるのではないでしょうか。
ただ、ジャイアニズムの典型で、ジャイアンの代名詞とも言える「おまえのものはおれのもの、おれのものもおれのもの」は、「お前の痛みは俺のもだ」「お前のものは俺のものだから、無くしたものがあったら一緒に探す」という意味合いで使われていたよう。
もちろん「お前のものは俺のものだから、勝手に使う」という意味としても使われてはいますが、「おまえのものはおれのもの、おれのものもおれのもの」という言葉には、相手のためという思いやりの面もあるのです。
最初にジャイアンの声を担当していたのは、肝付兼太さん。スネ夫の声優として知っている方も多いのではないでしょうか。肝付さんがジャイアンの声優をやっていたのは、ほぼ幻となっている日テレ版のアニメドラえもん。そのため、肝付さんが以前はジャイアンをやっていたことを知らない人も多いかもしれませんね。
前述の通り、ドラえもんがテレビ朝日で放送されてからは、長年スネ夫役としてその声を担当していました。他にも『おそ松くん』の「イヤミ」や『それいけ!アンパンマン』の最初の「ホラーマン」など、なかなか声に癖のある役を多く演じて来ました。
テレビ朝日版アニメドラえもんで長い間ジャイアンの声優を担当していた、たてかべ和也さん。ジャイアンの声優と言われて思い浮かべる方も多いかもしれませんね。
以前ジャイアンの声を担当していた肝付さんとは、テレビ朝日版アニメドラえもんで「ジャイアン」「スネ夫」として長年共演し、たてかべさんのお通夜では、肝付さんがスネ夫の声でジャイアンに語りかけるというシーンもありました。
『ど根性ガエル』や『はじめ人間ギャートルズ』など、昔の名作アニメに多数出演し、『ヤッターマン』では「トンズラー」などを演じていました。
たてかべさんのあとジャイアンの声優を担当したのは、当時まだまだ新人だった木村昴さん。ジャイアンからは想像できないかっこいいその見た目から、交代当初は話題にのぼることも多かったですね。
ジャイアンの声優になった当初はまだ中学生だったという木村さん。人気長期アニメ『ドラえもん』のいじめっ子役ジャイアンで声優デビューを果たしてからは、『ピンポン THE ANIMATION』や『暗殺教室』など多くの人気アニメに登場。女性向けアニメ『Dance with Devils』の「南那城メィジ」の声を担当するなど、ジャイアンからは想像できない役も多い人物です。
今後ドラえもんのジャイアンといえば「木村さん」という時代が来るかもしれません。木村さんはまだまだお若いので、これからの活躍が期待されますね。
ジャイアントいえば、やはり「歌」ですよね。趣味が歌で、1人で歌うのではなく、多くの人に聞かせることも好きなジャイアン。しかし、彼の歌は人間を含めた動物の気を失わせ、植物を枯らし、ガラスを破壊するほどの威力があるのです。
歌うことは空気を振動させることなので、声量のある人が歌えばガラスが揺れたりすることはありますが、ジャイアンの歌は完全に破壊しにかかっているのです。のび太たちはジャイアンの歌を聞くのを嫌がりますが、ジャイアンに音痴だとはいえず、またジャイアンも自分が音痴であることを知らないので、嬉々としてリサイタルを開きます。
ジャイアンは歌うときに力が入るのか目を瞑る癖があるらしく、歌唱中のみんなの苦しそうな声や変化が見えていないのです。自分が音痴だと知ったところで、仲のいいのび太やスネ夫には遠慮なく歌を聞かせるとは思いますが……。命に関わるとまで言われる歌を歌えるジャイアンは、四次元ポケットがなければ道具を出すことができないドラえもん以上に、最強キャラと言えるのではないでしょうか。
ジャイアンメインの話で話題にあがることも多い「ジャイアンシチュー」。実はジャイアン、料理も趣味のひとつなのだそう。小学5年生にして素晴らしい多趣味さです。
シチューなのに紫の煙が立ち込めていたり、シチューなのに大福を入れていたりと、材料と見た目からしてそのヤバさが伝わって来ますね。着色もしていなければ紫色になるものも入れていないのにこの色合い……。カラー画像を見るに、串付きの団子も入っているよう。
団子を入れること自体どうかと思いますが、せめて食べられない串は外してほしいものですね。このジャイアンシチューを実際に作っている方も多いので、実写の食べ物が紫色でも問題なく見れる方は、実際に作られたジャイアンシチューを見てみてください。
このシチューを食べる羽目になったのは、当然のび太やスネ夫です。自分の作ったものに相当の自信があるのあるのか、友人に美味しいものを振る舞いたいのか、ジャイアンは自分の好きなことを他人と共有したがるところがあるようですね。
シチューに次いで、ジャイアンの創作料理が登場したのはピザの話のとき。スネ夫の家で初めて食べたピザに感動したジャイアンが、世界中の人にこの感動を届けようとドラえもんに環境を整えてもらいピザを作るのですが、これもまた謎の紫色。
もともとシーフードピザを作る予定だったようなのですが、ロブスターを入れるところをザリガニを入れたり、自分の好きなくさやを入れたりと、途中から指示を無視してやりたい放題です。シチュー回のときにも入れていましたが、今回のビザにもいかの塩辛を入れいて、どうやら自分の好きなものを好きなだけ入れるのがジャイアン流のよう。
ピザ窯でピザを焼いているときに出てきた紫の煙を吸った動物たちはもれなく気を失っているので、ジャイアンの作り出すものは全体的に生き物に悪影響を及ぼすそう。リサイタルのときより怯える町中の人々の様子を見るに、ジャイアンのピザは相当な凶器になりそうです。
ドラえもんの映画でよく言われることは「映画だとジャイアンがいい奴」という言葉。普段は傍若無人なのに、映画のときだけ突然いい人のようになるジャイアンのことを「ジャイアン映画版の原理」「ジャイアン映画版の法則」と言うそうです。
また、中には、普段はいけ好かないのに、あるとき突然いい人になる人物に対して言われることもあるそう。ジャイアンは新たな言葉や新たな法則を次々生み出すすごいキャラクターですね。
実際、映画になるとジャイアンは一気にいい人になるのですが、普段その雰囲気が一切ないかと言われるとそう言うわけではありません。のび太が他の人にいじめられていたら、のび太のほうに加勢しようとしますし、足手まといになるのび太を野球に誘ったりと意外といい面もあるのです。
のび太にとって、失敗すれば殴られる野球は地獄でしかないかもしれませんが、仲間外れにされないと言うのはいいことですね。
「おまえのものはおれのもの、おれのものもおれのもの」が本来使われていた場面から考えると、ジャイアンは本来とても友情に厚い人物だと言うことがわかります。普段は暴れん坊の乱暴者ですが、のび太のことを「心の友」と言ったり、なんだかんだ味方になるところを見ると、彼の根底には友だちを大事にする優しさがあることがうかがい知れます。
「のび太の結婚前夜」では、のび太を自宅に呼んで一緒に酒盛りをするのですが、のび太がジャイアン宅から帰る際、「しずかちゃんがどうしてのび太を選んだのかわかった気がする」という言葉をのび太にかけるのです。
友人の背中を無意識に押せるジャイアンは、確かに乱暴ものですが、決してそれだけではないような気がします。
ジャイアンは良くも悪くも「ガキ大将」なのです。気に入らないと自分より弱い人物に暴力を振るうところも、自分より強い立場の大人に頭が上がらないのも、いつもは自分がいじめているのび太が他の人物にいじめられていたら、のび太を助けようと加勢するのも、彼が根っからのガキ大将だからだと言えます。
本当にいい人間だったら、まず暴力を奮いませんし、人のものを奪ったりしません。本当に悪い奴だったら、のび太のことは徹底的にいじめますし、仲間に入れることもしません。地域の子どもたちを牛耳る「ガキ大将」だからこそ、ときに力任せに行くこともありますし、普段の自分の行動とは裏腹な行いをすることがあるのです。
良くも悪くも、ジャイアンは「ガキ」で、「大将」気質を持っている人物なのではないでしょうか。
無意識に迷惑な行いをしていたり、自分の意思で人の迷惑になることをするなど、なかなか悪行も多いジャイアンですが、その実、人間的には優しい面や人を思いやる心を持つ人物でもあるのです。
いいときのジャイアンも悪いときのジャイアンも、ジャイアンを形作るためには必要な側面だと思うと、ただのいじめっ子という印象も変わって来ますね。