【進撃の巨人】ウォール教が出るまでのあらすじ
諌山創 進撃の巨人 5巻より引用
進撃の巨人ではウォール教は重要な役割を担っています。中でもウォール教のニック司祭は、単行本「進撃の巨人」第5巻19話の「まだ目を見れない」で初めて登場します。巨人化したエレンの兵法会議にウォール教の代表として出席したのです。ウォール教やニック司祭の説明に入る前に、まずニック司祭登場前までのあらすじをおさらいしていきましょう。単行本「進撃の巨人」第4巻までのネタバレを含みますのでご注意ください。
諌山創 進撃の巨人 1巻より引用
巨人が支配する世界で人類は三重の壁を築き、壁の内側で平和な暮らしをしていました。しかしある日、50mの高さの壁を超える超大型巨人が現れ、壁を破壊し、巨人たちが壁の中へと侵入してしまいます。壁の中は大混乱となり、まるで地獄と化したような惨状になります。主人公のエレンの母親も巨人に食べられてしまい、エレンは巨人への憎悪を抱くようになり、巨人を一匹残らず駆逐することを決意するのです。
主人公たちはその後、訓練兵団に入団します。過酷な訓練を積み、巨人を倒す術である立体機動装置を扱えるようになった頃、再び超大型巨人が出現し、壁を破壊、無数の巨人が侵入してしまいます。訓練兵であるエレンたちにも召集がかかり、出撃するも次々と仲間たちが食べられていきました。そんな中、親友であるアルミンを庇い、エレンも巨人に食べられてしまうのです。
諌山創 進撃の巨人 1巻より引用
あまりにも残酷な状況が続く中、巨人と戦う巨人が登場し、訓練兵たちの窮地を救います。そしてその巨人の正体はなんとエレンだったのです。その後エレンたちは窮地を脱し、生還します。エレンは巨人であるということで人類から恐れられ、命を狙われるも親友のアルミンの策のおかげで窮地を脱し、駐屯兵団とともに壁の穴を塞ぐためにエレンは再び巨人となり大岩を運んだのでした。
岩で穴を塞ぎ、無事にトロスト区を奪還することに成功した後、エレンの今後の処遇について兵法会議にかけられることになります。
【進撃の巨人】ウォール教とは?
諌山創 進撃の巨人 8巻より引用
ここからはウォール教についてのネタバレになります。ウォール教とは、壁を神聖視し崇めることを教義としています。人が壁に手を触れたり、手を加えることを極端に嫌います。宗教自体はウォール・マリアの崩壊後から勢力を急激に拡大させ、王政と手を組み、議会での発言権を得るなど大きな力も持つようになりました。
ウォール教のお祈りの仕方
諌山創 進撃の巨人 8巻より引用
ウォール教はその祈り方にも特徴があり、信者は隣の人と肘を組み合い、胸の前に両手を合わせ握り、目を瞑って祈ります。教会で信者が輪になっての祈りの様子は、単行本「進撃の巨人」第8巻33話で確認することができます。アニメ「進撃の巨人」での祈りのシーンは、女型の巨人に教会を潰されてしまうまでの短い間です。
【進撃の巨人】ニック司祭がウォール教の黒幕
諌山創 進撃の巨人 8巻より引用
ここからは、進撃の巨人の中でも重要人物となるニック司祭のプロフィールや人物像についてのネタバレとなります。
ウォール教は王政と手を組み、壁の秘密を知られないようにしていました。口出しする権限を王政から与えられていたのもそのためだったのです。しかし、ニック司祭以外の信者は壁の中の秘密を知らされておらず、壁があるから我々は守られていると純粋に信者たちに思わせるように仕向けていました。壁の中の秘密を知られないために、一般市民を宗教というくくりで縛り付けていたと考察します。
そのような意味では、ニック司祭は唯一壁の秘密を知る人物であり、ウォール教という宗教を利用して信者を利用する黒幕であったとも言えるでしょう。
ニック司祭の経歴プロフィール
諌山創 進撃の巨人 8巻より引用
名前:ニック
身長:192cm
体重:72kg
誕生日:11月9日
年齢、出身地などについては公開されておらず、謎な点も多い人物です。
ニック司祭の人物像や特徴
諌山創 進撃の巨人 5巻より引用
ニック司祭は過去に酒に溺れ、家族を失い、孤独となりました。その負い目からウォール教にすがり、自身の人生をやり直そうとしたのです。アニメ「進撃の巨人」では、壁が破壊される前のシーンで必死に布教活動をするニック司祭が描かれていたり、ウォール・ローゼ内に巨人が侵入した際にハンジ達に同行した時は、避難民の子供を助けようとするなど自身の過ちを悔い改める行動が伺えます。
ニック司祭には、壁を守るという目的意識が第一にあります。兵法会議では脅威であるエレンを即刻処分するよう主張するなどの一面もありますが、壁の中に巨人がいることを知ったハンジから詰問を受けた際には、壁から落とされそうになっても壁の秘密については頑なに公言しないなど自身の命よりも目的を達成することに尽力を注ぐなど、並々ならぬ決意と覚悟を持った人物であることがわかります。
ウォール教のニック司祭は、良い意味でも悪い意味でも、頑固者と言えるでしょう。
【進撃の巨人】ニック司祭のエピソード
諌山創 進撃の巨人 8巻より引用
ここからは、ウォール教のニック司祭が進撃の巨人の物語上でどのような役割を果たしているかについてのネタバレを多く含みます。ご注意ください。
エレン拘束後の議会での登場
諌山創 進撃の巨人 5巻より引用
ウォール教のニック司祭の登場は、単行本では「進撃の巨人」第5巻19話の「まだ目を見れない」、アニメ「進撃の巨人」では第1期14話の兵法会議で登場します。神聖なる壁に触れて欲しくないばかりか、壁を破壊する可能性のあるエレンの存在を即刻処分するよう訴えていました。また、壁に手を加える旨の発言があればその意見を拒絶し、度々会議を滞らせています。
壁から出た巨人に対しての一言
諌山創 進撃の巨人 8巻より引用
進撃の巨人においての謎の一つである壁の中、そこにはなんと巨人がいたのです。巨人をみたハンジが壁の中についての思考を巡らせている最中にウォール教のニック司祭がハンジの肩を掴み次のように言います。
「当てるな、あの巨人に日光を当てるな!」
まるで巨人が動き出すかのような言い方であり、壁の正体を以前から知っていたと捕らえられます。
リヴァイ・ハンジの確保~拷問までの流れ
諌山創 進撃の巨人9巻より引用
ウォール教のニック司祭は、壁の巨人に光を当てないように指示した後、調査兵団に確保されました。後にウォール・マリアに巨人が再び侵入してきたことを受け現地へ向かおうとするリヴァイやハンジにニック司祭は同行を願い出ます。彼らとともに向かった先で避難民の現状を目の当たりにし、自身の持っている情報を調査兵団に公表するか否か、苦渋の決断をしたのです。
ニック司祭は決断の末、壁の秘密については大いなる意志に逆らえないため話せないが、その大いなる意志に監視するように命じられた人物の名なら教えることができる、と今後の進撃の巨人の展開を広げる重要な人物であるクリスタの名をハンジたちに伝えます。その後、調査兵団に重要な情報を教えてしまったためか、何者かによってニック司祭は殺害されてしまいました。
殺害されたニック司祭
諌山創 進撃の巨人 13巻より引用
調査兵団にクリスタの情報を教えてしまったためか、ニック司祭は何者かに殺害されてしまいます。ハンジが駆けつけたときにはすでに憲兵団が現場検証をしているところであり、ニック司祭の姿は一瞬しか見えていませんが、かなり殴打され、見える限りの爪が剥がされていたことを確認します。このことから、ニック司祭は拷問の末、殺害されたことが伺えます。
ニック司祭が殺害されたこと、その状況をリヴァイに伝えると、ニック司祭は馬鹿だったと思うが、自分の信じるものを最後まで曲げることはなかったらしいと、ニック司祭の意志の強さを褒める描写があります。進撃の巨人の数ある描写の中でも、名シーンの一つと言えるでしょう。
【進撃の巨人】ウォール教のニック司祭の考察を紹介
諌山創 進撃の巨人 9巻より引用
壁の中に巨人がいることを知っていた理由
諌山創 進撃の巨人 9巻より引用
ウォール教の目的が壁の正体を知られないようにすることであり、そのために王政から強い権力を与えられていたことを考えると、ウォール教の上層部には王政から壁の秘密を知らされていたのではないかと考察します。
記憶の改ざんがされない?
諌山創 進撃の巨人 16巻より引用
進撃の巨人の物語において、貴族やアッカーマンなどの東洋人は記憶の改ざんを受けない血族が存在します。ニック司祭は自分の意思で、壁の秘密については話せないと言っており、王政が強い権力を与えている状況から推測すると、貴族などの王政の血族に近しい人物であり、記憶の改ざんを受けない血族である可能性が高いと考察します。
ニック司祭は誰に殺されたのか?
諌山創 進撃の巨人 13巻より引用
ニック司祭は中央憲兵のジェル・サネスに殺害されました。殺害された際の現場検証にきていた中央憲兵団の一人にハンジは握手を求め、その際サネスの拳の皮がめくれていることに気付き、サネスが犯人であると確信しています。
【進撃の巨人】ウォール教の再登場の可能性は薄い
諌山創 進撃の巨人 9巻より引用
今後の進撃の巨人の物語で、ウォール教の再登場の可能性は薄いと考察します。まず、ウォール教の信者は女型の巨人とエレンの進撃の巨人との戦闘で教会を破壊してしまった際にほとんど亡くなったとされています。
唯一生き残ったニック司祭もクリスタが重要人物であるという情報を漏らしたことにより、中央憲兵に殺害されています。他にも司祭がいたとしても、自身の保身や命のために公に出ない可能性が高いと考えられます。
クリスタが王家であるレイス家の血を引くこと、壁の中に巨人がいることという進撃の巨人の作中でも大変重要な情報を開示しました。そのため、頭脳明解なハンジやアルミンが次々と謎を紐解いていくため、今後の登場の必要性があまりないと考察しています。
人類が壁内に閉じ込められて100数年、記憶も改ざんされている所から、宗教はウォール教くらいしかないのかもですね。となるとゲルガーの「神様」=「壁」=「巨人」になっちゃいますが(・_・;)
— アース(進撃の考察管理人) (@singekinb) August 11, 2016
このツイートから、ウォール教が一大勢力を誇っていたと考えられます。司祭が亡くなり、信者も多く亡くなってその一大勢力の力が衰えれば、再登場の可能性は低いとも言えそうです。
【進撃の巨人】ウォール教から明かされた壁の秘密
諌山創 進撃の巨人 16巻より引用
最後は進撃の巨人の最大の謎である壁の秘密についてネタバレしていきます。ウォール教から明かされた壁の秘密、それは壁の正体が巨人であるということでした。また、日光を当てないようにと慌てながら言ったその発言から、壁の中の巨人は生きていることがわかりました。光を当てると活動を再開してしまうという、壁の内側で生活をしてきた人類にとって最大の恐怖を突きつけられるのです。
クリスタの正体をバラしてしまったことにより、殺害されてしまったニック司祭ですが、そもそも危険と分かっていて調査兵団に同行するなど、その目的は何だったのでしょうか。死してなお、解明されていない点も多いニック司祭に注目して原作漫画の「進撃の巨人」やアニメ「進撃の巨人」を見てみるとより深く進撃の巨人を楽しむことができるでしょう。