【アメリカ】サマータイムとは
サマータイム(夏時間)とは日の出が早くなる夏の時期に太陽が出て明るい時間を有効活用するために、その地域全体で標準時刻を進める制度のことです。夏の日照時間が長い国や地域で主に使われています。日本ではサマータイム(夏時間)と呼ぶのが通常ですが、アメリカでは「デイライト・セービングタイム」と呼ばれています。
【アメリカ】なぜサマータイムを実施するの?
なぜサマータイム(夏時間)制度があるのでしょうか。問題は夏のアメリカの気温にあります。夏のアメリカは日本と同じく日の出の時間が早くなります。早く太陽が昇ってしまうと、仕事をすべき時間の気温が非常に高く、体に悪影響を及ぼすのです。
サマータイム(夏時間)の期間中でも昼間は40℃にまで気温が上昇する地域もあるほどです。また、日照時間が長いので、暑さのピークが夕方3時頃です。仕事中ずっと暑いので、なら時間を1時間早くして早朝の涼しい時間を使おうということなのです。
【アメリカ】サマータイムを実施している地域
サマータイム(夏時間)は、アメリカ、カナダ、メキシコ、オーストラリアとニュージーランド、ヨーロッパ各国で主に実施されています。ただし、それぞれ全地域に実施されているとは限らず、アメリカ・アリゾナ州では導入されていません。
【アメリカ】サマータイムの4つの時間帯
アメリカのサマータイム(夏時間)は、4つの時間帯に区切られています。どの地域かによって時間がずれていきますので、サマータイム(夏時間)期間中のアメリカに行く際には、自分がどの地域に行くのか、その地域はいま何時なのかということをしっかり確認しましょう。
サマータイム①パシフィックタイム
パシフィックタイムとは主に西海岸の地域です。シアトル、ポートランド、サンフランシスコ、ラスベガス、ロサンゼルス、サンディエゴです。この地域は通常時では日本との時差が-17時間ですが、サマータイム(夏時間)の期間中、日本との時差は-16時間になります。
サマータイム②マウンテンタイム
マウンテンタイムとは、山岳部の地域になります。ソルトレイクシティ、デンバー、フェニックス、エルパソが該当します。この地域は通常時では日本との時差が-16時間ですが、サマータイム(夏時間)の期間中、日本との時差は-15時間になります。
サマータイム③セントラルタイム
セントラルタイムとは、中部の地域になります。ミネアポリス、ミルウォーキー、シカゴ、カンザスシティ、セントルイス、フォートワース、ダラス、ヒューストン、ニューオーリンズが該当します。この地域は通常時では日本との時差が-15時間ですが、サマータイム(夏時間)の期間中、日本との時差は-14時間になります。
サマータイム④イースタンタイム
イースタンタイムとは、東海岸部の地域になります。ボストン、デトロイト、ニューヨーク、クリーブランド、フィラデルフィア、ピッツバーグ、ワシントン、アトランタ、オーランド、マイアミが該当します。この地域は通常時では日本との時差が-14時間ですが、サマータイム(夏時間)の期間中、日本との時差は-13時間になります。
【アメリカ】サマータイムの歴史
サマータイム(夏時間)の歴史とは意外と古く、最初にサマータイム(夏時間)の制度を実施したのは1916年、第一世界大戦頃のドイツとオーストリアです。アメリカでは、1918年に取り入れられました。ですが、批判が相次いで長く続きはしませんでした。第二次世界大戦に復活しますが、その後は混乱が続きます。
サマータイム(夏時間)が安定した形になったのは1966年になります。サマータイム(夏時間)を実施するかの最終的な決定権はそれぞれの州に託されたため、アメリカにはサマータイム(夏時間)を実施している州としていない州があるという今の状態になりました。アメリカ以外では世界で70か国以上が実施しているといいます。
【アメリカ】サマータイムの時期
アメリカでは、どれほどの期間がサマータイム(夏時間)なのでしょうか。「夏時間」というほどなので7月や8月のイメージを持たれる方もいらっしゃるかもしれませんが、実はアメリカのサマータイム(夏時間)とは3月から11月の期間になります。
詳しく何時なのかというと、3月の第2日曜日午前2時に開始され、11月の第1日曜日午前2時に終了します。一年の半年以上がサマータイム(夏時間)期間だということになりますね。
【アメリカ】サマータイムを実施していない地域
アメリカにはサマータイム(夏時間)を実施していない地域もあります。カリフォルニア州の隣にあるアリゾナ州がそうです。サマータイム(夏時間)の期間に、カリフォルニア州からアリゾナ州へ行くときには今が何時なのかを確認して、時計の針を変えなければなりません。
【アメリカ】サマータイムに切り替わる時間
サマータイム(夏時間)に時間が変わるとき、それは一体何時に、具体的に時刻の変更とはどう行われているのでしょうか。アメリカでは、深夜2時になると同時に時刻を1時間進めます。どういうことかというと、時計が1:59から2:00になると時計を2:00ではなく3:00に進めるのです。サマータイム(夏時間)実施日には深夜の2時がなくなるのです。
たいていの人は寝ている時間に行われるので、体では特に何も感じることはありません。ですが朝、目が覚めると世の中の時間が1時間進んでいるので不思議な感覚がするそうです。
【アメリカ】サマータイムの時間の動かし方
時刻を進めたりずらしたり戻したり、ということをしていると「今はいったい何時なんだろう」と複雑になってしまうことがあります。頭ではわかっていても、実際に時計の針を動かそうとしたらわからなくなる。そういうときのために、アメリカには「Spring Forward, Fall Back」という言葉があります。「春は時計の針を前に進め、秋は後ろに動かす」という意味です。サマータイム(夏時間)で時間の進め方がわからなくなったときにはこの言葉を思い出すとわかりやすいですね。
【アメリカ】サマータイムの時差への影響
先ほども少し説明しましたが、日本とアメリカには時差があります。サマータイム(夏時間)の期間中、アメリカの時間が進んでいるとなると時差にも影響があります。
アメリカの時間が1時間早まると、単純に日本との時差は1時間減りますよね。ですので、たとえば通常時のボストンは時差-14時間ですが、サマータイム(夏時間)の期間中は日本との時差が-13時間になります。期間中のアメリカへ行く際には、今現地で何時なのかをしっかり確認しましょう。
【アメリカ】サマータイムの生活への影響
サマータイム(夏時間)期間の始まりは体に負担があります。前日まで朝8時に起きていたのにサマータイム(夏時間)で時間が変更されると同じ時間に起きても感覚的には7時に起きるの同じことになります。
「睡眠時間」で計算して何時に寝るのかを決めないと、睡眠不足になってしまいそうですね。ちょっとした時差ボケのような現象が、アメリカのほぼ全土で起こるのです。
【アメリカ】サマータイムでやるべきこと
現在では電波時計やパソコン、スマートフォンなどは自動で時間が変更されるので便利です。スマートフォンなどで現在が何時なのかを確認して、時間が変わっていないものの時間を変えなければなりません。
【アメリカ】サマータイムの欠点
先ほども説明したように、サマータイム(夏時間)とは、夏の間快適にすごせるようにするための制度ですが、体への負担が無視できません。そのたびに今は何時なんだろうと時計を進めたり戻したりという作業も手間がかかりますもんね。
実際、サマータイム(夏時間)を実施した直後は交通事故や心臓発作の発生率が上がるそうです。現地の人たちもサマータイム(夏時間)が始まるたび、慌ただしくなるのでサマータイム(夏時間)制度が嫌いな人は多いようです。
【アメリカ】パシフィックタイムの主な観光スポット
ラスベガス
アメリカの不夜城と名高いラスベガス。カジノで有名な街ですが、グルメやショッピングなどもでき、街全体がアミューズメントパークのようです。「フリーモントストリート」といったダウンタウンストリートや、巨大なショッピングモール「ファッションショー」などラスベガスらしい街並みはもちろん、グランドキャニオンなどもラスベガスにある観光地になっています。ほかのサマータイムの地域からラスベガスへ来たときには、今が何時なのかを確認するようにしましょう。
ポートランド
ポートランドは豊かな自然と歴史ある街並みを楽しむことのできる穏やかな街です。洞窟にある「ザ・クロット」教会や、全米最古でポートランド最大の美術館「ポートランド美術館」、煉瓦造りの倉庫街を再構築したレトロな「パール地区」などがあります。治安も良く、観光地としても非常に人気の街です。ほかのサマータイムの地域からポートランドへ来たときには、今が何時なのかを確認するようにしましょう。
ロサンゼルス
アメリカ旅行といえばロサンゼルス!という方も多いのではないでしょうか。ディズニーランドやハリウッドといったパークから、落ち着いて高級感漂うマンハッタンビーチ、アメリカらしいダウンタウンと、アメリカを満喫できる街です。ほかのサマータイムの地域からロサンゼルスへ来たときには、今が何時なのかを確認するようにしましょう。
【アメリカ】マウンテンタイムの主な観光スポット
ソルトレイクシティ
ソルトレイクシティは21世紀で最初に冬季オリンピックが行われた街です。モルモン教の地でもあります。そんなソルトレイクシティには、モルモン教の大聖堂「テンプル・スクエア」や、塩分濃度がとても高い塩湖「グレート・ソルトレイク州立公園」、オリンピック・パークなどがあります。ショッピングモールもあり、安全に観光を楽しめる街です。ほかのサマータイムの地域からソルトレイクシティへ来たときには、今が何時なのかを確認するようにしましょう。
デンバー
デンバーはスキーの有名な山岳都市です。19世紀にはゴールドラッシュで繁栄しました。レストランやショップの並ぶ「16番ストリートモール」や、スポーツ観戦を楽しむことができます。デンバーへ他のサマータイム地域からきたときには今が何時なのかを確認するようにしましょう。
エルパソ
アメリカとメキシコの文化の融合した国境の街、エルパソ。都会とは一味違った雰囲気を楽しめます。西部劇の舞台にもなった街ですが、現在の街中は当時の雰囲気はあまり残っていません。国境の街というだけあり、街にはスペイン語が多いようです。観光で立ち寄るのには向きませんが、世界一危険な街といわれた「シウダー・ファレス」や、真っ白な教会「ミッション・トレイル」など、文化が融合しているからこそのおもしろい街であることは間違いありません。
【アメリカ】セントラルタイムの主な観光スポット
ニューオーリンズ
食と音楽の街、ニューオーリンズ。ジャズが生まれたおしゃれな街です。アメリカ最古のマーケット「フレンチマーケット」や、朝からお酒を楽しめる「バーボンストリート」、「セントルイス聖堂」などを楽しむことができます。ニューオーリンズへも、他のサマータイム地域からきたときには今が何時なのかを確認するようにしましょう。
ヒューストン
アメリカで4番目に大きな都市であるヒューストンはスタイリッシュな街です。「ヒューストン宇宙センター」や、「ヒューストン美術館」、「アートーカー美術館」、「ヒューストン自然科学博物館」など、美術館や博物館の多い、芸術の街でもあります。他のサマータイム地域からヒューストンへきたときには、今が何時なのかを確認するようにしましょう。
シカゴ
音楽や美術を楽しめるクリエイティブカルチャーの街、シカゴ。自然と都会とアートが融合した「ミレニアムパーク」、印象派のコレクションがアメリカ最大の「シカゴ美術館」、恐竜の骨格展示もある「フィールド自然博物館」、圧倒的な夜景を映す「シカゴ摩天楼」など、さまざまな観光スポットがあります。
【アメリカ】イースタンタイムの主な観光スポット
デトロイト
ミシガン一の大都市、デトロイト。2013年には財政破綻し、アメリカでもっとも住みにくい街、もっとも危険な街などと言われています。しかし、100年ほど前に急成長を遂げた街でもあるので、そんな反映の名残が今でも垣間見られます。現在では廃墟になってしまっていますが、建築当初は世界で一番高い駅だった「ミシガン中央駅」、貴重なコレクションも多く展示されている「デトロイト美術館」など、見どころはたくさんあります。
ボストン
アメリカでも最古の都市のひとつ、ボストン。かの有名な「ハーバード大学」、「フリーダムトレイル」やジョン・F・ケネディの像。歴史的価値のある建築物「ファニエルホール集会所」や、「ボストン美術館」など。歴史的な建造物も多く、観光人気の高い街のひとつです。
ニューヨーク
世界最先端の都市、ニューヨーク。非常に個性的な街並みは人々を魅了してやみません。中心部である「マンハッタン」、その東側には「ブルックリン」。ニューヨークの象徴ともいえる「自由の女神像」、300万点以上のコレクションが収蔵されている「メトロポリタン美術館」。また、ニューヨークには世界中のグルメも集まりますので、美味しい料理も楽しめます。圧倒的な人気の衰えない観光地です。
ヨーロッパでのサマータイム問題
サマータイム(夏時間)期間は、アメリカだけでなくヨーロッパ諸国でも実施されている国が多いです。ですが、2018年の8月31日、欧州委員会はサマータイムの廃止をする方針を決めました。健康面への負担などの理由から、廃止論が強まっている流れを汲んでの方針だそうです。こうして考えてみると、暑さ対策としてのサマータイムとは本当に良いものなのかどうか、わからなくなってきてしまいますね。
日本のサマータイム問題
2020年の東京五輪・パラリンピックに向けて、日本でもサマータイムの導入が提案されたりしています。確かにここ数年、日本の夏は非常に暑いですし、熱中症などの危険性も大きいです。ですがヨーロッパで廃止の流れが強まり、体への負担が少なくないことを知ると、簡単に導入とはいきそうにありませんね。
サマータイムを正しく把握してアメリカ観光を楽しもう!
少しややこしいお話でしたが、いかがでしたか。少しはサマータイムについての理解が深まったのではないでしょうか。サマータイム期間中のアメリカへ行く際には、今が一体何時なのかの確認をしてから、観光を楽しみたいところですね。
同じアメリカ国内でも、サマータイムを実施していない州もありますので、州をまたいで旅行する際にも今がその場所で何時なのかということをきっちり確認するようにしましょう。