『とある科学の一方通行』とは、大ヒットとなったライトノベル『とある魔術の禁書目録』に登場する敵キャラクター、一方通行（アクセラレータ）を主人公に描いた外伝作品です。展開している媒体はコミックスで、原作作者の鎌池和馬をはじめ、作画担当やキャラクターデザイン担当など、多くの人が関わっている作品でもあります。

舞台は人工的に能力者を作ろうと特別な授業を行なっている学園都市。一方通行はかつて命あるものを大量虐殺し、謝るだけでは決して許されないような罪を犯しました。本編主人公との戦いに敗れたことで何かが変わり始めた一方通行は、打ち止め（ラストオーダー）に出会うことで、大切なものを守る「ヒーロー」のようなものへと変貌を遂げていくのです。

ラストオーダーとは、『とある科学の一方通行』はもちろん、他のとあるシリーズにも登場するヒロインの1人です。『とある魔術の禁書目録』にも登場しますが、原作主人公のヒロインというよりは、やはり一方通行にとってのヒロインのような振る舞いが目に付くキャラクターですね。

ラストオーダーは、御坂美琴という人物のDNAによって作られたクローン「妹達」の1人で一番最後に生み出された20001号目でもあります。それゆえに打ち止め（ラストオーダー）と呼ばれているのです。

見た目は10歳ほどの幼い少女ですが、他に1万近くいる妹達で作られた「ミサカネットワーク」という、全個体でリアルタイムに共有・バックアップが可能な、インターネットのようなネットワークの管理者。子どものようでありながら、その実膨大な情報を脳内に保管しています。

ラストオーダーの性格は、とても明るく元気いっぱいなのが特徴的。基本的には一直線に突き進み、子どものように猪突猛進かと思いきや、冷静に立ち止まることや状況を判断することもできるなど、膨大なネットワークの管理者をしているだけあり、その片鱗を見せることもあります。

妹達も個々としての感情があり、それを表現することもありますが、基本的泣いたり笑ったりと言った表情変化は少ないです。一方ラストオーダーは、基本は笑い顔なものの、悲しければ泣いたり、戸惑いや喜びを素直に表現するなど、他の妹達に比べるととても表情が豊かなのも印象的で、彼女の天真爛漫さが良くわかるようですね。

ラストオーダーの容姿的特徴は、高校生くらいの見た目の他の妹達に比べるとだいぶ幼い作りであること、また頭の上に大きくの伸びたアホ毛ではないでしょうか。また、シリアスな場面ではなくなることもありますが、頬の紅潮を表す赤い丸も印象深いですね。あひる口のような笑い方も、幼い少女らしい特徴でとても可愛らしい部分になります。

また、その他の特徴として、他の妹達が自分の意見を述べる際、「〜〜、とミサカ〇〇号は」と自分のナンバーとともに発言するのに対し、ラストオーダーは「〜〜、ってミサカはミサカは」とミサカを続けて発言します。これはラストオーダー本人と、脳波でリンクする他の妹達のことを表現しているのでしょう。管理者であるラストオーダーらしい発言の仕方ですよね。

ラストオーダーの魅力はなんと言っても、その元気いっぱいさではないでしょうか。『とある科学の一方通行』は、基本的に暗く、時に暴力的な一方通行を主人公にしているため、『とある魔術の禁書目録』に比べると雰囲気さにダーク感があるのが特徴。そんな少々暗くなりがちな世界を、明るく照らしてくれるのがラストオーダーなのです。

その子どもらしい発言と、自分の気持ちに素直に従う行動が非常に愛らしい彼女ですが、そんな彼女が鋭さや賢さなどを見せる場面も。彼女は見た目も行動も本当の子どものように幼いですが、ミサカネットワークによって多くの知識を身につけていますし、「普通の子ども」として育っていないことを改めて実感させられることもあります。この普段とのギャップがまた魅力的な部分でもありますね。

ラストオーダーは、そもそも妹達が暴走などした際に、その行動を制限させるための人物として生み出されました。感情が豊かであったりするのは、他の量産型の妹達とは違う上位の個体だからかもしれませんね。もちろん、普段は仲良く会話をするなど、その関係は他の妹達と変わることはありませんが、妹達は丁寧、ラストオーダーはタメ口という口調の違いから、やはり彼女のほうが立場が上だと感じられることもあります。

ラストオーダーは妹達を制御する管理者ではありますが、中には例外も存在します。再びミサカたちを製造しようという動きがあった際に生まれた番外個体（ミサカワースト）は、唯一ラストオーダーの命令を拒否することが可能。他の妹たち同様ミサカネットワークには繋がっていますが、彼女は個として優先すべきものがあり、それを元に行動するよう調整されたのが理由です。

ラストオーダーは、ミサカネットワークを束ねる、という側面が強く、他の妹たち比べると戦う場面がほとんどありませんが、彼女も御坂美琴のクローンなので能力を保有しています。納涼は、レベルは3「強能力者」の「欠陥電気（レディオノイズ）」。これは他の妹たちと同じで、後々生まれたミサカワーストには劣る性能です。

妹達は、常に軍用ゴーグルをつけ、多くの武器を保有するなど、能力が低くても他の戦える術を備えていますが、ラストオーダーにはそれがありません。ただ、先ほども記した通り、ラストオーダーはミサカネットワークの管理者として妹達をコントロールできることが重要で、彼女自身に妹達のような戦力はあまり求めていないよう。一方通行が傍にいるのも理由のひとつかもしれませんね。

『とある科学の一方通行』の主人公である一方通行とラストオーダーは、基本的にはセットのような取り扱いをされていますが、本来であれば一方通行は1万近くの同胞を殺した仇。それでもラストオーダーが一方通行と一緒にいるのは、そもそも妹達は憎しみという感情に疎く、また彼がラストオーダーの命の恩人だからでもありました。

ラストオーダーはミサカネットワークの管理者という立場上、多くの人々に命やその能力を狙われるのですが、ピンチになったとき必ず助けてくれたのが一方通行。彼は彼女を救うためなら自身が怪我をするのも厭わず、どこまでも行くという情をラストオーダーに見せるのです。その一方通行の想いに応えるように、彼女は一方通行をとても慕い、いつも彼のことを「あの人」と呼んで気にかけているようでした。

ラストオーダーは完全に「守られるため」のキャラで、元々は悪党だった一方通行が罪を償うための道しるべであり、彼にとっての光として彼女は存在します。激しいバトルに参加をするわけでも、限界突破を見せるわけでもなく、彼女はただただ一方通行という人間の成長に関わっていくのです。

一方通行にとってはラストオーダーが心の拠り所であり、彼女の存在が一方通行を「ヒーロー」へと変えていきます。他のキャラクターに比べると、活躍と呼べるような場面は少ないかもしれませんが、最強最悪を謳われる一方通行を悪の道に進めず更生させたのは素晴らしい功績ではないでしょうか。バトルなどの目に見える形での活躍もいいですが、こういう精神的な活躍も大事ですよね。

『とある科学の一方通行』のヒロインの1人であり、主人公・一方通行の変わるトリガーとなるラストオーダー。彼女と一方通行の出会いは、原作である『とある魔術の禁書目録』にも描かれていますが、その他本編が進められる間に起こっていた出来事などが『とある科学の一方通行』では知ることができます。

可愛いラストオーダーの姿もたくさん見ることができるので、ぜひこちらもチェックしたいですね。