俳句とは
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俳句は基本的に5,7,5字で区切られて少ない文字数で歌われるものです。そんな少ない文字ながら奥が深くたくさんの意味が込められています。
ちなみに基本は17字ですが、場合によって字余りや字足らずという文字数が多かったり少なかったりすることもあります。
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片思いを歌う有名な冬の恋の俳句①「亡くなった旦那への想いを歌う」
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「雪はげし 抱かれて息の つまりしこと」(橋本多佳子)
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建築家でもあり実業家でもある旦那を持った橋本多佳子はある時俳人の高浜虚子と出会い、それから俳句の世界に入るようになった女性です。
しかし幸せに暮らす橋本多佳子でしたが、1937年に愛する旦那を亡くしてしまいます。それから月日が流れて出来たのが今回紹介するこの片思いを歌う有名な俳句です。
季語はもちろん「冬」ですね。
「雪」が「はげし」いとはそのまま冬の時期の雪の降雪が激しいことを表しています。
「抱かれて息の つまりしこと」という部分は抱かれることで息が詰まってしまうことを表しているのでしょう。
全体的な意味を恋歌として捉えるならば「降雪の激しい雪がまるで自分を強く抱きしめているような感じがして
亡き旦那を思い出す」といった感じになると思います。
とは言っても正解はないので実際の意味は不明です。一度は結ばれたものの夫亡き今永遠に片思いするしかないという切ない冬の恋歌でした。来世かあの世でまた結ばれるといいですね。
片思いを歌う有名な春の恋の俳句②「愛は奪うものだという歌」
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「鞦韆(しゅうせん)は 漕ぐべし愛は 奪うべし」(三橋鷹女)
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1899年生まれの三橋鷹女はその後1970年代まで生きていた昭和を代表する俳人です。夫が医者であり俳人でもあったことから自身も俳句の世界に入り込み、複数の有名な俳句を世に送り出しました。
特徴的なのはなかなか情熱的で織田信長を彷彿とさせるグイグイ押し込んでくるような俳句を歌っている点でしょう。特に今回紹介する俳句が如実に現れています。
季語は「鞦韆」で春を意味しています。あまり聞きなれない言葉ですが、公園などにある「ブランコ」のことです。
意味としては「ブランコは漕ぐものである。愛は奪うものである」といった意味でしょうか。ブランコは当然漕ぐものですが、愛は奪うものなのか?と疑問に思っちゃいますね。
その点ブランコを漕ぐように愛だってさも当然に奪うべきものだという中々挑発的なこの歌は刺激を受けます。
世の中の男性女性たちの中には「片思いをしている人がいるけど、相手にはパートナーがいる」という状態の方もいると思います。そんな方々に愛は奪うものだよ!という言葉で勇気づけようとしていることが感じられます。
片思いを歌う有名な恋の俳句③「昔の恋の終わりを告げる歌」
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「きみ嫁(ゆ)けり 遠き一つ の訃(ふ)に似たり」(高柳重信)
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俳句は基本的に季節の言葉を交えて作るのが一般的ですが、この俳句を歌った高柳重信は季語を含まない前衛俳句を歌う人物です。そのため今回紹介俳句の中にも季語と思われるものは春夏秋冬特に含まれておりません。
俳句を解釈してみると「きみ嫁けり=きみが嫁に行った」、「遠き一つ=遠い昔の一つの記憶」、「訃に似たり=訃報に似ている」といった形になります。
全体的な意味としては「遠い昔片思いをしていた女性が嫁に行ったという知らせを聞いてそれがまるで訃報のようだ」という感じになるでしょう。
このような昔の片思いの相手が結婚したという事実を知らされるというのはありがちな話ですよね。そこまで片思いしているなら思いを言っておいた方がよかったのでは?とも思いますがそうならないためにも世の男性たちに警笛を鳴らす意味合いも感じます。
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「逢ふことも 過失のひとつ 薄暑光」(大高翔)
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13才より俳句を始めた大高翔は生きた俳人さんです。現在は俳句を教えるお仕事などをする傍らテレビ出演や各種メディアなどにも登場しています。名前が少し男性のように思えますが女性です。
この歌の季語は「薄暑」の部分。初夏を表す薄暑は5月の終わりくらいのちょうど外にいると汗ばんでくる季節になっています。
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「恋ふたつ レモンはうまく 切れません 」(松本恭子)
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長崎県出身の松本恭子は女性の揺れ動く青春的な感性を口語文体で表現するどなどしている俳人です。
紹介する俳句の季語は「レモン」。レモンは秋に実るフルーツなので冬よりも先に来る秋が季節として正しくなります。
俳句の意味は「片思いを寄せて寄せられる人が2人いることからどちらか一方をうまく選ぶことが出来ない」といったものになるでしょう。
レモンには純真無垢な女性を意味するようなものもあり一途なイメージもあるわけですが、この歌はそんなレモンを切れない様を感じます。
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「会ひたくて 逢ひたくて踏む 薄氷」(黛まどか)
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1962年生まれの黛まどかは富士銀行に勤めたあとにテレビレポーターをしていた現代の代表的な女性俳人の1人です。俳句だけでなくサンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路約900kmを徒歩で踏破するという中々過酷なことも達成しています。
そんな黛まどかによるこの俳句の季語は「薄氷」。春とまでは行かないものの薄い氷が地面に張る程度の冬を感じさせる早春です。
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意味としては「片思いなどの相手に会いたくて仕方がないという気持ちがあるのに会う勇気が持てなくて逢いに行けずに薄氷の張る地面を踏みとどまってしまう」といったものです。
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片思いの切ない俳句をご紹介しました!
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約17字という少ない文字数の中で表現される俳句は小さなものですが奥の深さが半端ではありません。作者の考えていたことを知るのもいいですが意味を自分なりに考えて解釈するというのも楽しめる読み方の1つと言えるでしょう。
皆さんも是非お気に入りの春夏秋冬の季語が入った俳句を見つけてみてください。
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