小説「刀語」(かたながたり)は、ライトノベル作家の西尾維新さんの作品で2007年1月9日から12月にかけて、1月に1冊12か月連続で出版・販売されました。
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また、2010年1月から12月に渡ってテレビアニメが放送。多くのテレビアニメが「毎週放送&放送時間30分」なのに対して「刀語」は「月1回放送&放送時間1時間」という珍しい放送形態となっていました。
また、同作品は2013年4月からフジテレビの深夜番組枠「ノイタミナ」をはじめ、各テレビ局で放送されましたよ。
戦国時代。
武将たちの間では、四季崎記紀(しきざき きき)という刀鍛冶士が打ち上げた千本の刀の内、本数を多く持つことで戦いにおいて優位に立てると言われていました。
尾張幕府が立ったことで戦乱の世は収まりましたが幕府は後々には四季崎の刀が脅威になることを恐れ、その全て手中に収めるよう刀狩を行い、988本まで四季崎の刀を集めました。
とある島で暮らす「虚刀流」(きょとうりゅう)当主・鑢六枝(やすり むつえ)のもとへ、尾張幕府家鳴将軍家直轄預奉所軍所総監督奇策士・とがめが訪れます。
しかし、1年前に六枝は死亡、島には七代目当主となる七花(やすり しちか)と姉の七実(ななみ)が暮らすのみとなっていました。
とがめは七花に、かつての戦国時代に力を求める武将が求めたという四季崎の打った千本の刀の内「完成形変体刀」と呼ばれる12本の刀集めの協力を依頼。
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こうして、12本の「完成形変体刀」の探索・収集を目的とし、七花はとがめの「刀」として各地の強豪たちと戦いを繰り広げて行くのでした。
高身長で金色の髪に青い目を持つ通称・否定姫。とがめの天敵(ライバル)として登場します。
ちなみに、「否定姫」という呼び名は本名ではなく、自分自身以外の事象全てを「否定」することからつけられた通称で、本名は明かされていません。
否定姫の長い金髪には、ところどころにピンクやブルーのメッシュが入っていて、ビスチェのような帯にマーメイドドレスのような着物を身につけています。
そのかわいい姿はスレンダーでありながらスタイル抜群、まるでモデルのようでもありますよ。
本当に、どこかのお姫様のようにかわいい否定姫ですが「尾張幕府直轄内部監察所総監督」とう立派な肩書を持っています。作中では具体的な職務の内容について触れられていませんが、幕府に仕える役人の一人であることや「総監督」という名称から、それなりの立場であることが伺えますね。
否定姫の部屋にはバラの花のオブジェが吊られていたりラグ風の敷物が敷かれていたり、寝具が天蓋付きのベッドだったりと、全体的に洋風な雰囲気をまとっているのが特徴です。
口ぐせは「否定する」「私はそれを否定する~」と名前の所以ともなっているように、相手の言動を否定すること。
また、将軍でさえも集めることができなかった四季崎の変体刀の情報についてやけに詳しいという事実もあります。
このように否定姫は容姿や言動から見ても、その正体や目的が謎と考えられる存在となっていますよ。
物語後半で、否定姫の正体が四季崎記紀の末裔であることが語られます。(例によって否定していますが)
「完成形変体刀」の情報について詳しかったのにも納得です。
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12本の「完成形変体刀」を将軍に献上することになった否定姫は将軍と対面し、実は四季崎は刀鍛冶ではなく占い師であり、「完成形変体刀」を作ったのは「未来に起こる日本の滅びを止めるため」だったと明かすのでした。
直後、七花が城へ攻め入ったとの報告が入ります。
それを聞いた否定姫は、七花こそが「完了形変体刀」虚刀流・鑢であり、七花を討つことで四季崎記紀の目的が成就され、「家鳴将軍家千年の繁栄」が実現するのだと将軍を説得するのでした。
その後、七花は「完成形変体刀」11本を破壊した後に右衛門左衛門をも倒し炎刀・銃も破壊、天守閣までやってきます。
恐怖する将軍に否定姫は「家鳴将軍家千年の繁栄」というのは方便で、四季崎の本当の目的は「尾張幕府の崩壊」による歴史の改ざんだったこと、さらには四季崎の目論みを達成するために「将軍を殺すことを目的としていた」ことを将軍本人に告げる否定姫なのでした。
結果として、七花によって将軍を殺す目的は達せられましたが、四季崎&否定姫の尾張幕府を終わらせ歴史を改ざんするという計画は失敗しています。
将軍が死亡した後、その息子が新たな将軍に就き、幕府はそのまま続くこととなったのです。
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その後、否定姫は「最大の誤算は飛騨鷹比等と容赦姫(とがめ)の存在よね。歴史の改ざんはできなかったけれど、改変くらいはできたから。100年後の連中に頑張ってもらいましょう」と言っています。
とは言え、将軍暗殺の一味として非公式ながらも否定姫は「お尋ね者」として幕府から追われる身となり、行方をくらましたのでした。
お尋ね者なった否定姫はその後、意外な行動を取りました。
なんと、地図を描くために全国を旅する七花について行く道を選んだのです。
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七花自身は否定姫に「ついて来るなと頼んだ」と言っていますが、積極的に遠ざけようとはしていませんでした。
そして、七花は否定姫に「一緒に来るなら少しは役に立て、その代わり追っ手が来たらオレが戦ってやる」と言っていました。
否定屋敷から出て髪を切り、町娘のような着物を身につけた否定姫の口からは「否定する」という言葉は一度も出ることはありませんでした。
こうして否定姫は七花と一緒に旅をすることになったようですが、その後の二人の行方は誰も知りません。
ですが、四季崎の目論見が失敗に終わったことをきっかけに、否定姫としての人生を捨て新た道を歩んだのではないかと推測でできますね。
「尾張幕府家鳴将軍家直轄預奉所軍所総監督」のとがめとは犬猿の仲で、会えば互いに罵詈雑言を言い合う間柄。
お互いを名前で呼ぶことすらせず、否定姫がとがめを話題に出す時は「不愉快な女」と呼んでいます。(ちなみに、とがめは否定姫を「あの女」と呼びます)
互いの足を引っ張り合ったり、時には情報交換や提供したりと、ゲームを楽しんでいるかのような否定姫ととがめの関係。
しかし、とがめが謀反人である飛騨鷹比等の娘・容赦姫だと知った否定姫は役目上、仕方なく手下の左右田右衛門左衛門にとがめの暗殺を命じ、右衛門左衛門はその命を果たすのでした。
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否定姫がとがめの暗殺を決めた際に「とても残念だった」と言っていることや、七花に「本当はとがめのことを好きだったのでは?」と訊かれた際にも「嫌いじゃなく、なくもなかったわ」という否定の否定で返していることから、嫌いでありながら好きだったという否定姫らしい感情を持っていたことがわかりました。
否定姫の腹心の部下で、かつて真庭忍軍に滅ぼされた相生忍軍の生き残りである左右田右衛門左衛門(そうだえもんざえもん)。
「不及(およばず)」や「不得禁(きんじえず)」というように言葉に「不」を付けた否定形の返事をするのが特徴。
真庭鳳凰に敗北し、心身ともにボロボロになり「精神が死んだ状態」だったところを否定姫に拾われ「死」を否定されたことで否定姫の部下となりました。(ちなみに、この名前は否定姫が名付けたもので本名は不明です)
恩義のある否定姫の命令には常に忠実で、否定姫の計略も知らされていたことから信頼されていることが分かります。
否定姫の命令であれば自分の命を投げ出すことも厭わず、実際、最後に七花との戦いにおいてその命を散らしたのでした。
七花から、右衛門左衛門が死んだことを聞かされても否定姫は平然としていましたが、後に七花と一緒に旅する否定姫の頭には、かつて左右田右衛門左衛門が着けていた「不忍」の仮面がありました。
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これは、右衛門左衛門を忍ぶ気持ちを否定姫なりに表していたとも考えられるのではないでしょうか。
日本人離れしたかわいい容姿の否定姫の声を担当したのは、声優の戸松遥さんです。
戸松さんが声優としてデビューしたのは、まだ高校生だった2007年。デビュー作は「がくえんゆーとぴあ まなびストレート!」のスイーツ生徒役でのことでした。
同じ年の4月放送の「神曲奏界ポリフォニカ」ではヒロイン・コーティカルテ役を演じます。
高校卒業後は大学に通いながら声優活動を行い、2008年の「絶対可憐チルドレン」の三宮紫穂役や「To LOVEる -とらぶる-」のララ・サタリン・デビルーク役で人気声優となりました。
戸松さんのアニメ声優の代表作は、「ソードアート・オンライン」のアスナ/結城明日奈役、「妖怪ウォッチ」のケータ/天野景太役、「ハピネスチャージプリキュア!」の氷川いおな/キュアフォーチュン役などがあります。
また、2008年には個人名義で歌手としてデビュー、2009年には声優ユニット「スフィア」のメンバーとして活動を開始していますよ。
2013「第7回声優アワード」助演女優賞受賞と、人気と実力を兼ね揃えた声優のお一人と言えるでしょう。
金髪と青い目、スタイル抜群の否定姫のフィギュアを紹介します。
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扇やストッキングなど細かいところや、否定姫のかわいい姿が余すところなく再現されていますね!
「刀語」に登場する否定姫は、金髪に青い目を持つかわいい女性。声を演じたのは声優の戸松遥さんでした。
ヒロインの天敵として登場しましたが、その正体は四季崎記紀の末裔であり、間違った歴史の修正のため将軍を討ち幕府を倒そうと画策していました。
結果として倒幕はなりませんでしたが、多少の歴史の改変があったことで、それが未来になんらかの影響を与えるのではないかという希望を持っていることを語っています。
将軍を討った(実際に討ったのは七花)ことでお尋ね者となった否定姫は髪を切り、町娘の姿で衛門左衛門の遺品となった「不忍」の面を着けて七花の旅に同行したことが判明しています。
その後の否定姫がどうなったのか?それについては語られていませんが、名前を捨てて自由に生きたのであれば良いと願うばかりです。