1.イタリア定番家庭料理・郷土料理ってどんなの?
日本ではイタリア発祥の料理のことをイタリア料理と呼んでいますが、厳密にはイタリア料理というジャンルのものは存在しないことご存知でしたでしょうか。南北に長い長靴の形をしたイタリアは統一されたのは1861年と割と遅く、それまでに20ある州それぞれが、それぞれの郷土料理を独自に生み出してきたのです。
2.イタリア定番家庭料理・郷土料理~パスタ事情~
イタリアの郷土料理を説明する際、イタリアのパスタ地図は有名です。それぞれの州で実は食べられるパスタが異なるのです。ちなみに日本のイタリアレストランの定番メニューナポリタンは、ナポリ発祥ではなく、日本発祥です。ホテルニューグランドの第2代総料理長入江茂忠が戦後考案したとされており、戦後日本に進駐軍として駐在していたアメリカの兵士の食べる具なしのパスタを見て、美味しく食べられるようにアレンジしたことで誕生したのがナポリタンと言われています。
3.イタリアの定番家庭料理・郷土料理~ミラノ編(ロンバルディア州)~
ミラノ風カツレツ(Cotoletta alla milanese)
とんかつの原形と呼ばれるミラノ風カツレツは、薄くたたいた仔牛肉が使われるのが定番です。小麦粉、卵に着けて作るところまではとんかつと同じですが、さらにパルメザンチーズを入れるのがミラノ風です。揚げる前につけるパン粉も日本のものより目が細かいのが特徴です。
ミラノ風リゾット(Risotto alla Milanese)
ミラノではリゾットを好んでよく食べられますが、他の地方と異なりサフランが使われます。昔、ミラノで働いていた使用人が主人と仲たがいをし、嫌がらせのつもりで主人の結婚式のリゾットにサフランを入れたことがきっかけでこの料理が生まれたとか。実際のところ使用人の思いとは裏腹に絶品だったとか。
オッソ・ブッコ(Osso Buco)
子牛のすね肉をトマトや白ワイン、野菜などで煮込んだ煮込み料理です。ミラノではトマトで煮込みますが、赤ワインで煮込んで作る地方もあります。すね肉は筋が残りやすいので、じっくりと時間をかけてつくる手の込んだこの煮込み料理はぜひ本場のイタリアで味わっておきたい一品です。
4.イタリアの定番家庭料理・郷土料理~フィレンツェ(トスカーナ州)編~
トリッパ・アッラ・フィオレンティーナ(Trippa alla Fiorentina)
トリッパ・アッラ・フィオレンティーナはフィレンツェの家庭料理マンマの味です。イタリア版もつ煮込みで、牛の第2胃袋(ハチノス)をトマトやハーブでじっくり煮込んだ煮込み料理です。丁寧に下ごしらえしてないと臭みが残るので、料理人の腕が分かる料理の一つです。
ビステッカ・アッラ・フィオレンティーナ(BisteccaallaFiorebtina)
フィレンツェを訪れたなら食べておきたい定番料理Tボーンステーキです。キアニーナというブランド牛の子牛の肩ロースが使われるのがフィレンツェ流です。レストランでは大抵kgでのオーダーとなり、お値段も高めですが、食べておく価値ありの美味しいステーキです。
ピチ、ピンチ(Pici)
手打ちの丸くて太いパスタピンチは水と小麦粉のみで作られます。どちらかというと、うどんに近い麺です。何メートルも途切れず長いピンチを作れるのが腕のいい職人の証拠だとか。ソースとしっかり絡むピンチはトスカーナ州のソウルフードです。
5.イタリアの定番家庭料理・郷土料理~ナポリ(カンパニア州)編~
ポルポ・アッフォガート(polpo affogato)
ナポリの美味しい煮込み料理ポルポ・アッフォガートはポルポ=タコ、アッフォガートは溺れるという意味でタコが溺れる煮込み料理です。叩いて柔らかくしたタコをトマトソースでじっくり似た料理。まずはブレッドにつけて食べ、余ったらパスタに絡めて食べるのがナポリ風。1度の調理で2度美味しいマンマの味方家庭料理です。
ナポリ風カルツォーネ(Calzone napoletano)
日本でも最近おなじみのカルツォーネはピザ生地を半月状に折りたたんで包み焼にしたもので、特に南イタリアで食べられている料理です。中でも具材にリコッタ、パルミジャーノやモッツァレッラチーズを使ったものがミラノ風と言われています。
ナポリ風ピッツァ(Pizza napoletana)
イタリアにもナポリ風やローマ風など様々なピザが存在しますが、ピザの本場はナポリとされています。そんなナポリ風ピザといえば生地がふわっと柔らかく、淵が厚めに作られているもので、手で伸ばしてあるもの、さらには具材がシンプルで薪で焼いたピザのことをナポリ風と言います。マルゲリータやマリナーラがナポリ風ピザです。一方生地がクリスピーで具材もいろいろのっているものがローマ風です。
6.イタリアの定番家庭料理・郷土料理~ヴェネツィア(ヴェネト州)編~
グーラッシュ(Gulasch)
もともとハンガリーのスープ料理として食べられていましたが、ハンガリー・オーストリア帝国の支配を受けていたヴェネト州ではイタリア風にアレンジされ今では郷土料理となています。イタリアではポンレタと呼ばれるトウモロコシの粉をお粥状にした料理のつけ合わせのスープとして食べられることが多く、味付けもハーブを沢山使って煮込むのが特徴です。
お米とグリーンピースのスープ(Risi e bisi)
フレッシュなグリンピースは日本で食べるグリンピースと全く触感が違い、どちらかというとさやえんどうのような触感です。お米と一緒に煮込んだスープですが、家庭によってはスープの水分を完全に飛ばしてリゾット風にして食べる家庭もあります。
イカ墨のスパゲッティ(Spaghetti al nero di seppia)
日本でも人気、見た目のインパクトが大きいイカ墨のスパゲッティはヴェネチアの郷土料理です。もともと今もベネチィアで営業を続けているTorattoria Alla Madonnaというレストランが発祥だとか。新鮮な海の幸が豊富なヴェネチアだからこそ生み出せた一品です。
カルパッチョ(Carpaccio)
もう一品日本でも人気のベネチィア料理を紹介します。その名もカルパッチョ。魚や牛肉を薄切りにしてオリーブオイルとやソースで味付けし、チーズやスパイスを載せた前菜として食べられる一品です。オリーブオイルの美味しいイタリアのカルパッチョはより食材の味を引き立たせており、日本で食べるものとはまた違った味に出会えます。
7.イタリアの定番家庭料理・郷土料理~シチリア(シチリア自治州)編~
カポナータ(Caponata)
野菜をトマトで煮込んだ料理で間違えないのですが、シチリアのカポナータはナスの甘酢煮をカポナータと呼びます。ちなみによくフランスのラタトゥイユと混同されがちですが、実は全く違う料理です。カポナータの主役がナスなのに対してラタトゥイユの主役はズッキーニ、さらにカポナータはナスを揚げて作るのに対してラタトゥイユは炒めて煮込みます。
クスクス料理(Cous-cous)
北アフリカ発祥のクスクスですが、シチリアでも今は家庭料理として食べられています。お米のようですがパスタに分類されるクスクスはスーパーフードとよばれ食物繊維やビタミンが豊富で栄養価の高い食材です。
8.イタリアの定番家庭料理・郷土料理~ローマ(ラツィオ州)編~
カルボナーラ(Carbonara)
カルボナーラはローマで食べられるパスタです。ちなみにパスタの人気メニュー、カルボナーラは貧乏食として食べられていたのをご存知でしょうか。もともとチーズと黒コショウのみで味付けされた料理でしたが、戦後ようやく卵を入れて作られるようになりました。今でも本場ローマのカルボナーラは生クリームは使用されていません。とは言えカロリーはかなり高いのでご注意を。
9.イタリアの定番家庭料理・郷土料理~ボローニャ( エミリア・ロマーニャ州)編~
ボロネーゼソース(ragù alla bolognese)
ボロネーゼソースの発祥は名前のとおりボローニャです。パスタに絡めてボロネーゼとして食べたり、ラザニアの具材として利用したり、いろんな使い方のできる便利なソースがボロネーゼソースです。美味しいボロネーゼソースが食べたい方は、ぜひボローニャへ。
ペンネ・アラビアータ(Penne all’arrabbiata)
アラビアータと名前がついていいますが、アラビア料理ではありません。厳密にはアラ・ビアータで怒ったという意味のイタリア語です。スパイスが効いていることからこのネーミングがついたそうです。
10.まとめ
イタリアの郷土料理はいかがだったでしょうか。美食の国イタリア。パスタやピザだけでなくスープや煮込み料理など、実は地方によって郷土料理がいろいろあったのです。お目当ての料理がある方はぜひ本場に足を運んでみてはいかがでしょうか。