食後に歯磨き代わりのガムのわけ
仕事などで忙しく、お昼休みは急いでいて歯を磨く時間がとれない時は、せめてガムをかんで済ますということってありませんか?
ガムを噛むと唾液がたくさん出て、口の中を唾液で洗う効果があります。食後の口の中は食べ物のカスが歯と歯茎についていて、歯垢となります。洗われないと細菌が繁殖しやすく口臭の原因になってしまうんです。また、虫歯のもとをつくるミュータンス菌が繁殖して酸を作り歯を溶かしていくと虫歯になります。唾液は酸化しがちな口の中を中性に保ってくれるので、一時的には食後にガムを噛むことは理にかなっています。
歯磨き以外期待できるガムの効果とは
歯磨きの代わりに食べるガムには、他に効果があるのでしょうか?くわしくみていきましょう。
脳の活性化
ガムを食べると、あごの筋肉や舌や顔の筋肉がよく使われますね。噛んで動かされることで頭部の血流が良くなりますから、脳の血流量が多くなります。そのために脳が活性化して注意力や集中力が向上しますし、記憶力がアップします。脳が活性化するということは、認知症の予防にも期待ができます。そのためにはガムを噛むことができなければなりませんから、歯の健康は大切になります。
顔の筋肉の発達
ガムを噛むことは口周りの筋肉をよく使います。筋肉をよく使うと表情筋が鍛えられますから、シワやタルミの防止、フェイスラインや顔表面が締まったり、二重あごの改善が期待できます。また、子どもが成長過程であごが発達しきれていないと口呼吸になりがちですが、口呼吸の防止や舌の筋肉強化で、発音や滑舌もよくなります。
肥満防止
適切なガムの利用は肥満防止にも役立ちます。食事の前・後にも食べるというものです。食前にガムの味が無くなるまで噛んでいると、咀嚼していることが、食事していることとして満腹中枢に信号が行きます。これで食事を食べ過ぎないことになります。食後に食べることで満足感が持続しますので、不足感が無くなります。なお、咀嚼筋肉が小さ過ぎるので、エネルギー消費量がアップして脂肪燃焼が多くなるということはないでしょう。
歯のための歯磨きガムの神話
では、歯磨きにガムが良いというのはどうして広まったたのでしょうか?
ガムは何でできている?
「歯のためには歯磨きよりまずガムを噛んでおこう!」といつから信じられるようになったのでしょうか?ガムはもともと植物の樹脂に石油化学樹脂と砂糖や香料を入れたものでした。体への害はなく安全性は世界で認められています。現在は天然樹脂はほとんど使われていません。このガムの原料に、スッと爽やかになるミントやクロロフィルなどが配合されるようになりました。
ガムに配合されているものが良いの?
砂糖を使わないシュガーレスガムもあります。歯磨き粉にも使われるキシリトールが、口の中で酸を作らないので虫歯になりにくい甘味料として、多くのガムに広まりました。事実、ヨーロッパでは食後にキシリトール入りのガムを勧めていて、虫歯になる子供は少ないのです。「歯磨きはめんどう」と「ガムが虫歯予防になる」ということが都合よく結び付いて、ガムを噛めば歯磨きになると解釈されていったといえます。
歯磨きにシュガーレスガムならいい?
先ほどみてきたように、ガムを噛んでいれば歯磨きをしなくて良い事ではないことが分かってきました。ではシュガーレスガムならいいのかという疑問も出てきます。でもその前に歯磨きを考えてみましょう。歯や歯茎に悪いのは歯垢ですが、これはフィルムの様に変化してこびりついていきます。粘着性があるので掻き取らない限り剥がせなくなります。排水パイプのネバドロ汚れは、コロコロでは落とせないことと似ています。
キシリトール配合ガムとは
キシリトールはもともと白樺の木などから発券されました。樫の木、トウモロコシの穂軸、イチゴ、など植物の持つ糖分で、砂糖の40%の量で砂糖と同じ甘さになりヘルシーです。そして、歯を溶かす酸は、口の中のミュータント菌がキシリトールでは酸を作らないことから、虫歯予防になります。ガムの持つ効果に加えて、虫歯予防も期待できるので多く広まりましたが、ガムに頼っていては、デメリットとなり虫歯はできていきます。
歯磨き以外にシュガーレスガムのメリットは?
砂糖入りのガムはお菓子と同じですから、最大のデメリットとして虫歯になりやすく、虫歯予防にはシュガーレスガムが良いのです。砂糖を使っていないので、普通に食べていても、糖分の摂り過ぎが少なくなることもメリットです。先ほどもご説明しましたが、食べるタイミングで食べ過ぎなくなるので肥満防止になります。
歯磨きをしないことのデメリット
ガムを食べる事では歯磨きにはならず、虫歯予防にもなりません。その他に大きなデメリットがあることも押さえておきましょう。
ガムに頼り過ぎに注意
歯垢は掻き落とさないと取れにくくなります。歯と歯茎の間に溜まっていくと炎症が起きて歯周病の原因になります。30代では80%が、自覚症状があると無いとにかかわらず歯周病ということです。進行していくと菌が体内の血管を回り、様々な場所で炎症をおこして、動脈硬化や、脳梗塞や心筋梗塞、糖尿病や腎臓病、癌などあらゆる病気の引き金になります。ガムを食べて気休めにするより、歯磨きは毎日丁寧におこないましょう。
歯磨き以外の目的でガム食べ過ぎは?
砂糖が多く含まれるガムは虫歯のほか、肥満の原因になります。シュガーレスガムも糖分が使われていますが、量の少なさから肥満になるほど食べるというと、一日100粒や200粒になります。現実的ではありません。それより腸で吸収されないのがデメリットで、腸内に水分を呼び込み下痢を起こすことがあげられます。何粒とは言えず個人差があります。下痢を続けると腸が傷みますので、下痢するほどの食べ過ぎには注意しましょう。
歯磨きにならないけどガムのカロリーは?
ガムは砂糖入りのガムとシュガーレスのガムがありますが、様々な製品の比較をご紹介しておきましょう。粒ガムと板ガムは板ガムの方が少しカロリーが高いですが、ここでは粒でご紹介していきます。砂糖入りのガムは1粒あたり5~20Kcalあり、かなり甘いものは40Kcalを超えるものもあります。一方シュガーレスガムは1粒あたり2.0~3.6Kcalです。1日にどのくらい食べるかは幅があります。
1日数粒の方もいれば1日中食べていて、数10粒以上ともなればそのカロリーはシュガーレスなら100Kcalほどですし、砂糖が多ければ600Kcal~1,200Kcalにまでになります。食べ過ぎはカロリーオーバーになりますが、シュガーレスが比較的カロリーが少ないのは事実です。
シュガーレスガムなら太らない?
では、シュガーレスガムなら太る心配がないかといえば、先ほどご説明したように1日数10粒食べていれば100Kcalは軽く摂ってしまいます。これを消費しようとすると、体重が60Kgの人なら40分ほどのウォーキングが必要なんです。何もせず毎日100Kcal摂っていれば、1年で5Kgほどの体脂肪になる計算です。食べ過ぎには注意が必要ですね。
シュガーレスガムにも注意が必要なわけ
シュガーレスと言ってもキシリトールを使っていてもそれは甘味料です。甘味料は脳に甘さを感じさせます。カロリーはすくなくても、血糖値が上がった普通に食事を摂っただけの時より、ガムを噛むのを止めると、血糖値が急激に下がるので肥満や糖尿病の原因になります。ガムの効果や虫歯の予防や食べ過ぎの防止になるのに、過ぎれば逆効果です。シュガーレスだからと食べ過ぎには注しましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?ガムは歯磨き効果は無く、一時的に唾液で口の中を中和して口臭予防や、さっぱり感を与えてくれますが、頼りきっていると虫歯や食べ過ぎのデメリットもあります。ガムの効果と配合されている成分と注意点を押さえながら食べていきましょう。