進撃の巨人は、連載当初、主人公、エレン・イェーガーを主軸に物語が形成されていました。マンガ、アニメ、小説問わず、最も典型的な表現方法ですね。しかし、エレンの急死。ここで、主役がヒロインであるミカサ・アッカーマンに移りました。今読み返せば違うのですが、初見の読者はそうとしか考えられませんでした。この主人公交代劇が、進撃の巨人の人気を一気名高めたといっても過言ではありません。
実写版映画「バクマン。」でも、進撃の巨人の名前を出して、主人公変更路線を取るエピソードがありました。それほどインパクトがありましたね。
謎の巨人の登場(その正体は進撃の巨人として巨人化して復活したエレン)と同時に、ミカサはガス欠により主役から離れ、エレンとばっかつるんで気持ちの悪い奴(ジャン・キルシュタイン談)のアルミン・アルレルトが戦術家として頭角を現し、また、エレンの主役降板と並行して、有能だけど、堕落の象徴だったジャン・キルシュタインが、物語の主軸となっていきました。
ガス補給室での戦いでは、頭脳はアルミン、戦闘はミカサ、指揮はジャンの3系統が確立して、ユミル、クリスタを除く104期生が一致団結し、エレン復活後は、再びエレンが主役に返り咲きました。
トロスト区防衛戦後、進撃の巨人は思いきった展開を見せます。大きな人気を獲得するに至ったミカサを物語の主軸から外してしまったのです。
別マガだから許されたのか、諌山先生が編集をねじ伏せたのかは定かではありませんが、少年ジャンプ等だったら絶対に許されなかったでしょうね。それほどまでにヒロイン、ミカサ・アッカーマンは可愛い、強い、健気、サシャほど度を超していない程よい天然、こんな金の卵のような可愛いヒロインを置き去りにするなんて考えられませんでした。
それは、進撃の巨人が、自叙伝方式から、群像劇へとシフトする上で必要な処置だったと、単行本25巻まで読んでいればわかります。しかし、当時は正気の沙汰とは思えませんでした。ここで、颯爽と、とはいえないものの、新ヒロインと目される可愛い女性キャラが登場します。それが、ペトラ・ラルです。
ペトラ・ラル。ラルの姓からもわかるように、その祖先は一年戦争でホワイトベースを手こずらせた「青い巨星」などと後年、わけのわからない二つ名を与えられたランバ・ラル大尉。
そんなわけありません。しかしながら、諌山先生は作風からも「無敵超人ザンボット3」「伝説巨神イデオン」「機動戦士ガンダム(ファースト)」の影響は強く受けているのでしょう。しかし、富野御大ときたら
「僕個人としては絶対に読みたくないし、評価もしたくない作品なのです。そういう漫画がこうも受けているというのは、今という時代がかなりひどいということ。」
「トミノがこういうって事は、進撃は名作ってことだな」
「嫌いなもの、評価しないものをここまで熱く語るわけないだろw富野にとっては最大級の評価だよ」
「これはベタ褒めじゃん」
ペトラ・ラルはエレンの調査兵団へ入団、特別作戦班、通称リヴァイ班へ編入されてから、進撃の巨人の物語に、本格的に加わってきました。右も左もわからないエレンに世話を焼いたり、リヴァイのことを質問したエレンにわかる範囲で答えてあげたり、可愛いお姉さん的な立ち位置です。作中では明記されませんでしたが、同期であろうオルオへの侮蔑とも取れる可愛いサドな態度に悶絶するファンもいたとかいないとか…
オルオの似てないリヴァイの真似をめっさ見下すペトラ・ラル様。と思いきや、新入りのエレンには親切で可愛いので好感度高し。リヴァイに対して畏怖の念が強いです。
本当は巨人であるエレンを怖がっていたのだけど、それをエレン本人には見せなかったリヴァイを除く特別作戦班。不慮の巨人化で冷静さを失うも、故意ではないとわかり、エレンの巨人化の自傷行為を真似、ささやかな代償を払う。自分たちの間抜けさを吐露しながらもそれでも「信じて」と言えるペトラ・ラルさん可愛いです。その可愛さにエレンが岡惚れしたわけではないのでしょうが、結果として死亡フラグを立ててしまいました。
第57回壁外遠征で撤退命令が出て、作戦が成功したと思い込み、張り詰めた糸が緩んだ旧リヴァイ班。初陣でションベン漏らしたことをエレンの前で暴露され、「言うなよ!威厳とかなくなったらさぁ!!!」と威厳なんて気にしていた可愛いペトラ・ラルさん。
進撃の巨人に登場する立体機動装置は、どう見ても小柄な人が有利です。ライナーなんて、体系的にかなり不利だったと思います。競馬の騎手や、モトGPライダーに通じるところがありますね。訓練次第では、男性より女性が有利とも思えます。ペロラ・ラルさんは討伐10体討伐補佐48体。巨人の肉を削ぐ行為はパワーがいるのでしょうが、補佐は精鋭の旧リヴァイ班の中でもダントツでした。
巨大樹の森で撤退命令が出て、気が休まったのも束の間、女型の巨人、アニは自らを巨人に食わせて、脱出し、グンタさんを闇討ちし、巨人化して復活します。どこぞの仮面ライダービルドでも強制解除からの再変身は危険なのに、サラッと復活の女型の巨人化できるアニは何気に高スペックです。
巨人化して復活したアニの女型との対戦止む無しとなったペトラたち旧リヴァイ班。グンタを殺されながらも、即時に判断を出せる当たり、やはり精鋭中の精鋭です。すさまじく練度の高い連係攻撃で女型の両目を潰し、肩回りの筋肉を削ぎ、弱点であるうなじを狙います。
女型は巨人化復活して、かなり力が衰えてはいたようですが、それでもほんの一時でここまで追い詰めることが出来たのは、さすがにリヴァイに認められた班員と言ったところでしょうか。普段は見下しているオルオとの連携の完璧さも、ペトラのプロフェッショナルぶりが垣間見えました。
しかし、優勢もここまで、目の修復に1分は掛かるところを、女型は30秒で片目だけを修復し、エルドを噛み殺し、状況判断に気を取られて、体制を立て直しきれていない瞬間を女型に悟られ、跳び蹴りを背中から食らい、ペロラ・ラルは帰らぬ人となります
ペトラを殺され、3枚目だったオルオはリヴァイに負けないクールさでうなじを削ぎますが、硬質化で阻まれ、女型の足技で一蹴されてしまいました。
首の骨が折れて、極端に首を反った状態で遺骸となったペトラさん。可愛い人だったのに…
ペトラの死後、なにせ読者は進撃の巨人を掴みきれていないこともあり、ペトラの復活節、巨人化説がネットを賑わしました。ウトガルド城に現れた巨人がペトラやオルオに似ている。これは巨人化して復活したに違いない等、今となっては笑い話ですが、この手の復活、巨人化説は後を絶ちませんでした。シリーズ構成が小林靖子にゃんなので、仮面ライダーアマゾンズのごとく、シグマやイユのような、死んでから復活パターンをアニメ版でやらかしてくれるのでは?とも思われましたが、さすがに原作遵守でした。
結論から言うと、死亡した時点で巨人にはなれないので、巨人化復活はあり得ません。アルミンのように瀕死からの巨人化復活なら出来たのですが、残念ながら、ペトラの復活も巨人化も、もはや期待できませんね。
なぜか年齢が気になるファンの多い進撃の巨人。ペトラ・ラルの年齢はもちろん不詳ですが、いろいろ推察はされています。15歳以上からの年齢で訓練兵を終えるので、ペトラ・ラルは少なくとも年齢は15歳以上です。初登場時、リヴァイはペトラ・ラルに巨人の駆逐ではなく、負傷した兵士の介抱を命じていたことから、調査兵としては、年齢的にも経験的にも、まだ新兵であることが推察されますので、年齢的にはエレンたちとそう変わらないという意見もあります。
女型の巨人捕獲作戦を知らされていなかったので、5年前は調査兵団に入団していなかったので、20歳以下とも言えますが、訓練兵はあくまで15歳からであり、ライナーは17歳、サシャも16歳とエレンたちより年上なので、引き算の基準にはなりません。
しかし、女型との戦いで見せた兵士としての練度はむしろ高いともいえ、1、2年でそのレベルに達することはできないだろうから、年齢は、20歳に近い、もしくは20歳を過ぎた年齢だという意見もあります。第57回壁外遠征を終え、カラネス区へ帰還したリヴァイに、娘の死をまだ知らないペトラの父(声優:てらそままさき)が、「嫁に出すにはまだ早ぇかなと思うわけです…あいつもまだ若えし」とありますので、ペトラは年齢的には結婚適齢期には少し早いと考えられます。
なんだか年齢が20歳を過ぎてしまったら、女として諸々不利な年齢になってしまうと言いたげですが、決して年齢差別ではなく、進撃の巨人の世界観ではどうなんだろう?と言う話です。
ペトラとリヴァイの恋愛説というのもあります。根拠はペトラの亡骸を見て、非情なリヴァイらしからぬ虚無感に耽る眼差しと、前述しましたが、遠征から戻ったリヴァイにペトラの父親が駆け寄り、娘からの手紙にリヴァイとの交際を伺わせる文面があったためです。しかしながら、この手紙は、ペトラの片思い、もしくは、尊敬する上司を褒め称えているのを、父親が曲解したためだと思われます。
巨大樹の森での死したペトラとの悲しい別れもありましたが、同様にハンジ班のニファが散弾銃で顔面を吹き飛ばされたときも、リヴァイは同様の動揺と憔悴に駆られます。体型が小柄なリヴァイはロリ…いや、小柄で可愛い娘が好みなのかもしれません。まあ、それ以前に、無残な女性の死体を見たら、普通はリヴァイと同じ状態になると思います。
ペトラ・ラルをはじめ、第57回壁外調査で活躍した特別作戦班、通称リヴァイ班の声優陣をご紹介。
まずは班長、リヴァイ役を演じるのは、声優は神谷浩史さん。声幅の広い演技のひろcですが、進撃の巨人を見てから「斉木楠雄のΨ難」を観たら、基本的な声質やテンションは同じだと察することができて笑えます。隣で全く違う声質でエルヴィン役の声優小野大輔さんが自由気ままにしているのがさらに面白いです。
副班長でもあるエルド・ジンを演じるのは声優の千葉進歩さん。グンタ・シュルツを演じるのは声優の三戸耕三さん、オルオ・ボザドを演じるのは声優の川田紳司さん。エレン・イェーガーを演じるのはおなじみ、声優の梶裕貴さん。こやつ出来るなと思ったのは「夜桜四重奏」からでしたか。ちなみに声優の沢城みゆきさんと同い年。
ペトラ・ラルを演じるのは声優の相川奈都姫さん。アニメ「モンスター娘のいる日常」でセントレアの担当声優です。他にもベルセルクのコレットという、なんとも可愛いけど不遇な女の子を演じることの多い声優さんですね。今後に期待です!
アニメ進撃の巨人22話では、原作にないオリジナルシーンがあります。遺体を回収し、帰路に付く中、イヴァンという兵士が、エルヴィンの命令を無視して、同郷で幼馴染みの兵士の遺体を無理やり回収しようとしたところ、巨人を連れてきてしまい、荷車を軽くするため、遺体を投げ捨てなければならなくなりました。その中にはペトラの遺骸も…
このシーンは、元は小林靖子にゃんが遺体を巨人の餌にするため投げ捨てたことにしていたのですが、原作の諌山先生が、「巨人は死体に反応しない」と待ったがかかり、荷車を軽くするためにと修正されました。
群像劇となってゆく進撃の巨人で、ある意味ミカサの代わり、とまでは言えませんが、エレンのお姉さん的存在として、十分な活躍をしてくれたペトラさん。もはや、復活など、望むべくもないでしょうが、妹が出るのなら……歓迎したいですね。
と、進撃の巨人をボロクソに評価。しかしファンからは