『犯人の犯沢さん』とは名探偵コナンに登場する『コナンの犯人』の活躍を描いたかんばまゆこさん原作のスピンオフギャグ漫画であり、2017年7月から週刊少年サンデーSにて連載中です。名探偵コナンに登場する犯人役の『黒い人』が主役であり、年齢や性別は一切不明で周囲からは普通の人間に見えているという設定になっていて、多少は原作のネタバレにもなりうる作品です。
この『犯人の犯沢さん』という作品は『もし現実に『名探偵コナン』シリーズの全ての事件が1年の内に起きていたら』という仮説で物語が進んでいます。そのために名探偵コナンの物語の舞台となっている米花町はとても日本の自治体とは思えないほど荒廃しています。
『犯人の犯沢さん』の舞台となる『米花町』は日本屈指の犯罪都市であり、街で事件が続発していることへの町民の反応なども描かれています。そしてこのスピンオフ作品では原作である『名探偵コナン』で発生した事件にもいくつか登場していたり、ゲストキャラもモブキャラとして何人か登場しています。
米花町では殺人事件が毎日発生し、さらに暴行、恐喝、窃盗、詐欺やそれ以外の犯罪も日常茶飯事ばりに起きています。そのため米花署は慢性的な人員不足であり、いつも事件で外に出ているせいで窓口はほぼ毎日シャッターが下りています。なので軽犯罪の被害届を提出することも困難であり、そもそも軽犯罪すら多いというのが米花町です。
しかし優秀な警察官とどこに居ても殺人事件に出くわす毛利探偵事務所のおかげで殺人検挙率が異常に高く、発生数時間で犯人が逮捕されちゃうなんてことはザラです。そして治安が悪すぎるこの街のコンビニは午後11時は強制閉店し、夜遅くまで空いている見せは大概武装したヤクザが絡んでいます。そうでなくとも普通の店員や職員もボッタクリや悪質な行為に及んだりと一癖あったり、態度に難があるような人物ばかりです。
そしてこの日本屈指の犯罪都市は世間でかなり恐れられており、『米花駅』で降りる人がいると電車内が騒然となるほどです。実はこの多発している事件によって江戸川コナンたちの知らないところで街に様々な影響が出ており、今ではほぼ無くなってしまった無事故物件は、事故物件の5倍の家賃がするのが当たり前となっています。
善良な一般人も米花町の惨状から暴動に及びかねない程のフラストレーションを抱えています。町役場では転入届を提出して米花町に転入してきた人には粗品を進呈する一方で、転出届には必ずと言っていいほど難癖を付けては突っぱねて街からの人材流出を阻止してます。
米花町のシンボルでありながらも作中で何度も死人が出た『トロピカルランド』では空港並みに出入りが激しく、本編の『名探偵コナン』の冒頭でワイヤーを使った殺人が起ったためワイヤーの持ち込みが禁止され、ブラジャーのワイヤーすらも持ち込み禁止となっています。
犯沢さんは『犯人の犯沢さん』の主人公であり、20代の性別不明の人物です(男だと思われる描写はありますが、公式な発表はありません)。第1話で持っていた切符から予想されているのは島根県の田舎出身ということで、『ある男』に復習するために東京都の米花町に上京してきました。そしてこの犯沢さんは常に物騒な事を考えています。
しかしその物騒な考え事は今のところ実行に移しておらず、米花町のあまりの世紀末ぶりに犯沢さんは幾度となく驚かされています。田舎育ちのため自動改札を知らなかったり、事故物件をあからさまに怖がったりと小市民的な性格をしている犯沢さんは、ある事情によって全財産を盗まれてしまいレンタルビデオ屋さんでアルバイトをしています。
そしてこの犯沢さんは原作『名探偵コナン』でお馴染みの全身真っ黒な容姿をしていますが、あくまでもこれは誇張表現で、周囲の人間からどう見えているかは不明で作中においては普通に接しています。しかし物騒なことを考えている時は「怪しい」と頻繁に言われており、探偵に追跡される・睨まれる、公安に確保される、などひどい目に合っています。
地元では犯沢さん同様に全身真っ黒(!)な母親に可愛がられ、交友関係も良好と小市民ぶりを遺憾無く発揮、犯沢さんは他の黒タイツの犯人たちとの差別化のため基本的にいつもリュックサックを背負っています。
この作品では犯沢さんのお母さんも登場しています。犯沢さん同様に全身真っ黒の人物であり、謎の訛りがある田舎のオバサンです。息子である犯沢さんのことをいつも気にかけている優しい母親で、犯沢さんとは正反対に物凄く人懐っこい性格をしています。
田舎から上京して生きた犯沢さんが入居したシェアハウスの住人として登場したのが犯林つとむです。見た目は『ニット帽を被った犯沢さん』であり、年齢は22歳です。ヒップホップ調で会話する犯林つとむは犯人志望者である犯沢さんと意気投合し仲良くなります。
犯林つとむは今どきのキレやすい若者で、以前から執着のあった不動産を経営している林を殺害しました。しかしこの事件は江戸川コナンに現行犯で見つかり、FAXつき弁当箱をボール代わりにして蹴った江戸川コナンにとっ捕まえられそのまま逮捕されました。
林かず夫は物語の舞台となる東京都米花町で不動産を経営している64歳の老人です。林かず夫の紹介してくれる物件はそのほとんどが非常に条件が良い上で家賃がとても安いです。何故かと言うと、扱っている物件のほとんどが事故物件であるのため好条件低賃金となっているのです。
そして本作の主人公である犯沢さんに様々な事故物件を紹介し勧めていましたが、最終的にシェアハウスに住まわせるも上記でご紹介した犯林つとむによって殺害されてしまいました。
名探偵コナン初となるパロディ作品として期待が寄せられている『名探偵コナン 犯人の犯沢さん』は、原作者である青山剛昌さん公認の漫画作品として名探偵コナンファンからも注目を浴びています。そして原作に登場するキャラクターたちも『犯人の犯沢さん』に登場し活躍しています。
原作となる名探偵コナンの主人公の江戸川コナンは『犯人の犯沢さん』ではモブキャラ程度の登場ですが、事件(ほぼ殺人事件)を呼び寄せる死神と化しています。不審者には原作以上に敏感になっているのか、ヘアセットに失敗した犯沢さんを、たまたま東京に来ていた服部平次と付け回すなんてこともありました。
初登場時には物騒なことを考えていた犯沢さんを主人公化のような鋭い目つきで睨んでいました。作中では殺人事件の犯人を現行犯逮捕したり、観覧車に仕掛けられた時限爆弾を数秒で解体処理してしまうなどの活躍を見せています。そんな江戸川コナンのことを周囲の子供たちの中では『良く事件を解決している子』として噂になっています。
原作『名探偵コナン』のヒロインの毛利蘭は、『犯人の犯沢さん』での事件ばかりの日々にうんざりしています。そして毛利蘭の特徴的な尖った髪型がやや垂直気味になっています。これに関して原作者である青山剛昌さんは『犯人の犯沢さん』2巻帯で「あんな髪型じゃない」と突っ込みを入れましたが、作者のかんばまゆこさんは謝罪をしたもののその後も修正はされていません。
毛利蘭と言えば空手の達人で名探偵コナンでは最強女子の一人であります。作中ではぼったくりバーで苦しめられていた父・毛利小五郎と犯沢さんを助けており、その戦闘力は原作よりも明らかに強くなっています。気合だけでヤクザ店員たち全員を吹き飛ばして戦闘不能にし、自身に向けて発砲された銃弾も素手でキャッチし握りつぶせます。
「わたしを殺人犯にしないでもらえます?」の一言にビビった店員は逃走し、犯沢さんに対しても「やめてくださいね。うんざりなんですよ。」と犯沢さんの持っていた刃物を片手で折り曲げるパワーを発揮しました。その後毛利蘭は犯沢さんのトラウマになっており、次に毛利蘭の姿を見たときは殺されると警戒し一目見ただけで逃げ出すほど、この世界での毛利蘭は強くなっています。
原作の名探偵コナンでは、『眠りの小五郎』として麻酔銃で撃たれ気絶している間に大活躍している毛利小五郎も、『犯人の犯沢さん』ではモブキャラクターとして扱われています。もちろんこの作中でも『眠りの小五郎』として全国区で有名ではありますが、江戸川コナン同様死神扱いされている節が見られます。そして首に刺さった麻酔針を良くポイ捨てしています。
名探偵コナンに登場する天才発明家の阿笠博士はこの街の事件が多発する日常に達観しています。阿笠博士曰く、『爆発』は春の季語だそうです。求人誌を読んでいた主人公の犯沢さんに日給5万円で実験のお手伝いのアルバイトの話を持ちかけますが、その内容は『麻酔慣れしていない人が高濃度の麻酔針を受けたらどうなるのか』というものであり、それを受けた犯沢さんは3週間も寝込みました。
『犯人の犯沢さん』に登場する灰原哀は顔は描かれておらず、台詞もありませんが警察署内で阿笠博士の後ろに立っている姿や阿笠博士の車の後部座席に座っている姿が登場しています。
駅前でもたついていた犯沢さんのことをわらってしまった鈴木園子は、犯沢さんの脳内でボコボコにされた挙句、妄想内で殺害されました。
警視庁捜査一課の警部である目暮十三が率いる課内の面々は検挙率100パーセントを誇る凄腕集団と呼ばれています。実際には探偵たちの助言のおかげでその検挙率を叩きだしています。
名探偵コナンではお馴染みの人気キャラクター服部平次は上述した通り、犯沢さんを江戸川コナンと共に付けましたことがある人物です。雨の日には江戸川コナンを洋服の中に入れてあげる優しい一面を見せます。
名探偵コナンの黒幕・黒の組織の幹部の2人のジンとウォッカも『犯人の犯沢さん』に登場します。新しい洋服を探している犯沢さんが偶然ジンを見つけ、全身黒づくめのコーディネートをしようと思いつくきっかけとなりました。
公安警察のこの2人は犯沢さんを黒づくめな恰好をした怪しいやつ=黒の組織の仲間と誤認してしまい、拳銃を持った部下を数人引き連れて犯沢さんを確保しました。
原作となる名探偵コナンの犯人が登場する時は犯人が分かるまで黒タイツ姿で登場しています。女だろうが男だろうが、老人だろうが肥満だろうがみんなあの割とガタイとスタイルの良い黒タイツで登場しています。そんな犯人たちの酷すぎる犯行動機を一覧にしてみました。
劇場版『名探偵コナン 迷宮の十字路』で起こる事件の犯人の動機が『義経になりたかった』というものでした。源義経が大好きなのに盗賊団では弁慶と名付けられてスネていた犯人はどうしても義経流の剣道場が作りたくて犯行に及ぶという、義経への愛が重かった動機でした。
劇場版『名探偵コナン 天国へのカウントダウン』に登場した犯人の犯行動機が『アトリエから富士山が描けなくなったから』というものです。富士山が良く見える小高い丘にわざわざアトリエを建て、そこで富士山の絵を描き続けていましたが富士山を真っ二つに分けるようにアトリエと富士山の間にビルが建設されていしまいます。そして富士山を描くことを邪魔された犯人がビル建設に関わった人物を殺害していきます。そもそもビル建設を反対すればよかったのでという意見が多数あった動機です。
好きだった映画のシリーズが終わってしまいインターネット掲示板に『殺したい』と書き込んだ結果、黒の組織の構成員であるベルモットに殺人を強要されてしまい犯行に及びます。この事件では毛利小五郎も呆れていました。
今まで交際の申し込みを断られたことがなかったが人生で初めて交際を断ってきた女性をなんとか振り向かせたくて犯行に及んだ事件です。彼女がいるところにわざと火を着け、あたかも助けてくれた勇敢な男性になろうと企てた計画が予想外の大火事になってしまい逮捕されるという結末になってしまいました。
友人に『金ヅル』だと思われていたことを知ってしまった女性が起こした殺人事件の犯行動機です。そもそもは自分はお金持ちだと嘘をつき、借金をしてまで友達のスポンサーになったことが事の発端であり、自分が友人を騙していたことを棚に上げ逆恨みした友人を殺害する事件でした。
パーティー依存症となってしまった自分の妻が許せなくて殺害した事件の犯行動機です。借金をしてまでパーティーを開催するわ子育てさえも放棄しようとして妻が許せず犯行に及びました。これは殺す必要はないんじゃないかという事件でした。
今話題のギャグマンガ、名探偵コナンのスピンオフ作品『犯人の犯沢さん』についてネタバレ紹介しました。原作となる名探偵コナンと同じ週刊少年サンデーで連載されている『犯人の犯沢さん』は、今では多くの支持者を持つ大人気作品となりました。原作者の青山剛昌さんも公認ということもあり、多くのキャラクターが登場するのも見どころの一つです。
名探偵コナンでお馴染みだった黒タイツの犯人を描くというありそうでなかった作風が多くの人の笑いたい気持ちを鷲掴みにし、連載開始から間もない現在で早くも2巻の単行本が発売されています。今後も犯罪都市・米花町で犯罪が起こり続ける限り『犯人の犯沢さん』の活躍は続くでしょう。これからも裏の主人公『犯人の犯沢さん』をお見逃しなくです!