『あんさんぶるスターズ！』とは、通称「あんスタ」と呼ばれるアイドル育成ゲームです。もともとはスマホアプリとして配信されましたが、その後ブラウザでのプレイも可能に。スマホでもパソコンでもプレイ出来るというのは、プレイする機会が増えて嬉しいことですよね。データは当然ながら連携可能なので、状況に応じてパソコンでプレイするかスマホでプレイするか選んでも良さそうです。

プレイヤーとなる主人公は、男性アイドルの育成に特化した夢ノ咲学院に転入してきた転校生になります。新設されたプロデュース科のただひとりの生徒ということで、授業は男子しかいないアイドル科の生徒と一緒に受けることに。一般の方には女生徒もいるようですが、普通科が取り上げられることはないので、現状ただひとりの女子生徒ということになります。

あんスタのメインユニットとなるTrickstarのメンバーを中心に、様々なユニットと交流を重ね、主人公は成長していくことになるのです。

あんずとは、あんスタの主人公的立ち位置にいる転校生のことです。他の女性向けゲームと同様、主人公の名前は任意のものに変更可能ですが、デフォルトで設定されているのが「あんず」という名前です。PVにちらっと後ろ姿が登場していますが、このPVがあんずの初出しになりますね。

あんずという存在が登場するのは、ゲームと小説くらいで、コミックスなどでは転校生抜きのメインストーリーを描いていました。女性向けゲームでは主人公の見た目が設定されていることも多いですが、あんスタはそれぞれのプレイヤーが考える「転校生」がいるということで、アニメ化されるまでその姿を明確に出すことはありませんでした。

あんずについての詳しい過去はわかっていませんが、まったくの未経験で突然アイドルのプロデュース科に転入してくるというパワフルさを持ち合わせた人物になります。転校初日から土台がわりに踏まれたりと、わりと散々な扱いのあんずですが、そんなことがあっても通い続けるネバーギブアップ精神がありますね。

プロデュースというのは、アイドルの方向性や活動方法など多くの業務を担当します。未経験でそういった芸能の世界に飛び込み、突然革命のきっかけとされながらも、衣装作りや影のサポートなど自分に出来ることを限界を超えてやるあたり、ただのものでない雰囲気は伝わってきますよね。

アニメのあんずは、ゲームの転校生を元に作られているので、そこに大きの違いはあまりないでしょう。声優さんがついたことで、ところどころあんずのリアクションが挟まれたり、ビジュアルが公開されていること以外はほとんど変わっていないようにも感じます。ただ、あんずのナレーションが入ることで、アニメの方がより人間らしい印象を受けるかもしれませんね。

ゲームで、あんずこと転校生の意思を表示できるのは、メインストーリー以外に登場するミニストーリーの選択肢で、そこには真面目そうなものからふざけたものまで様々な選択肢があります。アニメは、ギャグはあるもののわりと真面目な姿を見せているので、ゲームより多少は優等生感があるかもしれませんね。

ゲーム版の主人公は、先の項目でも記した通り、自分で名前を変えられるのですが、ゲーム当初にリリースされた、転校してきてあまり時間の経っていない時期のストーリーでは基本的に「転校生」呼びをされます。自分の名前を「転校生」に設定したのではないかというレベルで、全生徒に「転校生」と呼ばれるのです。客観的に見たときに「いい加減名前を呼んであげて」と思えるのが楽しいところでもありますね。

また、ゲームではイベントのほとんどが主人公発案なのですが、イベント企画や衣装作成などを季節ごとに行なっていることを考えると、なかなかな化け物ですよね。もともとそういうプロデュース的なものや裁縫などを習っていたならわかりますが、ゼロの状態からあそこまで活躍する姿を見ると、ゲームの主人公の飲み込みの早さと、キャラクターごとの対応の変化は持って生まれた才能としか言えません。

ゲームの主人公は、選択肢がある場合はそのキャラに合ったものを選ばなければいけないので、なかなか面白い対応をするときもあるのですが、アニメは「あんず」という名前とビジュアル・声を与えたことで、そういったブレのない人物になったように思います。アニメあんずのことを一言で表すなら、やはり「真面目」ではないでしょう。

ときおりヒロインとは思えない野太い声を出し、視聴者に笑いを与えてくれますが、基本的には一緒に行動するTrickstarにとって良いと思う選択をします。周りのキャラクターが濃いせいかもしれませんが、不審な行動もなければ変なことも考えない、いたって一般的な女子生徒になります。その、真摯であり真面目でありながら、どこか没個性に見えるのがアニメのあんずではないでしょうか。

あんずの登場が決まったときはTwitterが大荒れするほどの騒ぎとなりましたが、アニメ放送を開始してみれば好意的な意見も非常に多くなりました。リアルタイムでアニメを観てる方のほとんどは、あんずを受けて入れているようでしたね。むしろ、出番の少ないあんずに対し、もっと見てみたいという意見が出ることもありました。

一方、先行上映にて声付きでがっつりあんずが登場するとわかってから、変わらずあんず批判をする方々もいます。アニメ放送開始前ほど荒れてはいないものの、やはりあんずを受け入れがたく思っている方は一定数いるようですね。もともと姿のないキャラクターなため、あんスタは好きでもあんずはあまり、という方はずっといるかもしれません。

あんず批判のツイートが目立ちやすいですが、アニメ視聴者のほとんどはあんずを可愛がっているので、登場の評判についてはあんスタ全体では半々といったところではないでしょうか。アニメ視聴者だけ見れば、多くの方が好意的な意見を言っていますね。

ついにアニメで声がついたあんず。先行上映後に、あんず否定派が飛び火させていたことでも話題になりましたね。あんずの声優を担当されたのは、ベテラン声優の坂本真綾さん。乙女ゲーのヒロインをベテランの方が演じるのはあまり珍しいことではありませんが、もともと声のないキャラに真綾さんをキャスティングしたことに驚いた方は多いようですね。

アニメが実際に地上波で放送されるようになると、ヒロインとは思えない濁音混じりの声や、聴きやすいモノローグ的ナレーションが評判となりました。特に、瞬発的な短い言葉にも関わらず、印象に強く残せるその演技力はさすが真綾さんと言ったところですね。

すでに経歴20年以上にもなる、ベテラン女性声優の真綾さん。同じく人気声優の鈴村健一さんの奥さんとしても有名ですね。声優だけでなく女優やエッセイストなど多方面で活躍されている方です。

大人気漫画『黒執事』の「シエル・ファントムハイヴ」を演じたことが印象に残っている方も多いのではないでしょうか。凛とした声は、未成熟な少年にもとても合っていますよね。

鈴村さんとの夫婦共演が話題にもなった『キャプテン・アース』。作品で演じたキャラ「モコ」は、鈴村さんのキャラと恋人的立ち位置だったこともあって、サブキャラながら注目集めたキャラクターとなりましたね。

アニメはビジュアルが出るので、あまりあんず＝プレイヤー自身という感じには思えませんが、あんずが動くからこそ見えてくるキャラクターたちの関係というものもあるので、是非あんずの動向にも注目したいですね。