諌山創 進撃の巨人 25巻より引用

進撃の巨人は数々の伏線を楽しめる世界観で読者を惹きつけてやまない人気漫画です。今や世界的にも大人気の漫画と言えるでしょう。そんな本作に大どんでん返しとも言える噂や都市伝説があります。それが「進撃の巨人ループ説」です。あくまで読者の間でささやかれる噂や都市伝説ですが、意味の通っている考察も多く面白いと評判です。

この記事では進撃の巨人のループ説を最新話のストーリーも含めて紹介しますので、ネタバレに注意してください。

諌山創 進撃の巨人 22巻より引用

進撃の巨人のループ説を紹介する前に「ループ」の意味について紹介します。

物語の構造の一つに「ループもの」と呼ばれるサブジャンルがあります。作中の人物が何らかの方法で、同じ期間を繰り返すという特徴を持っているためループものと呼ばれています。タイムトラベルを題材にした作品ではよくある設定です。

ループもので有名な作品に「時をかける少女」「ひぐらしのなく頃に」「魔法少女まどかマギカ」などがあります。どの作品も絶大な人気があるためループという要素の人気度が伺えます。進撃の巨人にループ説の噂や都市伝説がささやかれているのも読者の期待の裏返しと言えるでしょう。

諌山創 進撃の巨人 27巻より引用

進撃の巨人といえば主要キャラでも容赦無く死亡する、巨人とのグロテスクで熾烈な争いが印象的な漫画です。残酷な世界観と描写を徹底したある種、絶望的な物語が描かれています。ネタバレをすると進撃の巨人1話から最新話までを通して明確に「キャラがループをした」という描写はありません。

では、なぜ進撃の巨人にループ説が浮上したのでしょうか。

諌山創 進撃の巨人 27巻より引用

進撃の巨人にループ説が出た理由として有名なのが、ミカサの「行ってらっしゃい」というセリフです。また、同じくミカサに起こる謎の頭痛の原因、そして進撃の巨人の単行本表紙絵の謎です。

この3つのループ説の考察はネット上でも肯定と否定、両方の意見が議論されています。それ以外にもループ説を考察できる理由はいくつかありますが、今回は主に3つのループ説について紹介します。

諌山創 進撃の巨人 17巻より引用

進撃の巨人のループ説の噂や都市伝説が否定される理由は何なのでしょうか。ループ説が否定されるいくつかの根拠を紹介します。

諌山創 進撃の巨人 1巻より引用

進撃の巨人という作品の世界観やメッセージ性にループ要素がミスマッチだという指摘があります。進撃の巨人という作品の世界観は、1話から最新話まで一貫して残酷です。絶対的な力を持つ巨人とそれにあらがう人間という勢力図ゆえに、主要キャラでも容赦無く死亡します。その展開が作品のリアリティに一助しています。

そのため安易にループ設定を持ち出すと「進撃の巨人のリアリティが損なわれてしまう」という視点からループ説が否定されているのです。

諌山創 進撃の巨人 20巻より引用

さらに、進撃の巨人で描かれる残酷な世界の中で、ことあるごとに登場人物たちは苦渋の選択を迫られます。誰かを助けるために無謀かつ果敢に巨人に立ち向かうといった描写は数多く存在します。

苦渋の選択すること、悩み、葛藤することが命の重さに対するリアリティを高めています。ループによるやり直しが発生することは、葛藤や人の命といったそれらの描写を無意味にし、物語を台無しにすると否定する声も多いです。

ループ設定がある作品は人気ですが、進撃の巨人ではあり得ない説だとファンの中では否定されている意見もあります。

諌山創 進撃の巨人 2巻より引用

進撃の巨人のループ説が否定される理由には、ミカサに起こる頭痛が関係しています。頭痛が起こる原因は「ミカサに流れる血が原因である」と考察がされているからです。ネタバレになりますが、ミカサには、作中で絶滅している東洋人とアッカーマン一族の血が流れています。

アッカーマン家には代々、脳のリミッターを解除する能力があります。そのため、ミカサは単独でも複数の巨人を相手にできる力を持っています。作中では仲間のピンチに駆けつけたミカサが巨人をなぎ倒し活躍する描写も多いです。

諌山創 進撃の巨人 28巻より引用

アッカーマン一族の力は宿主を護衛するために使われますが、エレンはこのことについて「護衛を拒否した際に頭痛が生じるのではないか」と指摘しています。しかし、ミカサに頭痛が起きる場面はエレンが危険な目に遭う場面や、大切な人を失くす場面に多いため、明らかに矛盾しています。このことからミカサの頭痛には意味があるのではないかとループ説が考察されたのです。

ネタバレになりますが、後にミカサの母親の祖先がヒィズル国の将軍家一族だったと判明します。アッカーマンの血には主に従属するという特性があります。しかし、ヒィズル国の軍家の血にもまた何らかの特性がある可能性は捨て切れません。

諌山創 進撃の巨人 27巻より引用

この2つの血が持つ特性を理由に、ミカサに頭痛が起きていると考察されています。進撃の巨人のループ説を否定する考察としては、最新話以降の展開次第では十分ありえるでしょう。

諌山創 進撃の巨人 16巻より引用

進撃の巨人には「記憶を奪う」能力を持った人間がいます。そのことについて言及したのはジークですが、彼いわく「レイス王が世界の記憶を奪った」ことを悲劇と称しています。進撃の巨人における「記憶」は、とても重要な意味を持つ要素の1つでもあります。例えば、クルーガーは自身の持つ記憶からミカサやアルミンについて言及しました。時系列的にそれは謎としか言えません。

諌山創 進撃の巨人 22巻より引用

このこともループ説が噂される要因となっています。ネタバレになりますが、最新話まで読んだファンの一部からこれは「未来の記憶」を見ているとの考察もされています。

クルーガーのように未来の記憶を見る人間は「本当の未来の記憶」を見ているのではなく、改ざんされた「偽の未来の記憶」を見ている可能性もあるのです。この考察は後述するループ説の1つである「表紙絵ループ説」の否定にもつながります。

諌山創 進撃の巨人 21巻より引用

進撃の巨人にループ説があるとされる根拠の理由も紹介します。最新話のネタバレもあるため、注意してください。

諌山創 進撃の巨人 1巻より引用

第1話のミカサのセルフには謎があります。主人公のエレンが見ている夢の中で、ミカサらしき人物から「行ってらっしゃい」と語りかけられた直後に夢から目覚めます。近くにいた現実のミカサを見つけたエレンは思わず涙をこぼしてしまいました。この描写によって進撃の巨人のループ説や都市伝説が生まれたとネット上では噂されています。

諌山創 進撃の巨人 11巻より引用

エレンの夢の中に登場するミカサらしき人物は、マフラーを巻いていました。そのことから恐らくミカサで間違いないでしょう。しかし1つだけ現実のミカサとは違う点がありました。それは「髪の毛の長さ」です。この謎については未だに解決していません。

進撃の巨人にループ説の可能性がある根拠としては、ミカサがタイムリープを発動させる能力を持っていることも関係しています。そのため、ミカサはある場面から物語の冒頭に戻り、第1話冒頭のエレンが夢から覚めるシーンにタイムリープしているのではという噂があります。

ミカサは自身の望む未来になるように時間をループしており、その合図として「行ってらっしゃい」があるのではないという考察もあるのです。

諌山創 進撃の巨人 1巻より引用

進撃の巨人にループ説がある可能性の2つ目の理由は、ミカサの頭痛です。作中でミカサが頭痛に悩まされる描写がたびたびあります。しかし、ただ意味のない頭痛持ちキャラとは思えないくらい頭痛を感じている描写が多くあります。そのため、ミカサの頭痛はループ説につながっているのではないかと考察されたのです。

諌山創 進撃の巨人 2巻より引用

ミカサが頭痛に襲われるタイミングが作中においてとても重要な場面であることから、何らかのファクターとなっていると噂されています。

ミカサが頭痛に襲われた場面は、以下です。

・巨人がエレンの母を捕食されて避難しているとき

・巨人戦でピンチになった時

・アニがエレンを捕食する直前

・巨人の急襲時にモブの母子を助けた時

・エレン対ライナー戦で気絶から目を覚ました時

・ライナー達の手によりエレンが捕縛されたとの情報を聞いた時

諌山創 進撃の巨人 2巻より引用

頭痛が起きた場面だけではミカサがループをしている根拠には乏しいてと言わざるを得ません。しかし、頭痛に襲われているミカサの発したセリフにはループ説に関係していると考察できるものがありました。

それが「…あぁまたこれか…」「またこの痛みを思い出して、またここから始めなければいけないのか…」です。

「…あぁまたこれか…」は頭痛に対してのものとも取れるし、ループの影響からデジャヴを認識しているとも取れますね。

諌山創 進撃の巨人 2巻より引用

進撃の巨人の世界では、ループするには痛み（頭痛）が伴うとの指摘もあるようです。っそのため「またこの痛みを思い出して…」というセリフはループ説の噂や都市伝説の根拠としてとても重要な意味を持っていそうです。

諌山創 進撃の巨人 1巻より引用

進撃の巨人にループ説がある可能性が考察される理由には「ありえない場面が単行本の表紙になっている」という考察があるからです。ループによって本編と差異のある進撃の巨人のストーリー展開が表紙に描かれているのではないか？という説です。

1巻の表紙は進撃の巨人の中でもっとも印象的なシーンです。こちらは特に謎があるわけではなく、あり得ない場面ではありません。ネット上では進撃の巨人の第1巻時点ではループを意図した表紙の製作はされていないのではないかと考察されています。

諌山創 進撃の巨人 2巻より引用

進撃の巨人にループ説があるとされる噂や都市伝説の理由となったのは2巻の表紙からです。2巻の表紙では、作中でエレンが倒した巨人を何故かミカサが倒しています。刃が巨人の首筋を斬っていることから致命傷になっていることは確実です。明確に本編と違いがあることがわかります。

諌山創 進撃の巨人 8巻より引用

進撃の巨人の8巻の表紙では、女型の巨人とエレンの戦いが描かれています。しかし、本編では近くに居なかったはずのミカサが表紙には描かれており、さらに、二体の巨人とは別の方向に視線を向けています。ミカサの頬にあるはずの傷が表紙には見当たらないこともループ説を補強する要素となっているのです。

諌山創 進撃の巨人 13巻より引用

進撃の巨人13巻の表紙ではリーブス会長の捕縛シーンが描かれています。ここでも本編ではそこに居なかったはずのエレンとヒストリアが存在していることから、ループ説の噂があります。

諌山創 進撃の巨人 11巻より引用

本編にはない場面が描かれた表紙はたくさんありますが、一方で1巻や11巻などの本編に沿った場面が描かれた表紙もあり、謎が深まります。

諌山創 進撃の巨人 20巻より引用

進撃の巨人20巻の表紙は本編との違いが特に顕著に描かれています。獣の巨人と対峙したエルヴィン率いる兵士たちの自爆特攻のような作戦が開始されているように見えますが、何故か近くに負傷したリヴァイが存在しています。本編では、エルヴィンたちがおとりになることで、獣の巨人の後ろに回り込んでいたリヴァイによる討伐が成功したはずです。

諌山創 進撃の巨人 20巻より引用

もしかすると、この20巻表紙の続きではエルヴィンやリヴァイらは全滅し、負傷していない獣の巨人がエレンをさらったのではないかとも予測できます。

諌山創 進撃の巨人 30巻より引用

ここまで進撃の巨人のループ説に関する噂や都市伝説をネタバレを含めて紹介しました。ループ説の根拠となる理由はどれも納得できるものばかりです。

一方でループ説を否定する理由もあり、こちらも説得力があります。最新話でもまだ明かされていない謎がたくさんあります。これからの進撃の巨人のストーリーや伏線の回収に期待しましょう。