本来おせち料理にはどういう意味が?
そもそも、おせちってどういう意味なのでしょう。おせちとは、お節供(おせちく)が略されたものなんです。農家が年始に豊作を祈って食べる料理・武家の祝い膳・庶民が新年を祝う料理など、様々に入り混じって完成したのがおせちです。更には、正月三が日は主婦の休養日いう意味も含め、保存の良い食材をメインに作られた料理になっています。
おせち料理は、「祝い肴」・「口取り」・「焼き物」・「酢の物」・「煮物」の5種類に分かれます。黒豆・海老・数の子・田作り・栗きんとん・伊達巻・昆布巻きなど、それぞれの献立には、おめでたい意味やいわれがあるんですよ。今回は、おせちの献立が持つ意味をまとめてみました。
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黒豆などのおせちの献立に秘められた意味①「黒豆」
黒豆には、「元気に働けますように」と意味が込められています。豆という言葉には、「丈夫に」・「元気に」・「健康的」などの意味がありました。「まめに働く」などの語呂合わせからも、おせち料理には欠かせない料理なんです。黒豆は、おせち料理には欠かせない祝い肴三種(黒豆、数の子、田作り)の1つです。重箱において、壱の重といわれる一段目に配置するのが、一般的ですね。黒光りしていて殻がなくて、表面がツルッとしたものが、良い黒豆とされています。
黒豆には、今年一年、家族全員が健康的に暮らせるようにとの、願いが込められています。
黒豆に秘められた具体的な3つの意味は、「厄除け」・「健康」・「長寿」です。「厄除け」としては、黒色が持つ魔除けの色で、悪気を祓うとされています。「健康」を示すのは豆の黒色で、髪も黒々、健康的で、栄養的にもいい状態なのだそうです。「長寿」には、しわがよるまで長生きできますように、という願いが込められています。
黒豆などのおせちの献立に秘められた意味②「海老」
海老は、長生きの象徴です。「腰が曲がるくらいになるまで、長生きできますように」という願いが込められてるんですね。おせちには、殻ごとの縁起の良い有頭海老が良く使われています。鮮やかな赤色が、華やかなおせちを引き立たせていますよね。
おせちに入っている海老に秘められた意味は2つあって、「長生きの象徴」と「魔除け」です。「長生きの象徴」としては、形状からきているようで、「白い髭を伸ばし、腰が曲がるまで生きる」というこのようです。「魔除け」としては、海老の朱色です。神社の鳥居と同じ朱色で、魔除けの効果があると信じられていて、おせちにも使われているんです。
黒豆などのおせちの献立に秘められた意味③「数の子」
数の子は、宝と子孫繁栄を祈る食材です。数の子は祝い肴三種の中の1つ、おせちには欠かせないお料理ですよね。数の子は、ニシンの卵で、小さいたくさんの卵の粒が集まっています。そのことから、子孫繁栄や子宝という意味を持つようになったようです。
すでに記載しているように、数の子はニシンの卵です。その語呂合わせでしょうか、二親(にしん)から誕生するたくさんの子供たちということで、おめでたい食べ物と認知されおせちに使われています。数の子の秘められた意味は、「子供が生まれますように」・「たくさん生まれて代々栄えていきますように」という願いが込められているのです。
黒豆などのおせちの献立に秘められた意味④「田作り」
田作りは、小さくても尾頭付きの魚です。五穀豊穣を願って、肥料として小魚を田畑に撒いたことから、名付けられました。片口鰯の小魚(ごまめ)で作った田作りは、祝い肴3品のうちの1つとなっています。片口いわしの稚魚を干して乾燥させ、煎った後に砂糖・醤油・みりんなどで煮詰めて、甘辛く味付けしたお料理です。ごまめとも呼ばれていますよね、飴煮の醤油風味といった感じの佃煮です。
田作りに秘められた意味は3つあって、「健康」・「豊作」・「子孫繁栄」です。「健康」としては、「ごまめ」の「まめ」という言葉には「元気に」・「息災に」・「達者に」という意味があって、「体が丈夫である」ことを現しています。1年を、まめ(健康)に暮らせるようにという願望が、込められていろのです。田作り(ごまめ)は、豊年豊作・五穀豊穣という「豊作」をもたらすと言われています。「子孫繁栄」の面では、片口いわしの稚魚が多く使う料理なので、子沢山&子孫繁栄を祝っていますね。
黒豆などのおせちの献立に秘められた意味⑤「栗きんとん」
栗きんとんには、豊かさと勝負運の願いが込められています。黄金色に輝く財宝を現す、豊かな1年を願っているのですね。栗きんとんは山の幸の代表格、「勝ち栗」とも呼ばれて、縁起が良いものとして重宝されてきました。栗きんとんの「きんとん」は「金団」と書いて、黄金色の財宝として見られています。商売繁盛や金運をもたらす縁起物とされてきたのです。
栗きんとんは、確かに綺麗な黄金のような色をしているので、黄金にたとえられたとしてもそんなに不思議ではないですよね。なので栗きんとんの黄金の輝きは、金運をもたらしてくれると期待してしまいます……!(食べて金運よくなるなら、私、絶対食べます!)
黒豆などのおせちの献立に秘められた意味⑥「伊達巻」
伊達巻は、長崎から伝わったシャレたお料理なんです。江戸時代、江戸に伝わった「カステラ蒲鉾」が、伊達者(シャレ者)の着物のようだったことから、伊達巻と呼ばれるようになりました。昔は重要な文書や絵を巻物にしたので、おせち料理にも巻いた献立が多いんですね。
伊達巻きに秘められた意味は、「知識」・「華やかさ」・「子孫繁栄」の3つです。その形状が、巻物のようなことから、知性をあらわす象徴となります。教養を身につけるという意味を含んでいるのですね。そして、卵料理ということで、子孫繁栄のシンボルでもあります。更には、伊達巻きには、華やかさ・派手さ・豪華さという、願望や意味がこめられている料理でもあるのです。
黒豆などのおせちの献立に秘められた意味⑦「昆布巻」
昆布巻は、日本料理では必需品ですよね。そして、健康的にも良い食材ですね。昆布巻は、健康長寿にも効果がある料理です。昆布巻は、「喜ぶ」の語呂合わせでしょうか、正月のおせちのは欠かせないお料理です。おせち料理の中では、煮しめの結び昆布や昆布巻と、活躍の食材となっています。
昆布は、「よろこぶ」との語呂合わせで、昔から縁起物としておせち料理やお正月の鏡飾りとして用いられてきました。「養老昆布(よろこぶ)」とも書けることから、お祝いの意味の他にも不老長寿の願いが込められています。 また、昆布に「子生(こぶ)」という当て字をすることで、子孫繁栄の意味もあると言われています。
黒豆などのおせちの献立に秘められた意味⑧「紅白蒲鉾」
紅白蒲鉾の紅白は、祝の色です。日の出を象徴している蒲鉾は、元旦には必要不可欠の料理です。紅色はめでたさと慶びを表現して、白色は神聖な意味を表しています。
紅白かまぼこを詰める際、並べる個数は割り切れる「偶数」ではなく「奇数」個を詰める。これは紅白かまぼこだけではなく、昆布巻きなど数を詰めるものはすべてこのルールが適用される。 これは元々日本では「偶数」の個数は、「ふたつに分かれる」ことから縁起がよくないものとされているからであり、祝い事にふさわしくないと言われているからである。
黒豆などのおせちの献立に秘められた意味⑨「菊花かぶ」
菊花かぶは、旬のかぶをめでたい形で作ったお料理です。かぶという野菜は冬が旬、めでたさを表現する菊の形に飾り切りをして、紅白の酢のもので仕立てた料理が菊花かぶです。消化に効果的な栄養素を含んでいるので、おせちのご馳走をいただく上での箸休めにぴったりですね。
日本料理は、味もさることながら繊細な見た目を楽しむのが醍醐味ともいえます。 冬が旬のかぶをおめでたい菊の形に飾り切りし、紅白の酢のものに仕立てたのが菊花かぶです。消化によい栄養素を含み、ほどよい甘酸っぱさとシャキシャキとした歯ごたえが、ご馳走の中の箸休めや焼き魚のあしらいに最適です。
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おせちはお祝いの意味が込められたお正月料理
今回は、おせちの献立の意味について、ご紹介を致しました。おせちの定番、黒豆・海老・数の子・田作り・栗きんとん・伊達巻・昆布巻きなど、美味しい料理がたくさんありますね。これらの料理それぞれに大切な意味が込められているって、無事に生きていることを感謝して、しっかり味わっていただかないといけませんね。