『ユリシーズ ジャンヌ・ダルクと錬金の騎士』は、『織田信奈の野望』で知られる「春日みかげ」氏が執筆しているライトノベルが原作のメディアミックスです。
中世後期ヨーロッパを題材としており、かなり複雑な情勢の中、主人公のモンモランシと美少女たちが悲惨な戦争や汚い政略に抗っていこうとする、なかなか重い作品でもあります。
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本作『ユリシーズ ジャンヌ・ダルクと錬金の騎士』の世界観は、中世後期ヨーロッパのような国や王家・貴族間の争いが描かれている作品で、かなり内容的に重い所があります。
かなり複雑な情勢が絡んでいるので、歴史に詳しくない人や感性で作品を観るタイプのユーザーには難しい所があるかもしれませんね。
しかし、妖精などファンシーな生き物が数多く登場し、かわいい美少女たちや元貴族の錬金術師などが大活躍していくので、暗く重い部分はかなり緩和されている部分もあります。
国と国の争い、個々に宿命づけられた過酷な使命など、観ていて重い部分もあるかもしれませんが、キャラクターが比較的コミカルなので、良いバランスの世界観になっていますね。
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『ユリシーズ ジャンヌ・ダルクと錬金の騎士』は、中世後期ヨーロッパを舞台にしており、サブタイトルにもある通り、史実にも実在したフランスの国民的アイドルであり救世主「ジャンヌ・ダルク」に即した人物が登場します。
そのため、中世後期ヨーロッパやジャンヌ・ダルクが活躍した時代が好きな人は、かなり楽しめるのではないかと思いますね。
また、錬金術師や妖精が数多く登場するので、ファンシーな世界観が好きな人も楽しめると思います。
ライトノベルにしては、かなり複雑な政治や情勢が絡んでくる話なので、王家や貴族間の抗争などに興味がある方も楽しめそうですね。
主人公でフランスの貴族の「モンモランシ」は、武術の天才で王家の血を引く将来有望な幼馴染「リッシュモン」がフランスの宿敵イングランドに捕らわれ、さらに心身共に疲弊した義妹ジャンヌを失ったことで自暴自棄になっていました。
そんな時、妖精の王「アスタロト」と出会ったことで、不老不死に近い肉体と固有能力を得られる「ユリス」という存在になる方法を知り、ユリスになりリッシュモンを助けるため、錬金術師として修行する決意をします。
7年経ってもユリスになるために必要な「エリクシル」を錬成できなかったモンモランシは、黒魔術師として追われる身になり、何もかも失っていました。
さすがのアスタロトもモンモランシの才能の無さに呆れていた頃でしたが、そんな時、妖精と親しく話す可憐な少女「ジャンヌ」と出会い、全てが動き出してくのでした。
『ユリシーズ ジャンヌ・ダルクと錬金の騎士』の見所は、賢者の石の力を体内に宿しユリスとなったヒロイン「ジャンヌ」が、圧倒的な戦闘力で敵兵を蹂躙していく所にあります。
ジャンヌの能力は人知を超えた速度で移動するというありきたりな能力なのですが、筋力も戦いの勘も常人を遥かに超えていて、重厚な甲冑を纏った大男をも一撃で戦闘不能にする程の強さがあるのです。
ユリスになっている時のジャンヌは「傲慢」の感情が増幅されるため、普段の愛らしく能天気な雰囲気は無くなり、非常に好戦的な戦闘狂になるという特徴がありますが、体内に留めて置けるエリクシルの量は限られていて、ユリスには3分程度しかなれないという弱点があります。
再びエリクシルを補給するには、体内に大量のエリクシルを取り込んだモンモランシと口づけ(ベーゼ)をしなければならないという破廉恥な設定があり、モンモランシとジャンヌのベーゼが一つの見せ場になることは間違いないですね。
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ラ・トレムイユは主人公モンモランシの従兄弟で、陰湿な性格の敵キャラクターです。
幼い頃から身体が弱い上に長男だったため、憧れの騎士になることが出来ず、陰湿な性格に育っていきました。
ある日、ちょっとした事故で妖精を殺してしまってから、その陰湿な性格は拍車をかけ加速し、いつしか妖精の剥製をつくる妖精学者を志すようになります。
騎士学校で楽しそうな生活を送っているモンモランシに対して劣等感を持ち、暗い性格は加速し続け、ラ・トレムイユの狡猾で残忍な性格は巨大化していったのです。
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妖精の剥製を作ることに執念を燃やしていたラ・トレムイユは、ある日、羽根つきの珍しい美しい妖精アスタロトを見て、一目で恋に近い感情を抱いてしまいました。
絶対にアスタロトを剥製にすると思い立ったラ・トレムイユですが、その思いは既にアスタロトと親交があったモンモランシに阻まれ、さらにモンモランシへの復讐心とアスタロトへの執念を燃やすようになったのです。
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ラ・トラムイユは武術の才には恵まれていませんが、知略は得意としていて、フランスとイングランドの関係を自身の頭脳で治めていこうとしている所があります。
その考え方自体は間違ってはいない面もありそうですが、実際はフランスとイングランドは理屈だけでは上手くいくような状態ではないため、より大枠な視点で見た時には彼に知略など絵空事でしかない面があるのです。
そのため、彼の知略は細かい所でも綻びが生じていて、さらに自身の感情面のコントロールが極度に下手なため、かなり小物っぽく見えてしまいます。
ラ・トレムイユの声優は、『とある魔術の禁書目録』の主人公「上条当麻(かみじょうとうま)」の声優や、『Another』の「榊原恒一(さかきばらこういち)」の声優を務めた「阿部敦(あべあつし)」さんです。
阿部さんは、どちらかと言えば優男っぽい感じの高い声が特徴の声優だと思っていたので、ラ・トレムイユのような陰湿で暗い性格の男を、どのように演じるのか楽しみですね。
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ラ・トレムイユの声優を務める阿部さんは、2018年秋は『とある魔術の禁書目録』の上条当麻も演じるので、その違いを感じ取るのも楽しみの一つかもしれませんね。
多分、上条当麻とラ・トレムイユでは、同じ阿部さんが演じていてもまるで違う感じになると思うので、声を聞いただけではわかりづらいと思います。
ラ・トレムイユの小物っぽさをどうアニメで表現されていくのか、そこも見物でしょう。