今と昔の恋愛事情について
昔に比べて、今は恋愛の自由化が進み、様々な恋の形があります。現代においては、許嫁がいたり、お見合いを必ずする必要もありませんし、自分で恋の選択することが出来ます。これから紹介する恋の短歌を見て、今の自分の恋愛と重ね合わせてみてはどうでしょうか?きっと共感できるものがあると思います!
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恋の短歌で有名な古典や名作集①あしびきの 山鳥の尾の しだり尾の ながながし夜を ひとりかも寝む
現代意訳:「夜になると、雄と雌が離れて寝るという山鳥だが、その山鳥の長く垂れ下がった尾のように、こんなにも長い長い夜の間を、私もまた、(あなたと離れて)ひとり寂しく寝るのだろうか。」 作者:柿本人麻呂
思いを寄せるあの人と離れていると、今頃何をしているんだろと気になりますよね?離ればなれの夜は、とても長い時間に感じるので、片思いの人は、辛く寂しいですよね?こんな日々が、続いたら一人の夜もなかなか寝付くことが出来ないかもしれません。そんな切ない短歌のようですね。
恋の短歌で有名な古典や名作集②筑波嶺の みねより落つる みなの川 恋ぞつもりて 淵となりぬる
現代意訳:「筑波山の峯から流れてくるみなの川も、(最初は小さなせせらぎほどだが)やがては深い淵をつくるように、私の恋もしだいに積もり、今では淵のように深いものとなってしまった。」 作者:陽成院
最初は気になる程度の存在だったのに、いつの間にか時間が過ぎていく内に、想い人への気持ちが強くなっている様子が浮かんできます。人が恋に落ちるのは、ふとした瞬間や気づかない内に恋をしていることが多いので、溝が深まればだんだんと苦しくなってしまいますよね?
恋の短歌で有名な古典や名作集③住の江の 岸に寄る波 よるさへや 夢のかよひ路 人目よくらむ
現代意訳:「住の江の岸に打ち寄せる波のように (いつもあなたに会いたいのだが)、 どうして夜の夢の中でさえ、あなたは人目をはばかって会ってはくれないのだろう。」 作者:藤原敏行朝臣
恋をすれば、好きな人の夢を見るものです。ただ、夢の中では上手く行かないことばかり続いたり、思い通りにならないものですよね?悪い方にばかり考えてしまったり、不安な気持ちで居た堪れないでしょう。これが夢でよかったと思える事を祈りたいですね!
恋の短歌で有名な古典や名作集④今来むと いひしばかりに 長月の 有明の月を 待ち出でつるかな
現代意訳:「今すぐに行きましょう」とあなたがおっしゃったので、(その言葉を信じて) 九月の長い夜を待っていましたが、とうとう有明の月が出る頃を迎えてしまいました。 作者:素性法師
想い人から言われた言葉を信じ、待ち続けていたのに結局、彼が表れることはありませんでした。現実で考えた時に、この経験をした人もいるのではないでしょうか?あなたから言い出したのに、約束が守れないなら、言ってほしくない言葉ですよね!せっかくの期待が裏切られることになってしまいます。
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恋の短歌で有名な古典や名作集⑤忍ぶれど 色に出でにけり わが恋は 物や思ふと 人の問ふまで
現代意訳:「人に知られまいと恋しい思いを隠していたけれど、とうとう隠し切れずに顔色に出てしまったことだ。何か物思いをしているのではと、人が尋ねるほどまでに…。」 作者:平兼盛
恋をすると、どんなに冷静を装っていても気持ちを隠しきれずに顔に出てしまうものです。周りから見れば一目瞭然なほど、様子が変だったりしますからね。人に言われて、初めて気がつく恋もあるので、そこで恋愛感情を認識するなんてこともあるでしょう!現代と比べて、昔は、恋心を打ち明けることに抵抗があったのかもしれませんね。
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恋の短歌で有名な古典や名作集⑥逢ひ見ての 後の心に くらぶれば 昔は物を 思はざりけり
現代意訳:「このようにあなたに逢ってからの今の苦しい恋心にくらべると、逢いたいと思っていた昔の恋心の苦しみなどは、何も物思いなどしなかったも同じようなものです。」 作者:權中納言敦忠
あの人に逢えない間は、こんなにも胸が苦しかったのに、あの人に逢った途端、今までの辛い思いが何でもなかった事ありませんか?辛い時ほど時間が過ぎるのも長く感じたり、嫌なことばかり考えがちです。それだけ想い人への気持ちが強いからなんでしょうね。現代に置き換えてもこの歌は、共感の出来るものだと思います!
恋の短歌で有名な古典や名作集⑦哀れとも いふべき人は 思ほえで 身のいたづらに なりぬべきかな
現代意訳:(あなたに見捨てられた) わたしを哀れだと同情を向けてくれそうな人も、今はいるようには思えません。(このままあなたを恋しながら) 自分の身がむなしく消えていく日を、どうすることもできず、ただ待っているだけのわたしなのです。 作者:謙徳公
現代で考えると、あなたしか頼る人がいなかったのに、捨てられてしまった私は、どうすることも出来ないと言っているように思えます。私の側には、同情してくれる人がいるとも思えないし、時が過ぎていくのをただ、ただ待つことしか出来ないという切ない歌ですね。
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恋の短歌で有名な古典や名作集⑧風をいたみ 岩うつ波の おのれのみ くだけて物を 思ふころかな
現代意訳:「風がとても強いので、岩に打ちつける波が、自分ばかりが砕け散ってしまうように、(あなたがとてもつれないので) わたしの心は (恋に悩み) 砕け散るばかりのこの頃です。」 作者:源重之
こんなにも頑張っているのに、辛い思いをするのは私ばかり。思いやりのない行動を取るあなたに、私の想いは、砕けていく一方。現代においても、よくみられる心情だと思います。どうしてこんなにも男女の仲というのは上手く行かないのでしょう。男性と女性では、考えが違うのは仕方ありませんが、せめて思いやりだけでも欲しいものですね!
恋の短歌で有名な古典や名作集⑨明けぬれば 暮るるものとは 知りながら なほ恨めしき 朝ぼらけかな
現代意訳:「夜が明ければ、やがてはまた日が暮れてあなたに会えるものだと分かってはいても、やはりあなたと別れる夜明けは、恨めしく思われるものです。」 作者:藤原道信朝臣
あなたとずっと一緒にいても、夜が明ければ帰らなければならない。日が暮れて、また、あなたに逢えたとしても、この逢えない時間がもどかしいという切ない心情を歌ったものです。次の日になれば、また逢えるのに好きな人と一緒にいられない時間は辛いですよね?
恋の短歌で有名な古典や名作集⑩嘆きつつ ひとり寝る夜の 明くる間は いかに久しき ものとかは知る
現代意訳:(あなたが来てくださらないことを) 嘆き哀しみながらひとりで夜をすごす私にとって、夜が明けるのがどれほど長く感じられるものか、あなたはいったいご存じなのでしょうか。 作者:右大将道綱母
あなたの来るのを待っているのに、一向に来ない悲しみから一人で過ごす長い時間を、あなたは、どれほど分かっているの?と言ったような心情が伺えます。待たされる方は、何よりも時間が長く感じますし、不安にもなりますよね?現代なら、すぐに連絡を取る手段がありますが、昔の時代はそうも行きませんからね。
まとめ
恋の短歌は、いかがだったでしょうか?自分に重なる部分もあり共感できる短歌があったのではないでしょうか。昔も今も恋をすれば、嬉しくも悲しくもなることは、たくさんあります。男性の心情・女性の心情、それぞれいろいろな思いがありますが、なかなか上手く行かないのが恋ですよね。