グラブルで起こった「アンチラ事件」とは
アンチラ事件とは、人気スマホゲーム「グランブルーファンタジー(以下グラブル)」に登場するアンチラというキャラクターを巡って発生した事件のこと。アンチラは期間限定で行われたガチャのレアキャラだったのですが、このガチャのシステムが原因でグラブルは大炎上。なんとガチャに80万円もの大金をつぎ込んだ人もおり、最終的には消費者庁が動く騒ぎになってしまいました。
アンチラ事件の大元「グラブル」について
アンチラ事件が起こったグラブルとは、「グランブルーファンタジー」というソーシャルRPG。武器やアイテムなどを集めてキャラクターを強化したり、敵と戦ったりしながら物語を進めます。物語の緻密さや美しい映像が人気に火をつけ、現時点で1000万人以上ものユーザーがいるとも言われています。
しかし、グラブルは課金要素が強く、自分のキャラクターを強くするには必ずといっていいほど課金が必要でした。数十万単位で課金する人も多かったようです。これがのちに、アンチラ事件を引き起こす原因となるのです。
アンチラ事件の「アンチラ」とは
アンチラ事件の「アンチラ」というキャラクターは、正月限定のガチャに登場したレアキャラ。ガチャが行われた申年にちなんで、サルをモチーフにした外見をしています。その可愛らしい風貌に加えて、特別な能力を持っているとあってユーザーたちは必死になって手に入れようとしました。
アンチラ事件まとめ|コトの発端
冒頭では簡単にアンチラ事件の概要を説明しましたが、ここからは詳しく解説していきます。
アンチラ事件の発端は、2015年と2016年を跨いて行われたイベント「ゆく年くる年レジェンドフェス」。このイベントの目玉は、低確率で出現するアンチラというキャラクターです。アンチラを手に入れるためには、課金型コンテンツ「ガチャ」を必ず利用しなければなりません。
ガチャのシステムは非常に厳しく、どれだけお金をつぎ込んでも必ずアンチラが手に入るという確証はありません。アンチラが欲しければ、当たるまでお金を出してガチャを回し続けなければいけないのです。かなり鬼畜なシステムともいえますが、ガチャ自体は法的に一切ひっからない合法的なシステム。
では、なぜグラブルは事件と呼ばれるほどに炎上したのか。それは、あまりにもアンチラの排出率が低すぎたからです。もともとアンチラはレアキャラとして登場していたため、ユーザーも出現率の低さは理解していました。しかし、レアキャラにしても当たらなさすぎると徐々にSNSで話題になり始めたのです。
アンチラ70万を信じて
— 飴すぐ噛む人 (@LipuJenes) January 2, 2016
2522連回した結果爆死しました #グラブル pic.twitter.com/JiwBVhTTWM
なんと70万円もの高額課金をしたにも関わらず、当たらなかったというユーザーもいました。高額課金者をしても一向に当たる気配がないということで「グラブルが詐欺を行っているのではないか」と疑惑の声が上がり始めます。そして、朝日新聞に掲載されるほど騒動がエスカレートしていきました。
アンチラ事件まとめ|消費者庁が動くほど大きな騒ぎに
アンチラ事件は新聞に掲載されるだけでなく、運営側に立ち入り検査を求める署名活動まで始まってしまいます。さらに、アンチラ事件の騒動を受けて政府が「消費者庁が対応に動く」というコメントを発したのです。いちスマホゲームのガチャシステムが、政府を巻き込む社会問題にまで発展。誰がここまで大きな事件になると想像したでしょうか。
アンチラ事件まとめ|アンチラ事件が大炎上した理由
いちスマホゲームが政府を動かすまで大きな問題を起こすことは、そうありません。では、なぜアンチラ事件はここまで炎上してしまったのでしょうか?ここでは、アンチラ事件に火を注いだ、いくつかの理由を紹介します。
アンチラ事件が大炎上した理由①SNSの投稿
アンチラ事件がここまで炎上してしまったのは、SNSの影響が大きいと考えられます。SNSは良くも悪くも、爆発的な拡散力を持ちます。ゆえにガチャで高額課金しても当たらないという事実が、急速に世の中へ広まってしまったのです。そして、大勢のユーザーたちが批判の声を上げ、グラブルは瞬く間に大炎上したというわけです。
アンチラ事件が大炎上した理由②声優「田中理恵」さんのステマ疑惑
新年1回目の10連で…
— 田中理恵 (@tanakarie) December 31, 2015
で…出ました!!!!
アンチラさんーー!!! pic.twitter.com/Ht2KaBmwgF
アンチラ事件において炎上したのは、グラブル運営会社だけではありません。声優を務めていた田中理恵さんも炎上してしまいました。田中理恵さんは、たった10回のガチャでアンチラを当てたと自身のSNSで報告。80万円もの課金を行っても当たらない人がいるなかで、10回はおかしいと炎上したのです。
また、田中理恵さんのSNSではグラブルをプレイしている写真よりも、レアキャラを当てた写真ばかり発信されていました。その事実からユーザーの間で「田中理恵さんはグラブルのステマなのでは?」との噂が広まり、さらに炎上。いまだステマであったかどうかは謎ですが、グラブルを宣伝しようとした行動が裏目に出てしまったのです。
アンチラ事件が大炎上した理由③グラブルのプロデューサーによる疑惑否定
声優の田中理恵さんのステマ疑惑騒動が大きくなってきた頃、グラブルのプロデューサーがステマ疑惑を否定したのです。しかし、ユーザーからは「そんな話は必要ではない」「返金が先だ」などの批判が殺到してしまい、大炎上。事態を鎮静化しようと謝罪しましたが、最終的に火に油を注ぐ結果となってしまいました。
アンチラ事件まとめ|プロデューサーの謝罪
声優の田中理恵さんのステマ疑惑否定時に一度謝罪したプロデューサーですが、その後再び謝罪が行われました。謝罪の内容は、ユーザーに不安を与え、疑われるような行動をしてしまったことに対するものでした。プロデューサーはユーザーへ誠意を見せるためか、自身の顔を公開した動画配信にて謝罪をしています。
アンチラ事件まとめ|ユーザーへ詫び石の配布
アンチラ事件後、グラブルは全ユーザーに対して「宝晶石」という詫び石を3000個配布。また、ガチャに利用した金額を詫び石として、ガチャチケットで利用した分は同じチケットとして返還しています。そして、ガチャによって手に入れたアイテムやキャラクターに関しては、引き続き使用できるという対応を行いました。
正月ガチャで使い込んだ分を詫び石として返してくれるのは嬉しいといった声が上がる一方で、根本的には解決していないとの厳しい声も。また、「詫び石ではなくて現金で返してくれ」「詫び石って…これ返金じゃない」「こっちはお金出したのに詫び石っておかしくない?」など、グラブルの詫び石対応を疑問視する声も上がっています。
アンチラ事件まとめ|コンテンツの仕様変更
詫び石に加えてグラブルはアンチラ事件後、新たなシステムを実装。それは、ガチャを300回(約9万円分)回すと、必ず好きなアイテムやキャラクターを1つだけ手に入れられるというシステム。上限額を設けることによって、アンチラ事件のようにどれだけお金をつぎ込んでも当たらないといった問題を解消。
上限額システムについてはユーザーからの評判も上々でしたが、一方で「9万円は高すぎる」「ユーザーをバカにしているのか?」などの批判も見受けられました。
スマホゲームは節度を持ってプレイしよう
現在日本を含め、世界でスマホゲームが利用されています。自分のお金を使って課金する分には誰も文句はいえませんが、数十万単位での利用は危険です。いくら対策を取っていたとしても、今後もアンチラ事件のようなトラブルが起こらないとは限りません。そのため、スマホゲームは節度を持ってプレイしましょう。