ロシア建築:建築様式や時代背景をちょっとだけ
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およそ10世紀までのロシアの建築は木造でした。その独特の建築様式は時代の中で引き継がれますが、権力者が変わる度に分断され、ときに復活されるという歴史を繰り返します。それはロシア古典様式であり、バロック様式だったり、スターリン様式だったりします。
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それでもロシア建築の印象は独特の上部のタマネギ型の屋根を彷彿させます。あの半円形の屋根をココーシュニクと呼びますが、ほかにもクープ、ペディメント、ボーチカなど明確な特徴がありますが、ここでは、詳細よりも、その圧倒的な迫力と荘厳さに感動することを主眼として見ていきます。
ロシアの有名建築、その特徴と建物の魅力を:①聖ワシリイ大聖堂
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およそ10世紀までのロシアの建築は木造でした。その独特の建築様式は時代の中で引き継がれますが、権力者が変わる度に分断され、ときに復活されるという歴史を繰り返します。それはロシア古典様式であり、バロック様式だったり、スターリン様式だったりします。
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16世紀中盤に出来た建築で、日本ではもうすぐ織田信長が台頭してくる時代ですね。主聖堂を中心に8つの小聖堂と組み合わせ9つの聖堂で全体を形作り、1990年に世界遺産に登録されています。構造的には様々な意味や仕込みが成されていますが、ここでその説明をするほど簡単ではありません。9つのタマネギ屋根「オニオン・ドーム」はこの先いくつも出て来ます、憶えて先へ行きましょう。
ロシアの有名建築、その特徴と建物の魅力を:②エルミタージュ国立美術館
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世界4大美術館とも、3大美術館とも言われる美術館です。その収蔵作品の質の高さと数の多さは、5つの建築が一体となった総称をエルミタージュ美術館と呼びます。なかでも「冬宮殿」と呼ばれる現在の本館は、ロシア最後の王朝である、ロマノフ王朝時代の建築で、サンクトペテルブルク歴史地区の一環として世界遺産に登録されています。
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膨大な美術品を収蔵するだけあり、その建築の規模もハンパではありませんが、17世紀初頭から20世紀まで続いたロマノフ王朝の歴史を刻んだ美術館内部の装飾ひとつひとつに圧倒されます。フィレンツェのウフィツィ美術館、ローマのバチカン美術館を彷彿とさせる荘厳華麗な美術館です。残念ながら、日本の国立西洋美術館が世界遺産に登録されましたが、このような内部の目を見張る装飾などは見るべくもありません。
ロシアの有名建築、その特徴と建物の魅力を:③エカテリーナ宮殿
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「冬の宮殿」エルミタージュに対して、「夏の宮殿」と称されるエカテリーナ宮殿。ピュートル大帝の奥様でもあり、2代ロシア皇帝でもあるエカテリーナ1世の避暑用の離宮として建設されます。とは言っても、サンクトペテルブルクから25km程しか離れてなく、エルミタージュと同じ扱いの世界遺産です。戦禍での損傷や放置の時代も在りましたが、美事に修復復活しています。なかでも「琥珀の間」は美事というしかありません。
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バロック建築の進化形とも言える、ロココ様式の最高傑作で、自由な曲線を縦横に配したデリケートな装飾は女性の心を鷲掴みにするでしょう。深田恭子主演の映画「下妻物語」の冒頭で、主人公が交通事故に逢う瞬間に「できれば私はロココ時代のおフランスで生まれたかった」というセリフがたいへん印象的で、ロココの美に心酔する役が美しかったですね。
ロシアの有名建築、その特徴と建物の魅力を:④ハリストス復活大聖堂
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画像のように、初期のロシア建築の典型である「タマネギ屋根」が印象的です。ロシアの帝政を倒すべく立ち上がったナロードニキ運動の犠牲となったロシア皇帝アレクサンドル2世に因む名前で、「血の上の教会」とも呼ばれます。
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サンクトペテルブルクにおおく見出すバロックや新古典主義とは少し違う、中世のロシア建築の形式を持っているのは、その帝政前の生活を回顧してのことでしょう。1番目に挙げた聖ワシリイ大聖堂を彷彿させる建築ですね。内部のモザイク模様などもロシア的な伝統様式で作られています。
ロシアの有名建築、その特徴と建物の魅力を:⑤聖イサアク大聖堂
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19世紀初頭から40年の歳月を掛けて建立され、その間設計者も変わり時代も変わり、いってみれば様々な建築様式が随所に見られますが、バランス良く、しかもサンクトペテルブルクでは非常に多くの市民、観光客が訪れます。それもその筈、市内で最も高い聖堂であり、途中43mの高さに市内を一望できる展望台があるからです。
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さきの大戦では金色のドームは、ドイツ軍の戦闘機の格好の攻撃対象となり、ドームの色を灰色に変えたというエピソードがあるくらいに目立ちました。ロシア革命の後は博物館になり、ソ連の崩壊のあと、やっと本来の大聖堂の機能を復活させます。
ロシアの有名建築、その特徴と建物の魅力を:⑥救世主キリスト大聖堂
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世界中にある正教会大聖堂の中で、最も高い103mを誇る、ロシア正教会の首座聖堂です。モスクワの中心部、モスクワ河畔に堂々たる姿を有していますが、ここまでの歴史は数奇の時代を経てきたといえます。1812年のナポレオンとの戦いの戦勝を記念して発願されますが、出来上がるのは1883年のことです。
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それだけでなく、ロシア革命が起こると、大きな信仰と権力を持つ大聖堂に対し、時のソビエト政権は、その象徴であるこの大聖堂を「宗教はアヘン」だとして弾圧し、爆破してしまいます。その後ペレストロイカの時代、エリツィンの時代を経て、再建が進み、2000年にやっと大聖堂全体の成聖式が執り行われ今の姿が蘇ります。
ロシアの有名建築、その特徴と建物の魅力を:⑦モスクワ大学
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在る意味、最もロシア的な建築と感じるのがこのモスクワ大学です。典型的なスターリン様式と言われ、市内には、まるでニューヨークの摩天楼を思わせる建築がいくつもあります。厳格な左右対称が印象的、なかでもスターリン・ゴシックと呼ばれる建築で、モスクワ大学を含む7つの建築を「セブンシスターズ」と呼んだします。
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筆者がお土産で買ってきた、マトリョーシカ人形にはスターリンの像は血塗られた顔に斧を手に持っています。独裁と暗黒の時代の、スターリン様式は、スターリンの死後、急速に姿を消していきます。またここはロシアを代表する名門大学ですが、館内はなかなか見られません。
ロシアの有名建築、その特徴と建物の魅力を:⑧ペトロパヴロフスク要塞
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ヨーロッパの街は、その支配の関係などで、しばしば名前が変わりますが、今のサンクトペテルブルクがペトロブルクと言われた時代に作られた巨大な要塞です。今でこそ、河川敷で日光浴をしている姿が日常的な風景ですが、その光彩はロシアの歴史そのものです。
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18世紀に起こった大北方戦争で、スウェーデンを脅威と感じていたロシアが街を囲むように要塞を作ります。敵国の脅威が遠のいた19世紀には政治犯の収容所になり、ドストエフスキーやレーニンなども収容されていました。現在は美しい内装など観光施設として活躍しています。
ロシアの有名建築、その特徴と建物の魅力を:⑨グム百貨店
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モスクワの一大観光拠点「赤の広場」に隣接するロシアを代表するデパートです。パリでいえば、プランタンやラファイエット百貨店といえるかも知れませんね。合理的で自由な表現と、17世紀後半のクラシックな手法が融合したネオ・ロシアスタイルの百貨店です。
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ロシア建築の特徴のひとつでもある、非常に横に長い、というのがここに入店するとよく解り、モスクワの代表的な建築物でもあるわけです。ちょっと高級なロシア土産は全てここで手に入れることができ、現在も200店舗が営業しています。
ロシアの有名建築、その特徴と建物の魅力を:⑩トレチャコフ美術館
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エルミタージュがサンクトペテルブルクのシンボルであるように、モスクワを代表する美術館がトレチャコフ美術館です。有名な「忘れえぬ女」など、日本での美術館展は大きな反響があり、その収蔵品の名品は言うに及ばず、建築も一級のネオ・ロシアスタイルを代表するものです。
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1850年代に美術館創設者のパーヴェル・トレチャコフ一家が住んでいた邸宅が、現在の美術館の旧館ですが、1930年代に新館ができ、さらに規模が拡大します。2019年の今年に完成し2020年に開館する「新トレチャコフ美術館」のオープンが間近に迫っていて、大いなる楽しみが増えました。
ロシアの有名建築:まとめ
ロシア建築の粋を集めました。当然これだけでロシア建築を語ることなど不可能ですが、ロシア観光の目玉になる名建築の一端は示すことは出来ました。ロシアの歴史が詰まった芸術の缶詰のような素晴らしい建築を行ってその荘厳な姿を楽しんで欲しいと思います。なお、冒頭に掲げましたTOTO出版の「ロシア建築案内」は旅行前に読んでおくにはたいへん有要な情報で溢れています。