便箋の書き方でわかる大人のマナー
現代ではメールでのやり取りが一般的になっている一方で、手書きでのお礼・お詫びもなされています。特に改まった場や格式の高い相手ほど、形式に則った手書きの便箋で気持ちを伝えるのが日本では好まれます。面倒と思うかもしれませんが、引き締まる感じがして相手には気持ちがよく伝わる、いかにも日本人らしい素敵な文化ではないでしょうか。このため手書きの便箋や封筒には書き手のマナーが強く表れます。不適切な書き方では相手に大変失礼である上、自分の不勉強をさらしてしまうことになります。
相手にきっちりと要件や気持ちを伝え、日本人として、大人としてのマナーを身につけていることを示すためにも一度便箋の書き方を学び、お礼やお詫びの場面に備えておいてはどうでしょうか。便箋の縦書き・横書きの違いや封筒の表書き・裏書きの方法、住所の書き方などなど、一通りまとめました。なお、あくまで形式的な礼儀ですのでこのまま真似していただいて問題ありません!
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便箋の書き方~縦書きと横書き?~
まずは本文を書く便箋の縦書きと横書きについてです。日本の便箋は、国語の教科書と同じように、基本的に縦書きです。迷ったらとりあえず縦書きを選べば間違いありません。横書きは縦書きに比べるとカジュアルな手紙であるため、目上の人や改まった挨拶の際には避ける方が望ましいです。友人や家族へお礼の手紙を送る場合など、肩がこらない手紙を送りたいときにはぴったりです。
便箋の書き方~縦書きと横書きー縦書き編1~
それでは縦書きの便箋の書き方です。書くことは大きく分けて①前文➁主文③末文④後付の4つです。①前文の中でには、頭語・時候の挨拶・相手を気遣う言葉の3つを書きましょう!これらはそれぞれ、頭語:「拝啓」などの決まり文句、時候の挨拶:季節感を伝える一言、相手を気遣う言葉:感謝のお礼やご無沙汰のお詫びなど、になります。頭語は後に出てくる結語とセットになり、相手や手紙の種類により使い分けられるので、その都度確認してください(https://www.midori-japan.co.jp/letter/tegamichishiki/196)。お詫びやお見舞いの手紙では時候の挨拶を省くのがマナーですので気を付けましょう。
便箋の書き方~縦書きと横書きー縦書き編2~
➁主文には手紙の用件を書きます。文章が長く内容が伝わりづらくなるので、一通の手紙には一つの用件を書くのがルールです。主文の書き始めには、さて・ところで・さっそくですが、などの起語という言葉を使いましょう。ここからが大事な用件です、と相手に伝える書きおこしの言葉です。
便箋の書き方~縦書きと横書きー縦書き編3~
③末文には結びの挨拶と結語を書きます。それぞれ、結びの挨拶:用件のまとめや相手を気遣う言葉、結語:頭語に対応する決まり文句、です。ここでもケースに応じてふさわしい言葉を選びましょう。結びの挨拶では季節の言葉や相手の体調を思いやる言葉など、気の利いた表現を意識すると相手の印象もよくなりますね。
便箋の書き方~縦書きと横書きー縦書き編4~
④後付は、書いた日付・差出人・宛先を書きます。日付は年月日が正式です。年は省略しても問題ありません。お祝いの手紙や招待状で、投函までに時間が空く場合や式の開催日と間違えないようにしたい場合には「〇年〇月吉日」とするのもよいでしょう。相手の名前等は特に丁寧に書きます。誤字は大変な失礼にあたるので気を付けたいポイントですね。また、相手の名前を行上に、自分の名前を行下に書くのも重要です。さらに、この④後付のみを二枚目に書くことがないように文量を調節します。
便箋の書き方~縦書きと横書きー横書き編1~
次は横書きの便箋の書き方です。基本的なルールは縦書きと同様で、①前文➁主文③末文④後付の4つを書き、それぞれの内容も縦書きのものと同じです。注意したいのは縦書きと比べるとカジュアルな印象を与えるという点ですね。横書きの時のポイントをいくつか紹介します。
便箋の書き方~縦書きと横書きー横書き編2~
①前文では相手の名前を始めに書きます。これが縦書きとは最も異なることですね。その次の行から頭語・時候の挨拶・相手を気遣う言葉の順に進めます。気軽な手紙では頭語を省略し、時候の挨拶はくだけたものでも構いません。➁主文で気を付けることは縦書きのときと同様、用件は一通につき一つとするのが原則です。③末文では、結びの挨拶で手紙を締めくくります。前文で頭語を省略した場合で、差出人が女性のときは末文で「かしこ」や「またお手紙書きます」などとカジュアルな表現を使うとよいです。④後書は縦書きと同じように書きましょう。
便箋の書き方~縦書きと横書きー横書き編3~
一般的に横書きは親しい相手に送る、カジュアルな手紙の書き方です。しかし親しき中にも礼儀ありと言うように、最低限のマナーを守り、誤字脱字は決してしてはなりません。慎重に書きましょう。
便箋の書き方~封筒編~
続いては便箋を入れる封筒の書き方です。せっかくマナーを守って素敵な便箋を書いても、封筒を適当に書いて相手にがっかりされたくないですよね。お礼の気持ちも伝わらなくなってしまいます。住所などの書き方に加え、封筒には表書き・裏書きのルールがしっかりありますので、ここで確認しましょう!なお、二重封筒は改まった手紙に使われますが、不祝儀の用件は「重なる」が縁起はよくないため絶対にしてはいけません。
便箋の書き方~和封筒・表書き~
和封筒の表書きには、①受け取る相手の名前と住所➁脇付け・外脇付けを書きます。①名前と住所ははがきの時の同じように誤字に気を付けて、丁寧に書きましょう。
➁脇付けや外脇付けは相手への経緯やへりくだった気持ちを表すものですが、現在の手紙で使うことはほとんどありません。医師から医師へ患者を紹介するときに見かけるくらいで、便箋の後付の最後にも使うことがあるようです。封筒でも便箋でも相手の名前の左下に、名前よりも一回り小さい文字で添えるように書きます。外脇付けは手紙の内容を説明する言葉です。脇付けよりさらに左下に書き、赤文字にすることが多いですが青や黒でも問題はありません。脇付け・外脇付けを使用する場合は、それぞれの意味を確認してください!https://www.letter110.net/yougo/wakiduke.html
便箋の書き方~和封筒・裏書き~
封筒の裏書きには、自分の名前・住所・書いた日付を書き、封をします。まず封筒の上下の中央に住所を書き、二行以上になるときは封筒の継ぎ目の左側に書きます。名前は住所の左下に、日付は封筒の左上方です。表書きと裏書きをして便箋を中に入れたら、しっかりと糊付けして封をします。糊付けして折り返した部分には「〆・封・緘」やお祝い事には「慶・賀」などの文字を重ねます。
便箋の書き方~洋封筒~
表書き・裏書きの書き方や、住所などの書く内容は和封筒と同様です。横書き・縦書きは基本的にどちらでもよいですが、目上の人に送る手紙や不幸があったときの手紙は、洋封筒でも縦書きにするべきです。
便箋の書き方~シチュエーション別~
便箋での頭語・結語や時候の挨拶は、季節や相手との関係、用件の種類により様々です。頭語・結語では「拝啓・敬具」は一般的でどのようなシチュエーションでも使える丁寧な表現です。さらに丁寧なものでは「謹啓・謹言」を使いましょう。「かしこ」は女性しか使えない結語ですので男性のみなさんは気を付けてください!時候の挨拶や結びの挨拶では、季節に合わせて気の利いた言葉を使います。「~候」はかなりかたい表現なので使う場面は限られます。お詫びの手紙では単刀直入に用件を伝え、時候の挨拶を省略します。時候の挨拶(https://www.midori-japan.co.jp/letter/tegamichishiki/198)、結びの挨拶(https://www.midori-japan.co.jp/letter/letter-manners/5318)はこちらを参考に!
どんな便箋、封筒を選べばいいの?
最後に便箋や封筒の選び方を紹介します。まず便箋ですが、原則は白無地にしましょう。色付きや柄付きはかしこまったシチュエーションにはなじみません。親しい相手に送る場合にはお気に入りのかわいらしいものを使っても問題ないでしょう。罫線の有無はあまり考えなくてもよいようです。罫線が入っている方が書きやすいという人は罫線入りの便箋を使っても大丈夫です。繰り返しになりますが、横書きは使う場面に気をつけてください。
封筒についても、改まった相手には白無地のものを選びます。よく目にする茶封筒は、事務的な書類等を入れる場合にのみ使用されるもので、安易に使用すべきではありません。色付き柄付きの封筒も、親しい間柄の相手には問題なく使えます。封をするシールなどもかわらしいものを使うと、見た目から楽しませることができますね。また、通常のかしこまった送り状の場合は和封筒を使うのが一般的です。洋封筒は、挨拶状・招待状・案内状やカジュアルな相手への手紙などに使われます。長辺が開くのでカードや写真を入れられるというのが特徴です。
まとめると、改まった場面では白無地の便箋・和封筒を用いるのがマナーとなります。これを間違えると受け取った相手には少し怪訝な顔をされるかもしれませんね。親しい相手やあまりかしこまったシーンではない場合は、基本的に自由です。好きなものを使って構いません。むしろそのような親しい相手に、あまりにも形式ばった手紙を送ってしまうと、何か怪しまれてしまうということになりかねないのでケースバイケースに使い方を変えていった方がよさそうですね!
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便箋・封筒のマナーまとめ!
便箋や封筒のマナーはばっちりでしょうか?表書き・裏書きの書き方については、間違った知識を持っている方も多かったのではないでしょうか。お礼やお詫びなど、若い人たちはこれから書く機会が多くなるかもしれません。大人としての教養が試される、重要なものです。お礼やお祝いなどはある程度許されるかもしれませんが、不祝儀やお詫びの手紙ではより慎重になってください。状況に合わせたマナーを使いこなせる社会人になってくださいね!