【進撃の巨人】エルヴィンとリヴァイが初めて出会った日
諌山創 進撃の巨人 5巻より引用
エルヴィン団長とリヴァイ兵長の過去が詳しく明らかになったのが「進撃の巨人外伝 悔いなき選択」です。リヴァイが主人公として描かれたスピンオフとなっています。ファンの間では別名「リヴァイ外伝」と呼ばれるほど話題となりました。"王都のゴロツキ"と呼ばれていたリヴァイと当時はまだ調査兵団分隊長だったエルヴィン、2人の出会いはどんなものであったのかを知ることができます。
リヴァイの名言 悔いなき選択より
— 進撃の巨人トリビア (@shingekitoribia) November 6, 2020
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ストーリは王都の地下で立体機動装置を操り、地下商人を襲う窃盗団が目撃されたことから始まります。これが"王都のゴロツキ"と呼ばれた所以です。リーダーであるリヴァイは兵団クラスの実力で立体機動装置を使いこなしており、その噂が広まります。あるときリヴァイ率いる窃盗団は依頼の最中に、エルヴィン率いる調査兵団に捕まってしまいます。そこでエルヴィンはリヴァイにある取引を持ちかけるのです。
リヴァイが調査兵団に入団した理由【ネタバレ注意】
諌山創 進撃の巨人 19巻より引用
ここからはネタバレです。取引とは、罪を問わない代わりに調査兵団に入団することでした。断れば憲兵団に差し出すと言われたリヴァイは、兵団への入団を選びます。しかしそれは、エルヴィンを暗殺するためでした。初めての壁外調査中にチャンスは訪れますが、リヴァイの判断ミスで仲間を死亡させてしまいます。そんなリヴァイにエルヴィンがかけた言葉で、リヴァイはエルヴィンについていくことを決意しました。
【進撃の巨人】エルヴィンが育った背景
諌山創 進撃の巨人 14巻より引用
エルヴィンはリヴァイに並んで人気キャラクターです。まずは彼の過去を振り返っていきます。
エルヴィン・スミスとは
諌山創 進撃の巨人 5巻より引用
改めてエルヴィンについて紹介します。エルヴィン・スミスは、原作漫画では調査兵団13代団長として登場しました。「悔いなき選択」でもリヴァイを上手く兵団に引き入れる手腕を発揮したように、優れた洞察力と先を見通す力を持っています。粗暴で言葉足らずなリヴァイとは違い、理知的で言葉巧みに物事を進めていきます。あらゆる角度から物事を判断し、時には大胆な発想で敵に立ち向かう姿が印象的です。
エルヴィンの過去【ネタバレ注意】
諌山創 進撃の巨人 14巻より引用
エルヴィンの幼少期について漫画14巻で彼自身が語っています。エルヴィンの父親は教員で、エルヴィンも父親のもとで学んでいました。授業では人類が壁中に逃げ込む経緯を学びます。
人類は壁へ逃げ込む前の歴史を何一つ残すことはできなかったが、壁中で理想を手に入れたと教わったエルヴィンは、ある疑問を父親にぶつけました。なぜ、壁外の人類が滅んだと分かるのかと。しかし授業では答えてもらえませんでした。
帰宅後、父親は質問に答えました。文献などなくても、壁中に逃げ込んだ世代が子供に語り継ぐことができるはずなのに情報が断たれているのはなぜか。配布されている歴史書には多くの矛盾があることと、ある1つの仮説をエルヴィンに伝えます。幼かった彼は父親がなぜ、教室で語らなかったのかを推し量れず周囲に話してしまいます。結果的にエルヴィンの密告で父親は王政に殺されました。
【進撃の巨人】リヴァイが育った背景
諌山創 進撃の巨人 16巻より引用
漫画「悔いなき選択」で調査兵団への入団の理由が明らかになったリヴァイでしたが、入団前からリヴァイの実力は人類最強の片鱗を見せています。その強さは一体どこからくるのか考察します!地下街で生まれ育った背景にはなにがあったのか、漫画の17巻で明らかになりました。
リヴァイの出生【ネタバレ注意】
諌山創 進撃の巨人 17巻より引用
17巻ではリヴァイが王都の地下で窃盗団をする以前のことが描かれています。リヴァイの母親は地下街で娼婦をしており、客との間にリヴァイを身ごもり出産しました。母親には兄がいて兄が妹のもとを訪れた時には既に死亡しており、忘れ形見となったリヴァイに生きる術を教えたのです。その兄とは、ナイフ術の達人で「切り裂きケニー」と呼ばれていたケニー・アッカーマンでした。
リヴァイ・アッカーマン
諌山創 進撃の巨人 26巻より引用
アッカーマンは漫画の中で迫害を受けてきた一族でした。この一族は強靭な肉体を持ち、戦闘で強い力を発揮していることはリヴァイの活躍からも分かります。ケニーはリヴァイが妹のような死を迎えぬように、身の振り方やナイフの振り方を教えてからリヴァイのもとを去ります。こうしてリヴァイはアッカーマンという血筋と、ケニーから教えられた地下街を生きる術をもって人類最強の道へと駆け上がっていきました。
【進撃の巨人】エルヴィンの笑いの理由
諌山創 進撃の巨人 13巻より引用
漫画13巻でエルヴィン団長が見せた不気味な笑みについて考察していきます。
エルヴィン団長の夢
諌山創 進撃の巨人 14巻より引用
エルヴィン団長が不気味な笑みを見せたのは、巨人の正体が明らかになったときでした。リヴァイ兵長の驚いた反応からもわかる通り、その事実はとても笑えるものではなかったことが分かります。エルヴィン団長の過去でも触れたとおり、父親に聞かされた1つの仮説がずっと彼の心の中にはありました。その仮説を立証することこそが、エルヴィン団長の成し遂げたい夢だったのです。
巨人の正体とは
諌山創 進撃の巨人 13巻より引用
ここからはネタバレです!巨人の正体はなんと人間でした。人間だと明らかになったことで、父親の仮説の立証に近付きます。その仮説は"壁中へ逃げ込んだ人類の記憶を改竄した可能性がある"というものでした。
歴史書にはどれも"壁外で人類は食い尽くされた"とされていますが、確認する術を人類は持たないはずなのにどうして断言できるのでしょうか。王政側が壁外に人類はいないと思わせたい意図があると団長は語っています。
調査兵団として人類のためにすべてを捧げ戦う仲間たちの中で、エルヴィンは自分だけが夢のために突き進んでいることを自覚していました。部下を持ち団長になった後も夢を諦めることはなく、仲間には人類のために心臓を捧げよと鼓舞し、自分をも騙してここまでたどり着いたのです。たくさんの犠牲の上にようやく得られた情報に、不気味な笑みをこぼしてしまうのも無理はないでしょう。
【進撃の巨人】エルヴィンとリヴァイの最期の会話
諌山創 進撃の巨人 19巻より引用
漫画20巻のエルヴィンとリヴァイの最期の会話を考察します。最期の会話はエルヴィンとリヴァイの信頼関係を考察する上で絶対欠かせません。重大なネタバレを含むので注意してください!
ウォール・マリア奪還の犠牲
諌山創 進撃の巨人 20巻より引用
20巻では真実を手に入れるため、ウォール・マリア奪還作戦が描かれています。しかし作戦は失敗し、獣の巨人によって窮地に追い込まれます。その場にいるのは調査兵団新兵とリヴァイ、エルヴィンだけでした。リヴァイは大敗を悟り、誰も生きて帰れない可能性が強まる中なんとかエレンとエルヴィンだけでも生きて帰そうとします。いくつか策を出すリヴァイに対してエルヴィンはとんでもない策を提示しました。
その策とはエルヴィンが新兵を引き連れておとりとなり、リヴァイが獣の巨人を討ち取るというものでした。おとりとなることはすなわち死亡を意味します。自らの命を捧げる策を提示しながらも、夢を成し遂げられないことを悔やむ気持ちが、エルヴィンの決意を鈍らせました。
これまで多くの犠牲を払って進んできたエルヴィンでしたが、真実を手に入れ答え合わせをするには自分自身を犠牲にしなければならなかったからです。
エルヴィンとリヴァイの信頼関係を考察
諌山創 進撃の巨人 28巻より引用
「俺は選ぶぞ。夢を諦めて死んでくれ。新兵たちを地獄に導け」とリヴァイは選択を突き付けます。同時に獣の巨人を仕留めることを約束します。リヴァイはどんな状況でも優先順位を理解し、捨てることのできる人間です。エルヴィンも夢のためとはいえ、これまで多くの命を取捨選択してきました。互いに選び捨てることのできる彼らだからこそ、エルヴィンとリヴァイの間には深い信頼関係があったと考察できます。
【進撃の巨人】エルヴィンの死に場所を決めるリヴァイ
諌山創 進撃の巨人 21巻より引用
エルヴィンは新兵たちに命をかけておとりとなる作戦を告げました。新兵たちは今から死ねということかと絶望するのですが、エルヴィンは彼らに生まれてきた意味や死亡した仲間たちのことを問いかけます。
死んだ仲間たちに意味を持たせることができるのは、今生きている我々なのだ。
エルヴィンは最後まで調査兵団団長として仲間を鼓舞し先陣を切り、リヴァイは獣の巨人を打ち取るために向かっていきました。
諌山創 進撃の巨人 21巻より引用
同じ時、エレン達は超大型巨人と戦っていました。アルミンもエルヴィンのように自分を犠牲にした作戦を実行し、瀕死の状態に陥ります。
リヴァイは後一歩のところで獣の巨人を逃し、追跡した先で瀕死のアルミンと遭遇しました。リヴァイは巨人化の薬を託されていて、薬を使って誰を生き返させるかも一任されていました。アルミンに薬を打とうとするリヴァイでしたが、そこへ瀕死のエルヴィンを背負った新兵も合流します
リヴァイはどちらを選ぶのか【ネタバレ注意】
諌山創 進撃の巨人 21巻より引用
究極の選択を迫られるリヴァイでしたが、エルヴィンに薬を打とうとします。しかし、新兵がエルヴィンを連れてきた理由が、生きて地獄を見てもらうためだと知ります。それを聞いたリヴァイは、エルヴィンとの最期の会話を思いだしました。そして、エルヴィンを地獄から解放するためにアルミンに薬を打つことを選択しました。こうしてエルヴィンは死亡します。
【進撃の巨人】エルヴィンとリヴァイの関係が深い
諌山創 進撃の巨人 18巻より引用
2人の出会いを描いた「悔いなき選択」でリヴァイは初めて仲間を亡くし、怒りからエルヴィンを殺そうとします。その時、初めてエルヴィンから仲間はおとりに過ぎなかったことを聞かされました。自分の決断を後悔し絶望したリヴァイに、エルヴィンは「結果など誰にも分らないのだ。一つの決断は次の決断のための材料にして初めて意味をもつ」と名言を残します。後悔することは死に繋がると伝えたかったのです。
エルヴィンには自分には見えない何かを見ていると感じつつも、エルヴィンを殺す機会を伺っていたはずです。実際にエルヴィンが死亡する直前には、後悔したままにならないような選択をしました。エルヴィンもリヴァイを騙し、調査兵団に入団させているため、リヴァイに殺される覚悟はあったはずです。最初の出会いを踏まえて漫画を考察すると、エルヴィンがリヴァイの選択を受け入れたのも感慨深いです!
エルヴィンを殺そうとしながらも、リヴァイは彼の頭脳を頼り信頼していました。エルヴィンが夢のために突き進む中、仲間の犠牲を後悔する気持ちが全くないわけではないと理解したはずです。エルヴィンの作戦で多くの仲間が死亡し、悪魔として地獄を見続けた彼を開放できるのはリヴァイだけです。リヴァイが選択したエルヴィンの死亡はエルヴィンにとっても「悔いなき選択」となったのではないでしょうか。