『蟲師』は「月刊アフタヌーン」で2003年2月号~2008年10月号まで隔月連載されていた作品で、現在でも高い人気を誇っています。
元は1999年~2002年まで「アフタヌーンシーズン増刊」で連載されていた作品でしたが、同誌の休刊と共に高い人気があった『蟲師』は、「月刊アフタヌーン」で連載されるようになりました。
作品の時代背景は江戸時代と明治時代の間くらいの架空の時間軸ですが、主人公のギンコ以外の全ての登場人物が和服を着ていて、かつ舞台は全て田舎の家屋や村となっているので、どちらかと言えば明治以前の世界観が強調されています。
本作は、「蟲」と呼ばれる生命の根源であり人間とは異なる形態の不思議な存在と、主人公のギンコが対峙していく話で、登場人物はギンコ以外、毎回変わり一話完結のオムニバス形式を取っているのが特徴です。
『蟲師』の作品の特徴としては、既に述べた通り基本的に一話完結のオムニバス形式を取っている所にあり、主人公の「ギンコ」以外の登場人物たちが毎回異なる所にあります。
しかし、本作の魅力はオムニバス形式にも関わらず物語がワンパターンにならない所にあり、登場人物の個性も事件の元となる蟲の種類も、毎回異なるため飽きません。
普通、この手の作品はワンパターンになって数話見たら飽きてしまいがちですが、本作は登場人物の背景や蟲の種類が豊富なので、マンネリしないで見れる所が魅力ですね。
そして、たまに主人公ギンコの過去の物語で一話丸々使ったり、ギンコの友人が登場する回があって、「今日は当たり回だ!」と楽しみに出来る所もポイントかもしれません。
『蟲師』の第1期が放送されたのは、2005年10月~2006年3月でした。
しかし、2005年当時の作品としてはグラフィックが非常に秀逸で、比べるのはやや申し訳ありませんが、当時の京都アニメーションの人気アニメ『涼宮ハルヒの憂鬱』なんかと比べてもグラフィックは各段に秀逸です。
昔の日本の、田舎の村の描写と背景が非常に綺麗で、雪が深々と降り積もるシーンや水の波紋の描写など、2018年現在の最新アニメに何ら遜色がないレベルで表現されている所は凄いですね。
また、音楽も非常にアーティステックな深みのあるものが多く、チャラチャラしてないので多くの層が楽しめるメディアミックスになっています。
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『蟲師』は2007年に実写映画化もされていて、主演は「オダギリジョー」さんと「蒼井優(あおいゆう)」さんでした。
オダギリジョーさんの銀髪のギンコはなかなかイケメンで、あれはあれで秀逸なデキだったのではないでしょうか。
しかし、この実写映画はギンコよりも淡幽を演じる蒼井優さんが目立っている感じがして、当時、蒼井優さんは人気絶頂の女優だったため、蒼井優を観るための映画だった……と言える部分もあった気がします。
原作では登場回数の少ない淡幽にスポットが当てられていて、全体的に淡幽の活躍が目を見張る部分もあったので、蒼井優さんが好きな人は一度観た方が良い作品でしょう。
実写映画のデキ以前に、本作は淡幽演じる蒼井優さんがまだあどけなかった女優な姿を見れるのが魅力なので、そこに注目して見ても良い作品だと思います。
ギンコは銀髪緑眼の蟲師の青年で、人々を蟲の被害から救ったり対処する旅する蟲師です。
細かいことを気にしない適当な性格ですが、蟲の知識は同業の蟲師の中でも秀でている方で、経験値も高く何より人に好かれやすい大らかなキャラクターなので、ギンコと出会った人々の多くは彼に好意的な印象を持ちます。
しかし、ギンコは極度に蟲を引き付けてしまう体質のため、一か所に留まっていることが出来ず、せっかく仲良くなっても気がついた時にはいなくなっているという、神出鬼没な青年でもありますね(オムニバス形式なのはこのため)。
まぁ、本人は誰かと一緒にいるより一人気ままに生きている方が好きなタイプで、全く寂しがっていない所か一人になりたがることも多いので、それがギンコの魅力と言えるかもしれません。
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イサザはアニメ一期の最終回「草を踏む音」に登場したキャラクターで、初登場はまだ元気で生意気そうな少年でした。
その回は「沢(タク)」という真面目な少年が主人公で、タクは川でイサザと出会い、それから二人は交友関係を築いていきました。
イサザは「ワタリ」という蟲師に光脈筋の情報を売る集団の一人で、ワタリは血縁関係も無く年齢もまちまちの流れ者の集団です。
タクは有力者の息子でしたが、父親が急死したことで途方にくれ、くだらない大人の世界に巻き込まれるくらいならイサザと共にワタリになりたいと申し出ます。
しかし、イサザはその後姿を消し、イサザの伝言を預かったギンコから「ここから早く逃げた方が良い」という言葉だけ聞き、イサザは二度とタクの前には現れなかったのです(その後、タクの住む土地は火山の噴火で荒れる)。
13年後、ギンコと再会したタクはイサザの話を聞き、ギンコの口から「(イサザは)今も変わらずやってるよ」と久しぶりにイサザの話を聞けたタクは嬉しくなって微笑むのでした。
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アニメ一期の最後でギンコの口からイサザは健在だと聞かされていたので、イサザが生存していることは確定でしたが、そのイサザは二期の一話で大人になった姿で一瞬だけ登場しました。
大人になったイサザは子供時代のやんちゃな感じが一切なく、落ち着ききった二枚目な青年になっており、イサザと呼ばれなければ絶対にわからない程に変わっていましたね。
「今も変わらずやってるよ」というギンコの言葉から、イサザは今でも元気な少年のようなキャラなのかと思いましたが、全然違う印象で衝撃を受けた視聴者も多かったと思います。
ただ、ワタリの中でもかなり頼られている感のある青年に成長しており、イサザはイサザなりに修羅場をくぐってきたのだという貫禄は伝わってきましたね。
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イサザとギンコが直接的に関わっている瞬間は少ないので推測の域を出ませんが、ギンコがタクに話したイサザの印象や少ない描写から、ギンコはイサザの情報網を信頼していて、互いに持ちつ持たれるの関係なのではないかと思われます。
互いにクールな性格であるイサザとギンコは気も合いそうなので、少年時代に共に時間を過ごしたこともあり、ギンコにとって数少ない幼馴染と言える関係なのでしょう。
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イサザの少年時代の声優は、『狼と香辛料』の「ホロ」の声優や「コードギアスシリーズ」の「紅月(こうづき)カレン」の声優を務めた「小清水亜美(こしみずあみ)」さんです。
言われてみれば少年時代のイサザはカレンに精通するアグレッシブさがありましたね。
大人になったイサザの声優は、『ドラゴンボール超』の「キャベ」など名脇役の声優を演じられている「岸尾(きしお)だいすけ」さんです。
岸尾さんの真面目な声は少年時代のイサザからは想像できない程でしたが、きっとイサザは大人になる過程で様々な修羅場をくぐり抜けてきたのでしょう。
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イサザは一話完結のオムニバス形式である『蟲師』の登場人物にしては珍しく、継続して登場しましたが、結局、それでも登場回数は二回程でした。
しかも、大人になったイサザは一瞬しか登場してないので、いかに『蟲師』が一話完結で登場人物を一新することにこだわっているかがわかりますね。
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