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ゲド戦記

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「ゲド戦記」はなぜつまらない?意味不明な理由を徹底検証!

2021.06.14

公開当時から「つまらない」「意味不明」と酷評が続いた『ゲド戦記』。「良作」とも「ジブリ1の駄作」とも言われる『ゲド戦記』は、なぜそれほど意見が分かれ、酷評されるのでしょうか。つまらないと言われるその理由を考えてみました。

  1. 『ゲド戦記』とは
  2. 【ゲド戦記】酷評が多めな『ゲド戦記』【つまらない?面白い?】
  3. 【ゲド戦記】酷評理由①監督がアニメ監督未経験【つまらない?面白い?】
  4. 【ゲド戦記】酷評理由②ストーリーが意味不明【つまらない?面白い?】
  5. 【ゲド戦記】酷評理由③原作の良さがない【つまらない?面白い?】
  6. 【ゲド戦記】酷評理由④期待が大きすぎた【つまらない?面白い?】
  7. 【ゲド戦記】『ゲド戦記』を評価する声も【つまらない?面白い?】
  8. 【ゲド戦記】名言が多い『ゲド戦記』【つまらない?面白い?】
  9. 【ゲド戦記】考察好きにはたまらない?【つまらない?面白い?】
  10. 『ゲド戦記』についてまとめ
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『ゲド戦記』とは、アメリカの小説家、アーシュラ・クローバー・ル=グウィンの「ゲド戦記シリーズ」と、その物語に感銘を受け、宮崎駿監督が描いた『シュナの旅』を原作・原案としたジブリのアニメ映画です。監督・脚本を担当したのは、巨匠・宮崎駿監督の実子である宮崎吾朗さんで、宮崎吾朗さんの初監督作品となりました。

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父である国王殺してしまったエンラッドの王子・アレンは、「なぜ父を殺してしまったのか」「何がそうさせたのか」訳のわからないまま逃げるように国を出ることに。正体のわからない「影」に追われ、心が蝕まれるなか、道中知り合ったハイタカとの出会いによって、彼は自身に起こった異変、世界に起こっている異変に原因があることを知るのです。

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原作である「ゲド戦記シリーズ」は、ファンタジー作品として非常に人気の高い物語で、ファンも多い作品です。それを、日本が世界に誇るアニメーション会社・スタジオジブリが映像化するとなれば、文句なしに良作となりそうなもの。しかし、実際公開されたものを観た人からは「つまらない」「駄作」と辛辣なコメントが多く上がりました。

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中には、つまらないどころか「わざわざ観るものではない」とまで言う人も。酷評は、特にジブリ作品が好きな人々から多く寄せられたようでした。作品の舞台も、原作も、キャラクターも非常に良い素材が揃っていたのに、なぜ口々に「つまらない」と言われるようになってしまったのでしょうか。ここではその理由について考えていきたいと思います。

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先述の通り、本作はジブリというブランドを築き上げた宮崎駿監督の息子である、宮崎吾朗さんが監督・脚本を務められました。宮崎吾朗さんは、今までアニメ映画の監督など経験したことがなく、『ゲド戦記』が初監督作品になります。公開当時、このことに関して批判する声もとても多かったですね。なんでも最初は未経験ですし、これで批判されるのは少々意味不明ですが、やはり「親の七光り」と考えられてしまったよう。

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監督自体未経験であっても、宮崎吾朗さんはジブリアニメが制作されているすぐ側で育ってきた人物。ジブリ作品がどういったものか、というのは非常によく理解していたのではないかと考えられます。だからこそ、鈴木敏夫さんは、宮崎吾朗さんを強く監督に推薦したのではないでしょうか。もちろん、経験不足もあったとは思いますが、息子の作品だからと批判したりするのは、よくないですよね。

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アニメ『ゲド戦記』でもっとも批判が集まったのは、そのストーリー。視聴者を置き去りにする、支離滅裂とも、意味不明とも言えるストーリー展開が最終的に「つまらない」という意見を呼ぶことになりました。脚本も宮崎吾朗さんが担当されたのですが、これは経験不足がそのまま祟った形になるのではないでしょうか。

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宮崎吾朗さんは、『ゲド戦記』という作品を作るというのに、父が「ゲド戦記シリーズ」から感銘を受けて描いた『シュナの旅』も原案として盛り込んだのです。「ゲド戦記シリーズ」の影響を受けているとはいえ、『シュナの旅』は全くの別作品。この2つを合わせて考えようとすれば、それはもう『ゲド戦記』ではないですし、ストーリーも意味不明になってしまいますよね。

映画という尺に収まるようメインとなるストーリーを絞って作ったはずなのに、様々な要素をかいつまんでしまった結果、結局何を描きたかったのかわからない意味不明なストーリーとなってしまったのです。ストーリーが理解できないと、つまらないと感じてしまうこともありますよね。

影との戦い―ゲド戦記〈1〉 (岩波少年文庫)
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本作は、全6巻ある「ゲド戦記シリーズ」の第3巻「さいはての島へ」を主なストーリーとして描いていたのですが、なぜか第1巻の「影との戦い」の要素も作品の中に入れ込んでしまいました。そもそも世界観が壮大な原作を、1巻だけでも映画化するのは大変なのに、そこに別の巻、別の作品の要素を入れたことで、全体的に薄い、広く浅い作品となってしまったのです。

さいはての島へ―ゲド戦記〈3〉 (岩波少年文庫)
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原作者であるアーシュラさんも、アニメ『ゲド戦記』は原作とは別物の、宮崎吾朗さんの作品になっていると発言するほど、原作の良さを活かしきれない作品となりました。「あえて表現しない」こともジブリ作品の魅力ではありますが、本作は「表現をしなさすぎた」ことで、原作の良さを消し、視聴者にとって意味不明な作品となってしまったのです。

ジブリが制作するということ、原作が非常に人気の高いファンタジー作品であったこと、あの宮崎駿監督の実子が監督・脚本を担当することなどから、ファンの期待値が非常に高かったのが、酷評の1番の理由ではないかと考えられます。「ジブリ」というブランドも、原作も気にせず観た場合、理解しきれないところがあるにしろ、つまらないと批判されるほど酷い作品ではないように思います。

映像は綺麗ですし、謎は明確に明らかにしないものの、必要最低限の情報はきちんと出していて、ストーリーがすべて破綻しているというわけではありません。視聴者が置き去りにされてしまうようなストーリー転換は確かにありますが、そういった作品自体は他にも存在します。やはり「ジブリ」というブランドで発表したことが、駄作と言われてしまった最たる要因なのではないでしょうか。

厳しい意見も多い『ゲド戦記』ですが、実は「好き」「良作」という意見も一定数存在します。おそらく、何を重点を置いて観るかによって、意見が180度変わるのではないでしょうか。ファンタジー、魔法、竜が存在するという世界観は作品として十分魅力的な部分ですし、主人公であるアレンも物語終盤に向けて成長していき、終わり方としては非常に綺麗なものとなっています。

ヒロインとなる少女・テルーと次第に心を通わせていくのも、作品としての魅力的な部分になりますね。多少ストーリーが意味不明でも、そういったキャラクターの成長や距離感の変化、悩む主人公に寄り添ってくれる心優しい人々の描写など、胸が熱くなるようなシーンはたくさん登場しますし、物語の軸よりそこを注目して観る人にとっては十分面白い作品と言えるのではないでしょうか。

『ゲド戦記』を観て「泣いた」という言う人もいますが、それは作中のキャラクターに明言が多いからです。これもまた、『ゲド戦記』を良い作品だと言う理由のひとつですね。

「死ぬことがわかっているから命は大切なんだ」

これは、ヒロイン・テルーの言葉です。命が永遠のものであったり、もしくは終わりのないものであったなら、今を大切に生きようとは思いませんよね。限りがあるからこそ、大切にしたいと思い、終わりがあるからこそ、「生きる」ことの意義を実感できるのです。

「わしらが持っているものは、いずれ失わなければならないものばかりだ。苦しみの種であり、宝物であり、天からの慈悲でもあるわしらの命も」

アレンと共に旅をしていたハイタカのセリフです。失くしたい苦しみも、失くしたくない大切なものも、いずれは同じように失っていくのだと諭すこの言葉は、当たり前のことでありながら、忘れてしまいがちなことですよね。苦しみも幸福も、いつまでも続かないからこそ、それぞれを強く感じることができるのです。

アレンが生きることを恐れているため、作中には命や生死に関わる言葉が非常に多く登場します。身近なことでありながら、どこか他人事のようにも捉えてしまう「生死」について改めて考えさせられるのが、本作の魅力的な部分ですね。

アレンが追われていた「影」とは結局なんだったのか、「竜」とはなんなのか、詳しいことは一切明かされなかった『ゲド戦記』ですが、だからこそたくさん考察をすることが可能です。もちろん、原作小説を読めば、世界観やストーリーをより理解できるのですが、ジブリで描いた『ゲド戦記』について考察するなら、原作は補助程度の役割で、すべてを理解し考察することはできません。

言葉にしなくても、表現しなくても、表情の変化ひとつ、視線ひとつで、いくらでも目に見えない部分を考えることはできます。表面で描かれている映像を元に、自分なりに物事を考察することが好きな人にとっては、非常に面白い作品と言えるのではないでしょうか。

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どの作品にも言えることですが、結局作品を観てどう思うのかはその人次第です。『ゲド戦記』は、評価が高いジブリアニメの中で低評価が目立った結果、「つまらない」「駄作」と言われてしまっているだけで、アニメ映画としては酷評されるほど酷い作品ではありません。

ファンタジー作品が好きな人は、是非1度視聴してみてはいかがでしょうか。

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サムネイル画像は下記より引用しました。
出典: https://twitter.com/cinematoday/status/951726709887336448