おすすめしたい大藪春彦の作品の魅力
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大薮春彦の著作は、約120タイトルにものぼります。その作品の大半でみられる、暴力と性描写。氏の作風の象徴ともいえる、「暴力」や「性」による男性的な物語は、読む人を刺激する溢れる男くささが魅力的です。
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銃や車、ナイフなどの知識を自身の作品に取り込んだことで、「ガーバー」や、「ロバート・ウォルドーフ・ラブレス」といったナイフブランドが日本での知名度をあげたことも有名です。
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著作には、「伊達邦彦」「西城秀夫」などの主役に象徴される超人的な要素、反国家・反組織といった風体が色濃くうかがえます。政財界と癒着した組織により破壊された家族愛に基づく、「絶望の挑戦者」「黒豹の鎮魂歌」などの「復讐」をテーマとした著作も多くあります
大藪春彦おすすめベスト版① 伊達邦彦シリーズ
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伊達邦彦は、大藪春彦のデビュー作「野獣死すべし」から登場し、その後生涯に渡って断続的に描き続けられた、氏の著書を代表する主役人物です。その生い立ちが作者自身のそれと重なることから、大藪春彦の分身とも言われます。単に生まれ育ちに関する事柄ばかりではなく、思想的にも近い存在であるといえる人物です。
野獣死すべし (光文社文庫―伊達邦彦全集)
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「野獣死すべし」は江戸川乱歩が推薦人となり、1958年に雑誌「宝石」に掲載され大反響を呼んだハードボイルド小説。文壇からも注目された氏のデビュー作です。全9巻に登るシリーズの第1巻。
主人公の伊達邦彦は、戦争で受けた心の傷を隠しながら日々を過ごしています。普段は物静かな秀才として大学院で平穏な日々を送ってはいるものの、それは彼の表の顔にすぎません。その実は、心の奥底に暗い憎悪と激しい怒りを共存させています。力こそが正義の邦彦は、隠れて射撃や体術、そして身体そのものを磨き上げます。この世で信頼できるものは金と武器、そしてそれらを扱う己の力。やがて邦彦は空前にして壮大な完全犯罪を計画します。鍛え上げられた体躯と怜悧な頭脳、端正な容貌を持つ非情の男、伊達邦彦を描くハードボイルド小説の傑作です。
大藪春彦おすすめベスト版② 西城秀夫シリーズ
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大藪春彦の著作において、伊達邦彦シリーズと同様のエージェント・ヒーローものであり、双璧をなすのが西城秀夫シリーズ。「東名高速に死す」(1970)、「曠野に死す」(1971)などの、通称ハイウェイ・ハンターシリーズをもって西城秀夫の活躍の幕開けを迎えます。
東名高速に死す:ハイウェイ・ハンター・シリーズ(光文社文庫)
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「西条秀夫」を主人公とする、伊達邦彦シリーズと共に大藪作品の根幹を成す代表作品です。西城秀夫は鍛え上げられた猛々しい筋肉に、シャープな顔立ちと鋭い眼光を持つ警察庁直属の秘密捜査官。東名高速全線開通に伴い、沿線都市の利権を巡って争う暴力団組織の動きが活発化。麻薬や密造拳銃の取引など、悪が蔓延る街を浄化すべく、西城が暴れます。最初のターゲットは、麻薬密輸に荷担する麻薬取締官の抹殺!凄腕の銃テクニックと頭脳を武器に、西城秀夫が活躍する人気シリーズの第一弾です。
大藪春彦おすすめベスト版③ 汚れた英雄
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汚れた英雄 (角川文庫・徳間文庫)は、大藪春彦が1966年から1969年にかけて発表した4部からなる長編小説です。主人公は北野晶夫。世界グランプリへの参戦を続けいくつものタイトルを獲得していく中、肉体美と甘いマスクを武器に女性達と次々とスキャンダルを重ねながら、レーサーとしてその地位を着々と固めていきます。
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フォードとの4輪ドライバー契約を結び、ル・マン24時間耐久レースに出場するも、濃霧の中で起きた多重クラッシュ事故に巻き込まれて即死。昌夫の儚い最期の迎え方が、大藪春彦の中にある「無常感」を感じさせる、モーターサイクルレース小説の傑作です。
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1982年12月18日には、北野晶夫役に草刈正雄を起用した映画「汚れた英雄」が角川映画(現・KADOKAWA)により公開されています。
大藪春彦おすすめベスト版④ 女豹シリーズ
非情の女豹 (光文社文庫)
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「ハードボイルド」の言葉が似つかわしい、男性を主人公にした作品を手掛ける大藪作品において、女性の生き様を描いた異色のシリーズ。レズビアンでサディスト、スペイン系ハーフの小島恵美子(エミー)が、殺し屋として世界中を駆け巡ります。
小島恵美子(通称エミー)は、漆黒の髪と燃えるような瞳、そして褐色の肌を持つラテン系の血を引く絶世の美女。しかしその性格は残酷にして非情。表向きは大学講師の彼女。その実は、某国際秘密組織のエースエージェントとしての裏の顔を持ちます。エミーの仕事は、法の手の届かぬ大物たちへの復讐などの請け負い。銃・車などのハードなアクションで読みどころ満載の本作は、まさに大藪小説の真骨頂。女処刑人の凄絶な活躍を描く傑作アクションです!「野獣死すべし」に登場する「伊達邦彦」との関係性にも注目です。
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最後に
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1996年、61歳で没するまで、氏の人生における様々な体験を元に書かれたであろう大藪春彦の作品は読み手を強烈に惹きつけるその世界観が魅力です。大藪春彦の根底に流れる浪漫や無常を存分に堪能できます。