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猫の恩返し

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「耳をすませば」の原作は?気になる雫のその後や裏設定とは?

2021.07.15

雫と聖司の甘酸っぱいやりとりが青春を感じる『耳をすませば』。原作は少女漫画で、現代でも使われる少女漫画らしいストーリーが魅力的な作品です。そんな『耳をすませば』について、原作と映画の違いやその後、裏設定などを紹介していきます。

  1. 『耳をすませば』とは
  2. 【耳をすませば】原作漫画について【原作・裏設定】
  3. 【耳をすませば】映画との違い①:雫たちの年齢【原作・裏設定】
  4. 【耳をすませば】映画との違い②:聖司の夢【原作・裏設定】
  5. 【耳をすませば】映画との違い③:雫の姉に関する設定【原作・裏設定】
  6. 【耳をすませば】映画との違い④:登場する猫【原作・裏設定】
  7. 【耳をすませば】『猫の恩返し』との共通点【原作・裏設定】
  8. 【耳をすませば】聖司がイタリアへ渡ったその後【原作・裏設定】
  9. 【耳をすませば】その後2人はどうなったのか【原作・裏設定】
  10. 『耳をすませば』の原作についてまとめ
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『耳をすませば』とは、柊あおい先生執筆の漫画で、ジブリがアニメ映画化した作品です。ジブリが元にした柊先生の漫画は少女漫画に分類されていて、今までのジブリ作品より恋愛面が前面に出ているのが特徴的な作品ですね。過去作品にも恋愛要素のあるものはありますが、これほど恋愛に振り切ったのは、当時のジブリ作品では珍しいと言えます。

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本を読むことが好きな主人公・月島雫は、夏休み中のある日、図書館から借りてきた本すべてに「天沢聖司」という名前が書かれていることに気づきます。一体どんな人なのだろうと考える雫ですが、実際会った第一印象は最悪でした。しかし、交流を続け、自分の進路とも向き合っていくなかで、雫と聖司は互いに惹かれあっていくようになります。

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原作である少女漫画『耳をすませば』は、雑誌「りぼん」にて掲載されていました。現在発売されている文庫版には、『耳をすませば』本編と、その後発売された『耳をすませば 幸せな時間』というアフターストーリーがともに収録されています。アフターストーリーについては、映画では完全ノータッチですので、映画を何度も観ている方も楽しめる漫画となっています。

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また、作者が少女漫画家であり、『耳をすませば』も同ジャンルであることから、ジブリ映画に比べると少女漫画らしいタッチや表現が、原作に多く見受けられます。絵柄以外にも、内容や設定など、原作と映画ではだいぶ違う部分も多く、そういったところを読んで確かめるのも楽しいかもしれませんね。映画が好きな方は是非読まれてはいかがでしょうか。

映画では、雫や聖司は受験を控えた中学3年生でしたが、原作漫画では中学1年生として描かれています。それに伴い、雫の姉・汐も高校生から大学生というように年齢が引き上げられていました。雫たちの年齢設定をあげたのは、おそらく111分というなかで、2人の距離感、成長、若者の未来への希望を描くためかと思います。

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中学1年であれば、映画で描かれたような、将来について姉や母に責められるといった描写はできませんし、雫の心の葛藤を描くことも、父の雫の背を押す場面を描くこともできません。また、あともう少しで聖司と離れ離れになってしまう、という悲しみや、その先に約束された未来への幸福感も、あと2年以上時間が残されてるとなると、少々薄れてしまいますよね。

アニメでは、ヴァイオリン職人を目指している聖司ですが、原作で目指しているのは「画家」。芸術系であることは間違いありませんが、ヴァイオリン職人と画家だとだいぶ違いますよね。この変更は、おそらく作中で「カントリーロード」を歌ったこと、またより困難な道を進ませる方がドラマティックだと考えたからではないでしょうか。

まず、せっかく雫がカントリーロードを和訳し、歌う機会があるのなら、その相手役にも何か音楽をさせたいですよね。絵を描く描写は漫画でも十分にできますが、楽器から音が出る表現は映像作品でしかできません。発信媒体に合った設定を考えた結果、ヴァイオリン職人となったのではないかと考えられます。

また、2人を引き裂く絶対的な理由と、将来を誓い合った通り迎えられるのかへの不安感や期待感を煽るためには、特殊な職業を選ばせたほうが、物語として面白いですよね。

雫たちの年齢が上がっていることで、汐の年齢も上がっていると記しましたが、汐に関してはその性格や恋人の有無までだいぶ設定が変更されています。映画の汐はしっかりとしていて、滴に対して口うるさく言ったり、少々言葉じりがきつい印象がありますが、原作ではもう少し大人しい人物として描かれているのです。高校生と大学生では心持ちも違うとは考えられますが、アニメでは母代わりのように描かれていたのが理由だと考えられますね。

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また、原作では聖司の兄と付き合っているという設定もありました。これはかなり大きな変更点と言えるのではないでしょうか。少女漫画としては、身内同士が恋に落ちるのはわりとある展開なので、その設定はそのまま活かしても問題ない気がしますが、「月島雫」という人間にフォーカスを当てると決めて話を進めたため、周りの人間にはあまり余計な設定を付与しなかったのではないかと考えられます。

聖司に「ムーン」と呼ばれていたぽっちゃり猫。映画では左耳の模様と太々しい表情、「お玉」「ムタ」など様々な名前で呼ばれているのが特徴の猫ですが、原作では2匹の黒猫でした。それぞれ名前は「ルナ」と「ムーン」で、映画では「ムーン」という名前だけそのまま残りました。猫を2匹から1匹にした理由は、1人と1匹という構図を生み出すためだったのではないかと考えられます。

1人と2匹より、1人と1匹のほうがどこか物悲しい気持ちになりますし、雫も自分と猫を重ねやすいですよね。また、色の変更についてですが、これはおそらく、同じくジブリ作品の『魔女の宅急便』に登場する、黒猫・ジジと被ってしまうことを防ぐためだと考えられます。やはり、特別な理由がない限りは、他作品とのキャラ被りは避けたかったのではないでしょうか。

『耳をすませば』の7年後に公開されたジブリ映画『猫の恩返し』。両方の作品を視聴している方、もしくは原作を読まれた方はすでにお気づきかもしれませんが、本作で登場した猫の置物「バロン」と、先ほど紹介した猫「ムーン」が『猫の恩返し』にも登場します。『猫の恩返し』の原作も、柊あおい先生が担当されているというのも、2作の共通点ですね。

『猫の恩返し』は、雫が大きくなってから描いた小説という裏設定が存在します。なので、そもそも『猫の恩返し』は『耳をすませば』のスピンオフ作品という立ち位置になるのです。『耳をすませば』作中で、雫はバロンを主人公にした作品を描いており、その未熟さに涙する場面もありますが、そんな彼女がしっかりと物語を書き切ったのだと思うと感慨深いものがありますよね。

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聖司は中学を卒業したらイタリアへ修行しに行くことを決めていました。しかし映画では、2人がまだ中学を卒業する前、互いに想いを確認する場面で終わっており、聖司がイタリアへ渡ったあとどういう生活を送っていたのか、雫とは連絡を取り合っているのかなど一切描かれていません。映画公開と同じころに、原作漫画の続編『耳をすませば 幸せな時間』が雑誌に掲載されましたが、こちらでも聖司がどうしたのかその後は描かれていませんでした。

聖司のその後については、どこにも記載がないので考察にはなりますが、彼は立派に修行を果たすのではないかと考えられます。聖司はそもそもきちんと一本筋の通った人物で、イタリア修行も若気の至りではなく、きちんと両親を説得した上で決めたものです。雫と出会ったことで、夢に向かって進んでいくことをさらに深く決意しているので、イタリアへ渡ったその後もきちんと修行をし、雫との約束を果たすため頑張っているのではないでしょうか。

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ラストで、聖司は雫に「結婚しよう」と伝え、雫も「そうなればいいと思っていた」と答えます。中学3年生でそこまで言ってしまうのはなかなかすごいですよね。彼らはその後、約束通り結婚したのかどうかも、ファンとしては気になるところです。ただ、この2人その後についても原作に記載はなく、実際どうしたのかははっきりわかっていません。

ただ、原作通りの少女漫画基準で考えるのであれば、紆余曲折ありながらも、2人は大人になって結婚をするのではないかと思われます。結婚に至るまで、喧嘩したり別れたり、すれ違いながらも、最終的には想いを確かめ合い結婚する、というのが少女漫画のセオリーです。少女漫画として終わりを迎えるのであれば、結婚エンドが無難な終わりかたでしょう。

とはいえ、少女漫画にもいろいろな作品がありますし、リアリティーを追い求めたジブリとしてのその後を考えるのであれば、「甘酸っぱい青春思い出のひとつ」として記憶に永遠に残り続け、結婚自体はしない、ということも十分考えられます。子どもの頃の約束というのは果たされないことが多いですし、バッドエンドではないけれど、視聴者の望むハッピーエンドではない、というのもジブリ作品にはとても多いです。

それぞれ違う相手と結婚し、このときのことを輝かしい思い出として子どもや孫に語るのも、ジブリらしいその後ではないでしょうか。

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『耳をすませば』の原作と映画では、違う部分も多く、映画を念頭において原作を読むと少々驚くことも多いかもしれません。しかし、映画では描かれていない部分も漫画には多く描かれているので、『耳をすませば』についてもっと深く知りたい方にはとてもオススメとなっていますよ。

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サムネイル画像は下記より引用しました。
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